電力需給:「節電」新料金で不足2.6%改善 関電提示(毎日新聞)
関西電力は15日、新たな電気料金メニューによる節電効果と昨夏並みの節電の取り組みを織り込み、今夏の予想最大需要(2987万キロワット)を最大87・3万キロワット削減できるとの試算を明らかにした。今夏の供給力不足14・9%(445万キロワット)が単純計算で約2・6%分改善し、12・3%程度(約358万キロワット)に縮小する。同日午前の大阪府市エネルギー戦略会議で示した。【横山三加子】
昨年夏の節電実績は190万キロワットだったが、これまでは今夏の需給見通しにLED(発光ダイオード)照明や冷房温度の調整などの「定着した節電効果」117万キロワットだけを盛り込んでいた。関電は確度の高い節電として、新たに企業の操業の工夫や家庭の節電努力などの取り組みの効果73万キロワットを計上。さらに、節電目標を達成した家庭に商品券などを贈ることによる4万〜7万キロワット以上▽昼夜の電気料金格差を拡大し昼間のピーク需要を抑制する家庭向けの新たな料金メニューの効果0・2万〜0・3万キロワット以上▽工場の操業シフトなどで料金を割り引く計画調整特約などの拡充3万〜7万キロワット以上−−の節電を見込んだ。
1年ばかり前は関西を含めた西日本からの電力融通で夏を乗り切るとか、製造業の西日本への移転を進めるのが有効な解決策になるとか言われていたものですが、まさかこんなことになるとは誰が想像していたでしょうか。東日本の電力不足を見越して西日本に工場を移した企業なんかは涙目のはずです。日本人は総じて製造業が好きなようですけれど、その日本人が下す決断はしばしば製造業に優しくないものでもあります。ともあれ電力不足は震災と原発事故に伴う一過性のものと思われていたのは今は昔のこと、絶望的に無策な政府の元で震災直後よりも確実に事態は悪化しています。福島第一原発とは正反対ですね。私は電力会社みたいに公益性の高い企業は国営がの方が望ましいのではないかと普段は考えていますけれど、両者の能力の差を鑑みるに、国が電力会社を所有するより電力会社が国を所有した方が、少なくとも相対的には確実にマシと思えてきます。
原発の比率が高い関西圏で致命的な電力不足に陥るのは前々から分かっていた話、その関西圏で大飯原発の再稼働すらおぼつかない、それに続く具体的な展望は皆無と、行政がもたらす人災は着々と迫っていますが対策が取られているとは言いがたいのが実情です。野党時代の民主党の財源論みたいなもので(無駄を省けば財源は足りる、増税は必要ない云々)、いざ現実に直面するそのときがくるまで国民もまた考えようとしないものなのかも知れません。ともあれ浜岡原発の停止は強引極まりないものでしたけれど、今は責任を電力会社に押しつけることしか考えていないのが行政ならば、電力会社としてはもう、自然災害への備えを一次棚上げにしてでも、足を引っ張る政府への対策に力を入れた方がいいんじゃないかという気がします。いずれにせよ、原発(事故)のリスクだけを考えてその他のリスクを完全に度外視するような倒錯したリスク評価の元、住民の「安心」を慮っては住民の安全が損なわれようとしています。夏の到来というタイムリミットが刻一刻と近づく中、安全さえ担保されていれば安心はこの際後回しにするなどの決断も求められるのですが……
なお関西電力が色々と節電効果を見込んでいますけれど、挙げられた数値を見ると雀の涙といった印象も免れません。乾いた雑巾は絞れないと言ったところでしょうか。そもそも「定着した節電効果」は計算できるのか、「そんな猛暑にはならないから大丈夫」と言い張る生粋のギャンブラーに比べれば電力会社の見立てはまだしも確実性があるのかも知れませんが、それでも危うい印象はあります。それから火力発電所が故障する可能性も、もうちょっと高く見積もった方がいいと思います。その辺、電力会社の試算ではどうしても強気なところがありますが、私はそこまで電力会社を信用できないので、もっと火力発電所が故障するリスクを高く見積もるべき、もっと余力を確保すべきだと考えます。しかるに日頃は電力会社を批判している人ほど、火力発電所を永久機関か何かのように信じているようで、常に設備容量通りの発電が可能という前提で話を進めていたりするのですから救いようがありません。
そして以前にも触れたことですけれど(参考、家庭だけで済むはずがない)、工場の操業シフトを進めるというのは節電に効果的な一方で、労働者への負担が重い最悪の計画でもあります。操業時間を平日の昼間から土日や夜間にシフトさせれば、当然のことながら工場で働く人の労働時間もまた土日や深夜に移ることになるわけです。日本人は製造業が好きでも、製造業の現場で働く人には優しくありませんね。まぁ、お気楽に脱原発を唱える人にとって工場勤務なんてのは「向こう側」の世界、自分たちとは異なる世界であって、想像力の働く範囲ではないのでしょう。だから、シフト操業で深夜労働を強いられるようになった人の痛みなんて気にならない、と。節電の「痛み」は偏在します。平日の昼間に安穏と働く人にとっては大したことではない一方で、昼夜逆転を余儀なくされるなど深刻なレベルで生活を狂わされる人だって出るわけです。悪いのは電力会社、脱原発の結果じゃないと平然としていられる連中は腹を切って死ぬべきであると思います。
後はまぁ、家庭レベルに節電だって首を傾げます。私の場合、電力需給が逼迫する平日の昼間は常に会社にいるので節電の余地がありません(いつ失業するか知れたもんじゃないにせよ)。私に限らず、平日の昼間に働いている人はそういうもののはずです。ならば子供や専業主婦に頑張って節電してもらおうというのでしょうか。あるいは、既に定年を迎えて退職した高齢者とかが挙げられます。特に高齢者は温度変化を感じにくくなりがちですので、夏場にエアコンを止めても我慢できてしまいますから、まぁ節電の余地はあるのかも知れません。その結果がどうなろうとも悪いのは電力会社だと思えば気にならない人もいるのでしょう。それから最後に、深夜のシフトで働く人です。節電のため深夜の工場で働いて、家に帰ったら電力不足に対応するため電気をなるべく使わないで過ごせば、まぁ地球には優しいことですね!
◇「通報制度」など大阪府市独自策
一方、大阪府市エネルギー戦略会議は15日、独自の節電策を提示した。照明が明るすぎるオフィスや店舗を住民が見つけて通報し、中小事業者に節電を促す「節電通報窓口」の設置や、真夏の午後に役所を閉めて節電するなど、家庭や事業者、官公庁などを対象に計約110万キロワットの節電を目指す。
……で、大阪府市エネルギー戦略会議のプランがこれです。戦前の灯火管制を思わせる雰囲気は昨年の段階でも感じたものですが(当時書いた記事)、本格的に制度化しようとする自治体が出てきたようです。これが日本の改革というものなのでしょう。元より健常者であれば「明るすぎる」と感じるレベルの照明でも視覚に障害がある人にはそうでもない、必要な照明だったりもすると聞きますが、障害者の排除ってのも脱原発論とは相性がいいのかも知れません。ともあれ、自治体が密告を奨励する制度を作ろうとしているわけです。ナチス政権下のゲシュタポは実は人手不足で、殺到する密告の真偽を検討している暇がなかったそうですけれど、公務員削減に血道を上げる大阪での管理体制はどんなものになるのか興味深いところです。まぁ、捕鯨とか国歌を歌っているかどうかの監視とか、国民の理解の得られる部門なら金に糸目を付けない政治家も多いですし。
この「節電通報窓口」云々には戦前の隣組の活動を思わせるものもありますが(流石、飯田哲也や古賀茂明をブレインにする自治体は違いますね)、実際に戦争期間中を生き抜いた瀬戸内寂聴氏が「戦争中の方がマシ」と断言されていますので、たぶん隣組が電気を無駄遣いしていないかどうか見張っている社会の方が今よりマシなのでしょう。実際の経験者がそう言うのですから間違いありません。隣組活動を通して地域コミュニティも復活、脱原発を国民統合の象徴に、進め一億火の玉だ! 鬼畜電力! 贅沢は敵だ! 欲しがりません勝つまでは! 日本の思い通りの関係を築いてくれない国際社会に背を向けて、後は火力発電所の燃料を確保すべく南方に進出するだけです。
まぁ、昨今のヘイトスピーチやデマに脅しを伴う脱原発論の盛り上がりは、かつて知識人と目されていた人々をも含めて、我々の社会がいかに戦争体制へと駆り立てられていったかを考える上では参考になるのかも知れません。あんまり、ありがたくないことではありますが。先の戦争で世論をリードする役割を担ったのは朝日新聞とも言われます。今回の原発事故後、煽りの先陣を切ったのは朝日新聞出版の週刊誌でした。何が問題であったのか、「敵」に見立てる相手が変わってしまえば、それが分からなくなってしまう人もいるのでしょう。例えば歴史認識のトンデモ(歴史修正主義)には憤る一方で原発や放射線の影響に関してはトンデモ信奉者であったり実質的に容認の立場を取っては、むしろトンデモを批判する人への攻撃に回ったりみたいな人も少なからず見受けられるわけです。そうした「知」に対する背信とでも言うべき態度は、たぶん戦争前夜にも見られたのではないでしょうかね。
社民党は二度と「平和の党」を掲げることは許されなくなった。
こういうのをこそ文字通り「馬鹿たれ」という。
社民党は機関誌でも盛んにその筋の論者を登場させるなど、着々とエセ科学への傾倒を深めていたりもしますよね。率直に言って社民党は「反知性、反理性の党」と呼びうる域に踏み込んでいるように思います。極右化した自民党や各地の「維新」政党と、方向は違えど同じレベルで危ない人たちになってしまったようです。
本当に、このたびの大阪市の暴走などはあきれるばかりです。どこの全体主義、いつの封建社会でしょうか。
ゲームセンターや深夜のコンビニあたりが真っ先に通報されそうですね。一方で遊園地や水族館などの明るいイメージのものは見逃されそうな気もします。
いっそ今から大阪市へ行って、個人的に気に食わない施設や家屋を片っ端から通報して回りましょうか?
もちろんこれは軽い冗談ですが、中には本気で実行してしまう困り者も居るでしょうね(一人も居ないはずがありません)。
早くも停電がおきた時の責任転嫁の準備をしてますね。あきれてものが言えません。関電は本気で名誉毀損で訴えたほうがいいと思います。
あと何度も書きますが夜勤シフトは身体に悪いですよ!前いた会社には年に何人かは体調を崩して日勤に戻してもらう人もいました。
そのうち深夜手当にも攻撃しそうですね。「深夜手当が勤務シフトへの妨げになっている!」とか言って・・・。ちなみに夜勤はお昼寝るのでエアコンは当然つけっぱなしでした。しかも明るいと寝れないから窓を閉め切ってましたし、この状況でエアコンを切れとか言われたら若い人でも普通に死ぬと思いますよ。
なんでコンビニに新鮮野菜のサラダが並んでるか、もう一度考えてみよう。
と言ってもここに来る方々には、「なにおいまさら」なんですが。
それを15%の節電で、というのは関電が相当な努力をしてると考えられないのでしょうかね?
これは完全に政局になっていますから、関電の廻りの自治体は、もっと声をあげても、いいと思う。
関西電力は嘘をついていません。公共の電波で古賀茂明氏は「電力テロを起こそうとしている」などと発言しましたが、それに対する関電の反論は、言論の自由を行使しただけで、何の問題もない行為。
設備容量が足りていても再稼動するしかない。しかも「原発」でないといけない。これが関電を縛る電力の事情。原発を「危険施設」としか認識していない世情や政治家、専門家は、原発を一つの「電源」としてみる事は、一生出来ないでしょう。
原発なしでも電力は足りると自論を豪語しといて、足りないと悟った瞬間電力会社を叩く訳ですからね。無責任な政治家たる様を見せつけてくれていますよ。