さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

早くも「日本人キラー」キラー?に挑む 武居由樹、5戦目でOPBF挑戦

2022-06-18 20:15:24 | 関東ボクシング



今日、所用で会った友人から聞かされて驚いたのですが、情報はもう出ていたんですね。
武居由樹、次戦はOPBFスーパーバンタム級王者、ペテ・アポリナルに挑戦決定。
8月26日、ホールで開催とのこと。
記者会見動画がYouTubeに上がっていました。







ひかりTVも、なかなか力入れているなあ、という感じがします。
NEXTモンスター、という売り文句で取り上げられることの多い中谷潤人や、井岡一翔の後継としてTBSが期待する?堤駿斗らと並び、井上尚弥に続く「次代」を担う一人として注目すべき、武居由樹の初タイトルマッチですから、当然といえばそうでしょうね。

試合数、さらにいうならラウンド数を考えると、このような試合を闘うまでに、もうちょっとキャリア積みたかったところかもしれません。
ただ、ここまでの試合のレベルで言えば、圧倒的なパンチ力、普通ではない精度とタイミングを持っていて、なおかつ、それにかまけた驕りも緩みも見られない、その闘いぶりにはケチのつけようがありません。
もちろん不安もありはしますが、楽しみな気持ちの方が上回っています。

今月は29日に、橋詰将義vs田中恒成というビッグカードが見られますが、ふた月先にも大きな楽しみができました。
これらの試合をライブで見られるんですから、本当に嬉しいことですね。


挑む先、ペテ・アポリナルについては、日本人キラーで売ったジュンリエル・ラモナルをKOした際に、記事で取り上げました
これだけでは何とも言いにくいですが、井上尚弥のパートナーとして来日していて、その際に実際の姿を陣営も見ているでしょうから、全体像も把握はしているんでしょうね。



しかしこの人「ペテ」さんだったんですねえ。
正しい読み方がそうなんだったら、何も言えることはないんですが...いや、それでも、ウソでも「ピート」にしといたらええんやないのかなあ、と。
そっちの方が強そうだし。
...まあ、どうでもええことではありますが。





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海外で勝ち取った評価の証 京口紘人に統一戦オファー

2022-06-16 15:43:14 | 海外ボクシング




メキシコで何かと大変な試合を勝ち抜いて帰国した京口紘人に、マッチルームから統一戦のオファー、という記事です。
9月17日、カネロvsゴロフキンのアンダー、相手はWBO王者ジョナサン・ゴンサレス。
これだけでも充分大きな話なのに、記事によると、国内プロモーターから届いているWBC王者寺地拳四朗とのオファーと比べて、3倍の金額なのだそう。


マッチルームにすれば、メインがDAZNのボクシング参入当初から「これが目的」だと言われていたビッグカードであり、そのアンダーに持ってくる時点で、好条件のオファーを出して当然というところでしょう。

また、京口とジョナサン・ゴンサレスを比較した場合、おそらくどちらが「Aサイド」かというと、その闘いぶりがエキサイティングなのは、という観点でいけば、京口の方でしょうね。
本来ならDAZNのライトフライ級ウォーズ、その主役はエルウィン・ソトなり、その前のアンヘル・アコスタなりが担うはずだったのでしょうが、彼らが敗れた以上、ひとまずは京口がその任を託された、とも言えそうです。

さらに言うなら、井上尚弥の大活躍で活況、とあちらからは見える(もちろん、部分的には間違いではないですが)日本のマーケットにおいて、京口が大を成す存在になってくれれば、という期待もあるのでしょうね。
その上で、エルウィン・ソトなり、他の誰かなりが、アメリカ西海岸では訴求力のある軽量級シーンの人気選手を代表して、統一王者となった京口と闘えば、これまたビッグカードとなる、という展望があるのだろう、と思います。


まあ、何から何まで良いことずくめに思えます。
唯一、これが実現してしまうと、寺地拳四朗との対戦がなくなってしまうのが残念ですが。

しかし、オファーの額が3倍違うのが事実であれば、そして、それがなくとも、勝ち進んだ先の展望の有無なども考え合わせると、これだけ良い話であれば、京口がどちらを選ぶ「べき」かは、明らかに思えます。
拳四朗、京口戦が実現して、良い試合になってどちらかが勝っても負けても、その先に広がりのある話があるかというと、別にないわけでしょうしね。

こればかりは、どうしようもないというか。ファンの勝手を言えば残念ではあるものの、これだけ何もかも違えば納得いきます。


いっそ、拳四朗もマッチルームに売り込んで、海外リングに歩を進める、となってくれれば良いのにな、と思ったりもします。
ある意味、井上尚弥と比肩する才能を持つ「モンスター」ですから、出るトコ出たら、遠からずその凄さが世界的に評価されるはずですし。
実際、そんなことがあり得るのかどうかは、何も知りませんし、わからないですが。



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いずれは日本の頂点へ、着実な一歩 宇津木秀、健闘の富岡樹をTKO

2022-06-15 08:09:52 | 関東ボクシング





連日の後楽園ホール、ライブ映像を見られる機会を得て、昨日も全試合とはいきませんでしたが、楽しく試合を見ておりました。
日本ライト級タイトルマッチは、宇津木秀がタイトル挑戦三度目の天才肌、富岡樹にリードを許しながら、中盤からペースアップし、7回、8回と打ち込んでTKO勝ち。
日本タイトル初防衛に成功しました。

若干アタマや揉み合いが目に付いたところもありましたが、決着への流れに向けては、双方レフェリーの注意を容れてか、クリーンな打ち合いを見せていました。
宇津木はパンチ力があり、派手ではないが精度の高いコンビがショートで打てて、身体も強い。
日本チャンピオンとして十分の安定感、そして初防衛戦にして貫禄めいたものさえ感じるほどでした。

もっとも、日本人全部ひっくるめて、ライト級の頂点はといえば、やはり前日その強さを見せつけた中谷正義、そして吉野修一郎と続き、さらに伊藤雅雪の実績もまだ無視は出来ません。
しかし、この「上」にいる三人のうち、中谷はまだ厳しいにせよ、吉野ないしは伊藤となら、今すぐ組んでも、無理を感じることはない、と。
宇津木秀はすでにして、そこまでは来ている、と思います。

もちろん本人も、内心はそういう闘志を秘めていることでしょう。
いずれは頂点たる中谷正義を倒し、そしてさらにその上を、とも。
その到達点がどこなのかを、今、断じる眼力などありませんが、宇津木秀は今回、着実に一歩、前に、上に、歩を進めたと思います。



対して痩身の富岡は、スピードやセンスに秀でているが、王者クラスを決定的に止めるパンチ力に欠け、逆襲を凌ぎきれず、という形で敗れました。
その闘いぶりはカラフルで、なおかつ闘志に溢れていて、非常に目を引くものがあるのですが、骨格がかなり細いように見えて「当たり」負けする感じが出てしまうのが残念です。

これまでどおり、いや、これまで以上に健闘したと思うのですが、勝負の世界の厳しさです。
また、日本ライト級のレベルが、富岡が持つ秀でたセンスのみでは、チャンピオンに到達出来ない...いくつかの欠落を見逃してはもらえない、というところまで高まっている。それも確かです。



セミファイナルのベテラン対決は、近藤明広が麻生興一を2回、テンプルへの右フックで効かせ、追撃でTKO。
数多の激闘で知られる両者、ことに信じがたいような逆転劇を何度も演じてきた麻生でしたが、序盤に大ピンチを迎え、そのまま仕留められてしまった、という試合。
両者ともに、キャリアや年齢を考えれば断崖に立つもの同士でしたが、生き残ったのは近藤の方。
短くも壮絶な闘い、そして決着でした。




その近藤と二度闘った荒川仁人、ジャパニーズ・ロッキーの異名をとった米大陸での奮戦で知られますが、引退式が行われました。
引退表明の際に、思うところは書きましたんで、改めて付け足すことはないですが。

その引退表明からずいぶん経っていますが、コロナの影響もあり、先延ばしになっていたんでしょうね。
ダブルタイトルということもあり、盛況だったホールでの開催となり、幸いなことでした。



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国内好カードへの期待が逆に揺らぐ 中谷正義、強打デラトーレを一蹴

2022-06-14 05:01:50 | 関東ボクシング



ということで昨日は月曜日ながら、ダイナミックグローブG+生中継。
WOWOWエキサイトマッチも録画レギュラー放送がありまして、とてもじゃないですが平日夜に両方見るとはいきませんでした。

当然、生中継優先、しかも中谷正義再起戦ですから、楽しみにしていましたが、始まったと思ったら終わる、という試合。
しかも、東洋圏内ではなかなかの強さを持つ、強打ハルモニート・デラトーレを、ほぼ寄せ付けず。

デラトーレは意欲充分、上体を動かし、ジャブから踏み込んで打ってきましたが、中谷動じずジャブを返し、早々にコンパクトなワンツーをインサイドへねじ込み、ダウンを奪う。
追撃は右から左ボディ、最後は左を上に返しましたが、これは不要。デラトーレ、ボディを打ち抜かれていてダメージ深く、立てませんでした。

KOタイムは1分16秒。
契約体重137ポンドということで、2ポンド分、身体付きも以前より逞しく見えた中谷が、世界と東洋の差を見せつけたという印象でした。

デラトーレはこれで、吉野修一郎と中谷、両方に初回KO負けをしたことになりますが、じゃあ弱い選手かというと違います。
アメリカでも試合経験がありますし、強打は日本の上位陣を脅かすものが充分にあります。
吉野戦でも、左フックのカウンター、一発で沈みましたが、それまでは強打を振るって迫り、吉野をかなり追い詰めていました。
短い試合でしたが、あ、これ強いな、と。そういう印象でした。


そして、今回も結果としては同じでしたが、内容はだいぶ違ったように思います。
とはいえ、デラトーレ自身は同じでした。初回から「見」の構えはなく、積極的に出て仕掛け、打ち込みに行く。
そして、吉野戦ではそれで流れを作りかけました。
しかし今回は、まったくそれが出来ず、撥ね付けられたかと思ったら、もう倒されていた。そんな試合でした。


もちろん日にちが違えば、同じボクサーとて別人だ、とは言えるでしょう。
しかし、同じ初回KOでも、中谷正義のそれには一分の隙も無く、完璧に力の差を見せつける、見事なものでした。

再び世界へ、と試合後のインタビューでも語っていましたが、そのステップとして、ファンのこちらが勝手に思い描いていた、吉野修一郎との国内好カード...もちろん、そんな構想が実際にあるかないかは知らず、なければそれまでの話なんですが、もし仮にその構想があったとしても、今回中谷が示した強さはあまりにも圧倒的過ぎて、その意味自体が揺らいでしまうんではないか。
そんなことまで感じるほどでした。

実際に世界の上位相手に通じた、名実ともに「世界ランカー」と言える実績を既に持つ中谷と、これからそれを手にしようとする段階の吉野、という違いが、間接的ながら明確に示された、と言えるのではないでしょうか。
もちろん、そうであればそれはそれで、組む意義のあるカードだと、変わらず思いはしますが。


何しろ、改めてお見事、短い試合でしたが見応え充分の、強烈な再起戦でした。
府立の地下を中心に、何度も直に見た選手ですが、アメリカでの3試合を経て、一回り大きくなったのだなあ、と見えました。感慨深いものがあります。
そして、後楽園ホールのリングで、「ホンモノ」の、ライト級世界ランカーの試合を見られた、という意味でも、見ものな試合、でしたね。

中谷正義の今後、まだまだ楽しみです。なんとか、世界挑戦へと辿り着いてほしいものです。



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今回は割とええ感じ 長谷川穂積、競輪トップ選手にインタビュー

2022-06-12 15:40:41 | 長谷川穂積



今日はDAZNでハイメ・ムンギアの試合がありまして、一応見ました。
ここのところ、DAZNメインで、大観衆の前での試合ながら、相手はそこまででもない、というのが続いている上に、今日はけっこういいのもらってて、これで相手にパンチあったらどうなるの、という感じ。
同じフェイントに引っかかって左フックもらうシーン、一回だけならともかく、何回もありました。

この辺はもう、気持ちの問題でもあるんでしょうかね。
相手の耐久力がそんなになかったんで、5回に左フックで倒し、二度ダウン追加で勝ちましたが、そろそろ会社の違いやら、諸々の都合をいったん置いて、それこそお出かけ試合になっても、タイトルに挑戦せないかんやろう、というところでした。



で、明日と明後日は、G+生中継とFODライブ配信が続きます。
月曜と火曜のホールの試合を、ライブで自宅に居ながらにして見られるんだから、有り難いことですね。
これが当たり前のこととして「定着」してくれたら、なお嬉しいことですが。


そんなことで明日からは試合の感想文(明日は書けないかもしれませんが)を書く予定ですんで、今日は、先週と今週の「せやねん」動画ご紹介。


こちらは昨日、井上尚弥勝利を受けての話題。
試合映像はありません。いろいろ限界あり、ですが、熱く語ってはります。
井上尚弥が笑いの殿堂NGK、なんばグランド花月を訪れていたとは、驚きです。
トミーズ、お得意の、ボクシンググローブのネタをやったんでしょうかね(笑)









続いて、いつもは子供相手に醜態を、もとい執念の闘いを見せつけている長谷川穂積、今回は大人が相手。
新企画「お仕事百科事典」ということで、競輪のトップ選手、古性優作にインタビュー。
競輪乗車体験?というんですかね、実際にバンクを走ってます。






普通、一発で普通に走ったり、傾斜に踏み込んだり出来るものではないんでしょうね。
その辺はやはり、長谷川穂積、凄いです。



最後は先週放送されていた、たむらけんじによる近畿大学探索。
ボクシング部のコーナーで、名城信男監督登場。お久しゅう。







しかし男前の選手がいるものですね。ジャニーズとは...。

そういえば昔、関西の某ジムで、けっこう期待されていた練習生がえらくイケメンで、ジャニーズ事務所にスカウトされて、結局、ボクサーの道を選ばず、ジムを辞して東京に行った、という話を聞いたことがあります。
「東京の大きいジムに選手を取られたことは何度もあるが、ジャニーズに取られたのはあの子だけ」とのことでした。
成功してるんでしょうかね。詳しくは何も知りませんが。



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やっぱり敵地って大変です 京口紘人、2戦続けて海外防衛

2022-06-11 19:15:40 | 海外ボクシング




DAZNの表記によるとメインは正午過ぎ、とありましたが、KOが多かったので時間前倒し。
油断なくアンダーから見ていたこちらとしては問題ありませんでしたが、京口陣営はどうだったんでしょうかね。
まあ、見たところ、そんなに無理に「急かされた」感じではなかったようですが。


そんなことで京口紘人、エステバン・ベルムデスの一戦は、何かと賑々しい展開となりました。

初回、京口は好調そう。ベルムデスの右を足で外し、連打、左アッパーなどヒットしていく。
ただ、ベルムデスが遠目から長い左ジャブを伸ばしてくると、これが邪魔。軽いがもらう。
あれ、これは意外に面倒かも...と思った初回。京口の回だと思うが、逆もある?

2回、ジャブを頼りに闘われると京口は嫌かも、と思っていたら、ベルムデスが頭下げて自分から行く。
しかし、京口にしたら有り難い。振りの小さい右を差し込み、左フックで下がらせる。
レフェリーのブレイク前後に右アッパーも決め、追撃。ベルムデス、鼻血。京口。

3回、京口の左ジャブが決まる。ベルムデス、外して右返そうとするが、頭を持っていく格好になり、頭部を切る。
あの辺、切れたら大層に血が出るもので、序盤から大流血戦となってしまう。右から左アッパーなどの好打で、京口。

4回、ベルムデスやや前のめりで打っていく。京口ジャブから右。打ち合いでベルムデス食い下がる。最後左フック好打。
京口だと思うが、これも逆あり得るのかなぁ、と疑念が湧く余地はあり。

5回、ベルムデスはアタマおかまいなしに出て打ち合う。京口、何度かアタマぶつけられ、そのうち二度、左へアタマ振って、軽くお返し。
気をつけろよ、というメッセージだったかもしれないが、これは悪印象を残したか?
この回ゴング後、レフェリーはベルムデスに注意。
打ち合いでベルムデス奮戦も、後退する場面もあり、京口だと思うんですが...この辺、前の回と同様の印象も。

6回、開始前にレフェリーが両者にアタマの注意。片方だけでええやろ、と、他人事ながら腹が立つ。
ボディの打ち合いの後、京口が前に出ようとしたところ、軽くだがアタマが当たり、京口減点される。
これで減点なら、それより先にベルムデスから減点していないと、話が合わない、と見えるが...。
地元の選手が流血している(自分でアタマ持っていって、自分で切っただけなんですが)「絵」も影響しての裁定、としか。

ところがこの後、ベルムデスがアタマで押して、京口が嫌がったところ、少し間が空いて、ベルムデスが気を抜いてしまい、そこに京口が右ロングフックを決めて、左右で追撃。
これはベルムデスにしたら、ブレイクしてほしかったところか。京口にとっては幸い。
京口の回だが、マイナス1ポイントなのでイーブン。

7回、ベルムデス前に出ようとするが、出るのはアタマばかりで手が出なくなる。
京口、よく見てヒットを重ね、右ショートを続けて好打。前に身体が折れたベルムデスに追撃。
ベルムデスが右手をキャンバスにつく。ここで手を止めていれば良かったのですが、もう一発右。
これがベルムデスの後頭部に入る。
ダウンかと思ったらスリップ裁定。京口にラビットパンチの咎でまた減点。
ベルムデス、出血が夥しく、ダメージも相当溜め込んでいる。
ラビットパンチ自体は軽かったが、それまでの展開で相当打たれ、疲弊もしている。

場内騒然となる中、8回早々京口が出る。
ベルムデス応じようとするが、両足が揃ってしまっていて、京口が左右連打でロープに追い立て、打ちまくる。
レフェリー、程なくストップ。京口のTKO勝ち。
場内からペットボトルのようなもの(中身入り。何が入っていたかは不明)がひとつ投げ込まれましたが、見えた範囲ではそれくらいで済みました。



見た感じでは、敵地での調整や、高地(メキシコシティよりは少し低い標高ですが)の試合という影響は伝わってきませんでした。
京口の呼吸が目に見えて乱れ、失速するなんてこともあり得るのかな、と思っていましたが、杞憂でした。
調子自体は、若干パンチの「乗り」が目減りしていたかもしれませんが、最小限の範囲に収まっていたかな、とも。


ただ、それ以外の部分で、うわー、やっぱり敵地やなあ、と思うポイントは、経過に書いたとおり、いろいろとありました。
けっこう露骨に、アタマゴチゴチやられてましたが、減点はこっちかぁ...とか。

とはいえ、6回の減点のあと、右ロング決めた場面のレフェリーの「取り回し」ってんですか、京口に幸いした部分もあったりして、ある意味では釣り合い取れてたのかな、とも。
何しろ、もっと拮抗した力関係だったら、これ幸いとばかり、もっと色々ややこしいことが起こっていたかもしれません。

しかし、そういう事態を起こさないだけの技量力量が、京口紘人には備わっていた。
それ故の勝利でもあり、二試合連続の海外防衛成功でもあった、ということでしょう。



試合後はベルムデスと健闘を称え合いつつ、同時に「謝罪」もしていたらしいです。
傍目には、自分からアタマと右を同時に突き出して、自分で切って、世話無いわ、としか見えませんでしたが、まあ一応...自分から収めた、ってところですかね。
インタビューでも、ビバメヒコ!と叫んで締めてましたし、敵地で闘う際の、身の処し方を色々考えて、気を配っていましたね。


正直言って、もしこの試合を日本でやっていて、京口が地元で「目減り」一切無しの状態で、それに対し、ベルムデスが来日しての調整を経た状態だったら、それこそミスマッチ批判が起こるような内容になっていたかもしれない、と思います。
しかし場所が違うと、色々とややこしく、もつれる...ボクシングの試合として、内容的にもつれたわけではないんですが、まあ色んなことが起こってしまう。
公式採点も2-1で割れていたらしいですし(ウソでっしゃろ、という感じですが)、本当に、敵地で闘うって大変なことだ、と改めて思った次第です。


そして、そういう試合において、良し悪し含めて全てを乗り越え、巧みに立ち回ることも含めて、逞しく闘って勝つ。
これからの時代、日本人ボクサーにはそのような強みが求められるのだろうな、と思います。
京口紘人は、そういう意味で、辛い状況になっていくであろうことも含めての、新時代の開拓者、そのひとりなのかもしれません。



しかし、何しろ勝ってくれて良かった、と思います。
実際にそんな話があるのかないのか、実現する意志が誰にあるのかないのか、何も知らないわけですが、ファンとしてはやはり、寺地拳四朗との一戦を、何とかして実現してもらいたい、と願いますし、そのタイミングはもう、今から年内までにしかないだろう、と思いますので...。







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メインが凄いとアンダーが割を食う あまり語られないその他の試合雑感

2022-06-10 08:25:46 | 関東ボクシング





そんなことで、今回は二ヶ月前と違い、会場に足を運んだ甲斐ありで、アンダーカードもほぼ全部見てきました。
第一試合だけは見られなかったんですが、それ以外は全部。
他ではあまり語られることが多くない、というか、ほぼ報道も目に入ってこないですが、簡単に感想文書いとこ、ということで。



セミの平岡アンディ、赤岩俊は、平岡が6回TKO勝ち。
共に長身ながら、身体のパワー、スピードや勘で平岡がまさっていて、赤岩も時折、見た目以上に重そうなパンチを振るって健闘しましたが、最後は打ち込まれてしまいました。

しかし試合としては、大会場の空気を弛緩から緊迫へと変える力は無かった、というしかないものでした。
特に平岡の、軽く打たれた後の余裕のジェスチャーとかは...ああいうの、身内以外誰も喜ばんし、やればやるほど評判が落ちるだけなんで、止めた方がいいと思います。
少なくともこの甘いカードであんなことしてもなあ、というか。

また全体的な内容も、受け身から対応の鋭さを見せることが中心で、自分から試合を作る意志があまり見えないものだったこともあって...まあ、ホールで身内大半、といういつもの感じの興行なら、勝手にしたらええけど、というところですが、それこそESPNで配信されている大イベントで、何やってるんだろう、としか思えませんでした。
ましてこれで、世界だの上だの、言うもんやないよ、と。けっこう言ってたみたいですが(笑)その辺は聞き流すのみ、という心境でした。




セミセミの井上拓真、古橋岳也戦は、大会場が盛り上がるところまではいかなかったですが、拓真の巧さ、古橋の健闘がしっかり見られた好ファイトだったと思います。
これはセミとは違う意味で、ホールでやってたら印象が違ったかも、と。

拓真は攻防共に序盤から無駄が無く、抑えめな感じもありながら、外せる限りは外し、打つべき手はほぼ打っていました。
もっと大きく、速く動いて外し、さらに見映え良くポイント取ろうと思えば取れたでしょうが、少々打ち込んだところで止まりも倦みもしないのが常の古橋相手に、それをやったら、中盤以降疲れたところをつけ込まれる、という認識のもと、ペース配分に細心の注意を払っていた、と見えました。
その甲斐あって、終盤でもスピードや精度をあまり落とさず、質の高い攻防を維持して、クリアな勝利となりました。

古橋はいつもどおり、数多くヒットを喫しても、手数や攻勢でその闘志を十全に表現しました。
その姿は畏敬の念を抱かざるを得ないものでしたが、これまでの相手とは技術、精度、戦略のグレードが一段違っていた、という試合でした。


拓真は戦績見れば一目瞭然ですが、国内の上位陣、タイトルホルダーを数多く下してきているとおり、今、日本のバンタム、スーパーバンタムで、兄を除けば、彼に勝てる選手がいるかどうか、というくらい、確立された巧さを持つ選手です。
もし可能性があるとしたら、先日再起した、小國以載くらいでしょうか?

何しろ、同じことばかり書いていますが、兄との比較を抜きにして、別個に見れば、国内屈指の技巧派として、大いに「見もの」な選手だと思います。
そして、この先、この上にひとつ壁があるか、という印象だったウーバーリ戦以降、一階級上げての和氣慎吾、古橋岳也連破の結果と内容をもって、その壁を越えられるか、という問いに答えるための試合に、ぐっと近づいたのではないか、とも。

もっとも、本来の階級であるバンタムで、兄の4団体統一を待つとしたら、年内はタイトル挑戦の機会はないことが確定します。
そうなると、もう一試合何かやれるか、となると、国内で名乗りを上げる相手がいるかどうか、ですね。
或いは日本人キラーと目された選手を破った、地域タイトル王者か?
小國戦なんか、あったら楽しみですけどね...はてさて。




8回戦には、井上尚弥のスパーリングパートナーとして知られ、コロナの影響で噛ませさんとの試合無しでキャリアを重ね、負けは石田匠戦の惜敗のみ、というホープ、石井渡士也が登場。
沖縄の強打、福永輝を6回TKOで下しました。
フェザー級で前田稔輝に緊迫の一戦を繰り広げて敗れ、新人王西軍代表の座を逃した福永、55.8キロという契約体重での試合。
パワーは互角に見えましたが、ジャブの交換で石井が悉く打ち勝つ。
福永はジャブを諦め?右を振って迫ったが、石井の正確なパンチに打ち込まれる。6回のストップはやむなしというところでした。


あと、ライトフライ級にしては抜群の長身、リーチを持つ全日本新人王、坂間叶夢も2回TKO勝ち。
相手とはガードの戻りの速さが違っていて、右クロスを再三決めていました。
この辺は、言えば習熟度の違う相手との試合で、勝ちは順当なものでした。
今後、相手が違ってどうなるかですが、素質は充分感じましたし、面白い存在になるかもしれません。




最後に、スマホで撮った写真。まあ要りませんけど(笑)一応。


試合前のゲート。第一戦のときよりも、時間設定に余裕がありましたかね。




メイン前、布袋寅泰のプレイが始まり、井上尚弥入場。




試合後、駅へ向かう観客の皆様。一様に、満足感に包まれていました。




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勝利から一夜あけてあれこれ 井上尚弥、次は4団体統一へ

2022-06-09 13:26:59 | 井上尚弥



ということでさいたまから帰って来て、Amazonのアーカイブ見て、あれこれネットで記事を見て、話題あれこれ。


A-Signチャンネルでは、石井一太郎会長と、元日本ミドル級チャンピオン胡朋宏トレーナーが、興味深い分析をされています。
また、ドネアとの関わりもいろいろとあった、という話も。







やはり、最初のダウンシーンについての解説が良かったです。
あのとき、井上が左を省略したことで、ドネアの防御動作を「誘導」していた、というあたりですね。
ワシル・ロマチェンコがローマン・マルチネスを倒したシーンに準えてはりますが、なるほど、と納得した次第。
井上尚弥はもう、そういうレベルにいるということですね。



試合前には故障もあったとか、具体的ではないが報道がありましたね。
ちょっと気になるところですが、まあ、少年時代から練習を重ねてきての29歳、見た目はまだまだ若々しいですが、ボクサー年齢としては、若いとは言えないところです。
すでにいろいろとあるでしょうし、これからも同様でしょうね。
以前傷めた右拳については、相手のこめかみ打って倒しているんだから、大丈夫なんだろうと思いはしますが。


ただ、オマール・ナルバエス戦やその前後の試合のように、相手のガードの上だろうがおかまいなしにフルショット、というような打ち方は、もう長く見ていないように思います。
普通の人なら当たり前ですが、硬いトコ打たないように、ちゃんと狙って、力加減もしているというか。
たとえば80の力で当てれば倒れるタイミングと角度があるのに、それを120の力で打ってもしょうがない、という弁えが身についたというか。
そのあたりについて言えば、井上尚弥の、ボクサーとしての「青春」はもう、とうに終わっています。
今もすでにそうですが、これからはますます、「大人」のボクサーとして、世界の頂点を狙うボクサー達との闘いに臨んでいくことでしょう。



次はポール・バトラーとの4団体統一戦が最有力、というか、もう青写真は出来上がっているのでしょうね。
場所は日本、おそらく次もさいたまなんでしょう。
詳しい事情など全然知りませんが、これほどの大箱でありながら、毎度毎度、すんなり日程が決まるというのは、何か理由があるんでしょうね。
事前にまとめて取ってある、というだけのことかもしれませんが、加えて使用料がお手頃?なんでしょうか。ホンマに何も知りませんが。

何しろ次、4団体統一というお題目でもって、また大箱興行となるなら、他にも大きなの持ってきて、東京ドームとかいうわけにはいかないですかねえ。
寺地拳四朗vs京口紘人(次の日曜、勝つことが前提ですが)なんかとダブル世界戦とか。
セミセミは中谷正義(これまた来週、勝つこと前提)vs吉野修一郎で。どないなものでしょうか。
中谷と言えば、中谷潤人vsアルテム・ダラキアンなんかも大歓迎であります(笑)。

まあ、こんな気楽な想像が出来るのも、御大将が勝ってくださったおかげです、ということで。



ところでこちらの記事、最後の頁には、次の試合の配信を巡り、AmazonとNTTで争奪戦、とありますね。
今回、井上の報酬が2億1千万円、薬師寺保栄戦の辰吉丈一郎を超えた、という話ですが、こういう話で「取り合い」になったら、さらに条件は良くなるのでしょう...か。
今回、Amazonプライムの配信記録が、先々月のゴロフキン、村田戦を超えて史上1位になったとありますが、こうなるとAmazonとて引けないか。
さりとて、ひかりTVが井上のスポンサーであることも考えると、こちらはこちらで...と。

個人的な都合だけを言えば、あの意味分からん、チューナーだかデコーダーだか知らんが、変な箱ひとつ噛まさないと大画面で見られない、ひかりTVのPPVなんて願い下げですけど、まあそうなることで井上の報酬が良くなるのなら、それは仕方ないか、という気もします。
まあ、何にせよとりあえずは会場行って見ると思いますんで(行くんかい)、基本的には関係ない話ではありますが。アーカイブさえ見られれば良いので。



で、ひとつ胸くそ悪いというか、これまた上の記事でも触れられている、空き巣の話。
海外の有名サッカー選手なんかだと、もうこの手の話、珍しくもないというか。頻繁に聞きますね。
まあ、日本という国もいよいよ、だいぶレベルが落ちてきたんやなあ、と思ったりもします。

もっとも日本でも、昔の有名人なんか、いろいろ例があるらしいですが、被害者の名前は相当なレベルの大物ばかり。
こういう面においても、井上尚弥の「レベル」が上がっている、ってことで良いんでしょうかね。良くはないか。


で、本人はこのようにツイート。
なんだかんだ、この人、基本的に明るくて前向きな感じが良いんですよね。






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5分足らずの間にあった危機と逆襲 井上尚弥最強の証明、ドネアを2回KO

2022-06-08 17:47:12 | 井上尚弥





ということで埼玉から帰って参りました。簡単に、とはいきませんが、感想文です。


布袋寅泰のギタープレイ、ジミー・レノン・ジュニアの「イッツ・プライム・タイム!」で場内、大いに盛り上がってゴングが鳴ったわけですが、初回が始まると、リングの上には、一見すると静かながら、実は「恐怖劇」が繰り広げられていたように見えました。


早々に、ノニト・ドネアが左を伸ばす。強打というではないが、ヒットはしたように。
ドネアの動きが良いように見える。遠目にも、無駄がなく、程よく力強く、それでいて柔軟な動きに見える。

じわじわとプレスをかけてくるドネアに、井上尚弥はいつになく慎重。
左を返す。スピードは感じるが、強く打ち込むことよりも、体重を後ろ足へ速く戻すことを優先した打ち方に見えました。

前回の試合で打たれたことをどう省みているか、その痕跡を勝敗以前に見たい。
そう思って見ていた試合ですが、早々にそれが見えたような気がしました。
外すと同時に切り込んで強打する、という、刃の風を楽しみながら敵を斬る、という風に言われた方もいた、いつもの井上尚弥とは、少し違いました。


しかしそれは当然のこと、眼前の強打者ドネアに対して、然るべき対応であるはずです。
ただし、井上が下がって外すその空間をきちんと使って、ドネアが身体の軸を立て、いつでも打てる、いつでも外せる、自分のベストバランスを手にしてしまっている、そんな風にも見えました。

それは恐怖の光景でした。
井上の速い左をガードで払うだけでなく、自分のリズムで小刻みにステップして外し、同じリズムで前にも行く。
右のボディブローは井上が外すが、相対しなおすと、またドネアが間合いを詰めて対峙する。
この間合いから両者の拳が交錯したとき、井上尚弥よりもむしろ、ノニト・ドネアの方に、それこそ一打で敵を打倒する決め手を繰り出せる目がある。
そう感じました。

まさか、今日この日に、井上尚弥が初めて敗れる光景を、目の当たりにすることになるのか。
そんなことまで思いながら、リングを見下ろしていました。


井上はこの押され気味な位置関係を少し嫌ったか、強めに左ジャブを伸ばす。陣地回復を試みた、という風。
しかしドネア、即座に右リターン。両者が左フックを繰り返し応酬、ドネアが右ストレートで井上をロープに追う。
井上は無理せず回って捌くが、ドネアのプレスが強い上に、反応も速い。圧されている、と見えました。


前回の反省をもって、外すことを優先したスタートが悪い選択だとは思いませんが、やはりそれ「だけ」で、御することのできるような、生易しい敵ではない。
いつかはやはり、打ち込んで止めないと。
しかし眼下に映るドネア、非常に好調そうで、また充実して見え、そして殺気に満ちていました。


井上尚弥なら、この危機...に、実際には至っていないとはいえ、その入口に追われつつあるこの展開を、これまでの闘いのように、即座に切り換える力があるはずだ、とは思っていました。
エマヌエル・ロドリゲス戦の2回開始早々から、上ずり気味だった重心をしっかり落とし、より鋭い軌道のパンチであっという間にKOしたように、いつ「ギア」を入れるか、そのタイミングはけっこう急に来る。
とはいえ、それはこの初回を乗り切ってから、その後の話だろうが、とも思いつつ。


初回の終わり頃、共に観戦していた友人と、そんな話をしていたところでした。
井上がワンツーを飛ばし、ドネア打たれたか?よくわからなかったのですが、その直後、ドネアが身体を捻って外し、直後に右を打つ動作に入った、と見えたところに、井上が左を省略して右のカウンター。
これが「先手」で入って、ドネアがダウン。
場内の大スクリーンでスローリプレイを見ると、こめかみのあたりに入っていて、あ、これはかなり効いている、と。


あまりの急展開に、井上応援の心情も忘れて驚いた、というのが正直なところでした。
で、2回、これは「行く」かなと当然思ったのですが、まだ井上は初回同様、遠目から左を打って、リターン警戒を重視するバランスに見えました。
ダウンさせてダメージを負わせて、その上で若干セーフティに振ったバランスのまま闘う。
前回の2回に見た光景とは何もかもが違う。冷静、というより冷酷なその姿を見て、先ほどまでの心配は消し飛び、井上の勝利を確信しました。
もう「間違い」は絶対に起こらない、と。


井上がワンツー、スリー、さらにコンビネーションを重ねて行く。
ドネアを下がらせて、そこにさらに自分の身体の軸を運び、さらに身体をしっかり回して打つ、という流れ。
そのさなかに左フック好打。ロープに追い、スリーパンチのスリーを、やや真っ直ぐに近い軌道で返すヒットが二度。

さらに詰める井上だが、ドネアが反撃し、身体を入れ替え、井上をロープに押し込む。
普通なら劣勢のまま仕留められるところだが、井上相手に、前に出て保たせようとするだけでも、やはり並外れている。畏るべし。

しかし井上が、相手のガードのインサイドを破る、井上ならではの左フックを決めると、足が伸びたドネアがよろめく。
ここから先は、井上のクッキングタイムとなりました。
4連打、ワンツー、3連打。右から左フックの返しでドネアがダウン。レフェリーが試合を止めました。




わずか5分足らずの間でしたが、見ていて息つく暇もないような、濃密な攻防でした。
ノニト・ドネアはキャリア晩年にあるはずが、それでもなお、現在考え得る中で最強の挑戦者である、と思っていて、しかもいざ試合が始まったら、これまた考え得る中で最高の調子に見えました。
その姿は、戦慄の倒し屋だった若き日の幻影ではなく、立った今、この時、この闘いにおいて、井上尚弥をさまざまに脅かしうる実体を伴った、恐怖の男そのものでした。


ところが、それを一度のきっかけで打ち倒し、あっという間に展開をひっくり返して、仕留めてしまう。
その逆襲の鋭さと強さ、そしてそれを実現する、し続ける井上尚弥は、改めて神々しく映りました。

試合後、少しだけ、故障云々の報道も出ましたが、おそらく表には出ない疲弊や、減量の難しさもきっとあるだろう、と思います。
最初の世界タイトル獲得からでも、もう8年。少年時代からの日々を思うと、彼はけっして、ボクサーとして若いとは言えません。
しかし、その長きに渡るボクシングへの献身に支えられた、圧倒的な強さに驚嘆するのみならず、危機と見える展開にも揺るがず、この大きな舞台で、少年時代から憧れてもいたという、生ける伝説を相手に、己の力を十全に発揮出来る心身の確かさにも、心底から敬意を...というより、畏怖の念を抱いてしまいます。


真の世界最強、真のチャンピオンとはこうでなくては、と思いはしても、それはやはり人間の仕業でもあるはずです。
しかしこれまで通り、今回も、井上尚弥は我々の期待を越え、危機に陥るかと見えても、我々の想像の一歩手前から逆襲し、勝利しました。

彼の試合の見終えた後は大抵そうですが、またも試合後、言葉に尽くせぬ感動に包まれて、会場を後にしました。
多少無理をしましたが、なんとか会場で見られて良かったです。




コメント (7)
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圧勝か、雪辱か、それとも激闘再びか 井上尚弥、ドネアと宿命の再戦

2022-06-07 07:01:09 | 井上尚弥



そういうことで、来てしまえばあっという間です。さいたま決戦、両者計量パス
前回の神々しいまでの激闘を経て、両者が今日まで辿った経緯などは、さまざまな記事にて語られています。
多くは、やはり井上尚弥の強さを称え、信ずるに足るものと見た見解ですね。
ノニト・ドネアを推す声も確実にありますが、どこかドラマ的要素を含めた見方でしょうか。


そんな中、ドネアの勝機について、端的に分析していると思えるのが、寺地拳四朗のコメントです。
負けた方の対策、その入念さを語り、そして圧勝を目指すと公言する井上尚弥に陥穽あるとするならば、と仮定もしています。

倒しに行く際に隙が、危機が、というのは確かにありそうな気もします。
しかし、今回がどうかは蓋を開けてみないとわかりませんが、基本的に井上は、実は慎重に外して、その上で打ち込みに行くタイプで、人によっては「作り自体はリゴンドーと同じ」と言う人までいるくらいです。
その見切りが時に、こちらの想像を超えて早く、また倒す頻度がやたら高いから、印象が違うだけだ、ということなのでしょう。


繰り返しますが、今回どういう構図がリングに描かれるかは、始まってみないとわかりません。
共に一打で倒せる強打を振るい、それが交錯する、スリル溢れる試合を見ることになるかもしれません。

しかし井上が前回にはない危機を察知して、外すことを優先する時間帯もあるかもしれません。
その選択によって、井上がドネアを空転させるのか、或いは逆に利することになるのか。


確かなことは、井上が減量などで、心身いずれかが万全でない部分があれば、展開どうあれ、ドネアにはその欠落を突き崩す力が、充分にあるということです。
キャリアはもう晩年であるはずなのに、やはり今、バンタム級において、考え得る中で一番畏るべき対戦相手です。
それは今回の再戦に向けた「V字回復」の目覚ましさでもって、明確に示されてきました。


今日のリングで、我々はいったい何を見ることになるのでしょう。
若き王者の圧勝か、甦ったかつての王者の奇跡の復権か。
いずれにせよ、またしてもリングの上に、神々しい何かを見られることだろう、と思います。
真の「世界タイトルマッチ」とは、きっと、そういうものなのだろうと。




ということで今日は、平日ですが遠足です。
生憎の天候のようですし、数日前には千葉や埼玉で、ゴルフボール大の雹が降ったとか。
まあ、普通の雨なら良し、くらいに思ってお出かけです(笑)。



コメント (2)
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