22日と23日に花の里温泉で指された第71期王将戦七番勝負第二局。
渡辺明王将の先手で角換わり早繰り銀。後手の藤井聡太竜王も早繰り銀にしての相早繰り銀。この将棋は1日目の午後に先手に大きな誤算があり,封じ手の時点で後手がよくなっていたようです。2日制の将棋は持ち時間が長いですからこれは致命的で,そのまま後手が押し切ることになりました。
1日目の午後,52手目に後手は大長考しています。囲碁将棋チャンネルのAIは,最初は☖3六歩を最善と評価していましたが,時間の経過とともに☖8八歩を推奨するようになりました。実戦の指し手もその☖8八歩です。長考後には好手が指せないといわれることがあるのですが,藤井竜王の場合は,長考することによって好手を指すケースが多く見受けられる印象があります。時間を使って深く考えて比較検討の末に結論を出すことが,とても得意なタイプの棋士なのだと思います。
封じ手の局面ではすぐに封じず,封じ手の時刻から22分が経過してから封じる意志を示しました。藤井竜王は2020年度の王位戦の第四局,同飛車大学で有名になった☖8七同飛成を封じるときにも,封じ手の時刻から20分ほど考えています。このように,自分が指している将棋について考えることを中心にすることができるのは,藤井竜王の才能のひとつであると僕は考えています。時刻を過ぎても考えることは,周囲の人間を待たせることになり,そうした人たちに気を使ってしまい,考えることを打ち切ってしまうということは,人間であれば生じ得ると僕は考えるからです。ましてこの将棋の立会人は谷川浩司九段というビッグネームですから,なおさら気を使ってしまうということが生じやすいのではないでしょうか。ですから周囲を気にせず,自分が納得のいくまで考えることができるというのは,大きな才能であると僕は考えるのです。
藤井竜王が連勝。第三局は29日と30日に指される予定です。
青野がいっていることについては,ふたつほど注意しておいてください。
まず青野は,右脳の方が左脳より多く働いているといっているのであって,右脳が働き左脳が働いていないといっているのではありません。要するにプロの棋士が将棋を指しているときに,左脳も働いているのです。ただ右脳との比較でいうと,右脳ほど左脳は働いていないということです。なおこの点は,近藤が麻雀におけるあるプレイにおいて,そのプレイが直感によるものか理論によるものなのかは決定することができないし,決定しようとすること自体が無意味であるという意味のことをいっていることと相通じるところがあるかもしれません。近藤にとっては右脳が直感で左脳が理論を意味するのですから,麻雀をプレイするときには右脳も左脳も働いているといっているのと同じだといえるからです。麻雀のプロが麻雀をプレイしているときの脳の働きがどのようなものであるのかということも,研究の対象になり得るかもしれません。
もうひとつ,青野が語っているのは,あくまでもプロの棋士が将棋を指しているときの脳の働きのことなのであって,一般に人が将棋を指しているときの脳の働きとは異なるということです。プロの棋士は左脳よりも右脳を多く働かせて将棋を指しているわけですが,そうでない人,たとえば僕が将棋を指しているとすれば,右脳よりも左脳の方が多く働いているとか,あるいは右脳はまったくあるいはほとんど働いていないという脳波の測定結果が出るかもしれないのです。他面からいえば,将棋を指しているときに,右脳の方が多く働くようでないと,プロの棋士になるのは難しいということだというように解さなければなりません。
スピノザの哲学では右脳が直観scientia intuitivaすなわち第三種の認識cognitio tertii generis,左脳が理性ratioすなわち第二種の認識cognitio secundi generisに該当するというのが,近藤の著書からの結論です。このように解した場合は,将棋を指しているとき,あるいは指し手を考えているときに,第三種の認識と第二種の認識の両方が働く場合があるということは,大した棋力がない僕でも感じることがないわけではありません。そしてそれは,詰将棋に接したときに多くある体験です。
渡辺明王将の先手で角換わり早繰り銀。後手の藤井聡太竜王も早繰り銀にしての相早繰り銀。この将棋は1日目の午後に先手に大きな誤算があり,封じ手の時点で後手がよくなっていたようです。2日制の将棋は持ち時間が長いですからこれは致命的で,そのまま後手が押し切ることになりました。
1日目の午後,52手目に後手は大長考しています。囲碁将棋チャンネルのAIは,最初は☖3六歩を最善と評価していましたが,時間の経過とともに☖8八歩を推奨するようになりました。実戦の指し手もその☖8八歩です。長考後には好手が指せないといわれることがあるのですが,藤井竜王の場合は,長考することによって好手を指すケースが多く見受けられる印象があります。時間を使って深く考えて比較検討の末に結論を出すことが,とても得意なタイプの棋士なのだと思います。
封じ手の局面ではすぐに封じず,封じ手の時刻から22分が経過してから封じる意志を示しました。藤井竜王は2020年度の王位戦の第四局,同飛車大学で有名になった☖8七同飛成を封じるときにも,封じ手の時刻から20分ほど考えています。このように,自分が指している将棋について考えることを中心にすることができるのは,藤井竜王の才能のひとつであると僕は考えています。時刻を過ぎても考えることは,周囲の人間を待たせることになり,そうした人たちに気を使ってしまい,考えることを打ち切ってしまうということは,人間であれば生じ得ると僕は考えるからです。ましてこの将棋の立会人は谷川浩司九段というビッグネームですから,なおさら気を使ってしまうということが生じやすいのではないでしょうか。ですから周囲を気にせず,自分が納得のいくまで考えることができるというのは,大きな才能であると僕は考えるのです。
藤井竜王が連勝。第三局は29日と30日に指される予定です。
青野がいっていることについては,ふたつほど注意しておいてください。
まず青野は,右脳の方が左脳より多く働いているといっているのであって,右脳が働き左脳が働いていないといっているのではありません。要するにプロの棋士が将棋を指しているときに,左脳も働いているのです。ただ右脳との比較でいうと,右脳ほど左脳は働いていないということです。なおこの点は,近藤が麻雀におけるあるプレイにおいて,そのプレイが直感によるものか理論によるものなのかは決定することができないし,決定しようとすること自体が無意味であるという意味のことをいっていることと相通じるところがあるかもしれません。近藤にとっては右脳が直感で左脳が理論を意味するのですから,麻雀をプレイするときには右脳も左脳も働いているといっているのと同じだといえるからです。麻雀のプロが麻雀をプレイしているときの脳の働きがどのようなものであるのかということも,研究の対象になり得るかもしれません。
もうひとつ,青野が語っているのは,あくまでもプロの棋士が将棋を指しているときの脳の働きのことなのであって,一般に人が将棋を指しているときの脳の働きとは異なるということです。プロの棋士は左脳よりも右脳を多く働かせて将棋を指しているわけですが,そうでない人,たとえば僕が将棋を指しているとすれば,右脳よりも左脳の方が多く働いているとか,あるいは右脳はまったくあるいはほとんど働いていないという脳波の測定結果が出るかもしれないのです。他面からいえば,将棋を指しているときに,右脳の方が多く働くようでないと,プロの棋士になるのは難しいということだというように解さなければなりません。
スピノザの哲学では右脳が直観scientia intuitivaすなわち第三種の認識cognitio tertii generis,左脳が理性ratioすなわち第二種の認識cognitio secundi generisに該当するというのが,近藤の著書からの結論です。このように解した場合は,将棋を指しているとき,あるいは指し手を考えているときに,第三種の認識と第二種の認識の両方が働く場合があるということは,大した棋力がない僕でも感じることがないわけではありません。そしてそれは,詰将棋に接したときに多くある体験です。