さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

天才の輝き、一瞬で暗転 富岡浩介、ドミンゴに逆転KO負け

2022-12-27 14:00:52 | 関東ボクシング



ということで「ホール納め」の試合、昨夜はみんな大好きdTVで見ておりました。
メインはもちろん激戦必至と評される一戦だったわけですが、個人的に昨日のメインというか、一番の注目は、実は第二試合。
心配な天才肌兄弟の一員、富岡浩介が、ホープ飯村樹輝弥を破った「ホンマ」の強敵、エスネス・ドミンゴと対する一戦でした。


初回は痩身のサウスポー富岡が、スピードと距離で外していた印象。
ドミンゴは鋭い左フックで脅かす。
しかし2回から徐々に、富岡が身体を逃がして外すより、身体を残して打ち込みに行く方へシフトしていった感。
その分スリルある攻防が増える。ドミンゴの右ストレートが危ういところに届き、冨岡紙一重で躱して左返す。


3回、富岡がチャンス作る。スリーパンチの三発目、クリーンヒット。
右ジャブは捨て気味、左をストレートでなくアッパー気味の軌道でボディへ送り、直後に、大外から振り下ろす感じの右フックがドミンゴのテンプルにヒット。

ドミンゴぐらつき、冨岡追撃。20秒ばかり、強打を重ねる時間を二度作る。
ドミンゴ、足取り乱れ、ロープに追われて腰が落ちかけ、挙げ句に左瞼から出血。


しかし冨岡、詰めの段になってから、今ひとつ単調というか、緩急がない。内外の打ち分けによる狙いも乏しい。
本人のプライドとしては、強打して倒したかったのかもしれませんが、そこはある程度妥協して?ストップを呼び込む「絵作り」のための、連打のバリエーションが欲しかった。
ドミンゴが懸命に耐えたこともあるが、ここが富岡の課題かも。


とはいえ4回、冨岡優勢。右リードで測って、良い距離で闘えている。
冨岡、速いワンツー、さらに速い右フックフォローがズバリ決まって、ドミンゴを倒す。
リーチでまさる上に、間を詰めたワンツーの速さは、目にも止まらぬ、というベタな表現が通じるもの。

冨岡、ドミンゴをロープへ追って追撃するが、ドミンゴ耐えて右を返す。
このパンチで冨岡、マウスピースを出してしまい、レフェリーが止めて、マウスピースを入れ直して再開。

直後でした。ドミンゴが右ボディを外され、歩幅が狭まったまま身体を残す。
そこから前にのめるかと思ったら、右足を半歩退いてスタンスを作り直し、右を上に振る。
これが冨岡の右顔面にまっすぐ入り、冨岡、崩れるようにダウン。
ダメージ甚大で、立ち上がって続行をアピールするも、身体がよれていて、ストップとなりました。



勝利目前で大きな星を落としてしまった富岡浩介ですが、やはりその闘いぶりは、目を離せないものでした。
以前より、身体も少しずつ出来てきて、スピードとセンスは変わらず光る。
しかし上記のとおり、ところどころ「不備」も残ってはいて、見ていてやっぱり心配。
そして最後、本当にちょっとした隙というか、勝負の綾がどうこうという部分も含めて、ボクシングが描く明暗を、残酷なほど鮮烈に描いてしまう。

目先の勝敗や、今後へ向けての課題などはもちろん大事で、本人も陣営も、当然のこと、それをしっかり考えて、再び闘うために起つことでしょう。
しかし、見ているこちらとしては、とりあえずそれはおいといて、この若く美しいボクサーが放つ存在感というか、良し悪し含めて普通ではない部分に目を引かれてしまいます。
もちろん、願わくば、3度目となる敗北をも、さらに糧として、明るい今後が見えれば、と思いはしますが。



そして勝者エスネス・ドミンゴ。実況解説によればベストはライトフライだとかで、冨岡とは階級差が、体格差が、という話でもありましたが、見た感じではそんな印象もなく。
飯村樹輝弥相手には地力で完全に勝っていたが、今回は冨岡の天才的なセンスとスピードに、KO負け寸前の大ピンチに陥りました。
しかしそこから、たったひとつの転機というか、マウスピース装着直後のコンタクトで、強打を決めるチャンスを逃さずに逆転KO、これはもうお見事としかいえません。
それまでの展開でも、ぐらついたりダウンしたりしながら、冨岡の追撃を堅いガードと懸命の反撃で耐え抜いていたからこその逆転でもありました。

ベストがフライ級かどうかはわかりませんが、この近辺階級でホープと目される選手には、是非このドミンゴと対戦してもらいたい、と思います。
勝てば名前が上がりますし、傍目にも好試合、間違いない「ホンマ」の試合が見られる、という信頼感がある。
地域タイトルを持つではなく、世界ランク下位に名前があるでもなく、でも強い、という、日本ボクシング業界、その「村」の慣例からすれば、従来は「いなかったこと」にされてしまうような選手ですが、短期間で二度も来日してくれて、その試合を見られたことは、ファンとして僥倖だったのかもしれません。
しかし出来れば、来年以降も日本のリングで、その姿を見たい、と思いますね。




しかしPXBのナレーション、このドミンゴを「外来種」と呼ばわっていたのだけは、如何なものかと思います。
何と雑な言葉選びか...それなりに熱意を持って作られていることもわかる番組ではありますが、その反面、こういうところはなぁ、と。
あと、またアーカイブは月またぎですね。一言、セコいです。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする