さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

序盤の被弾に懸念はあるが 岩田翔吉、KO勝ちで前哨戦クリア

2024-07-07 12:28:21 | 関東ボクシング



ということで今日はアルゼンチンの小旗を持ってTVの前に陣取る日ですが(←嘘です)、その前に昨日のU-NEXT配信試合、簡単に感想を。


メインの岩田翔吉は、やっぱり大柄でリーチのあるジャージール・トリニダードの間合いに、序盤少し苦しみました。
2回に右ストレート、返しの左フック、さらにアッパーを食ってよろめく場面あり。
その前にも左フックが思いの外遠くから来たのか、距離の測定が出来ていない序盤、ヒットを喫していました。

3回も右アッパーが来て、もつれてスリップしましたが、徐々に左ボディブローで反撃し、次に左アッパーを上へ返す飛び込み打ちで、トリニダードをダウン。
4回になると、トリニダードのジャブに対し、右クロスの合わせが決まる。距離の測定は出来た模様。
ジャブは少し邪魔だが、右ボディストレート、右アッパー、左ボディなどヒットを重ねて行く。

5回、トリニダード奮起して反撃。若手だが無敗だけあって、意地を見せる。
しかし岩田は、攻められても身体ごとぶつけるようなボディブローを打ち込み、好打すれば追撃にボディを打ち、という具合。ボディ攻撃の選択肢が多い。
6回、しっかり踏み込んで右ボディストレート、左アッパー、左フックと追撃して二度目のダウンを奪い、連打で詰めてストップでした。


序盤、大柄な相手のリーチを読み切れない内に打たれたのは仕方ないとしても、一発じゃ無く連打されたことも含めると、世界戦に向けては、序盤の闘いぶりが懸念材料として残りました。
ジョナサン・ゴンサレス戦後、再起4連勝となりましたが、いいのもらって止まる場面は今回だけじゃなく、一度ありましたし。

もし先日紹介したハイロ・ノリエガ相手だと、良いの打たれたあと、簡単にボディ攻撃から反撃をさせてくれるかどうか。
KOが少なく怖さは無い反面、判定勝ちが多い選手というものは、試合のペースを掴んだら、それを簡単に譲らず維持すること長けている、とも言えますので。

しかし岩田の良さ、攻撃の鋭さ、ダイレクトの精度が高いこと、ボディ攻撃のパターンが多彩(攻める場面のみならずリターンやカウンターもある)という面もしっかり見られ、相手が闘志のある選手だったことも含め、前哨戦として悪くない試合、そしてKO勝ちでした。



セミは、あれ、こういう試合順なんや...と思って見ていたら、あっという間に終わり。
金子虎旦が、勝ちは全部KOというマイケル・カサマに、初回早々左フックを顔の真ん中に打たれ、右足が伸びて突っ張る。
追撃を受ける金子、ダメージで足がよれ、反撃の手がひとつも出ないまま、30秒以上攻められ続け、これではストップもやむなし。
致命的なフィニッシュになる前に止めてもらえて幸いだった、という完敗でした。

強打を持ち、アグレッシブに闘うが、防御に不安あり、という印象だった金子が、今回は立ち上がり、慎重に見ていた印象。
ところが、カサマの一発強打によって打ち崩されてしまいました。
相手に闘志があり、力があれば、こういうことも起こり得る、ということでしょう。言えば本当の勝負を見たのだ、という理解で良い。そういう試合でした。



村田昴はこれも無敗というブライアン・ジェームス・ワイルドが、その名の通りワイルドに振ってくる左オーバーハンド、左アッパーに対し、ボディブローから攻略。
4回、ボディでワイルドを失速させておいて、左アッパー顔面にヒット。え、これで倒れんか、と思う一発でしたが、さすがに効いていたようで、村田が速いパンチで追い上げると、コーナーで崩れてダウン。
キャンバスを叩いて悔しがり、立ってきたワイルド、5回攻められながらもロングのパンチを振って抵抗する。
しかし6回、速いパンチを上、ボディに強打という棲み分けで村田に攻められ、レフェリーストップとなりました。
日比の無敗若手対決でしたが、攻防のバランスを考えて闘う村田に、身体がのめるのも気にせず強振するワイルドと、両国のスタイルがわかりやすく見られた一戦でもありました。


高見享介とウラン・トロハツの110ポンド契約8回戦、というのは、どちらに幸いする「設定」なのだろう、と思っていましたが、トロハツが特にきつそうということもなく、体格を利して、時に高見を脅かす単発の反撃がありました。
高見はスピードと手数でクリアにリードして勝ちましたが、相手が元々一階級上で、その頑健さを打ち崩すには至らず。しかし弱い相手に快勝するより、余程意味のある試合でした。



アンダーの4回戦、鈴木丈太朗vs佐藤篤希の凄いKOも含め、全体的に見どころのある試合が並んで、充実の興行だったように思います。
強い弱いじゃなく「心配」な選手が出て、それが「びったん」「へちゃっ」と倒れるような試合がひとつもなかった。
単に国籍で分けられるものでもないでしょうが、やはりフィリピン人ボクサー、それも一定の力がある選手を連れてくれば、普通に勝ち負けの話になる、ちゃんとした試合が見られる。
その結果、時に今回の金子虎旦のように黒星を喫することもあるが、言えばそれが当然、当たり前です。ボクシングなんですから。


今後も、タイトルマッチとかじゃなくても、こういうカード編成を地味に続けて行けば、その中を勝ち上がった選手が、真のスター候補として支持されることでしょう。
そして、帝拳ジムという大手に属する好選手には「だからこそ」そのような路線を進むことで、そのプライドを示す場が与えられてほしい、と思います。


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2 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-07-07 15:06:05
確かに、最近私も苦言を呈させていただいたような弱いタイ選手などはこの日存在しませんでしたね。先日の興行もそうでしたが帝拳さんのは無名ながらフィリピンの一発ありそうなのか、中国あたりから頑健そうな選手を当てますよね。なかなかガチと言えるでしょう。
高見くんは体格大きな相手でしたが、ただあの若さで落ち着き感じましたね。年齢より大人びたボクシングという感じします。
村田くんはスピードもサイズもある。ただ、良い意味でも悪い意味でもスタイリッシュ。テンポがあまり変化なく、相手も慣れてしまうのか、前にもそういう印象受けました。そろそろ下町くんとかとの絡みも見てみたいです。

岩田くんは次世界でしょうね。ケンシロウさんもゴンザレスも返上して、今が最大のチャンス。ただ打たせますよね。ここを本番までに修正しないと、ですね。次の相手候補は特に強くないし、本当にここしかタイミングないでしょう。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-07-08 10:54:53
>R45ファンさん

徐々に改善の兆しが見える部分ではありますが、それでも目に余る試合があって、今後はさらに厳しくなっていくと思われます。他が追随するかどうかは不明ですが。
高見はライトフライを維持出来れば、今の感じで通るでしょうが、その上となるとどうですかね。防御の質がさらに求められるのでは、と。
村田は徐々に強くなっていくしかないでしょうね。日本上位などとは、どこに原因があるかはともかく、まず当たらないまま進むのでしょう。その弊害が徐々に見えてくるパターンにならねばよいですが。
岩田の相手がノリエガだとして、まあ弱いとは言いませんが、抜群に強いわけではない、というところですね。チャンスではあると、同感ですが、課題も当然ありますね。
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