さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

最強後楽園、成果と課題共にあり 荒川、益田らが王座復帰へ勝利

2015-11-03 10:52:27 | 関東ボクシング



半月ほど前、11月3日って祝日なんや、ということにふと気づき、
これならちょいと調整して休みをずらしたら、最強後楽園見に行けるなぁ、と...(笑)

そういうことで、ちょいとやってきました後楽園ホール。
昨夜は当日券で観戦しました。唐突かつスチャラカな観戦ですが、簡単に感想。


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フライ級は黒田雅之が阪下優友に判定勝ち。

立ち上がり、阪下が、黒田のゆったりした間に合わせてしまったのが悪かった印象。
ここで黒田が落ち着いて、自分のリズムで打ち、外し、ポイントを抑えた。

阪下は黒田の「間」に、速いパンチを割り込ませ、足で外してまた打つ、という攻めが欲しかったが、
むしろ中盤以降は接近戦、密着して手数を出す流れ。この距離では意外に打つ隙間がない黒田だが、
少し空間が出来たところに、重いジャブや左ボディでヒットを取る。

手数で阪下、パンチの効果で黒田、という展開でしたが、序盤良いスタートで得点した分、
僅かに黒田の勝ち、という印象でした。さうぽん採点は77-76、黒田。

しかし黒田もスタイル自体に融通は利かず、強打の威力も以前ほどではない印象。
正直、好きなタイプの選手ですが、もうひとつ、奮起しないと王座復帰は難しいかもです。


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バンタム級、元王者益田健太郎が、九州の強豪、坂本英生を7回TKO。

長身、リーチに恵まれる坂本が、ストレートパンチで突き放し、来たらアッパーで迎え撃ち、
という型で築く陣地を、益田が果敢に切り崩しにかかる展開。
右で入ったら外され、迎え撃たれる益田でしたが、左から切り込んで後続に繋ぐ形のときは、
やはり良い形に持ち込める。

初回、良いタイミングで左ジャブ当て少しぐらつかせ、2回、右クロス決める。
しかし坂本も右アッパーを混ぜた連打で迎え撃ちつつ、時にステップで外す。
3、4回は一進一退。5回は坂本がスリーパンチからアッパーで攻める。益田やや単発。

しかし6回からまた益田がジャブで崩し、スイッチもまじえて連打。
7回、この流れから益田が右フック。まともに決まって坂本ダウン、ダメージあり。
益田厳しく詰めて、一度スリップの後に連打でストップとなりました。

長身のボクサーと短躯のファイターの対決でしたが、どちらも日本上位に相応しい実力を
存分に見せてくれた好ファイトでした。両者に拍手です。
益田健太郎が強いのは知っていましたが、初めて直に見た坂本英生は、自分の特徴を
存分に生かし切った攻撃的なアウトボクシングで、長い距離を維持しつつ、いつ迎え撃ち、
いつ外すかの選択肢をよく考えている、これまた良いボクサーでした。
試合後、場内から大きな拍手が送られていましたが、それも納得でした。

益田健太郎は、大森将平の動向にもよるでしょうが、王座再挑戦への資格充分というところ。
まだまだ今後、楽しみな選手です。


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ライト級は、かつて世界の舞台で活躍した荒川仁人が、強打の杉崎由夜を判定に下しました。

見るからに強打者というごつい身体の杉崎に、力み無く左を当てていく荒川の巧さが際だつスタート。
杉崎は右から入る、というよりは右ダイレクトを狙っていて、後続はない感じ。でも威力はあり。
パンチの威力でプレッシャーを与えたい杉崎だが、荒川は3回、左を綺麗に決める。

4回、杉崎が右ストレート、決まって追撃。荒川少し止まる、ピンチか。
杉崎しかし追撃が甘い。荒川左決め逆襲。今度は杉崎ぐらつく。場内わく。本日のベストラウンド。

5回、両者好打の応酬。6回、荒川が左のレバーパンチを次々決め、杉崎徐々に後退。
ここで攻め手を変えてくるところが、年季の違いか。
杉崎、強打を支えていたフォームが目に見えて崩れ、劣勢。
終盤は荒川が確実に抑え、杉崎も粘って抵抗するが及ばず。

これもバンタム級に続く好ファイトでしたが、最後は荒川がさすがの巧さを見せました。
杉崎も最後まで食い下がり、粘りを見せたが及ばずでした。

荒川は最近、強豪相手に連敗中でしたが、今日の感じでは、徳永幸大攻略は充分可能、と見えました。
まだまだ巧く、強いです。

しかし、何度かあった好機で、詰めが少し甘いかなという印象もありました。
このあたりが、勝ちに恵まれていない荒川の現状が見えたかな、という気もします。
連敗を止めたことで、このあたりが次以降、どう変わってくるか、そこが今後を左右しそうです。


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で、ウェルター級は有川稔男が、渡部あきのりを6回TKO。
今大会のMVPを獲得し、賞金100万円をゲット!したわけなんですが...。

初回、渡部が身体ごと突っ込んで行って、左右を振り回し攻め込む。
顔面丸出し、パンチは全部外から。ラフとか強引とかいうのではなく、一言でいうと無茶苦茶。
有川は巻き込まれ、押し込まれ、手が出せないが、徐々に内側から右を打つ。

この回中盤、有川の右が渡部のボディにインサイドからまともに入る。
しかし渡部はそれでも左右を振り回し、時に左をヒット。

2回以降も、どさくさ?で作った流れを崩したくないのか、渡部が攻める。
有川はジャブで突き放すというのは望むべくもない感じだが、左ボディを決めるなど、
巻き込まれつつも徐々に立て直せそう。渡部外から、有川内から。

4回、互いに防御を忘れていて、打たれたら思い出したようにガードが上がる。
渡部左を当てるが、有川が右を返して攻め込む。渡部はこつこつ打たれてきたダメージが見え、
そこに有川が右、左と打ちまくる。ストップで良いと思ったが、レフェリー止めず、ゴング。
5回、有川があれこれと打ちまくり、渡部はフラフラ。6回、やっとストップでした。


確かに派手な試合というか、場内盛り上がっていましたが、技術面でどうこう、という以前に
これは如何なものかなあ、という試合でもありました。

渡部がどういう理由で無茶な仕掛けをしたのかは知る由もありませんが、それに簡単に巻き込まれた
有川の対応もまた、感心しませんでした。
専門誌に注目選手として取り上げられていた有川、どんなんかなーと楽しみにしていましたが、
展開一つで防御健忘に陥ってしまう姿は、正直がっかりでした。
それでもまだ、インサイドから打ち返す意識があったところだけが、今後の希望でしょうが。


というこで、MVPは有川が受賞でしたが、正直な感想を言えば、そんな選考、あり得ないと思います。
あれこれつべこべ言う気にもなりません。終戦直後の草拳闘かい、とだけ言っておきます。
私なら荒川か益田ですね。倒した分、益田かなあ。


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最後に、試合自体はそれぞれに見どころ満載でしたが、興行の進行が酷かったです。
試合開始6時が、15分遅れ、4回戦の試合が初回ノックアウトで終わったのち、
休憩を挟んで、9月と10月の月刊表彰をのんべんだらりと行い、黒田vs阪下戦は
結局7時くらいから開始でした。


試合終了後の表彰式も、選手がなかなかリング上に揃わないし、だらだらとした段取りで、
アナウンスミスや内輪向けの会話が続く。お客さんは大半が帰ってしまってて、寒々しいことこの上なし。
挙げ句に選考が無茶苦茶でしたから、何だかなぁという感じでした。


繰り返しますが、試合自体は総じて良かったのに、イベントとしては無惨なものでした。
こうした興行の企画自体は、これからも支持したいですが、もうちょっとやり方を考えてもらいたいです。
余りにも観客の心情に無頓着過ぎる、と強く感じた次第です。




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