漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

分解された男

2014年12月21日 | 読書録

「分解された男」 アルフレッド・ベスター 著  沼沢洽治 訳
創元SF文庫 東京創元社刊

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 第一回ヒューゴ賞を受賞した(というより、この作品に賞を与えるためにヒューゴ賞が創設されたとか)、いわずとしれたSFの古典的名作。なのだが、これまで読まずにきていた。「虎よ!虎よ!」の方は、学生時代に読んでいたのだけれど。
 訳文には、さすがにちょっと古すぎる言い回しが多すぎるけれど(1965年初版)、内容的には意外と、さほど古さを感じさせない部分が少なくなかった。新訳すればもっと古さを感じさせないのではないかという気はしたが、まあ既にこの作品は現代SFの中にすっかりと消化されてしまっているので、今でも斬新さを失わないとまではゆかないだろう。あくまでも、今でも十分に読むに耐える古典SFの一つとして、重版が続くのであれば新訳が望まれるという程度。

 今日は、長らく庭で花を咲かせてくれていたペンタス、マリーゴールド、ジニアなどが、ここのところの寒さでついに枯れたので、片付けてしまった。代わりに、近くのホームセンターで小さめのクリスマスローズをひと株購入し、植えてみた。ヘレボルス・ニゲルという、クリスマスローズの原種。よく知らなかったのだけれど、日本でクリスマスローズとして売られているものにはいろいろあって、花色などが豊富なのはヘレボルス・オリエンタリスという種や、交雑種らしい。海外では、クリスマスローズといえばヘレボルス・ニゲル種だけを差し、ヘレボルス・オリエンタリス種はレテンローズと呼ばれるそうだ。開花時期も、ニゲル種はまさにクリスマスの頃に咲くのだが、オリエンタリス種の開花時期は2月から4月頃だとか。日本で育てやすいのは、どちらかといえばオリエンタリスらしいけれど、初めてだし、どうせなら原種を植えてみたかった。うつむきがちの、ちょっと神秘的な花。ちゃんと育てばいいのだけれど。