たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

好きなことを仕事にすることと詐欺と洗脳

2024-07-11 02:39:27 | Weblog
 好きなことを極めても稼げるとは限らない、というのはよく言われることである。
 別に稼げなくても良いんだ、好きなことをやり続けていけて、それで普通の生活ができればそれで良いんだ。と学生時代は思っていた。そう、ちょうどこのブログを書き始めた頃は、きっとそう思っていた。
 好きなことで普通に生活することが非常に難しいことに気が付くことは、実はそれこそが、大人になるということなのかもしれない。

 思い返してみれば、俺は、小学校の頃は音楽で生きていきたいと思っていた。ピアノを弾けば褒めてくれるし、きっと音大に行くだろうと思っていた。いや、まだこれから行くかもしれないから笑、そうじゃなかったという書き方をすべきでもない気もするが、少なくともここまでの人生ではそうはなっていない。
 習っていたピアノ教室が閉まってしまい、ピアノを練習しなくなり、それとほぼ同時に中学受験にむけて塾に通うようになった。地元の公立小学校にはピアノが弾けるのは俺ともう一人くらいだったが、偏差値がそこそこの学校に行けば、ピアノ弾ける人なんてざらにいることに気が付く。そして、俺よりも全然うまい。
 勉強もして、音楽もやればいいじゃないか。研究しながら音楽するような大人になりたい。そう思っていたが、研究も音楽も両方できる人もざらにいる。そんな甘い発想では生きていけない。

 大学時代にアカペラやバンドをやっていたときにも、面白いことはたくさんあった。そこに色々な気持ちが抱くこともたくさんあった。音楽側にハマりまくることだってできたはずだ。
 しかし、大学で自然科学を軸に仕事をする人と、音楽を軸に仕事をする人の質の違いは、嫌でも感じ取る。無形のものを生業にしている以上、そこには誤魔化しや、時に暴力さえも垣間見える。自然と、音楽をやらなくなっていった。

 三つ子の魂百までとは能く言ったもんで、とはいっても俺は俺が面白いと思うもののランクは変わっていない。今も昔も、自然科学なんかよりも音楽のほうが好きだ。寝食を忘れてできるのは、間違いなく音楽だと思う。
 音楽よりは現実的でしょ?と思って取ったはずの物理学。その物理学のなかでも俺が一番好きなのは理論物理である。これも音楽ほどではないが、寝食を忘れて考え込むことができる。どこかの政治家がどうのこうのという話題を考え込むことは殆どないが、「エントロピーとは何か」と疑問に思ってしまえば、あらゆる本をひっくり返して、自分で計算して、論理展開を喩えてみたりして、と睡眠時間を削ってでも追及したくなってしまう。そりゃ音楽よりはそういうことを軸に生きるほうが生きていける確率は高いが、理論物理で生きていくっていうのは、生存確率はオーダーとしては音楽とあまり変わらないかもしれない。
 実は、実験なんて嫌いではないけどそんなにはやりたいわけでもないし、曖昧な論理展開を強いられる生物学はあまり好きじゃない。生き物そのものがそんなに好きなわけでもないし、動物や植物の名前をたくさん憶えているわけでもない。

 だとすると高校の教科っぽく書いてしまえば、俺の中では、音楽>物理学>生物学、となるわけである。
 だが、医療分野で実験研究をする今の仕事はすこぶる楽しい。生命現象やそれに纏わる医療の研究をする中で、物理学の視点から測定したり、考察したり、解析したり、それはとても有意義なことだ。それはどうしてかといえば答えは非常に簡単で、自分ができることをきちんとやっていれば、心から感謝してくれる人がいるからである。

 3年くらい前にピアノでクラッシックを弾くことを復活した。俺は今、ショパンのノクターン(Op9-2)を練習している。練習し始めて半年くらい経っただろう。まだ満足に弾けない。俺がこれを納得いくように弾けるようになっても、そんなものを弾ける人はごまんといるだろう。誰にも喜ばれないどころか、弾けば「うるさい」と言われる。
 しかし、物理会で、統計力学の基本を講義していれば、参加してくれた人には喜ばれる。量子力学の基本や熱力学の基本をきちんと抑えて、あのくらいのレベルで統計力学を説明できる人だって、それなりに多くいるだろう。この国に数百人から千人の間くらいでいるだろうと思う。物理会はお金を取ろうと思えば取れたとは思うが、俺は取りたくない。それは、プロではないという意識があるからだ。めちゃめちゃ好きであって、めちゃくちゃこだわりがあるとはいえ、本業の片手間でやっていることに対して資本を入れることは失礼であると思う。それに、俺はいま理論物理を研究しているわけではない。「伝える」ということを仕事にしたくはないのだ。
 しかししかし、この物理学の下地を医療に使うと、オリジナリティのある研究になる。喜んでくれる人も増えるし、そこに初めてプロとしてお金をもらって良いと、自他ともに納得できる状態になる。

 Twitterを開けば、たくさんの「物理学徒」がいて、戯論を繰り広げている。
 おそらく、そのうちの9割がブランディングとして物理学徒ムーヴをやっている。それじゃあ生きてはいけないのは当たり前として、多くはただの時間の無駄だろうと思う。
 ガチで物理を知りたい1割の人のうち、物理学徒にウケるための物理学の研究をしている人が95%くらいだろうと思う。それは物理学に興味のない人からすれば、非常にどうでも良い内容を一生懸命に日々計算したり議論したりしている。残念なことに毎年物理学徒は入ってくるので、その新人に自分の(ある意味で使い古した)論理展開を営業するのは、赤子の手をひねるようなものである。そんなもの最初からは必要ないよ、という論理展開をさも重要なことのように魅せることは極簡単な"生き残り方"である。詐欺か?と思うかもしれないが、そこまではいかない。ちょうど、音大を出た人が楽器屋に就職して、友達や親戚のピアノをやり始めようとしている(どーせすぐにやめてしまうであろう)子供に、やや高めのピアノを売ろうとしているのと同じくらいの、ささやかな不道徳行為だ。
 でもさ、そんなことをするために、研究や自然科学や理論物理を志したのだっけ?

 その世界に入らないと価値に気が付けないことは沢山あるし、そっち側に世界が広がっていることはかなり理解しているつもりではある。確かに物理会でもそういった部分を多分に使っているので、個人的にはとても感謝している。
 一般人だけが研究を評価すれば、それはスピリチュアルか似非科学になってしまうのがオチだし、専門家同士で評価することの正当性はそれなりにあるのだ。

 だとしたら、まずは安心感(A)のある組織に所属することが重要になる。音楽をやりたいなら、吹奏楽部で有名な高校に入ることも良いだろう。研究だったら東大に入ろう。
 その世界の中に入れば、きっと、色々なタイプの"天才"と出会うことができて、あなたはアッと驚く(O)はずである。
 その天才たちを率いている権威があって、その権威を掌握している人は"先生"と呼ばれているだろう。その先生と、なかなかお近づきになれなくて、嫉妬(S)することもあるかもしれない。
 気が付くと、その世界から逃げることができない状態になっているかな。外界は邪悪だから関わってはいけないなどと嘯いて、囲い込み(K)に合う。

 AOSKと巧妙に洗脳の手順を踏まされることになるとき、気が付かないうちに外界の人たちを搾取することになる。好きなことで生きていくために、その世界の中でマニアックになることは必要なのだが、それと同時に自分が激しい洗脳にあっていて、結果的に詐欺行為に加担することになってしまうことは、実は社会ではよくあることなのである。

 それでも自分は、とにかく物理学者でありたい、とにかく音楽家でありたいと、言い聞かせて頑張ってしまうとき、周囲のまともな人から離れていってしまう。
 そして、周囲には、詐欺師に限りなく近い人物しか残らなくなる。どんな素晴らしい言葉を持っていても、どんなに栄光を手にしていたとしても、誰かから感謝されない仕事をするべきではないはずだ。

 「好きなことをしよう」「やりたいことをしよう」
 シンプルにこうでありたい。だからこそ、長く生きられるようになったらいいなを目指して研究をしているし、本当にそうなったら良いと思っている。

 ただ、一度立ち止まって、定義からきちんと考えてみるべきなのである。

 好きとは何か?
 それは本当にあなたがやりたいことなのか?
 自分がやりたいことってそもそも認識できるものなのか?
 認識できているものだとして、どれくらい普遍なのか?
 実は、引っ込みがつかなくなっちゃっているだけじゃないのか?
 あなたの仕事で本当に相手は喜んでくれているのか?

 これらに秒で答えられないのであれば、資本家から言われたこと、上司から言われたことをただひたすらにやっているほうが、遥かに良いと思う。それがどうでもいいことのように思えても、誰かに感謝される確率は高い。それを実感できれば、「やりたいこと」は見つかっていく。
 「やりたいこと」を先に決めちゃっているだけのことに「研究者」などの何かの名前をつけて、それに固執してしまう原因は、あなた自身が誰かや組織に洗脳されているからなんじゃないかしら?

 そう、たいていの肩書なんて大したものではないし、尊敬にも値しない。
 街に出れば、言われたままに商品を売ったり、色々なものを流れ作業のように作っている人たち、満員電車に乗り込む普通のサラリーマンがたくさんいるだろう。その人たちのほうが、「生物物理が専門で医療分野で研究してるぜ。専門家に物理とか教えちゃってるぜ。ちゃんと博士号も持っているよ!っま、音楽もできるけどな!」と高らかに自称したがる俺のような大人なんかよりも、よほどに尊敬できる確率が高いことは、もっと若い子たちに知られても良いことだと思う。
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統計力学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-22 01:41:22 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 統計力学_物理会

 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析、線形代数、物理数学、力学・解析力学、電磁気学、量子力学、熱力学、数理統計学を前提として、YouTube上で統計力学について22回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2023年11月29日から2024年6月21日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、熱力学・統計力学 熱をめぐる諸相 - 高橋和孝 (著)を教科書として使いました。
 適宜、統計力学 (1), (2) - 田崎 晴明 (著)、大学演習 熱学・統計力学〔修訂版〕 - 久保 亮五 (著, 編集)統計力学 (岩波基礎物理シリーズ 7) - 長岡 洋介 (著)非平衡統計力学―ゆらぎの熱力学から情報熱力学まで― - 沙川 貴大(著)などを使用しました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します) -
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、グランドカノニカル分布を理解し、それぞれを具体的な系へと適応できる。

【各回の概要】

 1. やりたいこと、教科書など
 概略の説明。平衡系と非平衡系の違い。古典統計と量子統計の違いなど。

 2. 量子論からエネルギー固有値を求める
 量子論の復習。3次元、N個への拡張。

 3. 数学公式、状態数
 スターリングの公式。超球の体積。状態数の導入。

 4. 状態数の計算、理想気体
 状態数を計算することで、それが理想気体のエントロピーと近しいことの確認。ボルツマン公式へ。

 5. ゴム弾性
 ミクロカノニカル分布を前提として、状態数を数えることでボルツマン公式を用いて、ゴム弾性を理解。フックの公式を導出。

 6. 調和振動子型
 ボルツマン公式を用いて調和振動子型ポテンシャルに閉じ込めれた気体についてエントロピーを求める。

 7. 2準位系、Schottky比熱
 前回、前々回同様に、2準位系について。

 8. 磁性体、等重率の原理など
 2準位系の応用として磁性体の例を紹介。ミクロカノニカルの基本として等重率の原理を説明。

 9. 等重率続き、エルゴード
 エルゴード仮説の紹介。

 10. カノニカル分布導入
 熱源に接している系としてカノニカル分布の導入。

 11. 分配関数と熱力学量
 分配関数から熱力学量を求める公式の導出。

 12. カノニカル分布の基本的な例
 ミクロカノニカル分布で紹介した、調和振動子型ポテンシャル、2準位系についてカノニカル分布でも確認。

 13. 例続き、熱容量と揺動散逸定理
 理想気体について分配関数から熱力学量を求める。熱容量から揺動散逸定理の1例をみた。

 14. 古典統計力学導入
 理想気体のエントロピーについて確認することで量子統計の必要性を説いた。また、古典統計での考え方の導入を行った。

 15. 古典極限へ
 ハイゼンベルグの不確定性原理の導出。分配関数を古典統計で。

 16. 情報理論導入
 シャノン情報量、条件付きシャノン情報量の導入。

 17. 相互情報量
 相互情報量の導入。二値対称通信路を紹介。ガウス型通信路を導入し、S/N比を導出。

 18. KL情報量、非平衡エントロピー
 KL情報量導入。カノニカル分布のとき、シャノン情報量が熱力学エントロピーと等しいことを証明。また、エネルギー一定のとき、シャノン情報量が最大になるときにカノニカル分布であることを示す。

 19. 化学ポテンシャル、グランドカノニカル分布
 熱力学の復習として化学ポテンシャルを説明。熱浴と粒子浴に接する系としてグランドカノニカル分布を導入。

 20. 粒子数の平均値と分散、同種粒子など
 大分配関数と分配関数の関係。また粒子数の平均値を導出。量子論の文脈で同種粒子を考えることで、フェルミオンとボソンについて説明。

 21. スレーター行列式、フェルミ分布・ボース分布導出
 パウリの排他率を示す。スレーター行列式の導入。粒子数の平均値の式より、フェルミ分布およびボース分布を導出した。

 22. フェルミ縮退、ボース凝縮
 フェルミ縮退とボース凝縮について、定性的に説明。それらの背景にある理論として場の量子論を紹介。低温物理の分野を紹介。

【総評・反省】
 「統計力学やると価値観変わるぜ!」と思っていたのだけど、まぁそれは確かにそうなのだけれども、なんかちゃんと勉強して伝えれば伝えるほど「平衡系が偶然上手く行っちゃっただけなんじゃないか」「この考え方を非平衡や他のことにも応用しまくれるぜと思いすぎるのもどうだろうか」と思ったりもした。
 守破離でいくと、俺は離のところに差しかかったのだろうか。それとも単純に理解が足りないのだろうか。どちらにせよ、非平衡系(ゆらぐ系の熱力学など)の理解を進めることは引き続き進めていきたいとは思っている。

 平衡系の統計力学をやる前提として熱力学と量子力学の理解は必須であるが、統計力学をやりながらも、これら2つにも戻って復習できると良いと思う。それぞれの論理展開はお互いに助け合って成り立っているわけで、だとしたら勉強も同時進行が一番上手く行くのでは?(そうとは言い切れないか笑)

 ミクロからマクロへの精緻な論理体系として統計力学はかなり良くできている。統計力学こそが、枚挙主義・還元主義から脱却できる価値観をもたらしてくれる、点と点をものすごくちゃんと結んでくれる、いわば「線の学問体系」なのだが、改めてここまでたどり着くまでの道のりの大変さをつくづく実感した。ここまでくるのに2年半。物理会すべてだと154回かかっている。ということは154時間。まぁだいたい時間オーバーしているので丸7日くらいかな?寝食忘れトイレも行かなければ、たった1週間で終わるわけです。(そんなわけあるか)
 うん、でも「生命とは何か」「細胞を創る」とかやりたいなら、たったこれだけの時間で済むわけで、あーゆー人たちは普段からもっと偉そうなこと言ってるわけで、「これくらいさらっとやれよ」と思わなくもないのだけど笑、かなりきついのはきついよなぁ。そりゃ他の分野の人と話が合うわけないよな、と思わなくもない。

 統計力学の定性的な理解というか、なんとなくこんなことやっているんだぁというのだけで良いなら、そりゃもっと短く伝えることはできるだろう。
 しかし、それでは、まったくもって意味がない。国語でも英語でも「要約せよ」という問題ほど悪問はない。著者は伝える上で必要だから書いているのである。過不足などない。それを「だいたい伝えてよ」というのは傲慢すぎるのではないか。そんなことできるわけがないのである。

 さて実際はどうだったか、というところであるが、ここまでくると聴講者も超やる気のある人しか残っていないので、物理会をやっていて一番やりやすかったというのが素直な感想です。
 流れとして、とにかくボルツマン公式を信じて、ほらフックの公式も証明できるじゃん、それって何が保証してくれているの?、でも状態数を数えるのだるくない?分配関数のが良くない?、このカノニカル分布ってどれくらい本質的なのか情報理論から考えようぜ、低温のときはもっとやばいこと起こるよ、みたいな順なのですが、かなり俺っぽいというか笑。ただ、具体的に分配関数使う例とかをあまり扱わなかったのと、量子統計がたった4回でまとめてしまったので定性的な部分が強くなってしまったかなとも思う(でも統計力学のエッセンス的なところはきちんとした)。この辺り、物性論会とかやっても良いかもしれないなと思っている。

 この会の名付けから、どうしても統計力学をやるためにずっとやってきたんだ!って思いがちだったが、淡々と必要なこと・役に立つことを伝えるようにしたつもりである。そのうえで何かの参考になればとても嬉しい。

 俺が知っている学部レベルの物理学はだいたいすべてウェブ上に残したので(まぁ実は残した分野はいくつかあるのだが)、これで「物理教えて」と言われたら(これを言ってくるのはバイオ系と化学系がほとんどなのでこれで事足りる)、「これ見て」と言って渡せるものができた。もう俺がいちいち物理を教える必要もなく、教科書を紹介する必要もなく、黙って自分のYouTubeと板書ノートを送れば良い。
 というか、あなたは、俺についそう言ってしまって今このページを観ているのではないだろうか。これ以上の最短経路は俺は思いつかないので、約2年、寝食を忘れるなら1週間を費やせない人は、気軽にそんなこと言わないように。そんな簡単には習得できないからね。物理学から身に着けている俺の思考力を、あんまり舐めんじゃねーぞ?笑
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数理統計学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-06 02:51:18 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 数理統計学_物理会

 高校物理、高校数学を前提として、YouTube上で数理統計学について23回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2023年5月8日から2023年12月26日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、入門・演習数理統計 - 野田 一雄 (著), 宮岡 悦良 (著)を教科書として使いました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します) -
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 確率論および確率変数の基本、いくつかの代表的な分布について理解する。

【各回の概要】
 1. 集合論の基本
 高校数学の復習。集合論のまとめ。標本空間や標本点などの定義。

 2. 確率の公理
 確率の公理として3つを紹介。加法定理など。

 3. 条件付き確率、独立性
 上記についての定義や性質、演習。

 4. 独立性続き、全確率の定理
 全確率の定理の証明。

 5. 全確率の定理続き、ベイズの定理
 全確率の定理の演習、ベイズの定理証明と演習(3囚人のジレンマなど)。

 6. 確率変数と分布関数
 確率変数の範囲へ。確率変数、分布関数の定義。

 7. 分布関数
 分布関数の演習。

 8. 確率密度関数
 離散型の確率関数、連続型の確率密度関数。

 9. 確率密度関数の具体例、多次元
 演習。多次元確率分布への拡張。

 10. 多次元続き、周辺確率密度関数
 結合確率密度関数。周辺分布関数などの定義。その具体例。

 11. 条件付き確率密度関数具体例、独立性
 上記についての演習。

 12. n次元確率密度関数、平均と分散へ
 n次元への拡張。平均と分散の導入(離散型および連続型)。

 13. 平均、分散
 平均や分散の基本公式。平均についてn次元への拡張。

 14. 分散続き
 演習続き。分散についてn次元拡張。

 15. 中央値、演習、積率
 メジアンの定義、演習。積率の定義。

 16. 積率母関数、チェビシェフの不等式
 離散型、連続型のそれぞれについて積率母関数の定義。またチェビシェフの不等式(統計力学田崎本より)。

 17. 共分散
 共分散の定義、性質。シュワルツの不等式の証明。

 18. 共分散続き、条件付き期待値
 共分散演習。n次元への拡張。離散型、連続型について条件付き期待値の定義など。

 19. 条件付き期待値続き、線形回帰
 性質や具体例。線形回帰の例。

 20. MSE、ベルヌーイ分布、二項分布
 平均二乗誤差の定義、性質。また、有名な分布の章へ。ベルヌーイ分布と二項分布の確率関数および積率母関数。

 21. 二項分布性質、具体例
 上記について。また(弱)大数の法則の一例を紹介。

 22. 二項分布具体例、ポアソン分布
 超幾何分布紹介。ポアソン分布の確率関数および積率母関数。

 23. ポアソン過程、正規分布
 ポアソン分布の性質。ポアソン過程の紹介と例。多項分布、正規分布をまとめた。

【総評・反省】
 理系で誤差解析を行わない学部学科は殆どないため(数学科や情報学科くらい?)、このくらいの数理統計学の基本は理系はみんな知らないといけないはずだが、意外と抜けている人が多い。「意外と多い」と書くと、そこまで多くはないニュアンスを持たれるかもしれないが、普通にマジョリティーでびっくりする。
 たとえば条件付き期待値を知らないで、一体全体どーやって線形回帰とかやってるんだ?と思うけれど、昨今はエクセルでちょちょいのちょいっとやってくれちゃうわけで、中身を何も理解しないでも使えてしまうわけだから困ったものである。まぁこのあたりをどこまできちんとやるか?厳密にやるか?という部分はあって、マッチの原理を事細かに知り実際に自分で作ったこともないのに「火」なんて高等技術を使っておって、まったく最近の現代人は、と原始時代の人は思うのかもしれないだが…、いくらなんでも研究者が数理統計(しかもこの程度の)を知らないのは流石にまずいんじゃないか、と思わなくもない。研究者が、と書いたが、あなたが将来、品質保証部や品質管理部、生産技術部などに所属するのであっても絶対に必要なはずだし、ゆーてそこまで難しくないやろ、と思っている。
 現実にこのレベルを理解している理系が少ないというのはとてつもない大問題で、企業の不正や倫理観の欠如が公になるとき、そこには必ず数理統計学の無理解があると言って良い。「今まで事故が起きていないのだからこれからも大丈夫なはずだ」などと平然と言う経営陣に心から疑問を持ち、事故を避けさせるように仕向け、最悪の場合に備えて責任を逃れたいなら、ちゃんと基本から数理統計学を学んでいなければならないが、昨今は結果(っぽい何かをとにかく出す)主義が横行しており学部3年生で研究らしき作業をしている人も多く(数理統計をまともに知らない者が研究などできるわけがないが)、驚くばかりである。

 聴講者も「途中からは難しくなった」と思った人もそれなりには多かったようだ。
 量子論に比べればついてこれている印象はあったが、全確率の定理あたりで「うん?高校の範囲超え始めたぞ?」となり、ベイズの定理の3囚人の問題で「私は信じないぞ!」となり、確率変数のあたりから何をやっているのかが現実と乖離し始めてしまう人が多かった。自分が行っている実験や計測と見比べて、どのようなことを指しているのかが分かれば、数理統計ほど勉強し甲斐のある範囲もないのだが、統計の勉強というのは意外とやりにくいのかもしれない。

 この会は「統計力学のために」と銘打っており、統計力学の範囲として必要なことを述べる目的が大きかったが、本来理系が最低限持っておいて欲しい数理統計と誤差解析の知識として、この会で扱ったもの以外には、標本分布、推定、仮説検定、さらに誤差解析の基本的な演習をしておく必要がある。
 統計力学をやる上では、まぁ確率密度関数がきちんと分かっていればそれで良い気もするのだが(それがみんなにとってそこそこハードル高いわけよね…)。

 他の科目に比べて厳しめなのは、理系として特に必須の範囲だからである。
 なので、この会でも演習の時間をかなり取った。他の科目だと、演習はやっておいてね、まぁ最悪やらんでも良いけど、ガチで理解したいならこの計算はいつかやっておいたほうが良いよ的な感じで進めたが、数理統計に関しては、その場で時間をとって聴講者に演習をしてもらい、できた人から答えを言っていくようなやり方をとった。これは特にめちゃくちゃ必須だからである。
 会全体を通して思うのは、大学との一番の違いは(聴講者にとっては)「試験がないこと」である。試験は定着に一役買っており、大きい復習の機会として重要であることを認識した。そのことに気が付き始めたのが数理統計をやり始めたときなので、その場で演習してもらうことを意識した。

 機会があれば、統計力学を意識せずに数理統計と誤差論の会をやっても良いかもしれないと思っている。
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量子力学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-05 01:04:41 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 量子力学_物理会

 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析、力学・解析力学、電磁気学、線形代数、物理数学を前提として、YouTube上で量子力学について25回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2023年2月20日から2023年11月14日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、基礎量子力学 (KS物理専門書) - 猪木 慶治 (著), 川合 光 (著)を教科書として使いました。
 他に参考とした本は、量子論の基礎: その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ 別巻2) - 清水 明 (著)詳解理論応用量子力学演習- 後藤 憲一 (編集), 西山 敏之 (編集), 山本 邦夫 (編集), 望月 和子 (編集), 神吉 健 (編集), 興地 斐男 (編集)量子力学 (上) (物理学叢書 2) - シッフ (著), 井上 健 (翻訳)、また東京大学の上田正仁先生の量子力学II講義ノートなどを参考にしました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します) -
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 シュレディンガー方程式を用いてエネルギー固有値・固有状態が計算できるようになる。
 ブラケットの表記に慣れ、スピン自由度について理解する。

【各回の概要】
 1. ダブルスリット、導入
 ダブルスリットなどの例を用いて量子論の必要性についての導入を行った。古典論と量子論の違いについて天下り的に紹介。
 
 2. ドブロイ波、複素数、波束と確率密度
 ドブロイ波の意味、複素数に関してのまとめ、波束と確率密度に関する解釈についてまとめた。

 3. ハミルトニアン、演算子、期待値
 ハミルトニアンを量子化の手続きとして記述。演算子や期待値の意味など。

 4. ポアソン括弧、古典極限とか
 ポアソン括弧の復習、交換子、エーレンフェストの定理の紹介。

 5. 古典極限続き、不確定性原理
 エーレンフェストの定理の証明、平面波より不確定性原理の導出
 
 6. 不確定性続き、具体例、束縛問題
 不確定性原理の続き、束縛問題における具体例を紹介。

 7. 無限井戸型ポテンシャル
 1次元の束縛状態。定常状態。無限井戸を解く。

 8. 有限井戸型ポテンシャル
 前回に引き続き、有限井戸を解く。
 
 9. 調和振動子、エルミート多項式
 束縛問題の続き。調和振動子へ。エルミート多項式の各々の公式についてのまとめ。
 
 10. エルミート多項式続き
 エルミート多項式の続き。エルミート演算子。生成消滅演算子など。
 
 11. エルミート多項式から生成消滅演算子
 上記についての計算。

 12. 連続の式、透過率と反射率
 連続の式の導出。束縛問題を離れ、透過率、反射率の問題へ。

 13. 透過反射続き、トンネル効果
 前回の続き。トンネル効果紹介。
 
 14. トンネル効果続き、3次元へ
 中心力場のシュレディンガー方程式。球面座標によるシュレディンガー方程式。
 
 15. 球面調和関数
 θ成分についてルジャンドルの微分方程式に帰着するところまで。
 
 16. 球面調和関数続き、ルジャンドル多項式
 ルジャンドルの陪関数。球面調和関数の導出まで。

 17. 角運動量演算子
 角運動量演算子の種々の性質。その固有値問題。

 18. 動径方向
 中心力場のシュレディンガー方程式の動径方向について。

 19. 二体問題、水素原子
 二体問題についての確認。水素原子の具体例。

 20. 水素原子続き
 水素原子続き。
 
 21. 量子力学体系、線形代数とヒルベルト空間
 量子論の構築についてヒルベルト空間を紹介。ブラケット導入

 22. ブラケット続き、物理量、時間発展
 量子論の基本的な公理について。

 23. ユニタリー、ハイゼンベルグの運動方程式
 ユニタリー変換とユニタリー演算子について。ハイゼンベルグ描像について。

 24. ハイゼンベルグの運動方程式、軌道をブラケットで
 ハイゼンベルグの運動方程式導出。シュレディンガー描像との比較。同時固有状態など。
 
 25. 角運動量演算子、スピン
 角運動量演算子についておさらい。スピンについての紹介

【総評・反省】
 「なるべくオーソドックスに統計力学をやる上で必要なことだけを最低限話すようにしよう」
 「深入りせずに最低限で良いんだ」
 と何度も唱えながら計画を立てたり、その日やることを決めたり、方針を決定していったはずなのだが、どんどんボリューミーになってしまった気がする。「ぶっちゃけ天下り的に与えられたシュレディンガー方程式で無限井戸が計算できればそれでいいんじゃないか」と思いながらも、すぐに「まぁでもこれくらいはやらないと」が追いかけてくる。終わってみて、この辺りはもう少しだけ深堀した内容をお伝えしたかったかも?と思ったりする箇所もあるけど、聴講者はそこそこに消化不良を起こし気味だったので(ここでドロップアウトした人も多かった)、まぁこんなもんで良いのではないかと思う。

 物理学科の学部教育では、量子力学は理論研以外の先生が受け持つことは少ない気がする。というか実験の先生で量子力学を受け持っているケースは(あるんだろうけど)聴いたことがない。それは実はとても良くないことかもしれなくて、論理展開だけが物理ではないし、聴講者のうち圧倒的大多数は将来理論屋にはならないわけで、でも実験研究を進捗させるうえで量子論の考え方が不必要かというとそんなことはないわけだから、理論研じゃない人間が最低限これは必要だろと思うところをまとめるということにはそれなりに価値はあるのかもしれない。
 実験が!というわりには、お前、摂動論も変分法も散乱問題も扱ってねーじゃねーか、というのはその通りで笑、まぁでもこの会は統計力学やるのが目的だったから許して♡正直、もう少し時間をかけてこういうところをやっても良いかなぁと思ってはいるけど、とりあえず統計力学まで終わってからかな、と思う。

 少なくともスピン導入までの量子力学で、俺がやったこの順番が一番オーソドックスかなぁと思っているのですが、どうだろうか。
 昨今Twitterで見られるような、公理系から紹介してく量子論や、量子情報から始める感じとかは、一部のマニア以外はわけわからんじぇ状態になるようなやり方だと思っているので(2週目以降なら良いんだけどね)、前提知識(解析力学、物理数学あたり)までをマスターできた人が聴いたときに、きちんと手を動かして復習すれば8割の人がちゃんと理解できるくらいのやり方をもう少しネットで崇めるべきだと思っているのよね。量子力学の基礎理解に解析力学は要らない!とかいう人までいるけど、はいはい君はすごいでちゅね、いやもうそういうの良いから!以外の感想がない。
 物理の人、とかくそういう「自分は本質的だから、最初から本質的なやり方のほうが理解できる。自分は!」みたいなテイスト出してくるので、うざがられるんですよ?それが量子力学や量子論だと色濃く出やすいよなぁ。

 物理屋が観ると「簡単じゃん。当たり前のことしか言ってないじゃん」
 まだやっていない人が勉強すると「これやべぇ難しいって」

 となるのが(量子力学のカリキュラムとして)ベストだと思っているのですが、ほんと、どうだったろうか。(→聴講者の皆さん)
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物理数学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-04 02:49:57 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
 Google drive 物理数学_物理会

 高校物理、高校数学、微分方程式を前提として、YouTube上で熱力学について6回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年12月19日から2023年2月8日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、詳解 物理応用数学演習 - 後藤 憲一 共編・ 山本 邦夫 共編・ 神吉 健 共編を教科書として使いました。また、波動関数に関しては、福岡大学理学部の岩山隆寛先生のこちらの資料も参考にしました。

 こちらのファイルに関する質問や指摘、コメントに関しては、実名による投稿のみ受け付けております。(匿名の場合はコメントを削除します)
 メール(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)やTwitterのDM(@KayT0309)については匿名でも構いませんが、必ずしも返信するとは限りませんのでご了承ください。

【目標】
 フーリエ解析、基本的な偏微分方程式について計算ができるようになる。

【各回の概要】
 1. フーリエ級数、直交性、練習
 フーリエ級数とそのsetの直交性について。また、具体的にいくつかの関数についてフーリエ級数展開を行い、グラフで比較した。

 2. 練習続き、Parseval等式
 練習の続きとParseval等式の導出

 3. 指数表示、フーリエ変換導入
 フーリエ級数展開を指数型に書き換え。フーリエ変換の導入。

 4. フーリエ変換例、デルタ関数、強制振動
 フーリエ変換の演習、デルタ関数のフーリエ積分表示、また強制振動をフーリエ変換で解くことを紹介した。

 5. 波動方程式
 波動方程式について、ダランベール解を導出。その後、変数分離法を使用。

 6. 波動方程式続き、熱伝導方程式
 変数分離法の続き。ダランベール解との比較。熱伝導方程式も変数分離で解く。

【総評・反省】
 「フーリエ変換ができないと理系じゃない」と直接言ってはいないのだが、割とこのTweetで俺のことを知った人も多いのではないだろうか。
 そういう意味のことを言っただろう?と言われると「うーん微妙じゃない?」と思うが、まぁ「船降りろ」「不倫は文化」「せやかて工藤」など大体のことは本当は言ってはいないので仕方がない。「どの分野であれ、一つでもできなかったら理系じゃない」リストを観てもらえば分かるけど、「フーリエ変換以外の事柄もこれらができなければ理系じゃない」「できたからといって理系とは限らない」わけで、まぁ理系なら最低限これくらいはできろよって意味だったのだが、なぜかフーリエ変換だけが独り歩きして怒っている人が多かった。なかには「そんなことできなくても、とにかく論文を書けば良いんだ」とバカげたことを言っている自称プロ研究者も何人かいた。
 これは、多くの人が「フーリエ変換ってよく聞くけど、よくわかっていない」ということの裏返しなのではないだろうか。

 匿名社会の、しかもフーリエ変換すらまともに理解していないのに「それでいいんだ!」と開き直るような自称理系どもが起こしたクソくだらない現象とはいえ、台風の目であったわけなのだから、さぁどんなふうにフーリエ変換を説明するのか?と聴講者が思うのは当然だと思う。

 フーリエ解析については別になんてことはない。ただ計算ができればよい。すなわち三角関数や指数関数を含む積分がきちんとできれば良いわけで、それは高校数学がきちんとマスターされていることに他ならない。実際のところ、ただそれだけなのである。まぁ確かに本当にそれだけか?と言われると、それを使って微分方程式が解けたり、展開の意味が理解できたり、総合力みたいなところは必要なのではあるのだが。
 偏微分方程式については、変数分離法が使えればまぁそれでよくて、あとは普通の微分方程式が解けますか?問題なので、復習の意味が強かったと思う。

 物理で使う数学として必要なことの項目をすべて列挙すると、「微分積分」「偏微分・重積分」「ベクトル解析」「微分方程式」「線形代数」「数理統計学」「ガウス積分」「複素関数」「フーリエ解析」「変分法」「偏微分方程式」「特殊関数」「グラフ理論」「群論」「多様体」「表現論」あたりだろうか。
 本会で扱わなかったのはグラフ理論から先に書いたものと、複素関数だ。まぁ後半は一般相対論や物性物理などで使うことが多いので各論だから良いとしても、複素関数は扱わなくて良かったのだろうか。でも、留数定理とかそんなに使うことないかなぁと思って、結局やっていない。出てきたら紹介しようと思っていたが、いまのところ出てきていない。いや、量子論は複素関数なのだから、とも思うが、その性質を最初に説明すればわざわざ物理数学でやらんくてもなぁと思ったり。
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