たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

統計力学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-22 01:41:22 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 統計力学_物理会

 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析、線形代数、物理数学、力学・解析力学、電磁気学、量子力学、熱力学、数理統計学を前提として、YouTube上で統計力学について22回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2023年11月29日から2024年6月21日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、熱力学・統計力学 熱をめぐる諸相 - 高橋和孝 (著)を教科書として使いました。
 適宜、統計力学 (1), (2) - 田崎 晴明 (著)、大学演習 熱学・統計力学〔修訂版〕 - 久保 亮五 (著, 編集)統計力学 (岩波基礎物理シリーズ 7) - 長岡 洋介 (著)非平衡統計力学―ゆらぎの熱力学から情報熱力学まで― - 沙川 貴大(著)などを使用しました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します) -
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、グランドカノニカル分布を理解し、それぞれを具体的な系へと適応できる。

【各回の概要】

 1. やりたいこと、教科書など
 概略の説明。平衡系と非平衡系の違い。古典統計と量子統計の違いなど。

 2. 量子論からエネルギー固有値を求める
 量子論の復習。3次元、N個への拡張。

 3. 数学公式、状態数
 スターリングの公式。超球の体積。状態数の導入。

 4. 状態数の計算、理想気体
 状態数を計算することで、それが理想気体のエントロピーと近しいことの確認。ボルツマン公式へ。

 5. ゴム弾性
 ミクロカノニカル分布を前提として、状態数を数えることでボルツマン公式を用いて、ゴム弾性を理解。フックの公式を導出。

 6. 調和振動子型
 ボルツマン公式を用いて調和振動子型ポテンシャルに閉じ込めれた気体についてエントロピーを求める。

 7. 2準位系、Schottky比熱
 前回、前々回同様に、2準位系について。

 8. 磁性体、等重率の原理など
 2準位系の応用として磁性体の例を紹介。ミクロカノニカルの基本として等重率の原理を説明。

 9. 等重率続き、エルゴード
 エルゴード仮説の紹介。

 10. カノニカル分布導入
 熱源に接している系としてカノニカル分布の導入。

 11. 分配関数と熱力学量
 分配関数から熱力学量を求める公式の導出。

 12. カノニカル分布の基本的な例
 ミクロカノニカル分布で紹介した、調和振動子型ポテンシャル、2準位系についてカノニカル分布でも確認。

 13. 例続き、熱容量と揺動散逸定理
 理想気体について分配関数から熱力学量を求める。熱容量から揺動散逸定理の1例をみた。

 14. 古典統計力学導入
 理想気体のエントロピーについて確認することで量子統計の必要性を説いた。また、古典統計での考え方の導入を行った。

 15. 古典極限へ
 ハイゼンベルグの不確定性原理の導出。分配関数を古典統計で。

 16. 情報理論導入
 シャノン情報量、条件付きシャノン情報量の導入。

 17. 相互情報量
 相互情報量の導入。二値対称通信路を紹介。ガウス型通信路を導入し、S/N比を導出。

 18. KL情報量、非平衡エントロピー
 KL情報量導入。カノニカル分布のとき、シャノン情報量が熱力学エントロピーと等しいことを証明。また、エネルギー一定のとき、シャノン情報量が最大になるときにカノニカル分布であることを示す。

 19. 化学ポテンシャル、グランドカノニカル分布
 熱力学の復習として化学ポテンシャルを説明。熱浴と粒子浴に接する系としてグランドカノニカル分布を導入。

 20. 粒子数の平均値と分散、同種粒子など
 大分配関数と分配関数の関係。また粒子数の平均値を導出。量子論の文脈で同種粒子を考えることで、フェルミオンとボソンについて説明。

 21. スレーター行列式、フェルミ分布・ボース分布導出
 パウリの排他率を示す。スレーター行列式の導入。粒子数の平均値の式より、フェルミ分布およびボース分布を導出した。

 22. フェルミ縮退、ボース凝縮
 フェルミ縮退とボース凝縮について、定性的に説明。それらの背景にある理論として場の量子論を紹介。低温物理の分野を紹介。

【総評・反省】
 「統計力学やると価値観変わるぜ!」と思っていたのだけど、まぁそれは確かにそうなのだけれども、なんかちゃんと勉強して伝えれば伝えるほど「平衡系が偶然上手く行っちゃっただけなんじゃないか」「この考え方を非平衡や他のことにも応用しまくれるぜと思いすぎるのもどうだろうか」と思ったりもした。
 守破離でいくと、俺は離のところに差しかかったのだろうか。それとも単純に理解が足りないのだろうか。どちらにせよ、非平衡系(ゆらぐ系の熱力学など)の理解を進めることは引き続き進めていきたいとは思っている。

 平衡系の統計力学をやる前提として熱力学と量子力学の理解は必須であるが、統計力学をやりながらも、これら2つにも戻って復習できると良いと思う。それぞれの論理展開はお互いに助け合って成り立っているわけで、だとしたら勉強も同時進行が一番上手く行くのでは?(そうとは言い切れないか笑)

 ミクロからマクロへの精緻な論理体系として統計力学はかなり良くできている。統計力学こそが、枚挙主義・還元主義から脱却できる価値観をもたらしてくれる、点と点をものすごくちゃんと結んでくれる、いわば「線の学問体系」なのだが、改めてここまでたどり着くまでの道のりの大変さをつくづく実感した。ここまでくるのに2年半。物理会すべてだと154回かかっている。ということは154時間。まぁだいたい時間オーバーしているので丸7日くらいかな?寝食忘れトイレも行かなければ、たった1週間で終わるわけです。(そんなわけあるか)
 うん、でも「生命とは何か」「細胞を創る」とかやりたいなら、たったこれだけの時間で済むわけで、あーゆー人たちは普段からもっと偉そうなこと言ってるわけで、「これくらいさらっとやれよ」と思わなくもないのだけど笑、かなりきついのはきついよなぁ。そりゃ他の分野の人と話が合うわけないよな、と思わなくもない。

 統計力学の定性的な理解というか、なんとなくこんなことやっているんだぁというのだけで良いなら、そりゃもっと短く伝えることはできるだろう。
 しかし、それでは、まったくもって意味がない。国語でも英語でも「要約せよ」という問題ほど悪問はない。著者は伝える上で必要だから書いているのである。過不足などない。それを「だいたい伝えてよ」というのは傲慢すぎるのではないか。そんなことできるわけがないのである。

 さて実際はどうだったか、というところであるが、ここまでくると聴講者も超やる気のある人しか残っていないので、物理会をやっていて一番やりやすかったというのが素直な感想です。
 流れとして、とにかくボルツマン公式を信じて、ほらフックの公式も証明できるじゃん、それって何が保証してくれているの?、でも状態数を数えるのだるくない?分配関数のが良くない?、このカノニカル分布ってどれくらい本質的なのか情報理論から考えようぜ、低温のときはもっとやばいこと起こるよ、みたいな順なのですが、かなり俺っぽいというか笑。ただ、具体的に分配関数使う例とかをあまり扱わなかったのと、量子統計がたった4回でまとめてしまったので定性的な部分が強くなってしまったかなとも思う(でも統計力学のエッセンス的なところはきちんとした)。この辺り、物性論会とかやっても良いかもしれないなと思っている。

 この会の名付けから、どうしても統計力学をやるためにずっとやってきたんだ!って思いがちだったが、淡々と必要なこと・役に立つことを伝えるようにしたつもりである。そのうえで何かの参考になればとても嬉しい。

 俺が知っている学部レベルの物理学はだいたいすべてウェブ上に残したので(まぁ実は残した分野はいくつかあるのだが)、これで「物理教えて」と言われたら(これを言ってくるのはバイオ系と化学系がほとんどなのでこれで事足りる)、「これ見て」と言って渡せるものができた。もう俺がいちいち物理を教える必要もなく、教科書を紹介する必要もなく、黙って自分のYouTubeと板書ノートを送れば良い。
 というか、あなたは、俺についそう言ってしまって今このページを観ているのではないだろうか。これ以上の最短経路は俺は思いつかないので、約2年、寝食を忘れるなら1週間を費やせない人は、気軽にそんなこと言わないように。そんな簡単には習得できないからね。物理学から身に着けている俺の思考力を、あんまり舐めんじゃねーぞ?笑
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数理統計学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-06 02:51:18 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 数理統計学_物理会

 高校物理、高校数学を前提として、YouTube上で数理統計学について23回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2023年5月8日から2023年12月26日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、入門・演習数理統計 - 野田 一雄 (著), 宮岡 悦良 (著)を教科書として使いました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します) -
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 確率論および確率変数の基本、いくつかの代表的な分布について理解する。

【各回の概要】
 1. 集合論の基本
 高校数学の復習。集合論のまとめ。標本空間や標本点などの定義。

 2. 確率の公理
 確率の公理として3つを紹介。加法定理など。

 3. 条件付き確率、独立性
 上記についての定義や性質、演習。

 4. 独立性続き、全確率の定理
 全確率の定理の証明。

 5. 全確率の定理続き、ベイズの定理
 全確率の定理の演習、ベイズの定理証明と演習(3囚人のジレンマなど)。

 6. 確率変数と分布関数
 確率変数の範囲へ。確率変数、分布関数の定義。

 7. 分布関数
 分布関数の演習。

 8. 確率密度関数
 離散型の確率関数、連続型の確率密度関数。

 9. 確率密度関数の具体例、多次元
 演習。多次元確率分布への拡張。

 10. 多次元続き、周辺確率密度関数
 結合確率密度関数。周辺分布関数などの定義。その具体例。

 11. 条件付き確率密度関数具体例、独立性
 上記についての演習。

 12. n次元確率密度関数、平均と分散へ
 n次元への拡張。平均と分散の導入(離散型および連続型)。

 13. 平均、分散
 平均や分散の基本公式。平均についてn次元への拡張。

 14. 分散続き
 演習続き。分散についてn次元拡張。

 15. 中央値、演習、積率
 メジアンの定義、演習。積率の定義。

 16. 積率母関数、チェビシェフの不等式
 離散型、連続型のそれぞれについて積率母関数の定義。またチェビシェフの不等式(統計力学田崎本より)。

 17. 共分散
 共分散の定義、性質。シュワルツの不等式の証明。

 18. 共分散続き、条件付き期待値
 共分散演習。n次元への拡張。離散型、連続型について条件付き期待値の定義など。

 19. 条件付き期待値続き、線形回帰
 性質や具体例。線形回帰の例。

 20. MSE、ベルヌーイ分布、二項分布
 平均二乗誤差の定義、性質。また、有名な分布の章へ。ベルヌーイ分布と二項分布の確率関数および積率母関数。

 21. 二項分布性質、具体例
 上記について。また(弱)大数の法則の一例を紹介。

 22. 二項分布具体例、ポアソン分布
 超幾何分布紹介。ポアソン分布の確率関数および積率母関数。

 23. ポアソン過程、正規分布
 ポアソン分布の性質。ポアソン過程の紹介と例。多項分布、正規分布をまとめた。

【総評・反省】
 理系で誤差解析を行わない学部学科は殆どないため(数学科や情報学科くらい?)、このくらいの数理統計学の基本は理系はみんな知らないといけないはずだが、意外と抜けている人が多い。「意外と多い」と書くと、そこまで多くはないニュアンスを持たれるかもしれないが、普通にマジョリティーでびっくりする。
 たとえば条件付き期待値を知らないで、一体全体どーやって線形回帰とかやってるんだ?と思うけれど、昨今はエクセルでちょちょいのちょいっとやってくれちゃうわけで、中身を何も理解しないでも使えてしまうわけだから困ったものである。まぁこのあたりをどこまできちんとやるか?厳密にやるか?という部分はあって、マッチの原理を事細かに知り実際に自分で作ったこともないのに「火」なんて高等技術を使っておって、まったく最近の現代人は、と原始時代の人は思うのかもしれないだが…、いくらなんでも研究者が数理統計(しかもこの程度の)を知らないのは流石にまずいんじゃないか、と思わなくもない。研究者が、と書いたが、あなたが将来、品質保証部や品質管理部、生産技術部などに所属するのであっても絶対に必要なはずだし、ゆーてそこまで難しくないやろ、と思っている。
 現実にこのレベルを理解している理系が少ないというのはとてつもない大問題で、企業の不正や倫理観の欠如が公になるとき、そこには必ず数理統計学の無理解があると言って良い。「今まで事故が起きていないのだからこれからも大丈夫なはずだ」などと平然と言う経営陣に心から疑問を持ち、事故を避けさせるように仕向け、最悪の場合に備えて責任を逃れたいなら、ちゃんと基本から数理統計学を学んでいなければならないが、昨今は結果(っぽい何かをとにかく出す)主義が横行しており学部3年生で研究らしき作業をしている人も多く(数理統計をまともに知らない者が研究などできるわけがないが)、驚くばかりである。

 聴講者も「途中からは難しくなった」と思った人もそれなりには多かったようだ。
 量子論に比べればついてこれている印象はあったが、全確率の定理あたりで「うん?高校の範囲超え始めたぞ?」となり、ベイズの定理の3囚人の問題で「私は信じないぞ!」となり、確率変数のあたりから何をやっているのかが現実と乖離し始めてしまう人が多かった。自分が行っている実験や計測と見比べて、どのようなことを指しているのかが分かれば、数理統計ほど勉強し甲斐のある範囲もないのだが、統計の勉強というのは意外とやりにくいのかもしれない。

 この会は「統計力学のために」と銘打っており、統計力学の範囲として必要なことを述べる目的が大きかったが、本来理系が最低限持っておいて欲しい数理統計と誤差解析の知識として、この会で扱ったもの以外には、標本分布、推定、仮説検定、さらに誤差解析の基本的な演習をしておく必要がある。
 統計力学をやる上では、まぁ確率密度関数がきちんと分かっていればそれで良い気もするのだが(それがみんなにとってそこそこハードル高いわけよね…)。

 他の科目に比べて厳しめなのは、理系として特に必須の範囲だからである。
 なので、この会でも演習の時間をかなり取った。他の科目だと、演習はやっておいてね、まぁ最悪やらんでも良いけど、ガチで理解したいならこの計算はいつかやっておいたほうが良いよ的な感じで進めたが、数理統計に関しては、その場で時間をとって聴講者に演習をしてもらい、できた人から答えを言っていくようなやり方をとった。これは特にめちゃくちゃ必須だからである。
 会全体を通して思うのは、大学との一番の違いは(聴講者にとっては)「試験がないこと」である。試験は定着に一役買っており、大きい復習の機会として重要であることを認識した。そのことに気が付き始めたのが数理統計をやり始めたときなので、その場で演習してもらうことを意識した。

 機会があれば、統計力学を意識せずに数理統計と誤差論の会をやっても良いかもしれないと思っている。
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量子力学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-05 01:04:41 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析、力学・解析力学、電磁気学、線形代数、物理数学を前提として、YouTube上で量子力学について25回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2023年2月20日から2023年11月14日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、基礎量子力学 (KS物理専門書) - 猪木 慶治 (著), 川合 光 (著)を教科書として使いました。
 他に参考とした本は、量子論の基礎: その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ 別巻2) - 清水 明 (著)詳解理論応用量子力学演習- 後藤 憲一 (編集), 西山 敏之 (編集), 山本 邦夫 (編集), 望月 和子 (編集), 神吉 健 (編集), 興地 斐男 (編集)量子力学 (上) (物理学叢書 2) - シッフ (著), 井上 健 (翻訳)、また東京大学の上田正仁先生の量子力学II講義ノートなどを参考にしました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します) -
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 シュレディンガー方程式を用いてエネルギー固有値・固有状態が計算できるようになる。
 ブラケットの表記に慣れ、スピン自由度について理解する。

【各回の概要】
 1. ダブルスリット、導入
 ダブルスリットなどの例を用いて量子論の必要性についての導入を行った。古典論と量子論の違いについて天下り的に紹介。
 
 2. ドブロイ波、複素数、波束と確率密度
 ドブロイ波の意味、複素数に関してのまとめ、波束と確率密度に関する解釈についてまとめた。

 3. ハミルトニアン、演算子、期待値
 ハミルトニアンを量子化の手続きとして記述。演算子や期待値の意味など。

 4. ポアソン括弧、古典極限とか
 ポアソン括弧の復習、交換子、エーレンフェストの定理の紹介。

 5. 古典極限続き、不確定性原理
 エーレンフェストの定理の証明、平面波より不確定性原理の導出
 
 6. 不確定性続き、具体例、束縛問題
 不確定性原理の続き、束縛問題における具体例を紹介。

 7. 無限井戸型ポテンシャル
 1次元の束縛状態。定常状態。無限井戸を解く。

 8. 有限井戸型ポテンシャル
 前回に引き続き、有限井戸を解く。
 
 9. 調和振動子、エルミート多項式
 束縛問題の続き。調和振動子へ。エルミート多項式の各々の公式についてのまとめ。
 
 10. エルミート多項式続き
 エルミート多項式の続き。エルミート演算子。生成消滅演算子など。
 
 11. エルミート多項式から生成消滅演算子
 上記についての計算。

 12. 連続の式、透過率と反射率
 連続の式の導出。束縛問題を離れ、透過率、反射率の問題へ。

 13. 透過反射続き、トンネル効果
 前回の続き。トンネル効果紹介。
 
 14. トンネル効果続き、3次元へ
 中心力場のシュレディンガー方程式。球面座標によるシュレディンガー方程式。
 
 15. 球面調和関数
 θ成分についてルジャンドルの微分方程式に帰着するところまで。
 
 16. 球面調和関数続き、ルジャンドル多項式
 ルジャンドルの陪関数。球面調和関数の導出まで。

 17. 角運動量演算子
 角運動量演算子の種々の性質。その固有値問題。

 18. 動径方向
 中心力場のシュレディンガー方程式の動径方向について。

 19. 二体問題、水素原子
 二体問題についての確認。水素原子の具体例。

 20. 水素原子続き
 水素原子続き。
 
 21. 量子力学体系、線形代数とヒルベルト空間
 量子論の構築についてヒルベルト空間を紹介。ブラケット導入

 22. ブラケット続き、物理量、時間発展
 量子論の基本的な公理について。

 23. ユニタリー、ハイゼンベルグの運動方程式
 ユニタリー変換とユニタリー演算子について。ハイゼンベルグ描像について。

 24. ハイゼンベルグの運動方程式、軌道をブラケットで
 ハイゼンベルグの運動方程式導出。シュレディンガー描像との比較。同時固有状態など。
 
 25. 角運動量演算子、スピン
 角運動量演算子についておさらい。スピンについての紹介

【総評・反省】
 「なるべくオーソドックスに統計力学をやる上で必要なことだけを最低限話すようにしよう」
 「深入りせずに最低限で良いんだ」
 と何度も唱えながら計画を立てたり、その日やることを決めたり、方針を決定していったはずなのだが、どんどんボリューミーになってしまった気がする。「ぶっちゃけ天下り的に与えられたシュレディンガー方程式で無限井戸が計算できればそれでいいんじゃないか」と思いながらも、すぐに「まぁでもこれくらいはやらないと」が追いかけてくる。終わってみて、この辺りはもう少しだけ深堀した内容をお伝えしたかったかも?と思ったりする箇所もあるけど、聴講者はそこそこに消化不良を起こし気味だったので(ここでドロップアウトした人も多かった)、まぁこんなもんで良いのではないかと思う。

 物理学科の学部教育では、量子力学は理論研以外の先生が受け持つことは少ない気がする。というか実験の先生で量子力学を受け持っているケースは(あるんだろうけど)聴いたことがない。それは実はとても良くないことかもしれなくて、論理展開だけが物理ではないし、聴講者のうち圧倒的大多数は将来理論屋にはならないわけで、でも実験研究を進捗させるうえで量子論の考え方が不必要かというとそんなことはないわけだから、理論研じゃない人間が最低限これは必要だろと思うところをまとめるということにはそれなりに価値はあるのかもしれない。
 実験が!というわりには、お前、摂動論も変分法も散乱問題も扱ってねーじゃねーか、というのはその通りで笑、まぁでもこの会は統計力学やるのが目的だったから許して♡正直、もう少し時間をかけてこういうところをやっても良いかなぁと思ってはいるけど、とりあえず統計力学まで終わってからかな、と思う。

 少なくともスピン導入までの量子力学で、俺がやったこの順番が一番オーソドックスかなぁと思っているのですが、どうだろうか。
 昨今Twitterで見られるような、公理系から紹介してく量子論や、量子情報から始める感じとかは、一部のマニア以外はわけわからんじぇ状態になるようなやり方だと思っているので(2週目以降なら良いんだけどね)、前提知識(解析力学、物理数学あたり)までをマスターできた人が聴いたときに、きちんと手を動かして復習すれば8割の人がちゃんと理解できるくらいのやり方をもう少しネットで崇めるべきだと思っているのよね。量子力学の基礎理解に解析力学は要らない!とかいう人までいるけど、はいはい君はすごいでちゅね、いやもうそういうの良いから!以外の感想がない。
 物理の人、とかくそういう「自分は本質的だから、最初から本質的なやり方のほうが理解できる。自分は!」みたいなテイスト出してくるので、うざがられるんですよ?それが量子力学や量子論だと色濃く出やすいよなぁ。

 物理屋が観ると「簡単じゃん。当たり前のことしか言ってないじゃん」
 まだやっていない人が勉強すると「これやべぇ難しいって」

 となるのが(量子力学のカリキュラムとして)ベストだと思っているのですが、ほんと、どうだったろうか。(→聴講者の皆さん)
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物理数学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-04 02:49:57 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学、微分方程式を前提として、YouTube上で熱力学について6回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年12月19日から2023年2月8日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、詳解 物理応用数学演習 - 後藤 憲一 共編・ 山本 邦夫 共編・ 神吉 健 共編を教科書として使いました。また、波動関数に関しては、福岡大学理学部の岩山隆寛先生のこちらの資料も参考にしました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 フーリエ解析、基本的な偏微分方程式について計算ができるようになる。

【各回の概要】
 1. フーリエ級数、直交性、練習
 フーリエ級数とそのsetの直交性について。また、具体的にいくつかの関数についてフーリエ級数展開を行い、グラフで比較した。

 2. 練習続き、Parseval等式
 練習の続きとParseval等式の導出

 3. 指数表示、フーリエ変換導入
 フーリエ級数展開を指数型に書き換え。フーリエ変換の導入。

 4. フーリエ変換例、デルタ関数、強制振動
 フーリエ変換の演習、デルタ関数のフーリエ積分表示、また強制振動をフーリエ変換で解くことを紹介した。

 5. 波動方程式
 波動方程式について、ダランベール解を導出。その後、変数分離法を使用。

 6. 波動方程式続き、熱伝導方程式
 変数分離法の続き。ダランベール解との比較。熱伝導方程式も変数分離で解く。

【総評・反省】
 「フーリエ変換ができないと理系じゃない」と直接言ってはいないのだが、割とこのTweetで俺のことを知った人も多いのではないだろうか。
 そういう意味のことを言っただろう?と言われると「うーん微妙じゃない?」と思うが、まぁ「船降りろ」「不倫は文化」「せやかて工藤」など大体のことは本当は言ってはいないので仕方がない。「どの分野であれ、一つでもできなかったら理系じゃない」リストを観てもらえば分かるけど、「フーリエ変換以外の事柄もこれらができなければ理系じゃない」「できたからといって理系とは限らない」わけで、まぁ理系なら最低限これくらいはできろよって意味だったのだが、なぜかフーリエ変換だけが独り歩きして怒っている人が多かった。なかには「そんなことできなくても、とにかく論文を書けば良いんだ」とバカげたことを言っている自称プロ研究者も何人かいた。
 これは、多くの人が「フーリエ変換ってよく聞くけど、よくわかっていない」ということの裏返しなのではないだろうか。

 匿名社会の、しかもフーリエ変換すらまともに理解していないのに「それでいいんだ!」と開き直るような自称理系どもが起こしたクソくだらない現象とはいえ、台風の目であったわけなのだから、さぁどんなふうにフーリエ変換を説明するのか?と聴講者が思うのは当然だと思う。

 フーリエ解析については別になんてことはない。ただ計算ができればよい。すなわち三角関数や指数関数を含む積分がきちんとできれば良いわけで、それは高校数学がきちんとマスターされていることに他ならない。実際のところ、ただそれだけなのである。まぁ確かに本当にそれだけか?と言われると、それを使って微分方程式が解けたり、展開の意味が理解できたり、総合力みたいなところは必要なのではあるのだが。
 偏微分方程式については、変数分離法が使えればまぁそれでよくて、あとは普通の微分方程式が解けますか?問題なので、復習の意味が強かったと思う。

 物理で使う数学として必要なことの項目をすべて列挙すると、「微分積分」「偏微分・重積分」「ベクトル解析」「微分方程式」「線形代数」「数理統計学」「ガウス積分」「複素関数」「フーリエ解析」「変分法」「偏微分方程式」「特殊関数」「グラフ理論」「群論」「多様体」「表現論」あたりだろうか。
 本会で扱わなかったのはグラフ理論から先に書いたものと、複素関数だ。まぁ後半は一般相対論や物性物理などで使うことが多いので各論だから良いとしても、複素関数は扱わなくて良かったのだろうか。でも、留数定理とかそんなに使うことないかなぁと思って、結局やっていない。出てきたら紹介しようと思っていたが、いまのところ出てきていない。いや、量子論は複素関数なのだから、とも思うが、その性質を最初に説明すればわざわざ物理数学でやらんくてもなぁと思ったり。
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熱力学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-03 00:24:21 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 熱力学_物理会

 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析を前提として、YouTube上で熱力学について21回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年10月17日から2023年4月26日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、熱力学 — 現代的な視点から - 田崎 晴明 (著)の第2-7章を教科書として使いました。
 他に参考としたのは、熱力学の基礎 第2版 I 熱力学の基本構造 - 清水 明 (著)

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 平衡状態、第二法則、Bornの熱力学的正方形を理解する。

【各回の概要】
 1. 高校の復習と方針
 気体分子運動論、第一法則、マイヤーの公式を確認。

 2. 偏微分
 熱力学でよく使う偏微分、全微分を確認。

 3. 偏微分続き、系の種類、示量示強
 等温操作と断熱操作について概略を説明。

 4. 熱機関、平衡状態
 熱機関の定義。平衡状態の説明、相加変数、示量変数、示強変数の定義。

 5. 平衡状態、操作、ケルビン
 等温操作の詳細な内容へ(3章)。ケルビンの原理を経験則として導入。

 6. ケルビンの原理続き、最大仕事
 エネルギー保存則を復習。最大仕事の原理を結果として紹介し、最大仕事の性質から示量性を確認。

 7. Helmholtz自由エネルギー、圧力
 最大仕事からHelmholtzの自由エネルギーを定義し、その性質を理解した。また最大仕事と体積変化との関係から圧力を記述。

 8. 断熱操作とエネルギー
 断熱操作の詳細な内容へ(4章)。系の種類も確認。

 9. 断熱続き、エネルギー
 エネルギー保存則の要請。断熱仕事から内部エネルギーを定義。

 10. エネ続き、理想気体例
 定積熱容量の定義。理想気体の例を確認。

 11. 熱導入、カルノー定理
 熱の導入(5章)。カルノーの定理を紹介。一部を証明。

 12. カルノーサイクル、カルノー定理証明
 カルノーサイクル紹介。カルノーの定理をこれまでの等温準静操作、断熱準静操作、ケルビンの原理から示した。

 13. 熱効率、クラウジウスの不等式
 熱機関の定義、クラウジウスの不等式を紹介。冷却効果について(清水本11章)

 14. 暖房、エントロピー導入
 暖房効果について。エントロピーの導入を行った(6章へ)。

 15. エントロピーと温度
 エントロピーの温度依存性について証明した。

 16. エントロピーと可逆性へ
 理想気体の例。Plankの原理からエントロピー増大則を説明。エントロピー原理。

 17. エントロピー原理、クラウジウス、ヘルムホルツへ
 エントロピー原理の証明。クラウジウス流のエントロピー。エントロピー増大則(最大仕事の原理)を導出。

 18. ルジャンドル変換
 ルジャンドル変換について詳しく説明(清水本の12章)。

 19. 三重点と完全な熱力学関数
 ルジャンドル変換の続き。三重点についての説明。多変数関数の凸性について。

 20. エントロピーの要請
 エントロピーの要請の説明(清水本3章)。エントロピーとエネルギーの凸性。

 21. 自由エネルギー、エンタルピー
 ルジャンドル変換による導出。化学ポテンシャルなど(7章) 

【総評・反省】
 熱力学を説明するかーとなったときに、「まぁフェルミとかでやる?なんやったらアトキンスとかでやる?」とも思ったんだけど、構成を考えてみると俺個人がつまらないなぁと思ってしまい、「俺がやるならやっぱり田崎本か清水本が良いか」と思って、「けど清水本だといきなりエントロピーの定義からだもんなぁ(ギブス流)、温度が天下り的に降ってくるほうが直観的には良いだろう。カルノーの定理やカルノーサイクルも詳しいほうが良いし」と思って田崎本をメインにした。熱機関やルジャンドル変換などはむしろ清水本のが分かりやすい(と俺は思っている)のでそちらを適宜使いつつ、最終的にエントロピーの要請を清水本から引っ張ってきたかたちになった。
 田崎本ならすげぇ分かりやすいだろう!と思ったが、「熱力学なのに熱がずっと出てこない」と思った聴講者は多かったらしく(ゆーて清水本でも7章なんだけどなぁ)、なかなか難しいところだ。

 やはり、熱力学をまっさらな状態からやるなら、いきなり田崎本ではきついのかしら?他の本でなんとなく熱力学を読んでから田崎本、清水本と論理を追えば良いと思うが、なかなか他にも専門がある人にはきついところがあるのかもしれない。だが「他の本でなんとなく」というのを、俺を通してみんなでやっても仕方ないと思うので、多少難しくても田崎本、清水本で講義されたほうが、結果的には有意義だと思っている(ホントは俺がつまらないだけな気もするけども笑)。

 終わってみて思うことだけど、相転移の項目を無視した場合、このやり方がある程度の厳密性を保ったままに最短なんじゃないかと思う。
 最後Bornの熱力学的正方形を紹介したときに「色々やったけど、この四角形にまとまっちゃうんですか。すげえ」とコメントをもらったのは嬉しかった(第二法則も忘れないでね)。まぁまた化学熱力学や復習をするにあたって、何が大事かの地図を持っていれば、この範囲で何をやっても迷うことは著しく少なくなるのではないかと思う。その意味で、一般的かどうかは別としても、ルジャンドル変換をきちっとやることは熱力学で重要だと思っている。
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線形代数_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-02 00:16:59 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 線形代数_物理会

 高校物理、高校数学、微分方程式を前提として、YouTube上で線形代数について3回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年8月31日から2022年9月14日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、行列入門 - 文部科学省を教科書として使いました。
 他に参考とさせていただいたのは、逆行列の求め方。例題と3つのステップから分かる逆行列計算のコツ - アタリマエ!うさぎでもわかる微分方程式 Part12 対角化を用いた連立微分方程式の解き方と指数行列(演習編)などです。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 物理で出てくる行列の基本的な計算できる状態になる。

【各回の概要】
 1. 行列定義、和と積、ブラケット
 上記についての基本的な確認、転置とエルミート共役についても定義した。

 2. 掃き出し法、行列式、逆行列
 計算できるようにすることが目的であるので、数学的な厳密さに立ち入らずに、演習を中心とした。

 3. 対角化と微分方程式
 固有値固有ベクトルと対角化。微分方程式との関係について理解する。

【総評・反省】
 線形代数って計算できるようにすれば良くね?という雑な信念のもと、3回しかやりませんでした。いやさすがにそれはまずいでしょ、と思わなくもないけど、意外とその先で困るところは少なかったです。
 量子力学をやるにあたって、重要なところだけに限れば、たった3回でなんとかなるのでは?と思っていたけれど、聴講者としては「いや無謀すぎる」とか思ったかしら。固有値・固有ベクトルと対角化や微分方程式との関係など、まずきちんと計算できることが重要で、そこを置き去りにして数学的な厳密さにこだわっても仕方ないのでは、と思ったりはする(物理をやる上ではね)。

 ただ、内積空間とかベクトル空間とかを一切やらないのは、またそれはそれでどうなんだろうかと思わなくもないけど…、ゆーて量子論で出てくるのは無限次元の複素ヒルベルト空間だし、そんなにそれらをやっているかどうかで理解度合いが変わらないと思うんだよなぁ。
 あと、逆行列の計算についても掃き出し法しかやっていないです。余因子行列や余因子展開もやっておらず、まぁでも計算できれば良いのではないだろうか、という信念のもと(一応、用語やなんとなくは紹介していますが)。必要になったら学べるだろうしなと。

 それよりも、対角化をするということは方程式を解くことに他ならないことを理解していることのほうが大事だと思うので、残していた連立微分方程式を解くことを最後に持ってきました。
 まぁ、もう一度やるなら、流石にもうちょっとちゃんとやるかなぁと思いつつ、、でも線形代数の演習教えるのって、一番面白くないなというのが感想です笑。
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電磁気学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-01 01:53:47 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析を前提として、YouTube上で電磁気学について18回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年6月15日から2022年12月15日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、Introduction to Electrodynamics - David J. Griffiths (著) 3rd. editionの第2章、第5章、第7章、第3章を教科書として使いました。リンク先は4th editionです。
 また日本語版はこちら
 他に参考としたのは、物理入門コース/演習 例解 電磁気学演習 (著者 長岡洋介, 丹慶勝市)詳解電磁気学演習 (著書 後藤 憲一、編集 山崎 修一郎)など。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 真空中のMaxwell方程式を理解する。

【各回の概要】
 1. 概要とか歴史
 イントロダクションとして簡単に歴史を追った。

 2. クーロンの法則
 2章から。クーロンの法則をベクトル解析の言葉で書いた。電場の導入と、連続の議論。

 3. クーロンの法則の練習
 クーロンの法則を利用して簡単な計算問題を解いた。球殻に一様に分布した電荷の電場はそれなりに計算が大変だが、演習もかねて行った。

 4. ガウスの法則の導入と練習
 ガウスの法則について、微分型・積分型の両方を導いた。

 5. Gaussの法則練習
 クーロンの法則では大変な計算もガウスの法則を使うととても簡単に使えることを理解する。

 6. curlE、電位
 Curl of Eでファラデーの電磁誘導の法則の特別な場合を理解。また、電位を導入した。

 7. 電荷→電位、静電エネルギー
 電位の計算を行い、静電エネルギーの導入を行った。

 8. 静電エネルギー、まとめ
 演習を行い、Griffithの2章のまとめをおこなった。

 9. ローレンツ力、電流
 5章へ。磁場の定義として、ローレンツ力、電流を導入した。

 10. 連続の式、ビオサバール
 電磁気だけでなく流体力学や量子論でも重要な連続の式を導入。クーロンの法則と対になることを意識しつつ、ビオサバールの法則を説明した。

 11. ビオサバール例、アンペールの法則
 アンペールの法則、微分型・積分型で導入。

 12. アンペールの法則応用
 ガウスの法則と同様に、磁場を簡単に計算できる手法としてアンペールの法則の演習を行った。

 13. ベクトルポテンシャル
 演習の続き、これまでの比較やまとめ。さらにベクトルポテンシャルを導入して、図示して解釈した。

 14. 磁場まとめ、多重極展開
 磁場のまとめおよび、3章の多重極展開について簡単に解説した。この考え方はその後にも非常に重要。

 15. オームの法則と線形応答
 7章に入り、オームの法則を説明した。
 線形応答についての説明は、清水明先生の講義ノートを参考にしました。

 16. EMF, motional EMF
 起電力を導入し、力学とのアナロジーを行った。

 17. Flux Rule, ファラデーの法則、誘導電場
 上記について導入し、Inducedな電場についてのMaxwell方程式をまとめ、演習した。

 18. Maxwell修正、電磁波、Lorentz変換
 アンペールの法則についてMaxwell修正を説明し、相対論の導入として、電磁波とローレンツ変換の基本を説明した。

【総評・反省】
 論理的に考えると「統計力学を理解するのに、そんなに電磁気学って必要かしら?」と思ったりもしたのだけど、直観的には「いや、めちゃめちゃ必要やろ」と思ったりして、大きい目的を見失いがちだったのが最大の反省かもしれない。
 やった後に思うこととしては、光が電磁波であることを理解する上では重要だし、三次元空間の計算に慣れるってのも結構大きなウェートを占めている重要なことだと思う。それらをなんとなくそれっぽく言うと、「古典物理学の柱としての電磁気学を理解することで、物理学的な考え方の基本を習得する」とか、そんな言い方になるんだろうけども。
 まぁあとGriffithを使うことで英語の物理の教科書に慣れるってのもあるんだけど、本当は俺が学部時代にGriffithが指定教科書で、読みまくっていたから片手間でもかなりちゃんと説明できるという理由も大きい笑。電磁気学を習ったあの頃は、ちょうど転学部した直後で1年前には受験では入れていないわけで(東京理科大学の理工学部物理学科→理学部第一部物理学科です)、胸を張って自信が持てなかった部分も大きい。それで指定された教科書が洋書であれば、ガチらないと留年もありえるのでは?と本気で思っていた。友達も少ない時期だったしね。そういう色々なことを思い出したのも、これをやってよかったことの一つだ。まだ学部時代の授業ログも残っていて、正直これもそこそこ観ました。

 19世紀に完成した電磁気学は、俺はなるべく歴史順にやったほうが良いと思っていて(研究のヒントにもなりやすいし)、Maxwell方程式→Coulomb、Bio-Savartのやり方よりも初学者には良いと思っている。まぁどーせ復習しないと分からないので、2週目はそっちでやれば良いのでは?という気持ちもあるが。
 真空中に限って説明したが、本当は物質中の電磁気学をやらないと、あまり実用性はない気もしていて、いつかそれはそれでやりたいなと思っているが、真空中と同じくらいの時間がかかるからなぁー、という感じ。Griffithの読み方として、(これも習ったそのままだが)2章「真空中の電場」→5章「真空中の磁場」→7章「まとめ」→3章「スペシャルテクニック」→4章「物質中の電場」→5章のベクトルポテンシャルの多重極展開、6章「物質中の磁場」→7章「まとめ」が良いと思う。これが最も理解しやすいし、早い。

 あと、やっぱ俺、電磁気学は好きなほうだなと思った。知っている範囲をお伝えするのは正直苦痛なところもあるが、ここに関しては、自分として新たな学びは殆どなかったが、素直に楽しかった。
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力学・解析力学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-01 01:25:33 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析を前提として、YouTube上で力学・解析力学について15回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年5月30日から2022年10月11日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、解析力学・量子論 第2版 (著者 須藤 靖)を教科書として使いました。
 他の参考文献として、岩波基礎物理シリーズ 力学・解析力学 (著者 阿部 龍蔵)詳解 物理応用数学演習 - 後藤 憲一 共編・ 山本 邦夫 共編・ 神吉 健 共編を用いた。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 Newton力学、Lagrange形式、Hamilton形式のそれぞれを理解する。

【各回の概要】
 1. 仕事とポテンシャル
 力学が適応される範囲について。仕事、ポテンシャルの導入。

 2. やりたいこと、仕事の定義とか
 前回の補足、仕事の続き

 3. 仕事続き、束縛条件
 仕事の演習の続き、質点系の自由度として束縛条件の説明を行った。仮想仕事の原理についても理解した。

 4. ラグランジュの未定乗数法、運動の三法則
 仮想仕事の原理についてラグランジュの未定乗数法を用いて、平衡点を求める演習を行う。
 運動の三法則をまとめて、ニュートン力学はここまで。

 5. ガリレイ変換、ラグランジュ方程式導入
 ニュートンの運動方程式を極座標で書き下し、運動方程式は極座標では煩雑な式になることを確認。
 デカルト座標系でラグランジュ方程式を導入した。

 6. ラグランジュ方程式導入
 ラグランジュ方程式の共変性について理解した。

 7. 保存則と角運動量
 ニュートン力学に戻り、各保存則についてまとめた。

 8. 角運動量演習、角運動量の一般化など
 角運動量保存則導入と演習。n個の質点系へと一般化を行った。

 9. 変分法
 最小作用の原理からラグランジュ方程式を導出するため、変分法を説明。この回は物理数学の範囲ではある。上記した数学演習の演習書を使用した。

 10. 変分法の練習
 変分法を使った練習問題を解いた。この回も物理数学の範囲である。上記した数学演習の演習書を使用した。

 11. 最小作用の原理、ニュートン力学導出
 変分法を用いて最小作用の原理からラグランジュ方程式を導出。第一法則や質量などNewton力学を導出した。

 12. 単振り子、エネルギー保存導出
 単振り子の例として、Newton力学とLagrange形式の2通りで説明。一般化運動量を定義し、エネルギー保存則を導出し、Hamiltonianを導入した。

 13. 各保存則、ネーターの定理
 対称性から各保存則を導出。それらを一般化するネーターの定理を紹介した。

 14. Hamilton形式の導入とLegendre変換
 正準方程式、Hamilton形式の導入。また、Legendre変換の説明を行った。(cf. 包絡線)

 15. Legendre変換続き、ポアソン括弧
 ポアソン括弧を導入し、これまでのまとめを行った。

【総評・反省】
 「力学?知ってるよ。早く解析力学やれよ」というのが、19歳大学1年生の私の一番最初の印象だった。
 最近は微積物理とか呼ぶらしいが、微分積分によってニュートン力学をやってしまおうというのが受験界隈では流行っているので、まぁじゃああんまりそこはやらなくても良いかと思って、ニュートン力学を最小限で説明し、すぐに解析力学の分野に入った。高校生の頃からやたらに微積を使って物理学をやるのは私は反対であると表明しているはずなのだが…、我ながらなんともご都合主義な予定の組み方である。
 本会においてニュートン力学で取り扱わなかった範囲として、回転座標系や慣性モーメントと剛体などかなり重要な部分を飛ばしてしまった。けれど正直、その後にはそんなに影響しなかったと思う。まぁ統計力学までやるにあたってはそんなに必要ないかとも思う。

 解析力学に入って、正直この辺りから、割と私が「最短で良いとは思いつつも、とはいえ俺が説明しているわけだから、ここはちょっと厳密にしないと」ということが増えた気がする。聴講者のレベルをもう少し考えて、n個の質点系にこだわらなくても良かった気もする。(が、個人的には良いまとめになったし、勉強になった部分もあった笑)

 量子力学をやるときに「え、ハミルトニアンってなんだよ」ってならなければそれで良い気もするが、とはいえ、その意味とか必要性とかを古典力学の範囲で知っていることは必要だと思うので、そこそこ詳しく説明したのだが、実際に量子力学に入ったときに「あー、正準変換説明してなかったわー」と何回か思ったのはちょっと反省点。
 この回、ずっと「ぶっちゃけこれだけできれば良いじゃん!」と「とはいえ、ここは詳しくやるか」のせめぎ合いなのだが、それが(最初だからか)一番きつかったのが力学・解析力学であったように思う。
コメント (8)
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微分方程式_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-05-30 02:52:39 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学を前提として、YouTube上で微分方程式について9回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年3月9日から2022年5月12日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 特に教科書は用いていませんが、以下を参考にしました。
 工業大学生ももやまのうさぎ塾
 力学・解析力学 (阿部 龍蔵著) 岩波書店 

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 物理学でよく出てくる微分方程式を解けるようにする。数学的な厳密性に立ち入らず、解けるべき微分方程式を解けることを目的とする。
 後半は振動論の基礎を理解することを目的とする。

【各回の概要】
 1. 一階の微分方程式-積分因子法とか
 微分方程式とはどんなものか導入。それが解けることのご利益を紹介。変数分離、積分因子法などを自在に使えるように。

 2. 一階の続き、定数変化法など
 一階の斉次の一般解。非斉次について定数変化法。特殊解と一般解。

 3. 一階の演習、ロジスティック方程式、一階まとめ
 一階の演習を行い。具体例としてロジスティック方程式を扱った。漸化式と微分方程式の類似性。

 4. 完全系と級数展開、オイラーの公式
 完全系や直交とはどのようなものか。マクローリン展開など。三角関数の再定義。

 5. マクローリン展開、双曲線関数、二階導入
 マクローリン展開続き。双曲線関数のグラフの概形。二階の微分方程式導入。

 6. 二階斉次証明、非斉次の解法と証明
 二階についても、非斉次の一般解=非斉次の特殊解+斉次の一般解が成り立つことを理解。

 7. 二階非斉次の具体例、単振動
 ここまでで微分方程式の具体的な解法は終了。単振動の具体例。相空間の紹介。

 8. 減衰振動
 減衰振動、過減衰、臨界減衰について。定性的にも理解する。

 9. 減衰振動エネルギー解釈、強制振動
 非斉次の二階の具体例について、強制振動を扱った。

【総評・反省】
 ぶっちゃけ「微分方程式解くとexpが付くんやろ」くらいに思ってくれたら最低限この先統計力学までやるにあたって定性的には困らないだろうと思う。非斉次微分方程式がそこまで出てくるか、といったら微妙であるし。しかし、頻度は低いにしてもこれくらいは解けてくれないと困ることという部分もあり、少しずつの積み重ねがその後の理解に大きく影響するものであるので、それなりには慎重に説明したつもりである。
 また基本的な微分方程式の解き方以上に、高校数学や高校物理をきちんと理解しているかの確認のほうが(裏テーマとして)重要かもしれない。漸化式が解ければ微分方程式を解くことの重要性は理解できるはずだし、積分計算や指数・対数、三角関数など、自在に扱えるかどうかのチェックとしても初歩的な微分方程式の解き方は有益だと思っている。
 マクローリン展開や双曲線関数など数学Ⅲのテーマとして実は深く関わっているものについて、もう少しじっくり説明しても良かったかなと思っている。
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ベクトル解析_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-05-30 02:28:36 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学を前提として、YouTube上でベクトル解析について12回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年3月7日から2022年6月8日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、Introduction to Electrodynamics - David J. Griffiths (著) 3rd. editionの第1章を教科書として使いました。リンク先は4th editionです。
 また日本語版はこちら

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 高校数学で学習する平面ベクトル・空間ベクトルを前提として、物理学で使用するベクトル解析の基本的な公式を理解する。
 3次元空間を記述するいくつかの座標系についての計算をまとめ、Diracのデルタ関数をについての計算に慣れる。

【各回の概要】
 1. 平面ベクトル、空間ベクトルの直線の式、平面の方程式
 導入。平面ベクトルの復習。特に斜交座標平面についての理解を深めることで、基底の概念を2次元で確認する。
 空間ベクトルにおいての直線の式を復習し、旧カリキュラムでは高校数学で扱っていた平面の方程式について自在に計算できるようにする。
 
 2. 平面の方程式の応用、ヘッセの公式、四面体の体積とか
 先週の続き。平面の方程式の応用。また、点と直線の方程式を一般化したヘッセの公式について理解する。
 四面体の体積についても

 3. 球面の方程式、ベクトル三重積
 球面の方程式までで高校の範囲は終了。これ以降からGriffithを用いて説明。unitベクトルの定義。ベクトル三重積の定義。
 
 4. 変位ベクトル、スカラー場、ベクトル場
 場の概念になれること。スカラー場、ベクトル場について代表的なものは絵が描けるようにする。

 5. Grad, div, curlとか
 ナブラ演算子による計算を導入。勾配、発散、回転それぞれの意味を理解する。花文字のrベクトルに慣れる。

 6. Product Rules
 ナブラ演算子による計算の続き。ラプラシアンの演算(gradient of divergenceとの違いに注意)。divergence of curlは常にゼロ。curl of curlの計算。

 7. 線積分、面積分
 ベクトル場の線積分および面積分。スカラー場の体積分。

 8. 体積分、gradと線積分の関係、ガウスの発散定理
 前回の続き。重積分や偏微分の計算を別でもっと演習やったほうが良いかも?と思った回。
 ガウスの発散定理紹介。

 9. ガウスの発散定理とストークスの定理
 ガウスの発散定理についての具体例。ストークスの定理の紹介、具体例。

 10. 座標系について
 デカルト直交座標についてのまとめ。円柱座標。球面座標。

 11. 座標系について続き
 球面座標への変換。円柱座標→球面座標など。

 12. 球面のナブラ演算、Diracのデルタ関数
 球面座標の微小変位。ナブラ演算子(円柱座標、球面座標)。デルタ関数の演算。

【総評・反省】
 数学は、立体感覚というか空間把握能力というか、なんとも具体的に定義できない量が重要であるという先入観がある。まぁそれが受験数学においては正しい部分はあるだろうし、この先のn次元を想像する基盤になっている部分もあるかもしれないが、三次元座標を与えられたときに頭の中で正確にイメージできなくともどうにか計算できるために、ベクトルの考え方が助けになるところはかなりあるだろうと思っている。ここを実感してもらうために平面の方程式を詳しく説明した。
 ベクトル解析の本格的な部分としては、スカラー場やベクトル場のイメージがきちんとついて、ガウスの発散定理とストークスの定理を使いこなせれば、電磁気学の理解に困ることはないだろうと思う。重積分や偏微分をもう少し詳しく説明するべきだったかなぁと思うが、それ以外についてはかなり詳しく説明したと思う。円柱座標や球面座標、Diracのデルタ関数などは、電磁気学以外でもとても大事であるので、ここも詳しく説明したつもりである。が、それが余分な混乱を招いているところもあったかもしれず、正直塩梅が難しいなと思う。
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