さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

劣勢から、全てを賭けて「勝負」に出たが 堀川謙一再起ならず、壮絶KOに散る

2022-12-05 08:44:35 | 関西ボクシング



土曜と日曜、わかってはいたことですがたくさんの試合を立て続けに見て、感想を書くヒマがなく、また頭も追いついていないような状況です(笑)。
まあ順番にぼちぼちやっていくとして、個人的に一番、気がかりだった試合から。



そういうわけで、いまいち通信状態がよろしくない、YouTubeはBOXING REALチャンネル配信で見た、府立第一でのトリプルタイトルマッチから。
その中で、順番で言えば二試合目、堀川謙一vsジョン・キャノイ(カノイ、と従来なら表記していた名前ですかね)の一戦は、キャノイの7回KO勝ちでした。


この日登場したフィリピン人ボクサーは、ベテランのジョナサン・タコニングを含め、日本人ボクサーに楽をさせない、というに留まらない「ホンマ」な選手が揃いました。
ジョン・キャノイは18勝5敗2分、無効試合ひとつという戦績。
無敵の強者ではないが、ヘッキー・ブドラーやヌコナシティ・ジョイに敗れ、メルビン・ジェルサレム(正月に、谷口将隆に挑戦)に勝ち、と、中身があるキャリア。


小柄なサウスポーのキャノイ、意欲的に左を見せるスタート。
2回、キャノイの右フックが入り、堀川右膝をキャンバスに着いたように見えるが、レフェリーは見逃し。
キャノイがここから1分近く?猛ラッシュ。堀川をガード一辺倒にさせ、打ちまくる。
堀川がしばらく、一発も手を返せない守勢に立たされる。

これ、ダウンの後なんかに、これだけ手を出せないままだと止められるかも、という「絵」。
というか、スロー映像みたらダウン取られて仕方ないように見えた、キャノイの右フック好打から始まった攻勢なわけですが...。


しかし堀川、徐々に手を返す。左ボディをヒット。なんとか凌ぐ。
3回以降、ボディブローを返して、徐々に立て直し。右クロスのヒットも。

4回、キャノイが左右ヒット、堀川も打ち合いに応じる。堀川のボディブローは効果を上げているようにも。
しかし5回、キャノイが右アッパーを織り込んだコンビ。堀川スリップダウンの場面も。

6回、キャノイも一度スリップ。その後、堀川が猛攻。休み無く打ち合い、攻め込む。
キャノイの右フック、左アッパーを浴びながら、ショートの打ち合いから左右のボディを決める。

一発の威力でキャノイがまさる。堀川、細かい手数を見せ、右ショートを決めたものの、打ち勝った、とまでは言えない。
しかし、激しい攻防が続く。
ベテランの意地、再起に賭ける意欲が伝わってくるが、同時にベテランらしくない、さらに言うなら堀川らしくない、わかりやすい「好ファイト」の構図がリングに描かれている。


これをどう見たものか...と思っていた7回、その結論が出ました。
キャノイが左ストレート、右フック返し、右アッパーを強振、立て続けにヒット。
堀川打たれ、なんとか凌いだように見えたが、動きが止まり、もう狙い打ちされている。
そこにキャノイの左アッパー。堀川背中から倒れ、大の字。カウント途中でTKOとなりました。


42歳でなおも起ち、さらに「上」を目指すための闘いに挑んだ堀川でしたが、その試合ぶりは本来、得意とする地味な攻防での技巧、妙味を出す、というものにはならず、見た目にわかりやすい、激しいものになりました。
ベテランの意地、衰えぬ闘志を見た感動とは別に、試合としてはジョイ・キャノイの前に劣勢となったが故に、そうした持ち味を出せず、正面から勝負を賭けての打ち合いをせざるを得なかったことも、はっきり見えた試合でした。
本人の試合後のコメントは、やはりその現実を重く受け止めたもの、と読めます。



15年の師走、寺地拳四朗との「京都ダービー」、今から思えば実質、世界挑戦に等しい試合だったかもしれませんが、あの試合ですでに、勝ち負け関係なく引退を決意していた事を思えば、今日まで闘い続けてきたことは、傍目のみならず、本人にとっても予想外の「続編」だったのかもしれません。

しかしそれ以降も、堀川謙一の闘いは変わることなく続きました。
数々の強敵との闘いを経て、世界挑戦まで後一歩、というところまで迫りましたが、遂にその悲願は叶わぬまま終わるようです。
本人の無念いかばかりか...というところですが、こちらとしては、地味に巧いが決定打に欠ける、という印象だった若手の頃から、その巧さを彼自身の信念でもって磨き続け、今日に至るまで、その「歴戦」の数々をじっくり見せてもらえた、という満足感がありもします。


今後のことはわかりませんが、その偉大なキャリアに拍手を送りたい。今はただ、それだけを思っています。



コメント (2)
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