桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

こういう人が変わってこそ

2012-07-23 | Weblog
先日のイジメ経験者の「石川さんを犯人と思うことで復讐」的なことを書かれた人の書き込みに応えたところ、その部分に、今度は確信犯的な書き込みがあった。
「共産党めっちゃ大嫌い」さんからだ。
共産党嫌い、多いよね。俺も、昔は大嫌いだった。全員一意なんて、本当に気持ち悪かった。今でも、全員一意なんて気持ち悪いし、そういう組織は嫌だねえ。教祖を先頭に全員一致!神を先頭に全員一致!嫌だねえ。
まあ共産党が嫌いでも、創価学会が嫌いでも、そんなことはどうでも構わない、思想信条は自由。しかし、狭山事件は違うねえ。
この方は「無実は有り得ない。1審では認めていた。2審から否認。死刑と言う言葉を知らないと言うし、一夫と偽名を書いている」と書いていた。
なぜ石川さんが1審で認めていたのか、控訴して否認に転じられたのか、この方は知らないようだ。
氷見事件や足利事件を見ても、裁判で認めることが犯人の証拠にならないことは、良く判ると思うが、「自分でやったと認めたのだから、犯人だ」と言いたいのだろうか?
死刑を知らないとか、一夫が偽名だとか、そんなことではなくて、もう少し事実を、証拠を見て欲しいねえ。
石川さんは、絶対に犯人ではないと、証拠が語っている。
石川さんは貧しい暮らしの中で学校に行けず、文字を書けなかった。警察官を信用して、騙されて嘘の自白をして裁判でも認めてしまったのだ。
俺も体験しているから、「共産党めっちゃ大嫌いさん」の気持ちは判る。何でやったと認めるのよ、やってなければ認めるはずはないと、そう考えるのは。
しかし、人間は弱い。警察の嘘や脅迫、暴力の調べを受けると、心が折れる時間が来るんですよ。そうして、嘘の自白が生まれてしまうんです。
昔の俺を見ているような書き込みだが、この方が証拠を見て、事実を知って、その上で思いを語ってくれるようになれば、裁判も社会も変わるんだよね。