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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Mistic / "GLORIFICA"

2011-05-15 18:20:46 | music10
Mistic_glorifica



□ Mistic / "Glorifica"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Tibi Sit Gloria
Salve Festa Dies

Release Date; 18/04/2011
Label; MJM Music PL (Poland)
Cat.No.: MJM5226
Format: 1xCD

>> http://mistic.pl/


>> tracklisting.

01. Tibi Sit Gloria (dedicated to Pope John Paul II)
02. Jesu Dulcis Memoria
03. Glorifica
04. Qui Corde Fundis Gratiam
05. Gloria Magna Patri
06. Salve Festa Dies
07. Memoriale
08. Ave Maris Stella
09. Audi Benigne Conditor
10. Per Saecula

>> http://musicspiritland.blogspot.com/ (this review was contributed by Oceano)



ポーランド発、グレゴリオ聖歌風エレクトロポップ・ユニット、"Mistic"のThird Album。

2004年に発足したこのプロジェクトは、EdelよりリリースされていたFrank Petersonの"Gregorian"シリーズに『公式に』インスパイアされたものとして、当初はShania Twainを始めとする世界的ヒットソングや、ポーランド国内の音楽アーティストの曲をカヴァーすることで人気を博したという。



三作目にして完全なオリジナル・アルバムとして楽曲を手がけるにあたり、全ての歌詞はラテン語で構成されており、彼らが手本としたGregorianの源流を遡り、ENIGMA以降ヨーロッパの音楽文化として根強く支持され続けている"Gregorian Pops"の支流に至ることになった。


1990年代以降、聖歌風コーラスにプログラミング・ビートを重ねる趣向は、玉石混淆の数多の作品において試みられて来た。その中でもLesiemやE Nomineといった、ヨーロッパを中心にカルト的な人気を集めるグループも誕生したが、その多くは特定ジャンルのオリジネイターとなるには至らず、どちらかというとニューエイジの一界隈における「既知の音楽スタイルの共有」の域を出ないまま消息を断ってきた。



Misticは、グレゴリオ聖歌とPopsのクロスオーバーにおけるアレンジの難しさについて『選曲の適切さ』を一つに挙げている。古典リズムとホモフォニーが、現代的リリックへトランスクリプトされる際の齟齬。おそらくは、このような楽曲が今ひとつ普及しきれない理由として大きな部分を占めており、この欠陥は、同様の手法が用いられた膨大な楽曲を『チープ』に貶めている阻害要因として見受けられるものである。


Misticの中心人物であり、プロデューサー兼SEであるSimon Woodsは、90年代初頭から多くのクラシック・アルバムに関わって来た古典音楽のプロフェッショナルであり、そのような「不自然さ」に注意を払う嗅覚は優れているのかもしれない。


実際、"Glorifica"におけるラテン・コーラスの運用は、この上なく楽曲に調和したもので、最新のソフトシンセを多用したエレクトロニックなバックグラウンドに溶け込んでいる。90年代~世紀末にかけて、希有なオリジネイター達に手がけられ、どこか厭世的で壮大な響きを放っていたグレゴリアン・ビートの当時の閃きを、今に蘇らせようという気概さえ感じられる。


ただし、現代的な曲想に対し、コーラスラインが余りに隙なく展開されているため、コーラス自体が「聖歌」である前に、『歌謡曲』と化してしまっているように聴こえる。


1990年、ENIGMAの"McMXC a.D."によって齎された『グレゴリアン・ビート』のインパクトとは、神聖不可侵でありながら禁忌の官能を併せ持つ聖歌と、より衝動的かつテクノロジーの象徴でありえた打ち込みビートの躍動感との核衝突のようなものだった。

敢えて言えば、聖歌風ポップスの源流には『アンバランスの美しさ』こそがあったはずなのだ。反面、"Glorifica"は良く調和した『古典的』グレゴリアン系作品と言える。しかし一方でグレゴリアンは、聖歌風のアレンジによって、大衆音楽の底流に息づくシャーマニズムや普遍性を引き出そうとしたプロジェクトであった。そこにはまだ、時代に拮抗するアンバランスの美学が反映されていた。



この2011年、Misticについて、特定リスナー層に向けた商機的な視点を抜きにして評価するとすれば、現代の高度複雑化する『ソーシャル』の中にあり、疎隔化が進行する音楽マーケットにおいて、より広く大衆に共有されている古き良き伝統音楽のフォーマットを現代音楽にインプラントし続けることにより、限られた地域・ジャンル間に蔓延する、ある種の閉塞感を越えた、新たなグローバル・ミュージックへの可能性の土壌を肥やしていることにあるのかもしれない。


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