読み終わってからもうかなり経つのだが、この2冊の本のことを思うとすううっと身体の中を風が通り抜けていくような気持になる。
一冊は姫路の「おひさまゆうびん舎」発行の小山清・『ある靴屋の話』
おひさまゆうびん舎10周年記念として発行されたこの本はおひさまゆうびん舎の窪田泰子さんによると
「10周年記念の3月1日には間に合わなかったけれど 大好きな作家、小山清さんの本。 小さな2篇のお手紙の様なお守りの様な本。『ある靴屋の話』小山清 なんと高橋和枝さんに絵を描いていただけたの。高橋さんの絵を見た時、感動で号泣しました。 3月20日発売です。」
収録されている作品は表題の「ある靴屋の話」と「紙幣の話」の二作品。
私は小山清という作家を知らず、この本で初めてその作品に触れることができた。
何気ない市井の人々の暮らしや風景が描かれたその向こうに作家のそれらを見つめる目の温かさと透明で揺るがない強さを感じる。
高橋和枝さんの絵もしみじみ作品に寄り添っていて、いつまでも眺めていたくなる。
そして同時期に夏葉社から刊行された同じく小山清・『風の便り』
装画は同じく高橋和枝さん。この本ではそれらの絵が丁寧に貼られ、それを見るだけでこの本を読んだ気持ちになる。
帯に書かれた
「好きな人のことを 褒めることで 生涯を送りたい。」
にもうぐっときてしまう。
収録作品は「夕張の友に」「春」「矢車の花」「動物園にて」「私について」「浅草」「能率係」「その頃のこと」「風の便り」「美穂によせて」「再び美穂によせて」という11編の随筆。
知らなかった素晴らしい作品に出会える幸せ~。