ということで今日はLeminoの方のフェニックスバトル。
強打の佐々木尽、左肩の怪我が癒えて復帰初戦で、日本人とは4戦して2勝1敗1分のサウスポー、ジョー・ノイナイを5回に猛攻、一気に詰めて最後は右でKOしました。
豊嶋亮太、そして小原佳太を立て続けにKOし、一気にウェルター級の「日本代表」に駆け上がったところでの負傷ブランクは、佐々木にとって辛いものでしたが、無事復帰して、左のパンチもぶんぶん振っていたし、結果も勝ちだし、まずは一安心。
そういう試合でした。そして、それ以外には、特に語るべきものがある、というところには届いていない、という試合でもありました。
正直言って、試合以外の部分で、見ていて収まりが悪いなあと思うことがたくさんありました。
ブランクの間に、つまり試合をしていない間に世界ランクが上がったり、4団体全部にランクインしていたり。
そして相手は日本で好戦績を残すフィリピン人ですが、あくまでフェザー、スーパーフェザーでのこと。
闘った相手は小原でも豊嶋でも坂井でもなく、阿部麗也、坂晃典、清水聡、尾川堅一なわけですから。
言えば、つつがなく復帰戦を勝利で飾ってほしい、というマッチメイクです。
ところがそれが、空位のOPBF王座決定戦を兼ねて、ダブルタイトルマッチになってしまっている。
そして、肝心の試合内容が、他に狙いをもって、というでもない、単に強打を「当て」にした強振で迫り、動きを止めて打ってこい、とやって、相手のパンチをインサイドから安易に打たれ、それを受けても攻め口変えず、また振り回して迫る...悪いですけど、攻防共に巧い拙い以前の問題。
やることなすこと、子供じみている、という印象。
ウェルター級だからどうという以前に、階級問わず、これで世界だ何だ、安易に言わないでほしい。世界という言葉も軽くなったものだ、と。
日々汗水垂らして己を鍛えて、ボクシングに打ち込んでいるはずの本人や周囲が、自らそれを軽くしてしまっている。自分でやってて、何とも思わないのか。
世界世界と、言葉の安売りが過ぎる。きついようですが、そんな印象でした。
昨今、ボクシング界にたびたび暗雲もたらす計量失格問題、その当事者のひとりであり、その挫折をきっかけに、キャリアを終えてしまっていたとて不思議の無い状況から、本人及び周辺の努力でここまで這い上がり、再び脚光を浴びている佐々木尽には、今後、世界への本格的な進出、挑戦があってほしいし、その過程をつぶさに見られるとしたら、それにまさる喜びはありません。
しかし今日の試合内容に、そのような、前向きな要素はほぼ無かったと思います。
良かったのは、パワーの差どおりに倒して勝った、という結果のみ。
深刻な怪我からの復帰初戦ですから、まずはそれで充分だ、とは言えるにせよ、世界どうというには中身に不足あり、というのが、率直な感想でした。
アンダーカードはKOが多く、21時前にはメインが終わりました。
セミは関西対決で、井上尚弥のスパーリングパートナーも経験しているというミツキジムの津川龍也が、森岡ジムの森田翔大を2回TKO。
ジャブで叩いて右で追撃、ボディブローで早々に倒すという、圧倒的な強さで、中学生の頃の雪辱を期したという森田を寄せ付けませんでした。
試合後は大橋会長に、タイトルマッチをお願いします、みたいなことを言っていましたが、だとするとOPBF王者中嶋一輝との試合が組まれたりするんでしょうかね?
これもまあ、厳密に言うと関西対決なんですが。
WBOアジアパシフィックの方はTJドヘニーで、こちらは井上尚弥戦も取り沙汰されているらしく、ちょっと無理そうですけど。
日本は下町俊貴ですが、関西同士で...まあ、組みやすいのかもしれませんが。
個人的には関西ナショナリズム全開で(笑)是非、東の上位陣とやってほしいですね。
石井渡士也、池側純など、強い選手がいますしね。村田昴もいますが...いますが...。
中垣龍汰朗は判定勝ちで連敗脱出。
相手はタイ人だったので、遂にコロッとと行くようなのと組んだか、いっぺんくらいそういうのがあってもええんやで、と思っていましたが、ラドチャードという選手が全然そういうのと違い、フォームもしっかり、パンチもけっこう切れ、闘志もあって、中垣のパンチでは倒れてくれなさそう。
判定はクリアに中垣でしたが、変にというとなんですが、きちっと引き締まった試合内容でした。
その前の試合は、えらく体格差のあるタイ人が出ていましたが。
中島海二、スケールの大きな中量級の逸材だと思いますが、今日の試合は、あまり実のあるものではなかったですね。
で、井上尚弥御大の幼馴染み、元Jリーガー(でしたよね)という山口聖矢は、空手の経験アリという鈴木将斗に、初回左フックから追撃され、ダウンするも、2回以降右クロスで反撃、2-1の判定勝ち。
リングサイドで見守る御大も安堵の様子でありました。
判定については、初回10-8鈴木、2回山口、3回が微妙で4回山口、という感じか。山口の挽回、という見方はある、と思います。
しかしそれ以前に問題あり、ではないかと。この試合、初回にストップすべきじゃないんですかと。
山口がダウンし、再開したあと、鈴木の右が頭部にクリーンヒットした場面。さらにその後、鈴木が連打で打ち込んだ場面。
いずれも山口の身体が大きくのけぞり、よろめき、なおも打たれているけど止めなかった。
いつもの、普通の4回戦なら、止めているでしょう。でもそうしなかった。何故?
結局、こういうところがなぁ...と、まあいつもどおりの、苦い思いが心中に広がりました。
試合自体は4回戦としてはかなりの好ファイト、といえる試合だったのに、こういうのは嫌なものです。ホンマにもう...。
これ、ノイナイじゃなくて純正ウェルターのそれなりな相手を当てていたらただじゃ済まなかったですよね。だからこそ、だったのでしょうが。怪我する前なら壮大な夢、という文脈で世界という言葉を口にする資格があったと思いますが、今は但馬ミツロ陣営がそれを口にするのと同レベルの話にしかならない。錆を落として落ち着きを取り戻せば戻れるのか? それもわからないですね。
これでパワー、スピード、技術、経験、知識、全て平均以上無いと難しい階級で世界取ったら尊敬します。
まぁ本気で狙うならアメリカ移住した方が良い。
ただ試合があまりにね。スピードパワータイミングと、天性のものがあれど、やはり普通ならアッパーもらっても構わず前進とは行かない。多分世界ならボコボコにされますね。
ガードだけでは無理。頭の動きは?全弾強弱ないフルスイングでは…今のままではチャンピオン側からするとランクだけで与し易しの美味しい上位ランカーです。
せめてシンプルなワンツーがないかなと。
とはいえ竹迫井上あたりが時をすぎ、後に続く人材もあまり中量級にいない。スーパーライトだと平岡アンディくんや李くんもいい選手ですが28ですからね。
まだ若く、爆発力あり、何かしてくれそうな逸材ではある。
自らの中にある暴れ馬を上手く操って欲しいです
今回、ブンブン丸に戻ってしまい、完全に階級下のウェルター級で実績のない選手(ノイナイはウェルター級で4勝していたと言っても相手が微妙)にこの内容だったのは残念ですが、故障明けの復帰戦なので多少はおおめに見るべきですかね
試合内容がこれだったので、その後のインタビューは見てなかったのですが、世界どうのと語っていたのですか。最近の Lemino は、簡単に「世界」言い過ぎですね。自分たちで軽く語り、価値を落としてどうすんのと。それ言ったからって視聴者が増えるとも思えず。
Lemino はリング上の集音は良くなりましたよね。最初の頃は本当にパンチ音が聞こえなかった。これの有無で、特にガードの上を叩いている時の印象などは180度変わることもありますね。「全て防がれて全く効果なし」が「相手は手も出せず凌ぐので精一杯」に見えたり。どちらが実際に起きてることに近いのかはその時々ですが。
相手と対峙したときに、あの大振りをしないと間が保たないのだろうなあ、という印象です。それは多少、薄まったときもあったかもしれませんが。要はジャブ出すなり、相手見て動いて外すなりして、それから打っていくのが普通だけど、そういう「ボクシング」の部分に、本人が自信を持っていないのでしょう。だから「とりあえず」振り回す。その影に何か狙いを秘めている、という風には見えませんし、そうだったとしてもそう毎度毎度...。
パンチ力があるんだからそれに頼るのでなく、寄りかかるのでなく、それを「元手」にボクシングの部分を磨けばいい。それが出来れば何よりではないか。誰だってそのくらいのことは考えるんでしょうに、この選手はいつになったらその辺が変わってくるのかなあ、と、ちょっと歯痒い気もしますね。それこそ井上尚弥という、誰の目にもわかりやすいお手本があるのに。
今回はまあ、小手調べ要素の入ったマッチメイクでしたね。にもかかわらず、王者乱立の状況になっている今、一発狙いで世界戦を組もうという目論見でもあるのか、そういう雰囲気を醸成しようとしていた感じで...その部分はあくまで次以降、でしょう。
例えば今回の調子だと、豊嶋と再戦していてもどうかなと。前回の初回、豊嶋の闘いぶり、立ち方に本田会長が激怒した、と聞きますが、それはやり方を変えればあんな風に負ける相手ではないと見ていた、ということでもあります。私はその見方もわかるような気がします。
>えすさん
上記の通り、結局のところ、ボクシングをするよりも強打することを優先しています。それがボクシングなのだと思い込もうとしている部分があります。頭を小刻みに動かし、肩を揺すって対峙しているときもあったのですがほんの僅かで、ノイナイの防御と反撃に対し、全部忘れて止まって打たれ、強振強打で対抗する、という以外、ほぼ何も見えてこなかったですね。
アメリカ移住はさすがに...真面目な話、それを本腰入れてやったら、世界タイトルマッチに到達することは100%ないでしょうね。八王子中屋ジムは荒川仁人、チャーリー太田や淵上誠など、中量級以上のクラスで海外の世界挑戦、それに準ずる試合に挑んできたジムですから、その部分では進んでいるでしょうし、海外での練習もやっていますから、色々学んでほしいところです。
>R45ファンさん
過去の件もあって、周辺に対する気持ちは偽りなきものだと思います。私も平岡戦で空振り食った客のひとりですが、そのこと自体にはもう、何のわだかまりもありません。よくここまで戻ってきたなあ、と思います。
あの、打たれたことについて「是非もなし」みたいなのがどうも良くないですよね。確かにアジア上位、世界ランクのひとつ下のグループくらいにいる、なかなかの実勢がある相手とはいえ、三階級下の話ですし、一発で効いたり倒れたりはしない。そういう相手との試合ですから。何も一発も打たせるなとは言いませんが、打たれたらそれを受けて、何らかの対応をするべきだろうと。そこが何も無い。そこが良くないですね。
本人は自分の実力はこんなものではないと言っているらしいですが、本当にそうであってほしいと思います。米国で練習して学んだことがあるなら、それを今後はしっかり見せて欲しいですね。
>モノクマさん
クロフォードとスペンスが、直接対戦する前に、それぞれの手であらかた「掃除」してしまって、ジャロン・エニスくらいしか残っていない状況は、確かにこのクラスの歴史上でも珍しい「空白」のときかもしれません。強い奴が途絶えた試し無し、といえるクラスなんですが...。
今回はあくまで復帰戦、無事試合が出来て、どこも悪いところがなくて、負けさえしなければ、という試合でした。ただ、あまりにも世界世界ってうるさいんで...それに、あわよくばすぐに組もうとしているのか、と思うような勢いでもありましたしね。
>海の猫さん
今回の闘いぶりに「考え」はなかったでしょうね。こうなってしまった、というところでしょうか。精一杯の好意的解釈かもしれませんが。
先日のWOWOW生中継に出ていた暫定とかの王者の名を上げていましたね。もちろんあの中の誰かに勝てたら、日本人ボクサーとしては快挙ですが。
確かに音の感度が良くなりました。U-NEXTが画期的というレベルで変えて、Leminoもそれに追随したという感じですかね。これ、馬鹿に出来ない部分ですね。かなり実際に近い印象が得られるように思います。