スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&相反する感情

2007-03-28 22:54:01 | 将棋
 棋王戦五番勝負第五局。竜王戦第七局,王将戦第七局と後手になっていた挑戦者の佐藤康光棋聖ですが,今日は振駒で先手を得ました。先後は逆ですが出だしは第二局と同じ。15手目に▲2三歩と変化したので,飛車交換にはなりませんでした。に覗いたのが25手目の▲7九玉の局面。まだ形勢をどうこういうような局面ではないと思いましたが,森内俊之棋王の方が1時間も多く時間を使っているのは気になりました。3時にまた見ると39手目の▲5八金の局面になっていました。陣形は圧倒的に先手の方がよさそうでしたが,後手も歩得をを果たし,9筋の突き越しも生きているように思えましたので,指せなくはないのではないかと思いました。6時半前に見ると82手目の△3四歩の局面。どうしてこう進展したのかまったく分かりませんでしたが,ここは先手の玉を寄せるとなると相当に大変そうですから,先手の勝勢といえると思います。結果的にみると,長考を挟んでの47手目に▲4七角と打ったのが好手で,ここから銀損をしても飛車を素抜くという大技をかけたのが好判断だったということではないかと思います。△3四歩以降,89手目に▲1三龍と入ったのもおそらく好手で,以下は問題なく寄せきって佐藤棋聖の勝ち。3勝2敗とし,新棋王に輝きました。タイトル挑戦に4回連続で失敗していましたが,最後の最後で奪取。佐藤棋聖の棋王獲得はこれが初めて。保持している棋聖と合わせての二冠で,二冠は4年ぶりです。森内前棋王はこれでタイトルは名人のみに後退となってしまいました。

 第四部定義五の相反する感情を具体的に考えてみます。これはある同一の主体の中にある感情についていわれますので,たとえば喜びと悲しみが反対感情であるというようには一般的にいうことはできません。ここでは次のような例をあげます。ある人間がいて,この人間の中で,Aさんに対する愛とBさんに対する愛が両立し得ないと仮定します。もちろんこれは,必ず両立し得ないというものではありませんが,こうしたことを経験された方はいらっしゃるのではないかと思いますし,仮に経験していなくても,あり得ることと想像はできるのではないかと思います。この限りにおいて,この人のうちにあるAさんへの愛とBさんへの愛は相反する感情であるということになります。同じ愛という感情であるのになぜそれがひとつの主体の中で相反することがあり得るのかといえば,厳密にいえば,感情というのは対象の数と同じだけあるからです(第三部定理五六)。したがって,ある人のうちにあるAに対する愛とBに対する愛というのは,同じ愛と定義されるような感情であったとしても,実際には別の感情であると考えられなければならないのです。このために,ある人に対する愛と,別の人に対する愛が,僕たちを別の方向に引きずるということ(僕たちの中で両立し得ないということ)が起こり得るのです。
コメント (2)
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