さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

果てしなく続く神話のような?「延長戦」 エストラーダ、ロマゴンに競り勝つ

2022-12-09 10:03:15 | 海外ボクシング



土曜日曜と、立て続けにいろんな試合を見ましたが、短いラウンドで終わる試合がなく、また長いラウンドに渡って濃密な攻防が見られる試合が多くて、正直楽しくもあり、しかしさすがにしんどいな、と思うこともあり。
その最たるものが、ラテンの英雄同士によるラバーマッチでありました。


ファン・フランシスコ・エストラーダvsローマン・ゴンサレスの第三戦目は、過去二試合同様の激しいラリーが続く展開。
初回、若干探り気味でスタートも、早々にロマゴンが踏み込んでワンツー、右クロスに右ボディストレート。
対するエストラーダがバックステップしながら右カウンター、左ボディから上にコンビ、という構図になる。

3回終盤、激しい攻防、出て連打のロマゴンに、後退しつつ、コンビ打つときはしっかり踏ん張って決めるエストラーダ、右カウンターの応酬したところでゴング。
4回もロマゴンがワンツー決めれば、エストラーダが左ボディアッパー、ロマゴンまた右、エストラーダも右カウンター。
こんなん、どっちにつけたらええの、もうわからん、というラウンド。


中盤も展開変わらず。ロマゴン出てワンツー端緒に連打。345678、と続けようとする。
フライ級までの頃なら、この中に一打で相手を止め、倒すパンチを打てたが、今はそうもいかない。
しかしその分、ボディにもパンチを散らし、淀みない連打で相手を飲み込もうとする「型」は確立されている。

エストラーダも間断なくロマゴンの攻勢にさらされながら、構え崩さず足使い、しかし止まるべきときはしっかり止まり、迎え撃ち。
左ボディを織り込んだコンビ、右カウンターで対抗。


8回あたりから、両者コンビにアッパーのヒットも入り始める。
9回、ロマゴン攻勢強め、エストラーダがロープを背負うように。
ロマゴン、ワンツー端緒に7連打。またワンツー。エストラーダ、致命傷になるようなパンチは外しているが、押されている。
最後左ボディ返すが、はっきり劣勢。
10回もロマゴンの小さいワンツー、右が入って、一瞬エストラーダの身体がロープに当たる。

このままロマゴン押し切るか、という流れだったが、終盤はエストラーダも下がりながら連打の手数を増やす。
共にパワーショットは打ち込めず、細かいパンチの応酬。
ロマゴンもインサイドからショートを打ち込むが、エストラーダ足使って回り込み、アウトサイドからの左ボディなど、ロマゴンのプレスを外しつつヒットを取る。
見た目にわかりやすいのはエストラーダの方か。


終始競った内容のラウンドが続き、採点しろと言われても本当に難しい試合。
個人的には中盤から終盤、前に出て攻勢を取りつつ渡り合っていたところを見て、僅差でロマゴンか、ドローくらいか、でも逆あっても不思議はない、という...要するにどっちかわかりませんでした(笑)。

判定は2-0、エストラーダ。
第二戦とは違って空席が見当たらず、場内のムードが非常に盛り上がっていた故に、エストラーダの見映えの良さが強調されたかな?という印象でもありました。


それにしても、試合内容や採点どうという以前に、この二人が闘えば、こうして互いに良さを出し合い、封じようとし合う構図が延々と続くのだろうなあ、と改めて思ったようなことです。
どうやっても、はっきりと差のついた決着にはなりそうもない。終わりなき「延長戦」を見た、という印象でした。
まるで未来永劫闘い続ける、神話の世界での神々の闘い、とまでいうと、さすがに大げさかもしれませんが...。



ただ、今後に関しては、もう他の相手と闘ってほしいなあ、とは思いました。
試合後、勝ったエストラーダ、第四戦についても峻拒するようなことはなかったらしいですが、いくらそこに彼個人の「利」があったとて、それは王者としての立場を証すことにはならない、という気がします。

問題はそこに誰が挑んでいくのか、という話ですが...ジェシー・ロドリゲスが「移動」してしまった今、青コーナーに立って然るべき、と言えるのはいったい誰なのか、ですね。
日本で大晦日にある試合が、それを決めるものになるのかどうか、蓋を開けて見終えないと何とも言えないのが、もどかしいところですが。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

試合後もプロの仕事 フューリー、完勝してウシク戦アピール

2022-12-08 09:05:21 | 海外ボクシング



日曜早朝は英国ロンドン、2019年に竣工なったトッテナム・ホットスパー・スタジアムにて、WBCヘビー級タイトルマッチ生中継。
オンデマンドでなくTV放送。この辺はヘビー級の威光でしょうか。


しかし試合自体は、こんな感想もあり。





まあ、何もここまでばっさり斬るような感想を持ったわけではないですが、フューリーとチゾラ、フューリー過去二勝の三戦目、スパーリングパートナーとして長く、親交もあって、そいで試合展開がワンサイド、しかしながら詰め切れず(切らず?)、10回まで行って、フィニッシュブローのないストップ、とくれば、悪いですが見ていてあまり気が入らなかったのも事実ではあります。

もっとも、フューリー、万全の水漏れ無しモードには遠かったですが、それでもタイミングの良さ、当てるの優先の右クロス、その角度の鋭さは目を引きました。
チゾラは言うまでも無く、懸命の闘いぶりを見せていました。



しかしフューリー、偉いのは試合後、もうひと仕事をしっかりやっているところ。
自賛のコメントはまあ聞き流すとして、会場に来ていたオレクサンドル・ウシクをリング・エプロンに招き、そこにジョー・ジョイスも加わって、一見すると挑発しているように見えますが、実は観客や視聴者に「紹介」している、という。
色々言いながらも最後は両者と握手し「ビッグファイトをこれ以上回避してならない」と主張。
満場の喝采を浴びておりました。私もTVの前で思わず拍手したい心境でありました。


いやホンマに、来年はこの辺の組み合わせを、もう少し寒くない時期に、英国に数多あるフットボールスタジアムのどこかで、ばばーんとやってもらいたいものですね。
日本でも年に数回、ドーム球場でとはいかずとも、大アリーナでの興行が行われていますが、同じようにこちらも盛り上がっていきたいものだなあ、と思ったりもした次第です、ハイ。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

阿部麗也、際どい間合いでの「斬り合い」制す 前田稔輝、健闘も初黒星

2022-12-07 08:40:15 | 関東ボクシング



土日の試合、感想文続き。
関西ボクシングの貴重なホープ、日本拳法出身のサウスポー前田稔輝の日本タイトル初挑戦は、後楽園ホール。
G+生中継がありまして、しっかりと見られました。


しかし挑む相手が、自称、と頭につくものの、実際は自他共に認める、と言って良さそうな、センス溢れる「天才」阿部麗也。
前田は、悪いのが王者のときに挑むことになったものだなぁ、と思いつつ、一打の威力、タイミングに秀でた前田なら、阿部を捉えて倒す可能性ありか、と思ってもいました。

初回、サウスポー同士の優劣は右リードの応酬で決まる、とは言い尽くされたセオリーですが、互いに下げ気味のガードから、右リード。
前田の右ジャブを、阿部が敏捷に躱す。前田は振りの小さいジャブを2、3発。外されると少し前に伸ばした右を打つが、これも阿部が躱す。

2回、阿部が出る。左ボディから右ショートフックの返し。
前田も攻めて、左ストレートから右フック返し。これに阿部が右フック合わせ、相打ち。
阿部左ストレートをカウンター。

3回、両者右ジャブ当て合う。前田がダイレクトで左のクロス。
しかし阿部がダブルジャブから左、そして右返し。前田のパンチを外して右フックのヒット追加。
前田も左ストレート当て返す。


両者ともにシャープで、好調そう。しかし全体的に、阿部の方が攻防のバリエーションに富み、多彩。
際どい打ち合い、というより斬り合い、外し合いという展開は、前田にすれば力を出せる展開のはずだが、相手のレベルがこれまでの試合とは、全然違う。


中盤以降、両者足使ったり、圧したりと、目まぐるしく展開が変わる。
前田が足を使うと阿部がファイター風に頭を動かして迫り、阿部がステップを踏むと前田がジャブから切り込んで行く。

5回、前田の左ストレートを外した阿部の右フックがヒット。
6回は詰めた間合いに立った両者。阿部の左クロスが入るが、前田の左アッパーもかすめている。
しかし前田も左ストレートを当てる。スリルある攻防続く。


インターバル中、ふと見ると、前田がうがいして吐いた水が真っ赤。
口からの出血は少し前から始まっていたが、ただ切れただけでこうなるものか、それとも...過去の事例がいくつか、頭に浮かんでくる。


7回、阿部が身体を少し沈めた姿勢から左。前田も左ストレート。この後、阿部も瞼をカット。側頭部からも出血あった。
8回以降も互いに際どく外し、当て合う。間合いはけっこう詰まっている時間が長い。
互いにリスク承知、しかし安易に打たせない。レベルの高い打ち合いというより「斬り合い」という風情。

9回、前田の小さいワンツー決まる。直後もつれ、阿部が前田をリフト。余裕あり?
しかし阿部、やや疲れ?前田が右ジャブ、阿部の左外して右フック。出鼻に左のショート。
クリンチの際、阿部がもつれたまま打ち続ける。ラフと言えばそうだが、不思議と「闘志の現れ」と見えるのは、ここまでの試合展開がクリーンだったせい、か。

この回取られた阿部だが、10回立て直し。右リードを正確に当てる。
前田左ヒット。さらに阿部の左右を外す。しかし阿部、さらに三発目を返して左ヒット。
終盤に来て、闘志失わず動きも落とさず、センスの片鱗を見せる。この辺りはさすが阿部。

しかし11回、前田苦しいながらも左を鋭く突き立てるヒット。
最終回も劣勢を意識して、鋭い右リードから前に出て、左クロスのヒットに繋げる。
阿部も左をヒットし返す。前田が手数を出して攻めるが、阿部は大半を躱して、試合終了。

判定はドローがひとり、あとは二者が阿部。
僅差という見方はあるか、と思うがドローはないかな、という印象でした。



WBOアジアパシフィックのタイトルがかかっていたので、12回戦となりましたが、王者阿部、挑戦者前田ともども、終始質の高い...というのみならず、スリル溢れる攻防を見せてくれました。
両者ともに積極的で、間合いも詰め気味、際どいタイミングで狙い合い、その上で外し合う。
おそらく国内のレベルにおいて、これ以上中身の濃い、目の離せない12ラウンズを見られるカード、組み合わせは、そんなにはないと思います。


その上で、やはりキャリアにまさる阿部麗也が、多くの局面で、ヒットの深さ、正確さ、そして試合運びの巧みさにおいて、前田稔輝の上を行っていた、と見えました。
時に前田の鋭い左、右返しを受けても、その都度立て直し、かと思えば即座に「相殺」の手を打ち、という具合で、終始試合の展開をリードしていて、若干ピンチと見える時間帯があっても、それを長引かせることがなかった。
数字を言えば小差、中差のいずれにしても、クリアな勝利だったと見ました。


前田稔輝はどうやらアゴを折っていたらしい、という話もあるようです。
はっきり報じた記事などは見ませんので、真偽の程は不明ですが、それがなくても、阿部麗也のような一級品の王者...元々天才的なセンスを秘め、挫折を経てその生かし方も身に付けた王者相手に、最後まで脅威を与え続ける、手強い挑戦者だった。
その闘いぶりは見事でした。
敗れたとはいえ、恥じることのない試合だったと思います。


一打の強打を秘めた挑戦者を迎える王者、一級品のセンスを持つ王者に挑む挑戦者、振り返ればどちらから見ても「冒険カード」の趣あり、な一戦でしたが、そういう試合だからこそ、やはり組んで、やって見せると、やっぱり、良い試合になる。
そういう「好例」として残った試合でした。両者に拍手、両陣営にも拍手を送りたいと思います。




コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

強敵相手に10ラウンズ 小林豪己、実りある5勝目

2022-12-06 11:47:00 | 関西ボクシング



ということで府立のトリプル戦感想、続き。

順番でいうと最初、WBOアジアパシフィック、ミニマム級王座決定戦は、真正ジムのヘッドハンターならぬボディハンター?小林豪己が、フィリピンのマルコ・ジョン・リメンツォに10回判定勝ち。
ラウンド数の件はまたもや、という感じですが、内容的には見応えありな試合でした。


リメンツォは13勝(10KO)3敗。怒り肩のサウスポー。
京口紘人に判定負けのサタンムアンレックに敗れたのを最後に、加納陸をKOしたジェリー・トモグダンを倒すなど、直近5連続KO勝ち。
内容を低く見積もっても、ミニマム級ではなかなかの強敵、というところ。まして5戦目の小林にとっては。


初回、サウスポーということもあり、リメンツォ遠目に「布陣」。
小林からすると少し遠い間合い。右ストレート出すが、得意のボディブローは出ない。
リメンツォは左リターン、アッパーも覗かせる。スピードがあり、厳しい対応。
なかなかの実力、そしてやる気も見える。
3分見て、これは「ホンマのやつ」や、とはっきりわかりました。

2回、右ボディストレートは遠いが、小林は身体をサイドに寄せて、左ボディをヒット。
このパンチと、インサイドへの左アッパーが上に返るダブルも。

弱い相手ならこれで捉えた、となるが、3回リメンツォはスタートから出て右アッパー。
両グローブを前に出して動かしつつ打ってくる。
小林また左ボディ決める。右ストレートも際どく飛ぶ。

リメンツォ、強気に打ち合うが小林の左ボディを食らってしまう。
5回になると小林の右ボディブローも再三出て、徐々に小林優勢に。

しかし後半に入ってもリメンツォ、果敢に打ち返す。
8回はリメンツォの左ヒット、連打に左アッパー。
少しずつ顔を腫らしながらも抵抗して、小林を苦しめる。


両者疲労しつつ打ち合う中、9回に小林、意地で?ひと山作る。
左、右とボディ打ちで攻め、リメンツォを下がらせる。
途中、リメンツォの足に入るローブローもあったが、右ボディをクリーンに決めたあと、リメンツォをコーナーに追って、左ボディ二発。
闘志を見せていたリメンツォだったが、ついに崩れてダウン。

最終回、フィニッシュこそ出来ませんでしたが、右上下で攻めきって終了。
判定は3-0小林。納得の判定でした。


これまではボディ攻撃の威力でバタバタと倒してきた小林だが、闘志と攻撃力、耐久力を備えた「良い相手」との闘い。
攻防共に初めて、素の力を試される試合で、良さを出しつつ課題も見えた。
俗に言う「勝って勉強出来る」試合というか。何しろ、見応えありの濃密な一戦でした。


まがりなりにも、というと語弊があるかもですが、タイトルマッチ云々を抜きにして、今、この段階における小林豪己にとって、良いマッチメイクだったなあ、と思います。
こういう、やる意味のある試合をこれからも重ねて行けば、遠からず重岡兄弟の対抗馬として、より一層注目されることでしょう。
そしてその先、その上の話も、然るべきものとして語られるようになるはずです。

見終えて、素直に良い試合、意味のある試合を見たなあ、と思えました。小林豪己の今後に期待です。





順番で言えば一番最後、日本ライトフライ級タイトルマッチは、冨田大樹と芝力人による空位決定戦がドローに終わり、新王者決まらず。
YouTubeで見ていた限りでは、冨田のジャブ、ストレートのヒットが、派手な動きとフックのコンビネーションの芝を、小差ながらクリアに抑えたか、と見えたのですが。
もっとも判定については、通信状態がいまいちで、画像が止まることも多かったし、はっきり言い切れる見解を持ち得ない、というのが正直なところです。


ただ、コロナ渦において、無観客試合ながらYouTubeでライブ配信され、多くのボクシングファンの目に触れる機会となった堀川謙一戦の完敗によって、不当に低く評価されていた?冨田大樹の実力が、多くのファンに見直されたのではないか、という意味で、見ていて喜びの感情がありました。
ご覧の通り若干地味な?作りのボクシングですが、その地力は確かなものがあります。
本人、試合後は判定に落胆していた様子で、それが退場時にもちらっと見えましたが...他人が簡単に言えることではないですが、再戦なり、他のタイトル挑戦なりで、再起のチャンスが与えられてほしいし、ひとまず心身を休め、また挑戦してほしい、と思います。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

劣勢から、全てを賭けて「勝負」に出たが 堀川謙一再起ならず、壮絶KOに散る

2022-12-05 08:44:35 | 関西ボクシング



土曜と日曜、わかってはいたことですがたくさんの試合を立て続けに見て、感想を書くヒマがなく、また頭も追いついていないような状況です(笑)。
まあ順番にぼちぼちやっていくとして、個人的に一番、気がかりだった試合から。



そういうわけで、いまいち通信状態がよろしくない、YouTubeはBOXING REALチャンネル配信で見た、府立第一でのトリプルタイトルマッチから。
その中で、順番で言えば二試合目、堀川謙一vsジョン・キャノイ(カノイ、と従来なら表記していた名前ですかね)の一戦は、キャノイの7回KO勝ちでした。


この日登場したフィリピン人ボクサーは、ベテランのジョナサン・タコニングを含め、日本人ボクサーに楽をさせない、というに留まらない「ホンマ」な選手が揃いました。
ジョン・キャノイは18勝5敗2分、無効試合ひとつという戦績。
無敵の強者ではないが、ヘッキー・ブドラーやヌコナシティ・ジョイに敗れ、メルビン・ジェルサレム(正月に、谷口将隆に挑戦)に勝ち、と、中身があるキャリア。


小柄なサウスポーのキャノイ、意欲的に左を見せるスタート。
2回、キャノイの右フックが入り、堀川右膝をキャンバスに着いたように見えるが、レフェリーは見逃し。
キャノイがここから1分近く?猛ラッシュ。堀川をガード一辺倒にさせ、打ちまくる。
堀川がしばらく、一発も手を返せない守勢に立たされる。

これ、ダウンの後なんかに、これだけ手を出せないままだと止められるかも、という「絵」。
というか、スロー映像みたらダウン取られて仕方ないように見えた、キャノイの右フック好打から始まった攻勢なわけですが...。


しかし堀川、徐々に手を返す。左ボディをヒット。なんとか凌ぐ。
3回以降、ボディブローを返して、徐々に立て直し。右クロスのヒットも。

4回、キャノイが左右ヒット、堀川も打ち合いに応じる。堀川のボディブローは効果を上げているようにも。
しかし5回、キャノイが右アッパーを織り込んだコンビ。堀川スリップダウンの場面も。

6回、キャノイも一度スリップ。その後、堀川が猛攻。休み無く打ち合い、攻め込む。
キャノイの右フック、左アッパーを浴びながら、ショートの打ち合いから左右のボディを決める。

一発の威力でキャノイがまさる。堀川、細かい手数を見せ、右ショートを決めたものの、打ち勝った、とまでは言えない。
しかし、激しい攻防が続く。
ベテランの意地、再起に賭ける意欲が伝わってくるが、同時にベテランらしくない、さらに言うなら堀川らしくない、わかりやすい「好ファイト」の構図がリングに描かれている。


これをどう見たものか...と思っていた7回、その結論が出ました。
キャノイが左ストレート、右フック返し、右アッパーを強振、立て続けにヒット。
堀川打たれ、なんとか凌いだように見えたが、動きが止まり、もう狙い打ちされている。
そこにキャノイの左アッパー。堀川背中から倒れ、大の字。カウント途中でTKOとなりました。


42歳でなおも起ち、さらに「上」を目指すための闘いに挑んだ堀川でしたが、その試合ぶりは本来、得意とする地味な攻防での技巧、妙味を出す、というものにはならず、見た目にわかりやすい、激しいものになりました。
ベテランの意地、衰えぬ闘志を見た感動とは別に、試合としてはジョイ・キャノイの前に劣勢となったが故に、そうした持ち味を出せず、正面から勝負を賭けての打ち合いをせざるを得なかったことも、はっきり見えた試合でした。
本人の試合後のコメントは、やはりその現実を重く受け止めたもの、と読めます。



15年の師走、寺地拳四朗との「京都ダービー」、今から思えば実質、世界挑戦に等しい試合だったかもしれませんが、あの試合ですでに、勝ち負け関係なく引退を決意していた事を思えば、今日まで闘い続けてきたことは、傍目のみならず、本人にとっても予想外の「続編」だったのかもしれません。

しかしそれ以降も、堀川謙一の闘いは変わることなく続きました。
数々の強敵との闘いを経て、世界挑戦まで後一歩、というところまで迫りましたが、遂にその悲願は叶わぬまま終わるようです。
本人の無念いかばかりか...というところですが、こちらとしては、地味に巧いが決定打に欠ける、という印象だった若手の頃から、その巧さを彼自身の信念でもって磨き続け、今日に至るまで、その「歴戦」の数々をじっくり見せてもらえた、という満足感がありもします。


今後のことはわかりませんが、その偉大なキャリアに拍手を送りたい。今はただ、それだけを思っています。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

無念で苦い「打ち切り」 カシメロ、赤穂戦はノーコンテスト

2022-12-03 17:50:17 | 海外ボクシング



WOWOWオンデマンド見終えましたが、感想と言っても、何と言って良いものか、という試合でした。


ジョンリエル・カシメロと赤穂亮の対戦は、両者左フック振って入り、目で外し合う、スリルある攻防が見られる。
相変わらず左ボディを突き立てるときはガードがら空きの赤穂に比べ、こちらもラフながらまだ狙いがきちんとあるカシメロが、早々に強振し合う。
どちらも「らしい」闘いぶり。
カシメロは122ポンドでも、あまり様子変わらずでした。

初回3分、元気いっぱいだった赤穂を抑えようとしたか、カシメロが攻めてくる。
右ロングで追われた赤穂、攻め込まれるが左フック?当てて、カシメロがグローブついてダウン。
ダメージはないが、ポイントは失う。

しかしカシメロ、再開後断続的に攻める。赤穂の右アッパー気味のパンチにカシメロが左フック、交錯するがダメージ負ったのは赤穂。
赤穂はロープに追われて打たれ、単発返すが劣勢。
右食ってもつれたところで、赤穂が後頭部を押さえて、試合が中断。

ラビットパンチか?赤穂は相当きつそう。休憩に入るが、かなり経っても足元がふらついている。
何しろ後頭部へのダメージだけに、無理に続行させられるわけもなし。
結局試合が打ち切られ、ノーコンテストとなりました。


この試合、興行の背景を考えれば、赤穂も当然、カシメロにとっても無念の結果で、なんとか試合を成立させたかったでしょうが...こういうこともある、というしかない、のでしょう。
しかしジョンリエル・カシメロ、122ポンドで良いコンディションは作れるし、動きも良く、馬力も変わらずあるところを見せました。
新体制での最初の試合、その点は「証明」した、と言えるでしょう。


赤穂亮は本当に、改めて無念だったというか。
ただ、こうしたアクシデントを招いた要因は、やはり彼の側にもあった、とは思います。
ジョーさんも試合後、一言だけ小さい声で漏らしていましたが、どうしても頭を下げるので、という...。

ただ、それはひとまず置くとして、やっているボクシング自体は相変わらず危なっかしいですが、変えようもない彼自身のあり方を貫いて闘う、その意志ははっきり見えました。
それだけに、勝ち負け以前の「決着」が見たかったし、彼もそれを我々に見せたかったことだろう、と思います。



いろいろ楽しみにしていた試合でしたが、本当に残念でした。
今後どういう展開があるものか、あり得るものか。
赤穂本人のみならず、周囲も含めて、試練の時かもしれませんね。


コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日、画期を成す一戦 カシメロvs赤穂亮プレビュー動画

2022-12-02 12:27:55 | 海外ボクシング


ということで明日から三日間、ボクシングの生中継やライブ配信が立て続けに始まります。
聞けばボクシングのみならず、格闘技やキックも週末にえらい数の興行が重なるのやそうで。6興行とか?
そんなに数あるのか、というのも驚きですが、それが重なってしまうというのも。どこも大変なんですね。


ネット配信花盛り?と言ってていいのかはともかく、あれこれいろいろ見られる昨今ですが、BoxingRaiseと並び、いち早くネット上での展開に乗り出し、実験的な試みを含めて頑張ってきたA-Sign、横浜光ジムと、元世界王者の伊藤雅雪「氏」のTBプロモーションによる、韓国でのジョンリエル・カシメロvs赤穂亮戦が、明日に迫って来ました。
ドキュメンタリーと会見の動画、紹介します。





カシメロ側の、前マネージャーやかつての取り巻き連中による妨害、それを乗り越えるために、石井会長が「ここまで」していたのか、というのは、ボクシングビートのコラムなどでも読んで知っていましたが、改めて驚きです。
そして、新しいマネージャーやチームの元、カシメロが難しい状況でもポジティブな態度を崩さないことにもまた。

赤穂亮の方は、停滞感もあった一時期を過ぎ、世界戦以外ではキャリア最大の試合に向けた意気込みが伝わってきます。
必見のドキュメントですね。





昨日の会見。カシメロの新体制下での意欲が、やはり印象的。
ジョニー・ゴンサレスや渡邊卓也のコメントもしっかり入ってます。
リングの上では闘う間柄のボクサー同士ですが、互いに敬意を払っている様子もいいですね。



明日は午後からWOWOWオンデマンドを見て、夕刻からはG+で阿部麗也vs前田稔輝戦です。
アンダー含め全部張り付いて見るというわけにはいきませんが、大事なところは全部見たいと思っています。楽しみですね。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田中恒成vsシッキボ戦、paraviでライブ配信 しかし別料金要

2022-12-01 14:11:12 | 中部ボクシング



大晦日の井岡一翔、フランコ戦アンダー、堤駿斗vsピート・アポリナル戦などがparaviで配信されるのと同様、同じTBS系列のCBCで生中継される、11日の田中恒成vsヤンガ・シッキボ戦も配信あるといいなあ、と思っていましたが、望み通り配信されるとのこと
しかもTV放送同様メインのみ、それと同じものをそっくりそのまま流すだけ、かと思ったら違って、セミの畑中建人vs浅海勝太戦も配信される。


これは嬉しい話、と思ったら世の中そんなに甘くない(笑)。
paraviの月額料金に加えて「レンタル・LIVE」の別料金がかかります。お値段1300円也
ま、言ってみればPPVですね。


そりゃ、名古屋まで往復してチケット買って見るよりは安いわけですが、ちょっと残念。
セミが追加されるにしても、噛ませさん相手の試合よりは良いが、プレミアム感を上乗せする好カード、とまでは言えないのも確かで。


でもまあ、しょうがないので月額視聴契約、プラスレンタル料金支払って見るとします。
しかしこの「しょうがない」の設定がどの程度高いか低いかで、だいぶ受け止め方の違う話、ではありますね。
少なくとも、広く多くに見られる機会の獲得、というわけにはいくまい、と思えます。むー。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする