ということで、一応...この試合が「正統」な世界ライト級タイトルマッチ、と目されるはずの一戦を、WOWOWオンデマンドで見ておりました。
しかし、言ってしまえば勝者デビン・ヘイニー、敗者となった前王者ジョージ・カンボソス、ふたりとも「世界ライト級チャンピオン」ではまったくなかったなあ、という感想が残りました。
試合に至るまでに、あれこれいろいろあったか無かったか、今となってはどうでもいいですが、けっこう剣呑な感じだった二人。
しかし、いざ試合が始まったら、ヘイニーのリーチとスピードを押し立てた試合展開を、カンボソスがほぼ崩せず。
数回、カンボソスの左フックリードから右が飛ぶが、強いヒットなどは皆無。
ヘイニーはというと、9回に少し右の数を増やしたくらいで、それ以外は終始、安全策。
ロングのジャブで突き放し、それを外して「来る」相手に、他のパンチでカウンターを取るよりも、クリンチする回数が圧倒的に多い。
4回の左による突き放しの厳しさや、5回に外してから打った、フックとアッパーの中間のような左のパンチくらいが、数少ない目を引く部分でした。
結局、終盤まで、ヘイニーがポイントアウトして試合終了。
出た数字は、以外に競ってるな、と思いました。
さうぽん採点は10回のみカンボソスの11対1でしたが、無理矢理、逆つける回があったとしても2つあるかどうか、という印象でした。
細かいことは飛ばして言いますが、数多くのベルトがひとつにまとまる「世界ライト級タイトルマッチ」がこんなんじゃまずいでしょう、というに尽きる、そんな試合だったと思います。
先週のジャーボンテイ・デービスが示した、野生や暴力性も込みの、常ならぬ異形の才能、その凄みと比べて、見ていて刺激の乏しい、平坦な両者の闘いぶりは、率直に退屈でしかありませんでした。
この試合では、公式の結果としてカンボソス王座転落、ヘイニー王座奪取という事実が残るわけですが、見る者の勝手で言わせてもらうと、ふたりまとめて王座転落、という試合でした。
世界ライト級の王座は、ジャーボンテイ・デービスの手に渡った。
新たな王者と目されるべきは、行状好ましからざるやもしれず、しかしリングの上で凶暴と静謐を交錯させ、畏怖と嫌悪を一心に集める、あの小柄なサウスポーである。
二週連続で闘われた、ふたつの世界ライト級タイトルマッチは、それを事実として残したように思います。
そして、リング復帰がなった暁には、最強挑戦者にして元王者、ワシル・ロマチェンコが、その王座を脅かせる最有力であろう、とも。
まあ、ある意味ではいろいろなことが明らかになった、決着がついた試合である、という言い方も出来るのかもしれません。
しかし、その方向性というか内容は、極めて残念なものばかりだったなあ、という思いが残る、そんな試合でありました。