枝野官房長官は20日、自らの北方領土視察に関するロシア側の反応について、「私の行動も発言も、(ロシアの)反発を頂くような行動や中身は一つもない」と述べ、不快感を示した。
視察後に訪れた北海道白老町で記者団の質問に答えた。
枝野氏は19日に上空から国後島と歯舞群島を視察した。20日には根室市の納沙布岬から歯舞群島を視察し、記者団に「一刻も早くはっきりと先が見えるような状況で、島を見つめて頂けるよう努力する」と語った。
アホの枝野が外国に対して挑発的な言動を取るのは毎度のことですが、それに対して「反発を頂くような行動や中身は一つもない」などと述べているそうです。これを本気で言っているとしたら、その頭の悪さには呆れるほかありません。とりあえず今回、発言の是非に関しては保留するとしましょう。日本側の一方的な言い分であって国際的に通用するものではない、あくまで国内向けのパフォーマンスであって他国に対する呼びかけとしては意味をなしていない等々ツッコミどころはありますが、まぁ立場上はやむを得ない発言でもありますから。
ただ、どのような発言であれ、それがどういう結果を招くかについて理解できないようであれば、官房長官としての能力不足を問わざるを得ません。床屋政談ならいざ知らず、発言には責任を伴うのが政治家というもの、それも与党幹部ともなればなおさらです。にも関わらず、予測されてしかるべき相手の反応を理解できていないとしたら政治家失格と言う他ないでしょう。
参考、悪いのは相手だとしても
どちらが良い、悪いかというのを単純に決められるケースは滅多にないですけれど、仮に相手が「悪い」と決まっていたとしても、だからといって自らの「正しさ」を一方的に主張すれば済むというものではありません。子供の喧嘩ならともかく国家間の外交である以上、求められるのは「どちらが正しいか」ではなく、「上手くやる」ことです。枝野は毎度ながら、日本側の「正しさ」を言い放っては「反発を頂くような行動や中身は一つもない」と踏ん反り返っているようですが、結果としては徒に相手国の反発を招いているだけです。相手国と交渉して好条件を引き出すような駆け引きは皆無、ただ「俺は正しい」と主張するだけの子供じみた態度でしかありません。しかし、こうした考え方は枝野の個人的資質の問題ではなく、国民感情もまた枝野と同レベルと思われる辺り、なおさら頭の痛いところです。
内閣支持率20% 発足以来最低 朝日新聞世論調査(朝日新聞)
朝日新聞社が19、20日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、菅直人内閣の支持率は20%で、昨年6月の内閣発足以来最低となった。不支持率も62%で最高。また、菅首相の進退について聞いたところ、「早くやめてほしい」が49%で、「続けてほしい」の30%を上回った。
(中略)
一方、民主党内の小沢一郎元代表に近い国会議員から菅首相の退陣を求める動きが出ていることについては「評価する」が19%で、「評価しない」が69%に上った。
政治資金問題で強制起訴された小沢氏に対し、民主党が裁判終了まで党員資格を停止する処分を打ち出したことについては、「適切だ」が52%、「軽すぎる」が28%、「重すぎる」が9%だった。
小沢氏が、検察審査会が決めた強制起訴と検察の起訴とではまったく違い、議員辞職や離党を必要ないとしている主張については、「納得できない」72%が「納得できる」17%を大きく上回った。
一方、日本国内の有権者に向けては「反発を頂くような行動や中身は一つもない」と言っても良いのではないかという気がします。菅内閣ひいては与党民主党への支持は減り続ける一方ですが、しかし「反発を頂くような行動や中身」はどれだけあるのか、よくよく考えてみると意外に怪しいものです。それはもちろん、左派からすれば逆進課税を進めようとする菅内閣は許容しがたい存在と言えますが、世間一般の無党派層からすれば敢えて菅内閣に反発すべき要因はほとんどないように思われます。ただ何となく「ダメっぽい」という沈滞感だけで、見限られているフシはないでしょうか?
菅内閣をもっとも強く攻撃しているのは、自民党よりも小沢一派にすら見える昨今ですが、この小沢一派の動向を評価する向きはほとんどありません。小沢への党員資格停止処分に関しても過半数から「適切だ」との評価を得ています。じゃぁ、菅内閣が支持されたって良さそうなものです。しかし菅内閣の支持率は下がり続けています。
他には何かあるでしょうか? 法人税減税や消費税増税といった逆進化だって、必ずしも有権者の反発を買っているとは言い難いところです。民主党と同様に法人税減税と消費税増税を唱えてきた党だって特に支持率を落としているわけでもない、逆に議席を増やしていたりもするのですから、この辺が支持率を落とす要因となっているとは考えにくいところです。ではマニフェスト放棄に関してはどうでしょう? 最新の世論調査はこれから出てくると思われますが、マニフェストに記載された個々の政策への支持は、政権交代直後の民主党の絶頂期においてさえ、決して高いものではなかったことを思いだしてください。民主党は支持するけれども、民主党が看板に掲げた政策は支持しない人が多かった、民主党そのものの支持率は高いけれど、マニフェストの個別の項目への賛同者は少なかったわけです。ならばマニフェストの放棄もまた、世論の離反を招く要因としては合理性を欠くと言えます。
自らが責任を負うべき立場に立って、以前ほど無責任な官僚叩き、公務員叩きができなくなったのもありますけれど、菅内閣がやってきたことを具体的に思い起こしてみると、それが必ずしも世論の反発を招くようなものであるとは考えにくいのです。枝野だけではなく菅だって十二分に世論に媚びた政治家であり、実際のところ国民の要望に添った政治を続けているのではないでしょうか(だからこそ日本は沈滞の度合いを深めるわけですが)。世論に抗って大きな政府へ踏み出したわけでもないのに支持率が急落するとしたら、それこそ「反発を頂くような行動や中身は一つもない」を不快感を示しても良さそうなものです。
むしろ「やり足りていない」と思われてはいないでしょうか?もっと役人は削れる、もっと外国に「毅然と」せよ、他…。
そのような中で内閣支持率を出す政策というのはありえないでしょう。
ひとつだけ手段があるとすれば、ナチスや小泉、ポリュリスト首長たちのような敵を構築するワンフレーズ詐欺だけですが、菅がそのような手段を取らないのはむしろ誠実といえるかもしれませんね。(ま、愚鈍なだけかもしれませんが)
そう考えると、小泉のあたりから、中味なんかまるでないのでしょうか。その時は郵政民営化が連呼されていましたが、興味関心のアンケートでは、ベストテンにすら入っていませんでした。
現在でも、首長軍団はよくて幸福実現党はダメだとか、小沢一派はいいけれど社、というより共は絶対にお断りとか、左右問わず一貫性まったくなしの言動が目立ちますね。
そういえば、小選挙区制を狂信的に信奉しているのが小沢でしたね。鳩山、菅も同様です。
ある意味、世論の菅内閣への批判は、自民党やみんなの党のそれと似たようなものとも言えるでしょうね。目指しているところは同じなのに、我こそが真の改革者なりと啀み合う、そんな関係なのでしょう。
>紅葉修さん
責任を他所に転嫁する能力、「悪者」を作り出す能力の不足が、小泉やポピュリスト系首長と菅との差になっているところはありますね。まぁ、こういう面では無能であればあるほど害は少ないので我々は助かっているのかも知れません。菅の能力不足のおかげで「改悪」の進みが止められているとも言えそうですから。
>ルーピーさん
その辺はむしろ最初から反対だったようにも思います。外交面での左右はまだしも、経済政策や政治の在り方に関しては(必ずしも意図的なものではないにせよ)麻生の方が小泉路線から離れていて、民主党の方がよほど小泉路線に忠実だった、そうであるにも関わらず支持者が誤った選択を下した結果として、「永遠に支持者の期待に応えられることがない民主党政権」が生まれたのではないでしょうか。
結局皆短期政権で退陣しましたけれど。
今回の管はちょっと可哀想だと思います。
大きな失態といえば尖閣問題で国民の反感を買ったことくらいでしょう?
なぜ実務を積み重ねてるのに支持率が落ちるのかと管が嘆いていましたが正しくその通りですね。
今回の管理人さんの記事で改めて思いましたけれど日本の民主主義は有権者の政治に対する理解度が低いが故にあまり機能していないのでは・・
増税議論の際も消費税or累進課税ではなくて消費税orムダ(歳出)削減ですし。
大半の有権者にとって政治に対する理解度が低いが故に累進課税を強化するという選択肢及びその政党の存在は眼中にないのでは?
社民・共産・国民新党も今回の管政権と同じように、何となく「ダメっぽい」「何をしてるかわからない」という理由で支持されていないのではないですか。
今や政策に基づいて行動する人は、政治家にすら少ないですからね。与謝野みたいに政策さえ近ければ手を組むような政治家は例外中の例外で、大半の政治家は政策的な違いではなく好き嫌いに基づいて争っているかに見えますし。もはや政策の中身では有権者を動かすことができない、そういう時代であるように思えます。