さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

大一番で化けた若手の戴冠劇 尾川堅一、コルディナの右一撃に沈む

2022-06-05 07:22:17 | 海外ボクシング


早起きしてウェールズからのライブ配信を楽しく見ておりましたが、結果は残念、そして衝撃的な形でした。
尾川堅一、ジョー・コルディナの右一撃で2回KO負け。
地元カーディフの観衆にとっては、言うことなしの大勝利、歓喜の瞬間だったことでしょう。


試合前の控え室での映像や、リングに上がった様子を見て、コルディナが前回の試合よりも顔色が良く、身体つきにも余裕があり、好調そうな印象を受けてはいました。
あ、130ポンドでもこなれてきたのかな、という。

ただしコルディナ、初回は速い左ジャブが数多く出るものの、左ガードは低い。
足も動いているとはいえ、膝を柔らかく使う防御は見られない。
尾川が右クロス当てるタイミングはいずれ来るか、と。

そしたら2回、まったく逆のことが起こりました。
コルディナ、本当に小さい左フェイントから、右クロス、一発。
パワーを溜めた、振りの小さい一撃がまともに決まって、尾川ダウン。

倒れた尾川の頭がキャンバスにバウンドしたのが見え、終わった、とわかりました。
尾川も左が低いのはお互い様でしたが、先に当てた方の勝ち、ということでしょうか。




終わってみて、コルディナは若く大柄で、それこそライト級の強打を持つ、スーパーフェザー級の若手挑戦者だった、という印象です。
ジャブも足も速く、スタイリッシュで、攻撃面に関してはかなりの巧さと切れ、そして威力も兼ね備えていた。

そして、この地元での大一番で、プレッシャーもあったでしょうが、それを逆に力に変えた、という面もありましょう。
筋の良さは見えるが、試されていない段階の若手でもある、と見ていた選手が、見事に「化けた」一戦だったのかもしれません。
そういう挑戦者にかち合ってしまったのは、尾川にとって不運なことだった、と思います。


ただ、やはり以前から、高いレベルでは、サウスポー相手に速い踏み込みと右の威力を押し立てて勝ってきたものの、右構え相手では、世界ではなく国内レベルでも、上位相手に見目鮮やかな試合はそんなに見ていない、という事実を思い出させられる、そんな試合でもありました。

時に被弾し、前のめりになって試合が荒れ、攻めあぐむも馬力で何とかして勝つ、というような闘いぶりを、何度も見たものですが、その合間にまずい打たれ方も当然あって、今回、決定力のある相手にまともに打たれた結果、こうなった、という印象です。



元々、いろいろと微妙な評価をしていた(初戴冠取り消しの諸々を抜きにしても)選手ではありますが、三度の世界戦が全て海外で、ベガス、NY、カーディフと転戦してきたキャリア、そして好選手目白押しの階級であることを考えれば、貴重な選手だという見方があることも理解します。
それだけに、あまりに痛烈な陥落、残念にも思います。


早朝から、残念な意味合いながら、ある意味実に目覚ましい試合を見せられてしまいました。
ありきたりですが、優勝劣敗の掟が支配する、ボクシングの厳しさを見せつけられた思いです。むー。


コメント (4)
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