そんなことで、今回は二ヶ月前と違い、会場に足を運んだ甲斐ありで、アンダーカードもほぼ全部見てきました。
第一試合だけは見られなかったんですが、それ以外は全部。
他ではあまり語られることが多くない、というか、ほぼ報道も目に入ってこないですが、簡単に感想文書いとこ、ということで。
セミの平岡アンディ、赤岩俊は、平岡が6回TKO勝ち。
共に長身ながら、身体のパワー、スピードや勘で平岡がまさっていて、赤岩も時折、見た目以上に重そうなパンチを振るって健闘しましたが、最後は打ち込まれてしまいました。
しかし試合としては、大会場の空気を弛緩から緊迫へと変える力は無かった、というしかないものでした。
特に平岡の、軽く打たれた後の余裕のジェスチャーとかは...ああいうの、身内以外誰も喜ばんし、やればやるほど評判が落ちるだけなんで、止めた方がいいと思います。
少なくともこの甘いカードであんなことしてもなあ、というか。
また全体的な内容も、受け身から対応の鋭さを見せることが中心で、自分から試合を作る意志があまり見えないものだったこともあって...まあ、ホールで身内大半、といういつもの感じの興行なら、勝手にしたらええけど、というところですが、それこそESPNで配信されている大イベントで、何やってるんだろう、としか思えませんでした。
ましてこれで、世界だの上だの、言うもんやないよ、と。けっこう言ってたみたいですが(笑)その辺は聞き流すのみ、という心境でした。
セミセミの井上拓真、古橋岳也戦は、大会場が盛り上がるところまではいかなかったですが、拓真の巧さ、古橋の健闘がしっかり見られた好ファイトだったと思います。
これはセミとは違う意味で、ホールでやってたら印象が違ったかも、と。
拓真は攻防共に序盤から無駄が無く、抑えめな感じもありながら、外せる限りは外し、打つべき手はほぼ打っていました。
もっと大きく、速く動いて外し、さらに見映え良くポイント取ろうと思えば取れたでしょうが、少々打ち込んだところで止まりも倦みもしないのが常の古橋相手に、それをやったら、中盤以降疲れたところをつけ込まれる、という認識のもと、ペース配分に細心の注意を払っていた、と見えました。
その甲斐あって、終盤でもスピードや精度をあまり落とさず、質の高い攻防を維持して、クリアな勝利となりました。
古橋はいつもどおり、数多くヒットを喫しても、手数や攻勢でその闘志を十全に表現しました。
その姿は畏敬の念を抱かざるを得ないものでしたが、これまでの相手とは技術、精度、戦略のグレードが一段違っていた、という試合でした。
拓真は戦績見れば一目瞭然ですが、国内の上位陣、タイトルホルダーを数多く下してきているとおり、今、日本のバンタム、スーパーバンタムで、兄を除けば、彼に勝てる選手がいるかどうか、というくらい、確立された巧さを持つ選手です。
もし可能性があるとしたら、先日再起した、小國以載くらいでしょうか?
何しろ、同じことばかり書いていますが、兄との比較を抜きにして、別個に見れば、国内屈指の技巧派として、大いに「見もの」な選手だと思います。
そして、この先、この上にひとつ壁があるか、という印象だったウーバーリ戦以降、一階級上げての和氣慎吾、古橋岳也連破の結果と内容をもって、その壁を越えられるか、という問いに答えるための試合に、ぐっと近づいたのではないか、とも。
もっとも、本来の階級であるバンタムで、兄の4団体統一を待つとしたら、年内はタイトル挑戦の機会はないことが確定します。
そうなると、もう一試合何かやれるか、となると、国内で名乗りを上げる相手がいるかどうか、ですね。
或いは日本人キラーと目された選手を破った、地域タイトル王者か?
小國戦なんか、あったら楽しみですけどね...はてさて。
8回戦には、井上尚弥のスパーリングパートナーとして知られ、コロナの影響で噛ませさんとの試合無しでキャリアを重ね、負けは石田匠戦の惜敗のみ、というホープ、石井渡士也が登場。
沖縄の強打、福永輝を6回TKOで下しました。
フェザー級で前田稔輝に緊迫の一戦を繰り広げて敗れ、新人王西軍代表の座を逃した福永、55.8キロという契約体重での試合。
パワーは互角に見えましたが、ジャブの交換で石井が悉く打ち勝つ。
福永はジャブを諦め?右を振って迫ったが、石井の正確なパンチに打ち込まれる。6回のストップはやむなしというところでした。
あと、ライトフライ級にしては抜群の長身、リーチを持つ全日本新人王、坂間叶夢も2回TKO勝ち。
相手とはガードの戻りの速さが違っていて、右クロスを再三決めていました。
この辺は、言えば習熟度の違う相手との試合で、勝ちは順当なものでした。
今後、相手が違ってどうなるかですが、素質は充分感じましたし、面白い存在になるかもしれません。
最後に、スマホで撮った写真。まあ要りませんけど(笑)一応。
試合前のゲート。第一戦のときよりも、時間設定に余裕がありましたかね。
メイン前、布袋寅泰のプレイが始まり、井上尚弥入場。
試合後、駅へ向かう観客の皆様。一様に、満足感に包まれていました。