さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

「引導」は渡された 痛烈新旧交代 高見享介、堀川謙一をKO

2024-03-03 07:07:33 | 関東ボクシング




今日は阿部麗也世界挑戦の日、試合は数時間後に迫っていますが、とりあえず昨日のU-NEXT、ダイナミックグローブ感想です。


メインイベント、帝拳のホープ高見享介が、歴戦の雄、堀川謙一を6回KO
文字通り「引導を渡す」試合となり、堀川は試合後、引退を表明したとのことです。


序盤からスピードのみならず、パワーでも高見が堀川を圧倒する。ガードの上に右を叩きつけ、ワンツー、右アッパーに左ボディと、好打連発。
速いだろうことはわかっていましたが、その速さを早々から攻撃シフトで生かす型。自信に満ちあふれて、積極的。
2回終盤、右クロスのヒットから高見猛攻。堀川が二度、前のめりにぐらつく。
3回も高見が右ショート、クロスから左右連打。堀川ガードし踏ん張るが、打たれて前に少しよろめく。

このままワンサイドで始まり、終わるのかと思った展開でしたが、4回、堀川が右クロスの相打ち。
かなり攻め込まれているが、身体の軸を後ろに下げず、まっすぐ身体を立てて、相打ち狙い。
苦闘のさなかにもさりげなく凄みを見せる。堀川、ロープに追ってボディ攻撃、プレスかけて、高見が足で捌く流れに。

しかし高見が左フックの迎え撃ちを見せ、堀川またぐらつく。コーナーに引いた堀川、右カウンターもヒットせず。
高見が左右を叩き、右アッパー、堀川の反撃を外して左ジャブ。堀川、反撃のラウンドにしたかったが、またピンチ。
5回それでも堀川出て、じりじりとプレス。スリーパンチで攻める。高見少し見たか?しかし右ヒットしてラウンド終える。

6回、高見が一発ずつ力入れる打ち方から、若干軽めのパンチをアウトサイドから叩く打ち方に変えてくる。
連打が淀みなく続き、ヒットが上下に重なる。堀川それでも出るが、左ボディを二発打ち込まれ、いよいよ失速。
高見、右ヒットからワンツー、左ボディ、ガードの上から右を叩き込み、なお左右の猛攻。左フックがかすめたところで、堀川、糸が切れたように倒れ、レフェリーが即座に試合終了を宣告しました。



デビュー6連勝の高見、キャリア62戦目の大ベテランを痛烈に沈める、という試合。
21歳と43歳、もはや親子ほど離れた両者の一戦は、痛烈な新旧交代劇となりました。

高見享介は、事前の想像を超えて、自信満々に、積極的に打ち込み、というより斬り付けに行く、という風に見えました。
堀川がそれに怯まず、身体の軸を立てて迫る姿はいつもどおりの、地味ながら凄みのあるものでしたが、高見はものともせずに攻め続け、最後も様子見を見て良いの当てて、ではなく、決意を持って打ちかかり、倒しました。

もちろん、今後相手が変わって同じような試合が出来るかは知らず、また常に今回のように闘えばいいというものでもありません。
しかし若きホープが進退をかけたベテランに対する試合...若き者、新しき者が背負う必勝の宿命の元に闘う、という構図において、高見享介が見せた姿は、考え得る中で最も鮮やか、見事なものだったと言わざるを得ないでしょう。
この試合を見て、彼の今後に注目したいという気持ちが強まりました。見事な勝利でした。


そして敗れた堀川謙一、上に貼った記事にもありますが、引退表明したとのことです。
「もう、覆すことはないと思う」という一言を添えて。

かつては地方ジムのハンデに苦しみながらも、海外遠征などで地力をつけ、上位ランカーが充実していたライトフライ級の関西勢の中、ボス的存在として勝ち残り、遂に日本王座に到達。
しかしそのタイミングで台頭してきた、新星・寺地拳四朗との「決戦」に敗れる。

ところがここで終わるかと思った彼の闘いは、その後の移籍を経て、8年以上も続くことになりました。
最後は記録として、4連敗という結果が残りましたが、その闘いぶりは、地味ながらどんな相手にも怯まぬ決意と、長年のキャリアで培った技巧が織りなす、見どころ多いもので、ボクシングファンにとり、最後まで心惹かれる存在であり続けました。

最後に歳若い、しかし強い決意を持って打ちかかってきた、斬り付けてきた相手との闘いがあったことは、見ていて心配な気持ちにもなりましたが、終わって見れば良かった、と思ったりもしています。
今はただ、堀川謙一の、長きに渡る闘いに敬意を表したいと思います。お疲れさまでした。



コメント (2)
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