陽射しが、とても眩しい。
その中に、意識が白くなってゆく。
記憶が、混濁する。
逃げ水を追っている。
逃げ水をくぐり抜け、その先へ向かうために。
昼下がりの、微睡んでいるような街角で。
道路は、どこも真っ白なコンクリートで出来ている。
建ち並ぶ家は、どれも強いコントラストで縁取られ、その窓の奥は濡れたように見える。
家の影が、白いコンクリートの道に細長く伸びている。
それが、とても黒い。
そこに、逃げ水がある。
私は逃げ水から少し離れて、その中を覗き込む。
その中には、空があり、瑞々しい色彩がある。
私は、光と影の強いコントラストの街角から逃れようと、逃げ水を追う。
けれども、逃げ水は逃げ続ける。跳ねるように、逃げて行く。
誰の姿もない、昼下がりの街角で。
記憶が、透明になる。
平原の、藤色の道を歩き続ける。
乾いた、さらさらとした砂の道だった。時々、石が転がっている。私は石を蹴飛ばし、さらに歩く。
振り返っても、もうどこにも列車の姿は見えなかった。一面、果ての見えない、柔らかい草の揺れる草原が広がっているだけだ。風は、優しく吹いて、それはとても心地よい。だが、先は全く見えない。銀色の塔も、幾ら歩いても、一向に近くなった気がしない。
歩きながら、時々、苺のような香が鼻腔に触れた。けれども、どう見渡しても苺など見えない。道から外れて、草原に踏み入ろうかとも思うが、その草の余りの密さに、底が知れない気がして、どうしてもそんな気にはなれなかった。だから、ただひたすら藤色の道を歩いた。
その中に、意識が白くなってゆく。
記憶が、混濁する。
逃げ水を追っている。
逃げ水をくぐり抜け、その先へ向かうために。
昼下がりの、微睡んでいるような街角で。
道路は、どこも真っ白なコンクリートで出来ている。
建ち並ぶ家は、どれも強いコントラストで縁取られ、その窓の奥は濡れたように見える。
家の影が、白いコンクリートの道に細長く伸びている。
それが、とても黒い。
そこに、逃げ水がある。
私は逃げ水から少し離れて、その中を覗き込む。
その中には、空があり、瑞々しい色彩がある。
私は、光と影の強いコントラストの街角から逃れようと、逃げ水を追う。
けれども、逃げ水は逃げ続ける。跳ねるように、逃げて行く。
誰の姿もない、昼下がりの街角で。
記憶が、透明になる。
平原の、藤色の道を歩き続ける。
乾いた、さらさらとした砂の道だった。時々、石が転がっている。私は石を蹴飛ばし、さらに歩く。
振り返っても、もうどこにも列車の姿は見えなかった。一面、果ての見えない、柔らかい草の揺れる草原が広がっているだけだ。風は、優しく吹いて、それはとても心地よい。だが、先は全く見えない。銀色の塔も、幾ら歩いても、一向に近くなった気がしない。
歩きながら、時々、苺のような香が鼻腔に触れた。けれども、どう見渡しても苺など見えない。道から外れて、草原に踏み入ろうかとも思うが、その草の余りの密さに、底が知れない気がして、どうしてもそんな気にはなれなかった。だから、ただひたすら藤色の道を歩いた。