唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

第三能変  受倶門・重解六位心所(10) 別境 ・欲について

2013-02-22 23:04:05 | 心の構造について

 「次解下三。合有二文。初以五門分別。後例餘門 論。次別境者謂欲至惠 述曰。第一列名釋別境義。解第二句上三字。以下二字及第三句全。如文別解 論。所縁事境至次初説故 述曰。釋第四句及解次言。釋別境名也。然別四境一一可知。五十五云。所樂・決定・串習・觀察四境別也 次別解五。第二出體。體中有二。初別出。後總非遍行。」(『述記』第六本上・五右。大正43・428b) 

 (「述して曰く。第一に名を列ねて別境の義を釈す。第二の句の上の三字を解く。以下の二字と及び第三の句の全とは、文に別に解するが如し。
 第四の句を釈す、及び次言を解く、別境の名を釈すなり。然るに別の四境一々に知るべし。五十五に云く、所楽と決定と串習(げんじゅう)と観察との四境別なり。次には別して五を解す。第二に体を出さば、体の中に二有り、初に別して出し、後に総じて遍行を非す。」)

 初めは五門に分けて説明する。(欲・勝解・念・定・慧)
 初の五門中の第一門は、別境の心所の名を列ねて個別に説明する(列名別義門)。
 第二門は、別境は、遍行ではないことを説明する(遮遍行門)。
 第三門は、別境の心所が生起することは不定である、単独か並び立つのかは一定していないことを説明する(独並門)
 第四門は、八識における別境の心所の有無について説明する(八識分別門)。
 第五門は、別境の心所が、いずれの受と相応するのかについて説明する(五受分別門)

 初に、欲の心所について説明する。

 「論。云何爲欲 述曰。自下各有二。初問。次答。此問也。答中有三。初解體・業。次廣前文。後破異執。此即問也 論。於所樂境至勤依爲業 述曰。然勤依者如此下説。及對法第十等皆云。信爲欲依。欲爲精進依。即入佛法次第依也。然欲既通三性。即唯善欲爲依。今又解。勤者勤劬。染法懈怠勤作諸惡亦是勤故。無記事勤即欲・勝解。若言精進。精進唯善。勤通三性。皆欲爲依。非唯善勤。下文説欲能起正勤。前解爲勝。下三師解。此中所説第一総意。」(『述記』第六本上・五右。大正43・428c)

 (「述して曰く。自下は各二有り。初は問い、次は答え。此れは問いなり。答えの中に三有り。初には体と業とを解し、次には前の文を広す、後には異執を破す、此れは即ち問いなり。然るに勤の依とは、此の下に説けるが如し、及び対法の第十等に皆云く、信を欲が依と為し、欲を精進依と為すと云えり。即ち仏法に入る次第の依なり。然るに欲は既に三性に通ず、即ち唯善の欲のみを依と為す。今又解す。勤には勤劬(ごんくー努力すること。)する、染法は懈怠あれども、勤て諸悪を作すは、またこれ勤なるが故に、無記の事において勤なるに、即ち欲と勝解となり。若し精進というときは、精進はただ善なり。勤は三性に通ず。みな欲を依となす。ただ善の勤のみにあらず。下の文に欲はよく正勤を起こすと説く。前解を勝となす。下に三師の解あり。このうちの所説は、第一に総意なり。」)