ということで一昨日はABEMAの長丁場配信を、飛び飛びで見ていました。
簡単に感想です。
メインは亀田和毅がレラト・ドラミニと再戦し、2-1の判定勝ち。
IBF2位決定戦で負けたものが、再戦する段になったら何故か挑戦者決定戦(つまり1位決定戦?)になっている、というだけでも冗談のような話ですが、そもそもあの試合内容でもう一度、となること自体が、異常。
言えばプロとしての評価とかいう話が、どこかへすっ飛んでしまっています。自分たちの都合、それだけ。
昨日、マルティネス、井岡再戦について書いたことは、この試合にもほぼ、当てはまります。だいぶレベルの落ちる話ですが。
亀田は前回と違って前に出て闘いましたが、さりとてパンチ力自体がアップするわけではない。手数は出るがドラミニのガードに大半が引っかかる。
ただドラミニ、ボディを打たれたせいなのか、自身のガード、ブロックを過信したのかわかりませんが、ロープ際で相手に手数を出させすぎ。足で外すことを考えるべきでした。
4回、5回とロープ際でバランスを崩すくらいに攻め込まれる。5回、数が増えた亀田の連打、その中の右ショートがインサイドに来て、これが効いたのか、ダメージを負ってしまい、追い立てられてダウン。
「下手打ったな」と言うしかないですが、亀田の「ストップ用」連打はドラミニがさすがに凌ぐ。
亀田はリズムで打ち、強弱付けて攻め落とす、という詰め方が出来ない。打った分だけスタミナを使う「ラッシュ」をした結果、息が上がって手が止まる。
ここでしっかり狙って打てないのが、技量の不足、さらに言うならハートの弱さ。「露呈」のレベルでした。
中盤は一進一退でしたが、終盤にかけて、亀田、アタマから入ってボディ打ち、アタマ見せて上にコンビ、という具合の「アタマがリードパンチ」なボクシングが露骨になっていく。
これが実況高柳さんの言う「親父スタイル」というやつ?原点回帰、とはこれいかに(笑)。笑ってる場合ではないか。
しかしレフェリー、一切咎めず。容易に想像出来たことではありますが。場所も場所ですしね。「行った先なり」の仕事、というやつです。
とはいえ減点どころか、注意のひとつもしないのはさすがに...肩から体当たりしたときはさすがに注意しましたが。体裁悪いですしね。
終盤はドラミニも「レフェリー何も言わんな。どういうこっちゃ。まあしゃあないか」という感じで、亀田のアタマを左ガードで止め、サイドに回って外し、と、普通のパンチに対するのと同じ防御対応をしておりました。いとおかし。
亀田、最後はプッシングでドラミニをロープの間へ突き倒し、雄叫び上げてゴング。馬鹿だなあ、と呆れるほかないですが。
まあ、ああしておけば万が一にも打たれる心配は無いということでしょう。どこまでも小心です。
ちなみにレフェリー、何も咎めず。ご苦労はん!というところでしょうか。
判定はダウンの分だけ亀田、という内山高志の採点も理解出来るが、見方ひとつで逆があっても不思議なし。実際2-1で割れました。
試合後の報道では、亀田は割れた判定に不服らしく、陰謀論みたいなことまで言っていたらしいですが、笑止千万です。
どの口下げて言うかね、と。忖度レフェリーに護られていた我が身については、何も思わないのでしょうか。勝手なものです。
まあ、全部引っくるめて、関西人としては嫌なことですが、東京じゃなくて大阪にこの試合を持ってきた理由も、終わってみて何となく見えました。
試合としては前回同様、どっちも負け、という試合であることに変わりはなかった。要らん再戦だったな、というのが、率直な感想です。
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重岡優大再起戦、サミュエル・サルバに判定勝ち。見た印象では6対4という感じ。
相手は優大よりちょっと小さく見えましたが、地力は大したもので、打たれてもすぐ打ち返すし、重岡にとっては息の抜けない展開。
右を食って少しぐらつく場面もあったし、際どいタイミングの攻防が続きました。
しかし、実質、ほとんどライトフライ級の試合だったこともあってか、以前ほどボディ攻撃の効果がすぐに出ず、決定打を打ち込めなかった重岡には、今後に向けてさらなる改善、成長が求められます。
「前段」なしで決定打を決められる試合はもう出来ない、という現実を直視して、中盤に見せた右リードからの展開を、もっと大事にせねばならないでしょう。
ミニマムで闘い続ける選択は、世界王座挑戦をすぐ求めるならそうせねばならないでしょうが、もう良いかな、と思います。
はっきり108ポンドで闘うと決めて、良いコンディションを作り、その上でどういうボクシングをするのかを組み立てていってほしいです。
国内にも好選手が多いクラスですし、ライバル対決などを経て、近道ではないルートで世界再挑戦を果たしたら、ボクシングファンはその挑戦を大いに支持し、心から応援することでしょう。
もっとも、そのような道を行く選択を支える意志や体勢が、彼の所属ジムやプロモーターにあるものかどうか、が問題ですが。
まあ、今回の試合については、世界王座を失ったあと、再起初戦で20勝13KO1敗の相手と試合をする人というのは、そうそういるものではないですから、まずはその時点で称えたい、という気持ちでもありました。
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健文トーレスの勝利には驚きました。KJカタラハとは思った以上にリーチ、体格の差があり、そのアドバンテージを上手く生かし切ったという印象です。
スタイル自体はメキシカンの一流ボクサーファイター、その系統にあるもの。
高く締めたガード、リズムで上体を振り、当てたら足捌きで外し、左のダブル、トリプルのフックやアッパーを、膝の屈伸で打ち分ける。
これの究極、超一流がリカルド・ロペスであり、ファン・マヌエル・マルケスなわけです。
皮肉なことに、このスタイルから足捌きを取り去り、強打頼みで闘った結果、「大」成功は出来なかったのが、健文の父、ヘルマン・トーレスだったりするわけですが。
それはおいといて、健文の健闘には拍手ですが、打たれ脆さという心配もまた、二度にわたって見えました。
何とか堪えて判定に持ち込みましたが、カタラハの方に、何が何でも勝つ、という切迫感が見えなかったことも含め、今回は何とか凌いだという印象です。
前回のレイマート・ガバリョ戦と違い、スーパーフライ級の相手だったから保った、という面もありましょうね。
とはいえ、11年のブランクを挟んで、よくここまで立て直したものだ、と感心し、驚きもしました。
私は以前、日本で闘っていた若き健文の試合を、二度直に見たことがあります。
タイのクマントーン戦(「勝つタイ人」の一員として知られた選手です)など、その頃はもう私生活の乱れがボクシングにも出ていたのか、ベタ足で重いパンチを狙って振り回す感じで、しかも相手が思うように弱らず、打ち返して来ると冷静さを失い、アタマぶつける肩こする、という具合で、酷いものだったことを覚えています。
ラフな行為もいただけませんが、それ以前に、動きが全体的に重い。素人目にも「走ってないな」というのが見て取れました。
それから思えば、37歳になった今の方が、よほど良いボクシングをしています。改めて驚くべきことです。
終盤、昔ほどじゃないですがアタマを使って相手を下がらせる場面が散見されたのは残念でしたが。メインの人ほどじゃないにせよ。
敗れたKJカタラハ、全体として大柄な健文を警戒した、というのは仕方ないにしても、終盤も逆襲への強い意志が見えなかったのは不思議でした。
まさか敵地、それも大阪で、あの展開で勝っているというポイント計算をしていたわけでもないでしょう。
見方一つでどちらの勝ちも負けもある試合ではあったが、敵地で判定を当てにして良いわけもなし。
ましてゴング後の加撃で減点もされていたわけですし。
田中恒成にとり、最上位のコンテンダーであり、実際闘ったらどんな試合になるかな、と想像していましたが、実際見てみたら...まあ、ある意味特殊な条件下での試合ではあったのでしょうが。
ただ、ガバリョ、カタラハ、マーティンといった良く言えばフィリピンのプロスペクト、悪く言えば過保護ボクサーに期待しすぎていた面があったのかなあと個人的には感じます。今回カタラハが試合を受けた理由はガバリョを運よく倒したかませがランカーになったことでかなり美味しいと思ったからでしょうし、そもそも29歳まで世界戦の音沙汰がなかったのはプロモーターに自信がなかったからなのかなと個人的には感じます(例えば、ガバリョはランカーと防衛戦を行わずWBA暫定を剥奪されたり、WBSSの出場を断ったり、ロドリゲスとの再戦指令を国に引きこもって無視したりと自信のなさが目立つ報道も多いですし)
重岡兄には自分もライトフライ級へあげて欲しいですが、最近のインタビューを見ると兄弟でミニマムを4つ制覇するまで上げる気は今の所はなさそうですね
健文は相当な努力をしていると思います。加えて元々の天分でしょうか。私はかつての健文に、そのようなものを見出せなかったですが、今になってそれを見せてくれたことには、驚きと共に敬意を持ちます。
フィリピンのトップボクサーと言えば、パッキャオのハングリーな生い立ちや、ニエテスの下積みから這い上がったストーリーなどを先に思い浮かべますが、昔日と違い経済発展も著しい今のフィリピンからは、また別の貌を持つボクサーも出ていますね。かつてのロデル・マヨールや今回のカタラハなど、大学出のエリートで、カタラハも何かの研究をボクシング活動と並行して行い、学位を取得しているインテリだと聞いたことがあります。だからボクサーとしてどうとか、簡単に言えることではないですが、今回のような試合展開を見せられると、どうしても安易に結び付けたくなってしまいますね。旧タイプの戯れ言ですが。
実力面については今回見て、確かに要所で鋭さがあり、右カウンター二度決めたけど相手との体格差で押されていたせいか倒せず、一度はゴング後に打ってしまったこともあり、不運(自分が悪いんですが)な面もありました。レベル自体は高いし、同じ階級相手ならかなり強いとは思います。しかしどうしても不足を感じもしました。ガバリョに関してはドネアに倒されて自信喪失した面があるかな、と思いますね。あれはきつい倒され方でしたし。WBSS断ってたんでしたっけ。それはちょっと...ですね。
重岡兄弟はそんなコメントしてるのですか。うーん。ABEMAに言わされているのでしょうか。実際闘う本人のコンディションを見て、本人の意気込みだけではない判断基準があって然るべき、だと思いますが。
生まれ変わった、とか抜かしてましたがそれでもこの程度に頭ゴチンしてもどっこいどっこいじゃもう無理ですね。ようもこれで以前尚弥様の名前出したもんだと。
アンジェロレオ喜んでるんじゃないですか?
やった俺こんな弱いので指名試合クリア出来るんだと。
なまじファウンダーさんも健文に重岡くんと並ばせただけに世界戦組まないけないでしょうが、力あるんですかね。
Abemaの人が少しでもボクシング知ってたらこの輩のためにレオを日本に呼ぶため尽力なんかしないでしょう
前に出ようが出るまいが、基本一緒ですものね。わかっていたことではありますが。人間、無い袖は振れないし、性根もそうそう変わるものではないということがよく分かりますね。前回と違ったのはセコンドが理屈など無しに、行け行けと尻を叩いたところでしょうか。そうでもしてもらわないと、積極性が出せない。頼りないことですが。
今回、大阪でやって、観客も増えた(実際のところがどうかなんて、知りとうもないですが)、親父の存在(試合前から相手陣営に圧かけたらしいですね)などで、終わってみたら微妙な差を引き寄せた、という勝ち方でした。レフェリーもそれに巻き込まれていたし、コミッションも同様だったのでしょう。実質の試合運営責任者からして、あの一家との関わりや影響を言われたことのある人物で、今回のロケーションに抗いはしませんでしたね。それもこれも幸いしての僅差勝利でした。
アンジェロ・レオと本当にやるのかどうか、まあ普通ならやるんでしょうが。レオがそんな志の低い人物かどうかは知りませんが(笑)、もし日本でやるなら、色々下調べして、ちゃんと備え、構えてから来てもらいたいですね。試合の映像だけ見て、という感じだったら、妙なことになる可能性もないとは言えない、そう見ます。
あの社長さんがそういう責任感を持っているかは何ともです。力、というのも。新しいスポンサーがどのくらい関与するか、出来るかも未知数です。あの歌い踊っているメンバーの中の、女性歌手(ラッパー?)のコンビが、LUSHという会社の経営者と役員だ、と話に聞いて驚いていますが、トップランクと契約したというレオを招聘するとなると、これまでとはちょっと話が変わりますしね。
ただ、亀田一家の夢を、みたいな話に乗っているんだったら、我々が思う以上の援助をする可能性もあるでしょう。それはもう、ボクシングの試合としてどう、ボクサーとしてどう、という話とは別の物差しですから、どうなるものやらわかりませんね。