たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

辿り着いたホンモノと

2022-03-30 01:53:36 | Weblog
 幸せの先には、きっと新しい絶望があるのだと思う。
 ずっと、そのように思っているからこそ、何かの目標に最適化する人生をくだらないものだと確信してきた。受験にしても、就職にしても、結婚にしても、その言葉だけを追い求めていても、一過性である。それらが重要だと思うのであれば、目標などというものをセットアップする前に、圧倒的な物理現象としての絶望を心の底から味わうべきである。

 どんなに輝かしい言葉や点数を手にしても、どんな素晴らしい組織に所属しても、どんなに誰かと愛し合っていても、人はいずれは死んでしまう。この問題を乗り越えようとしない限りは、突然生まれさせられて突然死ぬという理不尽を打破しようとしない限りは、何かの希望を将来に託すことはできない。
 だから、現在しか存在していないし、過去なんて想起する幻想でしかない。死ぬということに比べれば、日常の些細な不満や後悔など取るに足らないこと。この絶望をクリアすることが可能かどうかはわからないけど、一矢報いるために、この「再現性を神とした宗教」を根底とした仕事をし続ける価値があるのだと思う。

 想起する過去の記録である昔の写真や文章を見て回れば、いかに自分が幼かったか、いかに自分が愚かであったか、いかに自分が無謀であったかがわかる。
 俺から手放された瞬間に、それらは未来に向けたものではなく、過去のある時点を固定する記録へと変換され、記憶から乖離していく。あの頃に不服だと感じたことや、許せないと思ったこと、悩みも、いつの間にか忘れ去っている。記録は、記憶と違って、不連続だ。自分ではない誰かが、考えて悩んで、時に泣いてしまった事柄を、今の自分が無機質に見つめているように感じる。
 そんな過去の自分である誰かに、「大丈夫だ」と声をかけながらも、いまだ解決に至っていない能力不足を恥じている。圧倒的な絶望は、圧倒的な能力不足ゆえである。もし、「原理的にどうにもできない」というところまで、きちんと能力を高めていれば。。

 周囲を見渡せば、数少ない仲間がいつも「考えすぎだよ」と笑っている。その正鵠を射る笑いに、気まぐれで真剣に抗議したり、気まぐれで同調したり。そのような気まぐれを行使できることに僅かながらの幸せを抱きながら、先の見えない未来をきちんと守るために、手段を選ばない覚悟を自分に問うてゆく。

 そうすればきっと、古い絶望のその前には、新たな幸せを想起することができるはずだよね。
 記憶の連続性と記録の不連続性を利用して、その想起を繰り返しているからこそ、俺は、常に現在進行形で幸せを感じることができているのかもしれない。これはきっと、とても有難いことなのだと思う。だとしたら、その幸運を、きちんと能力をつけて、恩返ししていかなくちゃいけない。

 当たり前の疑問を、当たり前の方法で、当たり前に行なっていけば、きっと圧倒的な絶望だって掌握できるはずだ。
 無理だと嘯いていたはずのホンモノに辿り着いたように。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会」の募集

2022-03-01 01:34:37 | 自然科学の研究
【はじめに】
 これまで私は物理を個人的に楽しんでいることが多かったのですが、私も35歳を目前にしまして、自分が理解していることを少しでも他者にお伝えしたい気持ちが強くなってきました。そこで、2022年3月7日(月)から週に2回各1時間で、私が教養レベルの物理数学から学部レベルの統計力学までの物理学をお伝えする会を開きたいと思います。題しまして、「たかはしけいが統計力学までお伝えする物理会」です。すでに一部の方からご要望を頂いておりまして、一般の希望者に対しても、私が理解している物理学をお伝えしようと思います。

 そこで、この会への参加者を以下のように募集します。

【目的】
 物理学の普及。
 高校数学と高校物理の内容を前提としながら、統計力学までの道のりの中で必須な部分だけを限定し、約1年から1年半くらいの時間をかけて、お伝えしようと思います。


【参加すると得られるもの】
・物理学の知識
・物理的なものの見方
・自学自習すれば東大駒場の院試(物理)を突破する程度の基礎力


【対象】
・本名と年齢を私に明かせる方
・高校数学(現行課程の数学Ⅲ、旧課程の数学Ⅲ+C)までの数学を一通り理解している方、またはその意欲がある方
・高校物理を理解していることが望ましいが、履修していなくても原理的にわかるようには説明します(テスト等をするわけではないので気楽に考えてください)


【日時と方法】
 今のところ、月曜と水曜の21時から1時間を予定しています。
 方法につきましては、Google Meetを用いたいと思います。

【お願いや注意事項】
・私が自分勝手にお伝えする会なので当然、参加は無料です。ただし、今後の状況次第では有料に切り替える場合もあります(現段階では基本的にその可能性はないと思ってもらって良いです)
・参加者がTwitter等のSNS(よーするに公に不特定多数の人が見れる環境、鍵アカウントの場合も含む)で本会の批判をすることは禁止します。「もっとこうすれば良いのに」ということは、私に直接言うか、会の最中に発言してください。
・会の様子は録画しYouTubeで限定公開する予定です(お休みの場合に後から参加者が見れるように)。一般公開するかどうかは今のところ思案中ですが、その際に生じた広告費等を参加者に還元することはありませんのでご了承ください。(現在私のチャンネルはチャンネル登録者数が1000人に満たないので、しばらくの間、広告費が生じることはありません)
・上述しましたが参加者には最初に本名と年齢を私にお伝えしてもらいます。これを私が公表したり他言することはありません。会はインタラクティブにやっていきたいと思いますが、その際にもニックネームやハンドルネームで呼んでもらいたい場合は、そのように致します。
・予習の必要はありませんが、復習は全員してください。復習の最低限は、会が始まる前に「前回はこれやっていたよな」と毎回ノート等を見直すのを怠らないこと。
・煽り目的でのご参加は、他の参加者の方の迷惑になりますので、ご遠慮ください。
・原則、途中から参加者を募集することはありません。1人でも前提知識がない人がいると、その人のために戻らなくちゃいけないので、全体の進行の妨げになります。もし、それでも途中から聴きたい人は、ご相談ください。


【カリキュラムと予定】
 ベクトル解析(月曜)と微分方程式(水曜)から始めようと思います。物理会と言いながら最初は数学をやるわけですが、物理の性質上、許してください。なるべく物理に関連するようにお伝えします。以降、電磁気学、数理統計学、熱力学、解析力学および量子力学、統計力学、とやっていこうと思います。超速で進めるので精緻じゃない部分もあると思いますが、お伝え後でも質問やコメントは大歓迎ですので、ぜひ利用してください。

【応募方法】
 2022年3月6日(日)までに、LINEかTwitterのDM、もしくは私のメールアドレス(soudan.atamanonaka.2.718_attoma-ku_gmail.com)から、物理会の参加希望を申し出てください。その際に、氏名と年齢と、会でどう呼ばれたいか、を明記してください。すでに参加を表明してくださっている方も、上記を確認の上、全員、正式に応募してください。
 私から予定調整や告知用のLINEチャットを返信しますので、そちらをご登録ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする