たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

電磁気学_たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会

2024-06-01 01:53:47 | たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会
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 高校物理、高校数学、微分方程式、ベクトル解析を前提として、YouTube上で電磁気学について18回にわたって説明した板書ノートのリンクです↑。2022年6月15日から2022年12月15日にかけて講義しました。
 著作権は髙橋慧にあります © 2024 Kei Takahashi

 主に、Introduction to Electrodynamics - David J. Griffiths (著) 3rd. editionの第2章、第5章、第7章、第3章を教科書として使いました。リンク先は4th editionです。
 また日本語版はこちら
 他に参考としたのは、物理入門コース/演習 例解 電磁気学演習 (著者 長岡洋介, 丹慶勝市)詳解電磁気学演習 (著書 後藤 憲一、編集 山崎 修一郎)など。

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【目標】
 真空中のMaxwell方程式を理解する。

【各回の概要】
 1. 概要とか歴史
 イントロダクションとして簡単に歴史を追った。

 2. クーロンの法則
 2章から。クーロンの法則をベクトル解析の言葉で書いた。電場の導入と、連続の議論。

 3. クーロンの法則の練習
 クーロンの法則を利用して簡単な計算問題を解いた。球殻に一様に分布した電荷の電場はそれなりに計算が大変だが、演習もかねて行った。

 4. ガウスの法則の導入と練習
 ガウスの法則について、微分型・積分型の両方を導いた。

 5. Gaussの法則練習
 クーロンの法則では大変な計算もガウスの法則を使うととても簡単に使えることを理解する。

 6. curlE、電位
 Curl of Eでファラデーの電磁誘導の法則の特別な場合を理解。また、電位を導入した。

 7. 電荷→電位、静電エネルギー
 電位の計算を行い、静電エネルギーの導入を行った。

 8. 静電エネルギー、まとめ
 演習を行い、Griffithの2章のまとめをおこなった。

 9. ローレンツ力、電流
 5章へ。磁場の定義として、ローレンツ力、電流を導入した。

 10. 連続の式、ビオサバール
 電磁気だけでなく流体力学や量子論でも重要な連続の式を導入。クーロンの法則と対になることを意識しつつ、ビオサバールの法則を説明した。

 11. ビオサバール例、アンペールの法則
 アンペールの法則、微分型・積分型で導入。

 12. アンペールの法則応用
 ガウスの法則と同様に、磁場を簡単に計算できる手法としてアンペールの法則の演習を行った。

 13. ベクトルポテンシャル
 演習の続き、これまでの比較やまとめ。さらにベクトルポテンシャルを導入して、図示して解釈した。

 14. 磁場まとめ、多重極展開
 磁場のまとめおよび、3章の多重極展開について簡単に解説した。この考え方はその後にも非常に重要。

 15. オームの法則と線形応答
 7章に入り、オームの法則を説明した。
 線形応答についての説明は、清水明先生の講義ノートを参考にしました。

 16. EMF, motional EMF
 起電力を導入し、力学とのアナロジーを行った。

 17. Flux Rule, ファラデーの法則、誘導電場
 上記について導入し、Inducedな電場についてのMaxwell方程式をまとめ、演習した。

 18. Maxwell修正、電磁波、Lorentz変換
 アンペールの法則についてMaxwell修正を説明し、相対論の導入として、電磁波とローレンツ変換の基本を説明した。

【総評・反省】
 論理的に考えると「統計力学を理解するのに、そんなに電磁気学って必要かしら?」と思ったりもしたのだけど、直観的には「いや、めちゃめちゃ必要やろ」と思ったりして、大きい目的を見失いがちだったのが最大の反省かもしれない。
 やった後に思うこととしては、光が電磁波であることを理解する上では重要だし、三次元空間の計算に慣れるってのも結構大きなウェートを占めている重要なことだと思う。それらをなんとなくそれっぽく言うと、「古典物理学の柱としての電磁気学を理解することで、物理学的な考え方の基本を習得する」とか、そんな言い方になるんだろうけども。
 まぁあとGriffithを使うことで英語の物理の教科書に慣れるってのもあるんだけど、本当は俺が学部時代にGriffithが指定教科書で、読みまくっていたから片手間でもかなりちゃんと説明できるという理由も大きい笑。電磁気学を習ったあの頃は、ちょうど転学部した直後で1年前には受験では入れていないわけで(東京理科大学の理工学部物理学科→理学部第一部物理学科です)、胸を張って自信が持てなかった部分も大きい。それで指定された教科書が洋書であれば、ガチらないと留年もありえるのでは?と本気で思っていた。友達も少ない時期だったしね。そういう色々なことを思い出したのも、これをやってよかったことの一つだ。まだ学部時代の授業ログも残っていて、正直これもそこそこ観ました。

 19世紀に完成した電磁気学は、俺はなるべく歴史順にやったほうが良いと思っていて(研究のヒントにもなりやすいし)、Maxwell方程式→Coulomb、Bio-Savartのやり方よりも初学者には良いと思っている。まぁどーせ復習しないと分からないので、2週目はそっちでやれば良いのでは?という気持ちもあるが。
 真空中に限って説明したが、本当は物質中の電磁気学をやらないと、あまり実用性はない気もしていて、いつかそれはそれでやりたいなと思っているが、真空中と同じくらいの時間がかかるからなぁー、という感じ。Griffithの読み方として、(これも習ったそのままだが)2章「真空中の電場」→5章「真空中の磁場」→7章「まとめ」→3章「スペシャルテクニック」→4章「物質中の電場」→5章のベクトルポテンシャルの多重極展開、6章「物質中の磁場」→7章「まとめ」が良いと思う。これが最も理解しやすいし、早い。

 あと、やっぱ俺、電磁気学は好きなほうだなと思った。知っている範囲をお伝えするのは正直苦痛なところもあるが、ここに関しては、自分として新たな学びは殆どなかったが、素直に楽しかった。
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