このところ、本は読んでも感想はちっとも書いていない。読み終えてから時間が経つと、ますます書く気がなくなってしまう。だから、とりあえず最近読んだ本の名前と感想を一言、羅列しておこうと思う。
まあ、それだけ「どうしても感想を書きたいと思う本がなかった」ということかもしれないけれども、実際のところ、どれも結構面白くは読んだのだ。
「三匹の猿―私立探偵飛鳥井の事件簿」 笠井潔 著
講談社文庫 講談社刊
を読む。
淡々と物語が進んでゆく、ハードボイルド小説。ハードボイルド小説は、だいたいが淡々とした筆致で書かれているものだけれど、これはその中でもあまりにも淡々としていて、無力感さえ漂っている。ぼくは嫌いじゃないけれど、シリーズとして続けるのはちょっと難しいかも。
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「天国ゆきカレンダー」 西本秋 著
ハヤカワ文庫JA 早川書房刊
を読む。
一種のロードムービー的な小説なのだけれど、内容は結構ハード。タイトルの「天国ゆきカレンダー」というのは、いじめにあっている高校一年生の主人公が押し付けられた夏休みの「未来日記」。そこには、夏休みの最後に自殺するまでのスケジュールが書かれている。夏休みのあいだ、主人公は自分の好きなバンドの追っかけをしながら、その日記に書かれている理不尽なことを、「こんかことをするわけがないと思っているだろうからこそ、やってやる」とばかりに実行してゆく。そこに、いろいろと問題のある人たちが絡んでくる。
そもそもこんなに強い人間がイジメられっぱなしにはならないだろうとは思うけれども、読後感もどこか爽やかで、悪くなかった。
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「舞面真面とお面の女 」 野崎まど 著
メディアワークス文庫 アスキー・メディアワークス刊
を読む。
ジャンル的には明らかにライトノベルになるのだろうけれど、なんだろう、妙に気になるところがある。西尾維新とかに近いのかな。もう一、二冊、この作家の作品を読んでみようと思った。
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「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」 桜庭一樹著
角川文庫 角川書店刊
を読む。
児童虐待の物語。ライトノベル的な文章に、重いテーマ。後に直木賞を受賞することになるライトノベル作家の、ひとつの転換点となった記念碑的小説という位置づけなのかもしれないけれども、上手く言えないが、それ以上の意味がある作品という気がした。
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「エンドロール」 鏑木蓮 著
ハヤカワ文庫JA 早川書房刊
を読む。
孤独死した老人の持っていた映画のフィルムから広がってゆく、戦争の記憶。上手く書けた作品だとは思うのだけれど、どういうわけか、あまり印象に残らないかな。
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「ぼくは夜に旅をする」
キャサリン・マーシュ 著 堀川 志野舞 訳
早川書房刊
を読む。
オルフェウスの冥界下りを神話を下敷きにした、アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀ジュヴナイル賞を受賞した作品。さすがに大人が読むにはやや幼いとは思うけれども、小学校高学年くらいの子供には、かなり面白く読めるんじゃないかと思う。それほど深みがあるわけではないけれども、悪くない。
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他にもいろいろ読んだ気がするけれど、まあ、とりあえずこんな感じで。