ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

奥ゆかしい蕎麦屋

2009年01月21日 | 食べ歩きの話

2 八郷の蕎麦屋にやってきた。窓の外には筑波連峰が見える。蕎麦屋の周りには田園が広がっている。
この店自慢の自家製豆腐と日本酒を注文する。豆腐は甘みと旨みとコクが濃厚である。この豆腐にしょう油をたらすのは野暮というものだろう。
日本酒は石岡にある府中誉酒造“渡舟ふなしぼり”をいただく。豆腐同様に、甘み旨みコクが備わった逸品である。磨かれた吟醸香も素晴らしくとてもエレガントな味わいだ。
このお酒に使われている酒米が“渡船”という品種である。高級酒米としてあまりにも有名な“山田錦”は“山田穂”を母に“渡船”を父にして生まれた品種である。山田錦の祖先であるこの“渡船”は十数年前には絶滅同然であったが、府中誉のご主人と当時の茨城県の農業指導者の努力でこの八郷で復活した品種である。さすがに山田錦の親であるこの“渡船”の酒米としての実力は素晴らしかった。その味わいを今日、お豆腐と共に味わえたという次第である。
そして、八郷に“渡船”を復活させた農業指導者がこの蕎麦屋のおやじなのだ。本人はそのような自慢話はせずにもくもくと働いている。先週訪れた講釈の多い蕎麦屋とは対照的に奥ゆかしい店主である。
美味しそうに食べていたクアトロ夫婦に店主は豆腐の味噌漬けを振る舞ってくれた。残った豆腐を自分の酒のつまみにするために作った非売品だという。タダだったから云うのではないが、これがまた日本酒によく合う。
その後の地場産のそば粉を使った蕎麦が美味しかったことは云うにおよばずである。そして使われている笠間焼きの器がまた素晴らしい。とても良い器ですねと褒めると、奥の席で外人さんを接待しているご夫婦の作品であった。
豆腐はおみやげには出来ないのですが、“渡舟ふなしぼり”は入手してきました。明日からクアトロで味わっていただけるのです。豆腐の味噌漬けを振る舞うことはありませんが、クアトロのチーズとの相性は抜群だと思います。クアトロの窓の外に筑波連峰もありませんが、まぶたを閉じれば田園風景が思い浮かぶ味わいのお酒であります。

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コメント (1)
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