おんかん37回コンサート~正しくは「木下式音感教育法・第37回東京合同音楽祭」ですが、昨日新宿文化センター大ホールで行われました。
昨年は前日の大雪で大わらわでしたが、今年は雪が2日前に降ってくれて好天の中の開催。そのためか、例年以上に素晴らしい演奏会となりました。
ここ3年、4回ほど続けて見せて頂いてますが、今回の仕上がりは今まででも最高の出来じゃなかったかな。
特に午後の部後半の、いわば「おんかん」の中でも真打ちの小学生の子どもたちが歌う独唱からは、まさに白眉でありました。
中でも「天使のこえ合唱団」の歌う、サン・サーンス作曲、オペラ「サムソンとデリラ」からのアリアの美しいこと!
旧約聖書の物語「サムソンとデリラ」の物語は、子ども向きの話ではありません。このアリアも原曲は英雄サムソンを妖婦デリラが惑わす愛の歌なのですが、それをまゆみ先生が日本語の別の歌詞をつけたことで、子どもの声に合った、より透明な音楽へと昇華させていました。
まさに天使のこえ合唱団の面目躍如というところでしょうか。
驚いたのは、音感っ子卒業生によるコンサート、生熊茜さんのラフマニノフのピアノ協奏曲2番です。
この人の演奏は、麻奈先生の出版パーティーでも聴いたことがあって、すごい子がいるなあと思ったものですが、実際のコンサートホールでオケと一緒に聴くと本当に素晴らしい!
隣に座っていたあ@花さんは、最初の一音を耳にして思わず「す、凄い!」。
生熊の演奏、目と手の動きを見ると、普通の人と空間感覚と言いますか、時間の感覚が全然違うのですね。どんな早いフレーズや複雑な和音も、脳と手が完全につながっているのか、いささかも乱れることがありません。
22歳という若さにも関わらず、演奏にまったく余分な力がかかっておらず、以前にも書いたように「天才で天然」とでも言いましょうか。ラフマニノフの難曲をまるでモーツァルトを弾くかのように、実に軽やかに艶やかに演奏しております。
ロシアのピアニスト、ラザール・ベルマンの演奏を吉田秀和先生は、「より音が多く感じる」と評したのですが、生熊さんの演奏はまさに引き算の演奏。
それでいながらラフマニノフのロシア的響きは失われておらず、複雑な和音の間にある美しい旋律がよく歌われています・
音の正確さ、乱れのない軽やかな響きは、おそらくは礎に木下式がベースになっているのでしょう。また、よく歌う演奏であるのも、木下式の教育の成果なのに違いありません。
そのうち山田和樹指揮、生熊茜のピアノでラフマニノフやチャイコフスキーの協奏曲が演奏される時が来るのかもしれません。
フィナーレはヴェルディの凱旋行進曲とビゼーの闘牛士の歌に、まゆみ先生が歌詞をつけた合唱。大規模の音楽祭にふさわしいフィナーレでした。
終わって麻奈先生にご挨拶。
やりきったという充実した良い表情をされてました。
おんかんのみなさま、素晴らしいコンサートをありがとうございました!