さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

中部の昇竜、歴戦の悲願を阻む 矢吹正道、大差で大内淳雅に勝利

2021-01-06 13:07:01 | 中部ボクシング




まー、今頃感想文の最たるものですが、先月26日、A-Sign興行と同日に、愛知は刈谷市で行われた日本ライトフライ級タイトルマッチについて、感想を書く隙間がどこにもなく、年を越してしまいましたので、簡単に。

当日、墨田区にもこちらにも観戦に行けず、BoxingRaiseで配信されたものを翌日に見ました。
それより前に見たネットの記事では、矢吹の強打に(挑戦者である)大内が守りを固め(てしまい)...というような趣旨の記述があり、記事としては簡略化されたものばかりでした。
しかし実際に見てみると、矢吹の圧倒的な距離構築、そして厳しくも多彩なカウンターの迎撃に、大内が果敢に迫るも撥ね付けられた、という試合でした。
挑戦者が攻めに出られず、凡戦だった、みたいに読めた記事は、いったい何だったのだろう、と思った次第です。



初回から矢吹が大きく距離を取り、長くて強いジャブで先制。
その体格と左の伸びは、古いビデオで見たイスマエル・ラグナか、ホセ・レグラか、と大袈裟に言えば思えてしまうほど。

2回以降、大内は左ではかなわないという状況で、右から入ろうとするが、矢吹が横殴り気味の右フックで迎撃。
このパンチが徐々に右アッパーに変わって行くのですが、その前に2回終了時、右クロスで大内を少しぐらつかせる。

3回に入り、大内は左フックを浅く当て、右フック。半ば、相打ち狙い。
4回、矢吹が右アッパーを決め、入ってくる大内を脅かす。

5、6回、大内は遠い位置から巧く入って、相打ち覚悟のタイミングで肩越しに右を狙い、数回ヒットをとる。
しかし矢吹も再三右を被せ、6回の相打ちでロープに下がった以外は、優勢のまま。

7回以降、矢吹はジャブが伸び、右クロス、右アッパーから左フック、ミスしてもすぐジャブで突き放す。
遠い位置から左のボディブローも決める。
これやられるとますます苦しい大内、それでも8回は右クロスで迫り、9回は矢吹の右アッパーのタイミングを左ジャブで叩くが、戦局は好転せず。

最終回、矢吹は速くて重いパンチを遠くから再三決めて、大内を後退させる。
大内が粘って返すと、最後は足で捌いて余裕を見せ、試合終了でした。



矢吹正道、試合の度に、国内レベルでは抜きん出た強さを身に付けているように見えます。
体格が圧倒的で、足が動き、遠目から狙って正確に当てる。
カウンターのタイミングが際どすぎる、と思うときもあり、今後、さらに上の相手となると、まだわからない部分がありますが、少なくとも、ランカーとの対戦がなかなかまとまらないのも納得の強さでした。


その強敵に、またも王座獲得の悲願を阻まれた大内淳雅ですが、これはもう、相手が悪かったというところでしょうか。
キャリア全般を通じて、もうひとつの運に恵まれれば、タイトル獲得歴がひとつふたつあっても、何の不思議もないレベルの選手で、この試合でも、仮にですが、彼が日本1位の挑戦者だ、と言われれば納得出来る、そのくらいのグレードを終始、示していました。
けっして、安易に守勢に回ったりはしておらず、慎重に見た上で、それでも時折「捨て身」の情緒で、危険なタイミングを承知の上で、狙いを持って拳を振るっていました。

改めて、この闘いぶりを批判的に書くというのは、どういうこっちゃ、と思います。
パンチ避けずに無闇に突っ込んで、打たれて倒れたら「健闘」と褒めてくれるんですかね。


まあそれはさておき、両者の技量力量をしかと見られた、緊迫感のある試合でした。
スケールの大きな長身強打の矢吹は、さらなる大きな舞台へ歩を進めることでしょう。
そして、敗れた歴戦の雄、大内の闘いぶりも、これ以上を望むことは出来ない、堂々たるものだった、と見ます。
同日の伊藤、三代戦のインパクトは強烈でしたが、こういう試合も、もっと多くに見て貰いたいと思った次第です。



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ということで、一曲。
The White Stripes “Seven Nation Army“ です。








コメント (2)
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