たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

甘口カレー

2014-09-15 02:18:55 | Weblog
 「言葉を正しく使う」というのは、何とも難しいことである。それが文章にもなればなおさらであるのだが、「言葉」そのものだけでも、きちんと考えて使う、ってのは本当に難しいものだ。
 難しいけど、そこを意識するのとしないのとでは、全然違う。言葉の定義をきちんと考えて、それから吟味しながら、新しいところに使っていこうとするのとしないのとでは、全く違うのだ。

 っというわけで、とりあえず、下の音声を聞いて欲しい。

ガキの使い トーク 松本が甘口カレーにキレた「甘くて刺激があるのは恋愛」


 甘口カレーって、確かによくよく考えてみると変だよね。
 なんか「薄口カレー」とか「辛さひかえめカレー」とかにすべきだと確かに俺も思う。っていうか、甘口カレー、甘くねーし。

 俺なんか、こういうちゃんと言葉を定義していないせーで、実被害でたことあります。
 あるお店で「チキンカツカレー」を頼んだのだけど、俺は「チキンカツ」と「カレー」がくるもんだと思っていたが、「チキン」と「(豚)カツカレー」だったのだ。これには正直びっくりした。マジか、こういうすれ違いがあるのか、と。
 まぁ、確かに。よく考えてみれば、「シーフードカツカレー」と書いてあって、「海老フライ」と「カレー」がくるわけないもんね。そう考えれば確かに。
 いやいや、俺は悪くない!分かりにくいのが悪いのだ。「豚カツチキンカレー」だったら絶対に間違わない。

 特に理系は注意して欲しい。論文を書くときやプレゼンをするとき、読み手やリスナーがなるべく勘違いしないような言葉を一語一意に選ぶというのは基本中の基本なのだから。

 ちなみに「甘口カレー」に匹敵する、矛盾しちゃってる、変な理系用語は沢山あります。

 「求電子剤」
 相手を求電子的にするのなら「剤」を用いるのはわかるが(洗剤、酸化剤など)、自分が求電子的であるのに「剤」を使うのはオカシイ。なんじゃそりゃ。同じように求核剤も変。求電子「的」、求核「的」と使うのが正しい。

 「高い特異性を有する」
 特異性ってのは、特に基質特異性であれば、ある抗体が特定の抗原と「だけ」結合することを言う。そこに「高い」とか「低い」とかの優劣が入ってくるのはオカシイ。「高い特異性」ならば、それは特異的ではない!ただ結合する性質があるだけである。同様に、「ノンスペ」もオカシイ。どれくらい結合するのかを述べるか、もしくは、まったく結合しないなら、相互作用しない、で十分。

 「高温超伝導」
 高温じゃねーし。なんやったら低温だし。「低温物理の世界ではとても高温なんですよ、-150℃は」うるせーな、Cグループ!そんなこと言ってるからモテねーんだよ、バカヤロー笑。夢の「室温超伝導」って、室温のが高温って意味になっちゃうだろぅが。だいたい、高温とか低温ってのは、比較対象で使うものだ。だから、厳密な物理学の世界で、そもそもこういう言葉を使ってる時点でオカシイ。「100K級超伝導」などと言えば良いだろ。

 他にもたくさん、「自発的対称性の破れ」を薄っぺらく使ったり、ホント意味の無い政治力学によって作られた、矛盾している言葉がたくさんたくさんありますが、それらはすべて「甘口カレー」くらいダメです。
 っとか思うと、それくらいなら、まぁ、いいか、って気分になってきますが、、

 「それはたかはしくんの意見でしょ?」
 いや、意見じゃなーい!!!
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