Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

マりオ・ジャコメッリ展@東京都写真美術館

2008-05-08 00:12:32 | 展覧会・建築・器
東京都写真美術館ではこの時、マりオ・ジャコメッリ展、シュルレアリスムと写真/痙攣する美、そして紫禁城展が開催中。とても3つは見られないけれど、6日に会期が終わってしまう前者の2つの展覧会、特にマりオ・ジャコメッリ展は見ておきたかった。見上げると長~い3本の垂れ幕がガラスの壁面に下がっている。
              
初めて見たマりオ・ジャコメッリの白と黒の世界に魅入られた。写真なのだけれど、絵画的でありそして詩的である、素晴らしい作品だった
その白と黒のくっきりとした画面にはそれぞれの作品固有のリズムが漂い、作品を覗き込むとその内包する力に否応なく引きずりこまれる。静かな力のようでいて、絶対に引かない力、満ちている力。
このチラシの写真が「若い司祭たち」シリーズの一枚であることを知る。何という不思議なリズムと明朗さ、透明な快活さ、それはどこか悲しみにも通じているようで・・・。など思いながらこのシリーズを見ていて、はっとした。
              
私・・・この写真読んだことがある!!と。
初めはまさか!と思っていたのだが、次第にそれは確信に変わって、絶対これを読んでいるっ!!とよろこびが湧き上がってきた。こんなことって、起きるんだ!と。
        
帰宅して確かめた。
多分これだった、と須賀敦子さんの『コルシア書店の仲間たち』をドキドキしながら開けページをくってみる。
あった!それは「銀の森」の中に書かれていた。そして、そこで彼女が見つけた絵葉書の写真こそ、まさにこれだったのだ。こんなことが、あるんだ!!
彼女はかなり細かくこの写真を描写し、この中に写されているこちら向きの人物がダヴィデ・マリア・トゥロルドであり、横を向いた眼鏡の男の名前が彼の親友カミッロ・デ・ピアツに違いないと書いている。そして作品に添えられた詩がダヴィデの処女詩集の冒頭であると記している。
今までは空想で描いていたこの写真が現実のものとして眼前に立ち現れたこの偶然に、深く感動していた。              
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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やや~ (Sa)
2008-05-08 23:57:20
終わってしまったんですねジャコメッリ展
そのうちそのうち って、「そのうちとお化けは出たことない」の証明になってしまいました(しょぼん)
NHK教育「新日本美術館」でも紹介されていましたね、ああ、混んじゃうと思って見てました。

rubiconeさんからこの本のことをお聞きしていたら(また繋がったのですね、すご~い)また違ったような(万難排して恵比寿へ行っていたかもしれません)気がします。

この本、買ってみたいです。で、ジャコメッリはまたいつか出遭う楽しみとしてとっておきましょう
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Saさま! (rubicone)
2008-05-10 00:12:56
そうなんですよ・・・終わってしまいました。私が今残念に思っているのは、ここに書いていることに気を取られていて、カタログを買い損ねたこと。しかも、後で見たらもう完売してたんですよね~・・・あああ・・・この間の国本さんもそうでしたが、こういう「つながり方」って、なんとも・・いいです!!
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