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2007年/スペイン・メキシコ/108分
原題:EL ORFANATO
監督:J・A・バヨーナ
出演:ベレン・ルエダ、ジェラルディン・チャップリン、マベル・リベラ、フェルナンド・カヨ、ロジェール・プリンセプ、モンセラート・カルーヤ、アンドレス・ヘルトルディクス、エドガール・ビバル
このチラシとそこにあったギレルモ・デル・トロ「パンズ・ラビリンス」製作という一文に惹かれて観た。
ダークでそれでいてスピリチュアルな世界が展開する、ミステリアスで重く怖く、そして力強いファンタジーだった。主人公ラウラのいなくなったシモンを捜し求める母の愛、その強さに感動する。何の説明も言葉もいらない、光に照らされた姿を眺めるだけで胸が一杯になってくるのだ。ラウラの行動を通して科学では説明できない別の世界が存在するという世界観をすうっと受け容れていることに気付かされる。それは、魂の奥深いところにあって、普段は気付かず過ごしているけれど耳を澄ますと聞こえてくる魂の言葉のようなものだろうか。
映像に映し出されるスペイン北部アストゥリアス州の自然、緑がしたたるように豊かで、陸地を取り囲む海の波とその波に刻まれた海岸の静けさと荒々しさ、海を照らす灯台の光がその窓辺に射す古い孤児院に遊ぶ現実のこどもと過去のこども。明らかにされる過去と隠されていた秘密、光と影が交錯し、そして過去と現在という時間も呼応し合い絡み合う。一つ一つの細かい部分を寄せ集め、積み重ねることで描かれる周到な一枚のタペストリー。その紡がれて現れる絵とは一体、と期待と不安とを抱きながら一心にその完成するのを見ていたような気がする
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