非国民通信

ノーモア・コイズミ

次は歓迎会クラスター

2021-04-04 22:32:43 | 社会

厚労省23人送別会 深夜営業店探し予約 課長を更迭(朝日新聞)

 厚生労働省の職員23人が、深夜まで送別会を開いていたことが明らかになった。時短営業の要請が出ている東京都内で深夜まで営業している店を選び、マスクなしで会食をしていた。厚労省は30日、会合を提案した老健局老人保健課の真鍋馨課長を減給1カ月とした上で大臣官房付として事実上更迭するなど、計22人を処分すると発表した。田村憲久厚労相も給与を2カ月間、自主返納する。

(中略)

 新型コロナウイルスの感染対策の徹底を呼びかける役所の職員による行動に、厚労省には抗議の電話がきているという。

 

 厚生労働省の職員が、このご時世に大勢で夜遅くまで送別会を繰り広げていたということで結構な話題となりました。厚労省の課長が実質的に更迭されるなど計22人が処分とのこと、出席者は23人と伝えられていますから、残る一人の存在が気になって仕方がありません。

 大臣も給与の自主返納を表明するに至るなど、これもまた政争の具に発展するであろうことは明らかです。一応は新型コロナウイルスの感染対策の徹底を呼びかける立場の職員たちの行動ですから、致し方ないところでしょうか。国民に範を示すどころか、真逆の振る舞いとなっていますので。

 過去に勤めていた会社では「雨の日こそ営業に行け」「客先には濡れて行け」と、そう教わりました。天気が悪いからこそ敢えて訪問することで相手に誠意をアピールする、外出しにくい状況だからこそライバルを出し抜くチャンス、顧客のためなら雨に濡れることを厭わない姿勢で自分を売り込めと、そう教わりました。

 有効かどうかはさておき、上記のように考える人は結構いるのではないかと思います。雨なのに来てくれた、衣服を濡らしながらも駆けつけてくれた、そう相手が受け止めてくれることを期待する向きもあるのでしょう。ゆえに、雨だからこそ営業に行けという話になるのですね。

 どうしても立場上、官僚や公務員に医療関係者あたりが矢面に立たされてしまいますが、民間企業でも普通に送別会クラスターは続出していることでしょう。新型コロナウイルスの感染者のピークは年末にもありましたが、あれも忘年会クラスターによるものが多かったであろうことは想像に難くありません。

 状況を考えれば、忘年会や送別会は控えることが望ましいように見えるところです。しかし、感染拡大が明らかな中でも飲み会を決行する人は少なくないわけです。たぶんまぁ、「雨の日こそ営業に行け」と言う人と同じような考え方なのと思います。雨のやまない時期だからこそ飲み会を開け、と。

 感染症が拡大している時期に宴会を催すのは当然、避けるべきことです。それは政府の公式な見解ですらありますが、だからこそ忘年会や送別会の価値が上がって見えてしまう人もいるのではないでしょうか。平時に送別会を開くのは普通のこと、しかし緊急時に送別会を催すのなら特別なことですから。

 営業時間短縮が自治体から要請されている中で、厚労省職員は深夜まで営業している店を探し出したそうです。その頑張りを評価している人は、身内には結構多いのではと思います。飲み会への出席を欠かさない人が偉くなるのは、官公庁でも民間企業でも変わりません。非常時に宴会を開いたのは、むしろ正の実績です。

 県をまたいだ移動を控えるよう言われる中でも、県をまたぐ人事異動を乱発している組織は少なくないことでしょう。必然的に送別会のニーズは生まれ、そんな中で「困難を乗り越えて」送別会を催すことで存在感をアピールしている人も多いはずです。今回、送別会を提案した課長は処分されるに至りましたが、処分のリスクを顧みず送別会を企画したことをプラスに評価している人も、組織内には結構いる気がしますね。

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