ということで昨日のAmazonPrimeVideo会見ですが、色々と予想外なことばかり、という内容でありました。
中谷、拳四朗、恒成、拓真…10・13、14有明 2日間で世界戦7試合!那須川天心は初タイトル戦(スポニチアネックス)#Yahooニュースhttps://t.co/KrQ4eWzbkB
— takeru ooba (@OobaTakeru) August 22, 2024
まず日にちは、10月13日と14日。日曜と月曜祝日。海外で出ていた18日というのは間違いだった模様。
会場は有明アリーナ。
イベント名をPRIMEVIDEO BOXINGと改称して(ていうか、何で最初からこうしなかったのでしょう)、第10弾の区切りで、このシリーズに出るタイトルホルダーが一挙に出場。
二日間で世界タイトルマッチ7試合を開催。加えて那須川天心のWBOアジアパシフィックタイトルマッチも。
西田凌佑の試合が入っていないのは残念。初防衛戦は大阪で独自に、ということでしょうか。
さて、まずは順番にカードについて触れたいのですが、まったく知らないコンテンダーもいたりして、戸惑う部分もあります。
とはいえ、両日において「軸」となりうるカードも、あるにはありますね。
まず初日、WBAバンタム級タイトルマッチ、井上拓真vs堤聖也。
拓真はやはり、モンスタートーナメント優勝者で、高校時代から対戦経験のある同世代のひとり、堤との対戦を受けることになりました。
拓真は中谷潤人ないしは西田凌佑との統一戦に進むために、堤は悲願の世界奪取、そして高校時代の雪辱のために。それぞれにテーマがありますね。
基本、技巧派対決と見ますが、長きに渡り国内無敗、さらに国際的な試合でも勝っている拓真の技巧を、巧みかつ果敢な堤が打ち崩せるか。見応えありそうですね。
WBCフライ級タイトルマッチ、寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス。
階級上げて初戦の拳四朗が、コンディション良化によって本来の技巧をベースに闘えるなら、近況に冴えたもののない?元王者ロサレスを下せると思います。
しかし好調に仕上げられず、体格、パワー負けして、巧さを抑え込まれたら、という悪い想像もあり得ますね。可能性としては低いにせよ。
WBAフライ級タイトルマッチ、ユーリ阿久井政悟はタナンチャイ・チャルンパックとタイ戦、じゃなくて対戦。
ランク15位のタイ人とは、これいかに...と思ったんですが、先日名古屋で畑中建人を下した選手だと気付いて、ちょっと印象変わりました。
名古屋での試合はまだチェック出来ていませんが、じっくり見てみようと思います。ナコンルアンプロモーション期待のひとりということで、ランクの数字よりは良い選手のはずですし。
WBOライトフライ級王座決定戦、岩田翔吉vsハイロ・ノリエガ。これは海外で先に出ていた話のとおり。こちらで触れています。
2日目、WBCバンタム級タイトルマッチ、中谷潤人vsペッチ・ソー・チットパッタナ。中谷、連続でWBC1位との対戦。
ペッチはもう6年近く前ですか、井上拓真にWBC暫定戦で負けた長身サウスポー。30歳。戦績76戦75勝53KO1敗。唯一の黒星が拓真戦。
とはいえ、レコード見るとそれ以外は、さっぱり名のある選手とやっていませんが。
ペッチから見れば、長身、サウスポーのアドバンテージが意味を成さず、右フック引っかけの技も決まりそうにない?という同タイプの中谷は、難敵以外の何物でもない。
ここは中谷がクリアに勝つでしょう。さすがに左ボディストレートは警戒されるでしょうが(笑)。
WBOスーパーフライ級タイトルマッチ、田中恒成に挑むのはプメレレ・カフ、南アフリカ。IBFインター王者。WBO5位。
13戦10勝8KO無敗3分。引き分け率高し。うーん。
boxrecにはサウスポーと記載されているが、動画2試合、ちらっと見た限りでは右構えでした。はてさて。
いやー、全く知らない選手でして、後日動画をきちんと見て、気になるところがあったら何か書くかもしれません。
それにしても、名のある選手とは組んでもらえないのか、それとも選んでこうなのか。
よくわかりませんが、快勝を期待される...という表現よりも、さらにひとつ上の内容を求められるカードかもしれません。
WBOフライ級タイトルマッチ、アンソニー・オラスクアガvsWBOライトフライ級、前王者のサウスポー、ジョナサン・ゴンサレス。
若さとパワーのオラスクアガ、技巧のゴンサレス。オラスクアガが経験不足を露呈する可能性もありますが、ゴンサレスはフライ級に上げた場合の体力、耐久力に不安あり、という印象も。
どちらの目が出るか、というところ。
最後は那須川天心、初の地域タイトルマッチ。相手はタイの選手ではなく、フィリピンのジェルウィン・アシロ。9勝4KO無敗とのこと。
徐々に相手のレベルを上げてきた那須川にとり、前回より、ちょっと下の相手か。
それより何より、那須川は今回、本当に118ポンドに落とすことになります。こういうカードですから、注目すべきはそちらの方、かもしれません。
こうして簡単に書くだけでも、イベントとして賑々しく見える、という点ではなかなかです。
意味があるのかないのか、と言われるとモゴモゴ、という感じですが。
今年の1月2月に、東京と大阪で分けて開催しましたが、ああいう形の方が良いのでは、と思ったりもしますね。
個別にカードを見ても、これが「勝負」だと言えそうなのは限られている、という印象でもあります。
世界タイトルマッチとして「大勝負」と言えるものは、残念ながらありません。
それよりも「次」への展開、その前段、という感じのものが多いですね。
だからこそ、これだけの数をひとまとめに「せねばならない」のかもしれません。それぞれ単独、単品では難しい、というのも事実です。
そして、出場するタイトルホルダーたちにとっては、過去に例のない大イベント、という華やかさの陰で、単に結果のみならず、試合内容でもってその価値を問われることでしょう。
これだけまとめて並べれば、見る者は否応なしにそれぞれを比較します。
「次」へ歩を進めるに相応しいのは誰か。そうでないのは誰なのか。
そういう目線にさらされるという部分では、全ての出場選手にとって、厳しい「勝負」なのだと言えそうです。
拓真くんは統一戦に向けて体良く勝ちたいでしょうがはてさて。
他は決定戦の岩田くん以外、言い換えれば査定マッチでしょうね。特に中谷くんは頭ひとつ抜けてるし、こうせいくんも統一路線行きたいならばこれは快勝してよと。
あとフライ級3人も見比べられますね。
バンタム級とフライ級はこの試合後、戦ったものどうしで統一戦に行く流れとなって欲しいところです
レミノの尚弥様のは平日でなかなか厳しいし、アマプラは二月、五月と連休中に入れてくれたし、ありがたいです
ボクシングは世界王座が乱立し価値が落ち、さらにはマッチメイクにも多くの人が疑心暗鬼。優れた選手が現れても「本当に強いの?」と。その疑問に対し誰にも分かる形で答えたのが井上尚弥で、トーナメントを勝ち抜き、その後も次々とベルトを集め、真の世界王者の姿を見せることで、再びボクシングの信用と価値を高めたと思います。
でもここ最近の帝拳と大橋の、世界戦をこれでもかと並べる興行は、それに逆行しているのですよね。来月再来月で9つの世界戦が行われますが、世界の頂点を争う試合は一つもなし。一時期の日本ボクシング界は「最速」「多階級制覇」を競っていましたが、その後は統一戦と今は世界戦の数。いずれも数字だけ競っても、「名」に見合う「実」が伴わなければ価値も人々の関心も落ちていく。その行き着いた先が田中の「世界最速四階級制覇」だったと思います。次に落ちていくのは統一戦と世界戦の数でしょうかね。
拓真、堤戦は、試合の題目抜きに、見てみたい試合ですね。日本国内では長きに渡り誰も勝てない拓真に、日本王者として一級品の堤がどう闘うのか。
拓真が勝つにしても、鮮やかにという感じかどうかはわからないですね。誰相手でもそういう風にはなりにくいというか。
全体として、これがこの選手のキャリアにおける「決勝戦」という感じは少ないですね。評価を築くために勝つ、という試合が多いです。
中谷はまあ、王者の立ち位置ではありましょうが。田中恒成はちょっと、どういう事情でこの辺の相手になるのか、よくわからないです。
日程はとにかくAmazonが良いですね。何度も言いますが有明アリーナなのに、docomoがスポンサーの井上の試合が平日で、こちらが日曜祝日というのは、どうにも納得し難いですが。
>海の猫さん
以前WBSSで「世界王者が集結して真の王者を決める」と喧伝したときと似た感情ですね。世間からすれば「ほんならボクシングって普段何してるんや」と思われやせんか、という。我々なら、この選手は王者だがこの選手は実質上位コンテンダー、とか区分けが出来ますが、世間は混乱するでしょうね。仰る通り、それが豪華絢爛と受け止められるかというと...。
二階級4団体制覇の井上尚弥、2団体だが実質階級最強だった拳四朗、まだ一団体だが試合を一見すれば最強と明らかな中谷など、真の王者と言える選手はいますが、他の王者たちが闘うのは、世界ランカー対決というところかもしれません。それはそれとして価値を見ることが出来るものですが、お題目が中身と違うのが問題ですね。色々とお題目を掲げて、それによってビジネスが回る道を探してきたのが日本ボクシングの歴史でしょうが、「最速」というのはもう、ローカルな後援サークルや、マスコミの喧伝がライト層に通じた時代の話でしょうね。多階級制覇も同じくでしょう。亀田興毅や井岡一翔のような形で何階級制覇とやられても、鼻白むばかりです。ファイティング原田や柴田国明の二階級制覇、その足元にも及びません。
田中恒成とて、国内(田口良一、木村翔など)や、その時点の最強挑戦者(ティト・アコスタ)といった試合を実現したプラスがありますが、階級最強の可能性を示せたのはライトフライ級のみだった、というのも事実です。
統一戦に関しては、いくつか実現すれば良い方だと思います。拳四朗と京口紘人の闘いは素晴らしかったですが、あのような闘いに踏み出す選択が、今のフライ、バンタムにおいて、存在するのか否か。結局、最強を決めるべきというファンの期待、自分が最強になるというボクサーの意志とは別の何かが介在する、そんな様子をしばらくの間見せられるのではないか、という疑念があります。そうでないことを願いたいですが、はてさて。