Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

美しき運命の傷跡

2006-05-14 23:10:24 | 映画 あ行
            *公式HP
2005年/フランス・イタリア・ベルギー・日本/102分

監督:ダニス・タノヴィッチ
原案:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピエシェヴィッチ
脚本:クシシュトフ・ピエシェヴィッチ
出演:エマニュエル・ベアール 、カリン・ヴィアール 、マリー・ジラン 、キャロル・ブーケ 、ジャック・ペラン

この映画、私は監督のダニス・タノヴィッチに引かれて見たいと思った。何と言っても強烈な印象をもたらしたノーマンズ・ランド の監督だもの!一緒に見た友人はキェシェロフスキだから絶対見たかった、と言う。

いやあ、重い映画だった!キェシェロフスキの遺稿となったこの作品は彼がダンテの「神曲」を原案に書き上げた三部作の中の「地獄」篇を映画化したものだそうだ。
底流にはギリシア悲劇の王女メディア。そして子どもの頃に負った深い傷に苦しみ、愛に悩む三人の姉妹。それぞれの愛の形が描かれる、息苦しいくらいだ。
しか~し、登場する男性がいらいらするくらい情けない奴ばかり(あっ、ルイと車掌は別ね)、ぎりぎりの状況の中で悩むのはわかるよ、けどその選択肢しかなかったの?と問い詰めたくなる。それで結局、姉妹は苦しみ続けるのだもの。映画の中で「ただの男だったのね」という台詞があったがまさにその通りだよ。
それに対して女性は、人間の悲劇、愛の地獄の中で苦しみながらもひるまない、後戻りしない。だからこわいようだが、魅力的だ。
細かい断片をつなぎ合わせ、時空を越えた映像が飛び交い、謎めき、緊張感が途切れる事がない。劇中、大学の講義で語られる運命と偶然についての話も作品と絡み合い興味深い。(この講義をしているのが見事な銀髪のジャック・ペランなんだけど、彼って「ロバと王女」の王子様なんだよね~、えぇーっ!と思ったよ)
重いのだけれど、ふっと何ともいえないユーモアが漂う瞬間が、どろどろの中で一瞬光のように輝く。だから、抱える闇が一層深いことを悟ってしまうんだけれども・・・。
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2 コメント

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TB、コメントをありがとうございました♪ (Puff)
2006-05-15 19:45:24
ふむふむ、、なるほど、、

ワタクシは、キェシェロフスキの遺稿ということと、キャスティングで観に行きましたデス。

凄まじい愛と執念を感じる映画でしたねー

そそ、男性がヘナチョコというのも特徴でしたね。

脇役である車掌さんとロシフォール爺さまは魅力的でしたが、、

ジャック・ペラン、良い講義をしていたけれど逃げ腰だったよねん・・・・・
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Puffさま、 (rubicone)
2006-05-15 23:43:23
こちらこそ、TB&コメントありがとうございます。

未だに「キェシェロフスキ」がかみかみで言えない私です。

>逃げ腰だったよねん・・・・・

それそれ、それですよ!まったくぅ~、という感じ、うがった見方をすれば、女性の輝きをより際立たせるためだったのかしら?なんてね。

万華鏡の映像をはじめとして、映像美しかったですね
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