今年は夏の暑さがもうやってきて、目にうつる花も木もいつもより移り変わりが激しいように感じられる。
そんな中で、今そこここの公園や広場ではしろつめ草が真っ盛りだ。
昔からこの花が咲くと、宮沢賢治のポランの広場(ポラーノの広場)を思い、私も一度行ってみたいものだといつも夢想する。
ポランの広場にはこんな風にこの花が描写されている。
<夕方になると青白いぼんやりした円い花にだんだんあかりがつくんだ>
<まるで本当の石英ラムプでできていました。>
足元に誰にも邪魔されずのびのび広がるしろつめ草の広場。(蜂なんかもぶんぶん飛んじゃって。クローバーの蜂蜜って美味しいよね。)
一つ一つの花の可憐さ、美しさ。
そんな宮沢賢治一辺倒だったしろつめ草のに加わったもう一つのイメージが組曲・女声合唱とピアノのための「クローバーの原っぱで」。
その第4曲の「クローバーの原っぱで」(作曲:横山潤子、詩:高橋順子)
この詩の柔軟さとふわっとしたユーモアに包まれると、クローバーの原っぱの中に一人いて色々なことを思いながらその原っぱに吹く風に身を任せてみるのもいいなあ、なんて夢見てしまう。詩に絡むピアノは風のようであり、また揺れ動く心模様のようでもあり、それでいてあくまでも軽やかだ。
こんな春もいいな。
西に傾く太陽の光にいっせいに輝く。