スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

将棋大賞&責任の価値

2007-04-02 21:46:42 | 将棋トピック
 3月30日に昨年度(4月~3月)の将棋大賞が発表になりました。
 最優秀棋士賞(MVP)は佐藤康光棋聖・棋王。棋聖防衛,王位挑戦,王座挑戦,竜王挑戦,王将挑戦,棋王挑戦奪取。ほかに日本シリーズとNHK杯の2棋戦に優勝。さらに記録部門の最多対局賞と最多勝利賞を受賞。これだけの活躍ですから文句なしではないかと思います。
 優秀棋士賞は王位戦王座戦王将戦と,MVPの佐藤棋聖(当時)の挑戦をことごとく退けた羽生善治王位・王座・王将。これもMVPとの兼ね合いからみて妥当な選考でしょう。銀河戦で優勝もしています。
 敢闘賞は渡辺明竜王。タイトルでは竜王防衛だけですが,これも佐藤棋聖(当時)を相手のものですし,順位戦を全勝で昇級しましたのでこの人しかいないのではないかと思います。
 新人賞は新人王戦で優勝した糸谷哲郎四段。最近になって負けが多くなっているように感じますが,一時は勝率第1位でしたし,記録部門の連勝賞も獲得していますのでこれも当然。ほか,記録部門の勝率第1位賞は,朝日オープンで挑戦を決めた阿久津主税五段でした。
 最優秀女流棋士賞は女流名人を防衛した矢内理絵子女流名人。タイトルを4人で分け合っている現状ですが,レディースオープンでも優勝しましたので妥当ではないでしょうか。
 女流棋士賞には里見香奈女流初段メイショウ戦の優勝はありますが,タイトルは獲得はおろか挑戦もなく,また公式戦でも優勝していませんので異例といえば異例。ただ,勝率はトップで,社会的現象も巻き起こしましたし,新人賞という部門が存在していれば間違いなく選ばれている筈。それを考えるとこの賞を受賞してもいいのかなという気はします。
 東京将棋記者会賞はコンピュータ将棋協会が選ばれましたがこれについては割愛。
 新手や新戦法に贈られる升田幸三賞は佐藤康光二冠。これは何に贈られたのか理由がはっきりしませんが,プロ棋士間でよく指されている手となると,後手のごきげん中飛車に対してすぐに角交換(これは丸山九段の発案)して▲9六歩とする手と思われます。ただそれ以外にも独創的な構想でかなり楽しませてくれたと思います。
 新設の名局賞は,昨年の1月から12月までが対象ということで,昨年3月のA級順位戦プレーオフ(名人挑戦者決定戦)の羽生三冠と谷川九段の将棋。これはこのブログで紹介していない将棋ですが,最後,詰ましにいった先手の羽生三冠に対し後手の谷川玉が延々と逃げ回って逃げ切るという,ものすごくきわどい終盤戦が展開された将棋。羽生三冠としては攻めずに受けておけば勝ちだった将棋だけに残念な一局だったのですが,プロ間の評価もかなり高かったようで,妥当な選考であったと思われます。

 明日は女流王将戦の挑戦者決定戦。清水市代女流王位と里見女流初段の一戦があります。前述のレディースオープンでは矢内名人に敗れた里見初段ですが,その後に指されたこの挑戦者決定トーナメントの準決勝では矢内名人に勝っています。初のタイトル挑戦がなるでしょうか。

 責任という概念notioをスピノザの哲学において積極的に考えていく場合に,そのヒントとなるのは,一般的に責任(自己責任)ということばは,その文脈から類推される限りは,ある対象化されたような(形相的な)現象を指し示しているのではなく,何らかの価値基準のようなものを含んでいるということです。
 実際,僕たちは僕たちがなすすべての行為に対して責任を問われるわけではなく,ある特定の行為,消極的な説明の場合には,共に共同体を構成する他者の自然権jus naturale,naturale jus,sive naturalisを脅かすような行為にのみその責任を問われるわけですから,これはスピノザ哲学から発生する責任という概念の中にも,何らかの形で反映させることができるように思えるからです。もちろん,一口に価値基準といっても美醜とか真偽とかいった具合に様ざまなのですが,責任の場合には善悪という基準を導入するのが最適ではないかと思います。なぜなら,人は善bonumとみなされるようなことをなす場合には責任を問われることはなく,あるいは場合によってはそれが責任を果たすということだと考えられ,逆に悪malumとみなされるような行為をなした場合には責任を問われるように思うからです。
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