テレビ新潟のディレクターさんからのお願いで,今回は身体のふしぎについて質問が届いた.「しゃっくりはどうして起こるのか?どうすれば止められるのか?」という質問だ.
難しいが,たしかにこれは,神経内科の守備範囲である.
まずしゃっくりは何のために起こるのか,意味があることなのかということを自分は考えてしまうが,どうも生理的意義は不明らしい.
つぎにメカニズムについて.しゃっくりを起こす刺激としては,以下のものが知られているそうだ.
1.胃腸やその周辺の温度の急激な変化(温かいあるいは冷たいものを飲んだ時)
2.胃の拡張(空気を飲み込んでしまう呑気症,食べ過ぎ,飲酒,炭酸飲料)
3.急に生じた感情の変化
4.タバコ
しゃっくりの神経経路(反射弓)については紆余曲折があり,現在,以下のように考えられている.
1.求心路(脳に向かう感覚入力)・・・鼻咽頭→舌咽神経咽頭枝,交感神経(Th6-12)
2.遠心路(脳から出て筋肉を動かす運動う出力)・・・
舌咽神経延髄孤束核→延髄網様体 →横隔神経→横隔膜・・・横隔膜が瞬間的に収縮する
→迷走神経→声門・・・息の吸い込みと声門の閉鎖が起こる
ではどう止めるか?非薬物療法(身体刺激療法)としては反射弓の求心路を刺激して抑制するものが多い.
・ 舌の牽引
・ 外耳道圧迫(舌咽神経咽頭枝領域が何らかの変形・刺激をうけるらしい)
・ スプーンによる口蓋垂(のどちんこ)の圧迫
・ 綿棒による咽頭刺激
・ 水でのうがい
・ 氷水を飲む
・ 砂糖を飲む
・ レモンを噛む
舌の牽引と外耳道圧迫の有効率が高いという報告がある(近藤ら.2005).
また横隔膜の圧迫刺激が良いという報告もある.具体的には「膝を抱えて胸部に引き寄せる運動」を行う.
実は昨日,うちの娘がたまたましゃっくりしていたので,舌の牽引,外耳道圧迫を順に試した.いずれも無効.その後,膝抱えを行ったところ,即座にぴたっと止まった.膝抱えはもしかしたらお勧めかも知れない(笑).
一方,病的な吃逆も知られている.器質性と心因性,特発性(原因不明)に分類される.
器質性・・・脳梗塞,脳腫瘍,多発性硬化症,延髄脊髄炎など
心因性・・・転換反応,ヒステリー,神経性食思不振症など
持続性吃逆の症状としては,疲労,栄養不良,脱水,体重減少,不眠などが生じ,基礎疾患によっては生命にかかわることもある.
薬物療法としては,
抗精神病薬・・・ハロペリドール,クロルプロマジン
抗けいれん薬・・・バルプロ酸,カルバマゼピン
その他・・・バクロフェンなど
さてしゃっくりが4週間止まらなくて,全米の注目を集めた少女がいた.インターネットで彼女のしゃっくりを治す方法を募集して話題になった.でも動画を見てみると会話中には出ていなかったり,少し心因性の要素も気にはなるような気がするがどうなのでしょう.ちなみに睡眠中も出ているようなら病的なものといわれている.
http://www.youtube.com/watch?v=T-d8rXfKQhE&feature=related
玉岡晃.しゃっくりの臨床.Brain Med 17; 133-140, 2005(非常に詳しくかつ分かりやすい総説)
難しいが,たしかにこれは,神経内科の守備範囲である.
まずしゃっくりは何のために起こるのか,意味があることなのかということを自分は考えてしまうが,どうも生理的意義は不明らしい.
つぎにメカニズムについて.しゃっくりを起こす刺激としては,以下のものが知られているそうだ.
1.胃腸やその周辺の温度の急激な変化(温かいあるいは冷たいものを飲んだ時)
2.胃の拡張(空気を飲み込んでしまう呑気症,食べ過ぎ,飲酒,炭酸飲料)
3.急に生じた感情の変化
4.タバコ
しゃっくりの神経経路(反射弓)については紆余曲折があり,現在,以下のように考えられている.
1.求心路(脳に向かう感覚入力)・・・鼻咽頭→舌咽神経咽頭枝,交感神経(Th6-12)
2.遠心路(脳から出て筋肉を動かす運動う出力)・・・
舌咽神経延髄孤束核→延髄網様体 →横隔神経→横隔膜・・・横隔膜が瞬間的に収縮する
→迷走神経→声門・・・息の吸い込みと声門の閉鎖が起こる
ではどう止めるか?非薬物療法(身体刺激療法)としては反射弓の求心路を刺激して抑制するものが多い.
・ 舌の牽引
・ 外耳道圧迫(舌咽神経咽頭枝領域が何らかの変形・刺激をうけるらしい)
・ スプーンによる口蓋垂(のどちんこ)の圧迫
・ 綿棒による咽頭刺激
・ 水でのうがい
・ 氷水を飲む
・ 砂糖を飲む
・ レモンを噛む
舌の牽引と外耳道圧迫の有効率が高いという報告がある(近藤ら.2005).
また横隔膜の圧迫刺激が良いという報告もある.具体的には「膝を抱えて胸部に引き寄せる運動」を行う.
実は昨日,うちの娘がたまたましゃっくりしていたので,舌の牽引,外耳道圧迫を順に試した.いずれも無効.その後,膝抱えを行ったところ,即座にぴたっと止まった.膝抱えはもしかしたらお勧めかも知れない(笑).
一方,病的な吃逆も知られている.器質性と心因性,特発性(原因不明)に分類される.
器質性・・・脳梗塞,脳腫瘍,多発性硬化症,延髄脊髄炎など
心因性・・・転換反応,ヒステリー,神経性食思不振症など
持続性吃逆の症状としては,疲労,栄養不良,脱水,体重減少,不眠などが生じ,基礎疾患によっては生命にかかわることもある.
薬物療法としては,
抗精神病薬・・・ハロペリドール,クロルプロマジン
抗けいれん薬・・・バルプロ酸,カルバマゼピン
その他・・・バクロフェンなど
さてしゃっくりが4週間止まらなくて,全米の注目を集めた少女がいた.インターネットで彼女のしゃっくりを治す方法を募集して話題になった.でも動画を見てみると会話中には出ていなかったり,少し心因性の要素も気にはなるような気がするがどうなのでしょう.ちなみに睡眠中も出ているようなら病的なものといわれている.
http://www.youtube.com/watch?v=T-d8rXfKQhE&feature=related
玉岡晃.しゃっくりの臨床.Brain Med 17; 133-140, 2005(非常に詳しくかつ分かりやすい総説)

そんな娘も5歳。ちょっと生意気な幼稚園年中です。
私もアメーバブログで非常に不定期ですが、書いております。m(__)m。
「妻失格、母失格」。ググっていただけると読めると思いますm(__)m。
これからも、お邪魔させていただきます。
よろしくお願い申しあげますm(__)m。