平成最後(笑)のゴールデンウィーク、初日は上野の東京都美術館に「クリムト展」に行ってきました。
いや〜、実に満足度の高い素晴らしい展覧会だったなあ。
クリムトといえば、多くの美大生が真似をして自爆する画家であり、私もその一人であったのですが、今回の展覧会はそのクリムトが美術大学性時代の作品も展示されてあり興味津々でした。
クリムトの習作時代は見るのもはじめて。
栴檀は双葉より芳しと言いますが、もちろん図抜けた技量を持った学生だったことに違いないのですが、「クリムトも最初から、あそこまで上手かったわけではなかったのだなあ」という感じでした。
彼は1枚の肖像画を描くのに数100枚のスケッチをすることもあったといいますから、後年の精進と手数を加えて、あそこまで上り詰めたのでしょう。
出世作となったベートーベン・フリーズの壁画のレプリカが一部屋丸々展示されて圧巻! 複写とはいえ、これだけでも見に行く価値がありますね。
絵の内容と関係ないのですが、GW初日の館内は驚くほどの余裕!
もちろんガラガラというほどではありませんが、 ぶつかって来る妙齢の人たちもおらず、実に快適な空間内で楽しむことができます。
空前の10連休ということで、都内そのものが空いていることもありますが、ぜひこの機会にお出かけすることをオススメいたします。
クリムトは生涯独身だったのは知っていたのですが、館内の解説を読んで驚いたのは、彼に14人もの子供がいたということでした。しかも14人とは知られているだけの人数で、実際にはもっといたらしいとのこと。
いやあ、ご立派……などというと、昨今の傾向からお叱りを受けそうですが、その是非は別にして、クリムトは心底女の人が好きだったのですね。
▲ユディートの恍惚とした表情は、そんなクリムト以外には描けない表情です。
また、クリムトは美術史上初めて妊婦を堂々と描いた人だと記憶していますが、モデルのおなかの中には、おそらく自分の子供が宿っていたのでしょう。あのモデルに対する愛おしさは、なるほどと膝を打つ次第です。
スケッチを見ると、眠っている女性を描いたものが多く、こちらも推測するに朝起きた時に寝姿をモデルに許可も得ずに描いたものに違いありません。
本当に女の人が好きな男というのは、年齢に関わらず女性が好きなものだそうですが、クリムトもそういう男性だったのでしょう。
▲「人生の三段階」と題された、日本美術へのオマージュを込めたこの作品。
最後の方に近づいた女性は、顔を覆い悲嘆にくれているようなポーズはとっていますが、実物を見ると画家は決してネガティブな気持ちで描いていないことがわかります。
そんなクリムト展でしたが、私が個人的な好みで思った「今日の一枚」はこちら!
▲アッター湖畔のカンマー城
オーストリアでは有名な保養地で避暑地だそうですが、ここでクリムトは数多くの風景画を残してます。
点描タッチは印象派ですが、印象派の絵とは違った面持ち。
実物はものすごく鮮やかな黄色で、妻曰く「食うに困ってない黄色」だそうです。
あ、それゴッホの黄色と比べて言ったわけですね。
ウィーン市内では決した描かなかったという風景画ですが、私はクリムトの風景が大好きです。
ともかくもゴールデンウィーク中は狙い目。