スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

第三部諸感情の定義一一&胃の検査

2018-06-15 19:10:37 | 哲学
 第四部定理四五系一で悪malumであるとされている感情affectusのひとつである嘲弄は,喜びlaetitiaの一種です。これは第三部諸感情の定義一一に示されています。
                                
 「嘲弄とは我々の軽蔑するあることが我々の憎む物の中に存することを表象することから生ずる喜びである」。
 第四部定理四五系一は,それが憎しみodiumから生じるがゆえに悪であるといっています。嘲弄は感情としていえば喜びなのですが,この定義Definitioから分かるように憎しみから生じる感情なので悪であるということになります。
 またこの定義も,必ずしも僕たちが嘲弄する対象を人間には限定していません。したがって,第四部定理四五系一はその直前の備考Scholiumから人間の人間に対する嘲弄は悪であるといわれているのですが,嘲弄一般は必ずしも人間を対象として生じる感情ではないということになります。また,この系Corollariumは順序でいえば軽蔑より先に嘲弄をあげていますが,僕がその順番を変えて先に第三部諸感情の定義五の軽蔑から取り上げたのは,嘲弄が憎むものの中にあると表象されている軽蔑と関係するからです。
 この喜びが生じるメカニズムを説明することは難しくありません。第三部定理一三は,僕たちは身体corpusの働く力agendi potentiaを阻害するもの,いい換えれば僕たちに悲しみtristitiaを与えるものを表象したら,その表象されたものを排除するものを表象するコナトゥスconatusが働きます。第三部諸感情の定義七により憎しみは悲しみの一種なので,僕たちは憎むものを表象したらその存在existentiaを排除するようなコナトゥスが働くのです。しかるに軽蔑はそのもののうちにないものによってそのものを表象するimaginariことなのですから,そのものを排除する要因になります。他面からいえば憎むものを軽蔑するのは僕たちの現実的本性actualis essentiaであるといっていいでしょう。そして憎むものの存在が排除されれば,僕たちの働く力の阻害も回復します。いい換えれば僕たちは悲しみから逃れたがゆえに喜ぶでしょう。つまり憎むものを軽蔑し,嘲弄するというのは一連の流れとして生じるのです。しかしたとえ最後に生じるのが喜びでも,この喜びはこの一連の流れによって悪なのです。

 完治困難といっても,それは治療をしないという意味ではありません。さしあたって必要な治療を探すための検査の日々がここからに始まることになりました。
 8月25日,金曜日。母はそれまでは2階の寝室で眠っていましたが,この日の晩からは1階で眠るようになりました。2階は暑いという理由をあげていましたが,実際には階段を上り下りするのが大変になったのだろうと思います。肝臓に転移している癌は完治困難であるということは,母の生命には限りがあるということを意味していますから,無駄な体力を使う必要はまったくなく,この選択は僕も大賛成でした。肝機能に障害があると疲れやすくなりますから,なおのことでした。
 8月26日,土曜日。ガイドヘルパーを利用しました。この日はカラオケでした。
 8月27日,日曜日。僕の家では洗濯物はベランダに外干しします。当然ながらベランダは2階にありますから,母は1階にある洗濯機で洗濯はしていましたし,取り込んだ洗濯物をたたむことはしていたのですが,干したり取り込んだりという作業は8月24日以降は僕が担当していました。ですがこの日は母が干しました。すなわち母は2階に上れるようになっていたということです。
 この日は妹のピアノのレッスンもありました。これは前日に電話がありまして午後2時からでした。レッスンの終了後に次回のレッスンの日を双方で相談して決定するのですが,その予約を翌週の土曜日に入れました。これは母がその日にピアノの先生が来訪しても大丈夫であると思ったということを意味します。
 8月28日,月曜日。この日は消化器内科で胃の検査がありました。母はこの日も自分で洗濯物を干してから,ひとりでみなと赤十字病院に向いました。妹は僕が小港の通所施設まで送っています。基本的にこの日からは,妹を送って行くのは僕の担当になりましたが,例外も発生しています。また僕はこの担当から後に外れることになるのですが,そうしたことについてはそのときに記述していきましょう。
 胃の検査は胃カメラによるもので,病変はなしという結果でした。つまり胃への癌の転移はありませんでした。
コメント
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