Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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2010年12月のつぶやき

2011年01月10日 | 脳血管障害
2010年12月のつぶやきのまとめです.


書評を見て,「人の心をひらく技術」を読んだ.ノンフィクション作家小松成美さん著.タイトルは少し誤解を与えかねないが,陳腐なビジネス書ではなく,「人とのつながり」や「人間を聞く」ということを考えさせるすばらしい本.
12月1日

失神の鑑別診断のヒステリー発作は,女性に多く,誰かが側にいないと起こらず,他人の注目を集めたいための症状で,発作の状況を正確に聞けば診断可能.失神の頻度は高い.意識がないように見えるだけで,心拍数も血圧も正常で,発汗や顔色不良もない.一般的に怪我はしない.#Neurology
12月2日

脊髄小脳変性症の新規遺伝子TGM6 の報告.中国の2家系.発症40歳代.仮性球麻痺を高率に合併.手指振戦合併例あり.錐体路徴候しばしば陽性.Babinski徴候陽性例もあり.TGMはtransglutaminaseのこと.#Neurology #Brain
12月3日

脳動脈解離により頭痛を呈している患者を片頭痛と診断しトリプタンを処方すると,血管収縮により脳梗塞を来す可能性がある.初診であれば片頭痛を疑っても頭部MRI,MRAを撮影しておいたほうが無難.#Nuerology #Headache
12月3日

Multifocal motor neuropathy: Association of anti-GM1 IgM antibodies with clinical features http://bit.ly/e8OZPL #neurology
12月4日

Need for the development of an ALS biomarker, particularly early stages - 30% of motor neurones lost before muscle wasting develops
12月11日

Absence of cortical demyelination in neuromyelitis optica http://bit.ly/i7Q7Zv #neurology
12月14日

2つ以上の生存率曲線の差の確認→ログランク検定(比較群だけが説明変数).これに対して予後因子も考慮したうえで,比較群のハザードに違いがないかを検証するために,用いる方法がCox比例ハザードモデル.
12月14日

65歳以上の心血管疾患を有する男性を対象にした前向き研究にて,ARBは,認知症予防,養老施設入所率,死亡率がACE阻害剤や他の心血管薬剤と比べ有意に良好.後者と比較し,認知症発症ハザード率0.76,ACE阻害剤比較では 0.81.ACE阻害剤併用の相加効果もあり. BMJ2010
12月14日

Antibodies Target HMG-Coa Protein, Triggering Autoimmune Myopathy in Statin-Treated Patients: The results provid... http://bit.ly/fojEdE
12月15日

脊髄内出血の原因;海綿状血管腫,脊髄動静脈奇形,高血圧,動脈硬化,妊娠・出産,外傷,脊髄腫瘍,脊髄空洞症,血液凝固異常,梅毒性脊髄炎など.#Neurology
12月15日

#Michael Behind The Mask
(マイケル・ジャクソンのニューアルバムMICHAELのなかの幻のBehind The Maskを聴けて感動してしまったためのつぶやき)
12月15日

プラビックスのBioavailability生物学的利用にパラオキソナーゼ1(PON1)が不可欠であり,この酵素の遺伝子多型はクロピドグレルの効果の個人差に寄与する.PON1は低比重リポ蛋白(LDL)の酸化を阻害して動脈硬化の進展を抑制する作用も持つ.#Neurolohgy
12月20日

片頭痛患者の片頭痛予防薬として承認されたデパケン(バルプロ酸)の血中濃度測定が承認された.http://bit.ly/gNY8b4 #Neurology #Migraine
12月20日

アルツハイマー型認知症:二つの新薬に製造販売を承認 - 毎日jp(毎日新聞) mainichi.jp/select/today/n… via @mainichijpnews
12月25日

尊敬するベテラン整形外科医に話を伺う機会を得た.曰く,「診療において神経診断学は極めて重要.自ら診察し判断することが大切.先入観を防ぐため,診察を終えるまで紹介状や画像をみてはいけない.正しい診断が出来れば診療を大きく間違うことはない.診断の基礎になる神経診断学の理解が大事」.
12月26日

Two Studies Show Lamotrigine Possible Risk Factor for SUDEP http://tinyurl.com/37d868q from @iNewsApp
12月28日

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2010年11月のつぶやき

2011年01月10日 | 医学と医療
2010年11月のつぶやきのまとめです.


自発性・発動性とは「他からの影響をうけることなく,目的にそった行為あるいは意志行為をみずから発動させる能力」のことを言う.その病的な減退は,統合失調症の欠陥状態,前頭葉損傷,認知症などでみられる.
11月3日

アミロイド・アンギオパチー患者では脳表ヘモジデリン沈着(SS)を認める頻度が高く,通常の脳出血患者にSSを認めることは稀である.診断基準にSS所見を加えることで,CAA診断における感度を向上できる可能性が報告されている.http://bit.ly/cWomhC
11月3日

VSRAD次期バージョンでは白質についても評価が可能となり,白質と灰白質の萎縮のいずれが顕著かなど調べることができる.内側側頭葉の萎縮の評価だけでなく,PSPにおける中脳萎縮の検出等にも用いることができる.認知症学会 #dementia #Neurology
11月7日

ドネペジル(アリセプト)は副作用としてのてんかんを生じるという報告あり(8.4%).http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20036167 機序は不明.ドネペジル中止で改善した例が報告されている.http://bit.ly/alncLa
11月11日

特発性外眼筋炎;眼痛,複視,炎症所見(結膜充血・腫脹)が三徴.原因疾患は原因がわからなかったもの以外には,甲状腺,ChurgStrauss,Wegener肉芽腫症,ベーチェット病,ヘルペス感染,咽頭炎,副鼻腔炎,家族性等報告されている.
11月11日

Telcagepantなどのゲパント系薬剤(CGRP受容体拮抗薬)は,片頭痛に対し今後使用される.トリプタン・ノンレスポンダーや,冠動脈疾患や脳梗塞等,トリプタンによる血管収縮が望ましくない症例に対しても使用可能.難治例での併用も期待.#Neurology #Headache
11月12日

デパケン®(バルプロ酸ナトリウム)の片頭痛への保険適用が可能となった.なかなか予防困難であった片頭痛患者さんに朗報.http://bit.ly/8Xi0fi  #Headache #Neurology #Migraine
11月12日

第127回内科信越地方会@松本に参加した.特急しなのから見た紅葉がとても美しかった.#Neurology
11月13日

糖尿病性舞踏病の画像ではMRI T1強調画像の被殻高信号が有名.基底核の代謝異常,微小出血,虚血の可能性が指摘されていて,T2*でヘモジデリン沈着を伴う微小出血を証明した例もある.今回,MRIで病変を指摘できずにCTでのみ高吸収域を呈する症例が報告されていた.#Neurology
11月13日

頚動脈における不安定プラークの診断にMPRAGE(magnetization prepared rapid acquisition with gradient echo)が有用である.#Neurology #Stroke
11月13日

ライム病は,北海道や標高の高い地域において発症することが教科書的だが,そのような地域に行かなくても発症した症例が報告された.感覚障害,脱力,顔面神経麻痺,髄液蛋白やCXCL9増加を認める.ギランバレー症候群との鑑別が問題になる.#Neurology #Infection
11月13日

Churg-Strauss症候群において脳神経症状を合併することがある.視神経が多く,動眼神経の報告もある.#Neurology
11月13日

ビタミンB12欠乏症において前頭葉機能障害を呈する症例があり,そのような場合はFTDとの鑑別も必要になることがある.多くの場合,ビタミンB12の補充で改善する.#Neurology
11月13日

肥厚性硬膜炎の鑑別診断の1つとして,慢性骨髄性増殖性疾患も挙げられる.硬膜における髄外造血のため,MRIでは硬膜肥厚所見を呈する.#Neurology
11月13日

肥厚性硬膜炎の鑑別診断の演題として,multifocal fibrosclerosis/ IgG4-related sclerosing diseaseや,POEMS症候群もあった.#Neurology
11月13日

慢性ブロム中毒は,市販鎮痛薬で生じうる(ブロムワレリル尿素を含む).慢性ブロム中毒は倦怠感,下痢などの他に多彩な神経症状(構音障害,眼球運動制限,脱力,感覚障害,失調)を呈する,大脳萎縮,小脳萎縮もある..本邦ではこれら市販鎮痛薬の規制はなく注意を要する.#Neurology
11月13日

Predictors of neurologic outcome in hypothermia after cardiac arrest http://tinyurl.com/2w9msjt from @iNewsApp
11月13日

Capsaicin induces degeneration of cutaneous autonomic nerve fibers http://tinyurl.com/39eqdxc from @iNewsApp
11月13日

米国FDAは重症の慢性偏頭痛に対して、ボツリヌス毒素Aの使用を認可した。http://bit.ly/blEv3n #Migraine #Neurology
11月16日

The Cake Eaters フリードライヒ失調症(常染色体劣性遺伝性の脊髄小脳変性症)の患者さんがヒロインの映画。米国神経学会(AAN)が推薦してる。残念ながらアマゾンで見つからず。 http://bit.ly/KQOj
11月16日
(ちなみにwebsiteはここです)


Brain Imaging in Cerebellar Ataxia Associated with Autoimmune Polyglandular Syndrome Type 2: Autoimmune polyglan... http://bit.ly/bIhwKe
11月18日

SPG11.常染色体劣性.脳梁菲薄化(TCC)を伴う複合型痙性対麻痺.発症平均12歳(2-23).認知障害,大脳白質信号異常,構音障害,視神経萎縮,網膜変性症,軽度の失調を合併しうる.原因遺伝子産物spatacsin.本邦例あり.TCCはSPG4でもまれに見られるが純粋型.
11月21日

ムクナ豆はアーユルヴェーダ(インド伝承医学)で使われる薬用植物.種子にL-DOPAを 4-10%含む.4500年前からパーキンソン病の治療に使われた.L-DOPA単剤となるはずだが,分解を抑制する成分を含む可能性もある.WEBでも売られているが日常医療に使用するのは時期尚早.
11月21日

第22回脳循環代謝学会@大阪に参加しています.初めて参加しますが,色々な領域の専門家が参加していて興味深いです.私個人は,ALSにおいて重要な役割をはたすと考えられているTDP43が,変性疾患だけでなく,脳虚血の病態にも関与しているという発表をしました.#Neurology
11月26日

eNOSは脳虚血に対して神経保護的に作用するが,機能不全により虚血損傷が増悪する.脳虚血後,損傷領域ではeNOS発現量は増加するが,機能を調節するリSer1177が抑制されている.eNOSのリン酸化をコントロールするρキナーゼ阻害薬は動物モデルでは有効.#Neurology
11月26日

摂食促進作用、エネルギー代謝調節作用を有するグレリンは神経保護作用を有する可能性がある(ただし機序は不明)。#Neurology
11月26日

オートファジーにはマクロオートファジー,ミクロオートファジー,シャペロン介在性オートファジー(CMA)がある.CMAはLAMP2Aが関与.脳虚血側でLAMP2A は4日から増加,7日でmax.培養細胞でLAMP2Aの発現抑制するとアポトーシスが誘導された.#Neurology
11月26日

BBBを構成するAQP4は中大脳動脈閉塞モデルにおいて、虚血・再灌流後12-24時間において減少。βジストログリカン(βDB)はペナンブラ領域で、6-24hにかけて増加し、48hで低下する。脳虚血によってβDBの構造が変化し,分解される可能性がある(広島大).#Neurology
11月26日

VSRADは早期のアルツハイマー病では2割程度がz-score<1となってしまうので要注意.#Neurology
11月26日

嗜銀顆粒性認知症は高齢者に多い,進行が遅い,認知症状は軽く,易怒性のみということもある.髄液アミロイドβ正常,アリセプトは無効.臨床診断難しいい.アルツハイマー病の治験でこの病期が含まれると治療薬の有効性を正しく評価できなくなる.#Neurology #dementia
11月26日

血管性認知障害Vascular dementiaをVDと略すとvenereal disease (性病)になってしまう.VaD と略す.初発症状は記憶障害,発動性低下が多い.神経脱落症状は8 割.幻覚妄想,徘徊は ADより少ない.アパシーが目立つ.サアミオンはグレード B
11月26日

CADASILの早期診断において頭部MRIの側頭極病変は有用.無症候でも拡散画像の病変を発見することがある.ビンスワンガー病との病変分布の相違は,同じ細小血管病でも主に侵される血管径が異なっているためらしい(CADASILは小細動脈だが細すぎないと).#Neurology
11月27日

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2010年9-10月のつぶやき

2011年01月08日 | 医学と医療
ブログを書くよりtweetのほうが気軽なので,最近はtwitterで済ませてしまう傾向にありますが,昨年の9-10月のtweetをまとめてみました.研究会等で伺っておもしろかったことや,回診前に勉強したことのメモなどが中心です.読みなおしてみると,twitterでは字数制限のため,情報のソースを十分に示していない点が問題かもしれませんね.


ジストニアを呈しうる SCD の鑑別;SCA3,SCA17 > SCA6,SCA7,SCA8,SCA12,SCA14,EA2.
SCA14は若年齢で錐体外路症状あり.EA2(CACNA1A変異)は小児期に発作性小脳失調にて発症し,40歳代以降でジストニア出現.
2010年9月16日

可逆性後白質脳症症候群(PRES)の原因の一つとして,低マグネシウム血症が知られているが,既報例ではシクロスポリンが使用されており,低マグネシウム血症が本当にPRESを引き起こすのか検討の余地がある.
9月30日

アルコール依存症では,栄養不足,慢性下痢,尿からのMg排泄増大のため低マグネシウム血症が生じる.Mgはチアミン(ビタミンB1)をチアミンピロリン酸に変換するのに必要.Mgが不足するとチアミンを投与してもチアミンピロリン酸に変換できないためビタミンB1不足と同じことになる.
9月30日

Nasogastric tube syndrome:胃瘻により食道に潰瘍が形成され,炎症が食道の前の声帯開大筋に及び,声帯(外転麻痺,通常両側)の筋障害をきたす.のどの痛みと,声帯開大不全を呈する.これまでの症例報告は30数例.治療;胃瘻抜去,抗生剤,制酸剤
9月30日

神経内科グランドラウンドより;神経難病患者さん,そして介護者のQOLをいかに高めるかを考える際,医療者が,患者さん・介護者の日常の生活をどれだけ "IMAGINATION" することが出来るかがとても大切.
10月1日(私の尊敬する神経内科の先輩のお話)

パキスタン人神経内科医に「この人はalcoholismで,飲酒中断による離脱性てんかん(rum fits)が鑑別診断」と話したら,「alcoholismと言うけど日本人は毎晩飲むでしょ.どう違うの?」と聞かれた.イスラム社会で飲酒が禁止されていることを認識するエピソード.
10月1日

血圧上昇や頭痛はPRESの前駆症状として重要.PRESに関連する雷鳴頭痛はreversible cerebral segmental vasoconstriction (Call-Fleming syndrome)の時に生じる.
10月14日

PRESの病態機序としては,BBBが破綻して血管原性浮腫が生じるというbreak through説と,血管攣縮に伴う虚血によって神経症候が出現するというvasospasm説がある.
10月14日

ALSでは肺炎等を契機として,突然,高浸透圧高血糖を来すことがあるので注意を要する #ALS
10月14日

パーキンソン病におけるOff 時のdystoniaとして胸腹部の締め付けが生じることがある.#Parkinson disease
10月16日(10月16日はセミクローズドのパーキンソン病研究会@東京の内容)

本邦の全国調査で,パーキンソン病患者に対するL-dopaの処方で一番頻度が高いのは,進行例でも300mg/dayである.進行例ではL-dopa量が十分であるのか検討する必要がある.#Parkinson disease
10月16日

パーキンソン病患者さんの治療に対する不満足感は罹病期間6~9年に増える.これは運動合併症出現時期に一致する.治療満足度を高めるには,積極的なwearing-off 対策が必要である.#Parkinson disease
10月16日

抗パ薬増量の障害は副作用であり,具体的には幻覚・眠気が問題になる.#Parkinson disease
10月16日

ジスキネジアの回避目的に,L-dopa内服量を抑制しすぎるのは患者の希望と逆行するおそれがある.#Parkinson disease
10月16日

COMT阻害剤を早期から併用する場合の問題点として,患者さんがあまり症状で困っていない時期に開始するため効いたという実感を持ってもらえないということがある.それと厳密な意味でCDSを実現できる治療ではないことも理解する必要がある.#Parkinson disease
10月16日

担当医が交代しうる外来にて診療を行う場合,あとを引き継ぐ担当医のためにも,自分が使用した抗パーキンソン剤の効果についてきちんと評価し,かつ記載に残す必要がある. #Parkinson disease
10月16日

パーキンソン病における幻覚の危険因子は,高齢,重症度,認知機能>罹病期間,うつ,眠気,視力障害である.#Parkinson disease
10月16日

成人発症Pompe病では,疲労,rigid spine syndrome,高度の慢性下痢といった症状も呈しうる.#Neurology
10月17日

頚部から皮膚分節を下方にたどると,両肩を結ぶラインがC5領域であり,さらに下方にすすむと,突如T1が支配する領域が出現する.このC5とT1の境界線をcervical lineと呼ぶ。頚髄の損傷評価(C5-T1の間)に有用.C4とT2分節の間の不連続線を利用した診察法である.#Neurology
10月21日

脊髄空洞症の軽症例では典型的な症状がなく診断は難しい.上肢の不快感を訴える患者で,軽度の筋力低下や温痛覚低下を認めた場合,脊髄空洞症の可能性を考慮.中心管の拡大や中心管との交通は現在では否定的。空洞形成は,微小空洞が後角部に多発的に発生し,癒合拡大し生じるものと考えられている.#Neurology
10月21日

神経免疫研究会:内科疾患に伴う中枢神経の炎症性病変という研究会にきています。神経ベーチェット病や血管炎症候群の議論を聞けることになっています。#Neurology
10月21日

慢性進行型神経ベーチェット病では、アザチオプリン、シクロフォスファミド、ステロイドは無効。MTX少量パルスないしインフリキシマブが有効。#Neurology
10月21日

Autoinflammatory syndrome:周期性はつねつを特徴とし、病原性、自己抗体、自己反応性T cellを認めず、炎症、自然免疫、細胞死の制御に関わる分子群の異常に伴う疾患。#Neurology
10月21日

MPO-ANCA陽性の肥厚性硬膜炎では髄液のIL-6,sIL-2が上昇する.TNFaは上昇しない.原因疾患としてはまずWegener肉芽腫症を考える.難治例ではリツキシマブも考慮する(ただし感染症に注意).#Neurology
10月23日

神経ベーチェット病;急性型は髄膜脳炎が主体で,局所徴候も伴う.3割はシクロスポリン誘発性.MRIはT2, FLAIRで高信号で,造影効果も見られる.髄液は細胞・蛋白・IL-6とも上昇,治療はステロイドとコルヒチン.#Neurology
10月23日

慢性型は認知症,体幹失調,構音障害が多い.脳幹萎縮が特徴的.HLA-B51の陽性率が高い.髄液は細胞・蛋白の上昇は乏しいが,IL-6が持続高値.治療は少量MTXパルスが有効,IL-6を下げる効果あり.MTXでもダメな場合,インフリキシマブ(レミケード)も. #Neurology
10月23日

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非定型的パーキンソニズムにおけるBicycle sign

2011年01月08日 | パーキンソン病
Lancet誌に非定型的パーキンソニズムとパーキンソン病の鑑別に有用な方法が報告されている.ただ「自転車に乗れますか?」と質問するのである.

診断が確定していない156名のパーキンソニズムを呈する患者に対し,前向き観察研究が行われた.最初の段階で111名が自転車に乗れた.罹病期間が30ヶ月経過した後,臨床的にパーキンソン病45名,非定型的パーキンソニズム66名(MSA 35名,PSP 9名,LBD 3名,CBS 2名,血管性パーキンソニズム 17名)と診断された.パーキンソン病では2名(2/45;4.4%)が自転車に乗れなくなっていたが,非定型的パーキンソニズムでは34名(66;51.5%)が自転車に乗れなくなっていた.

これをBicycle signとして,診断への有用性を評価すると,感度52%,特異度96%,AUC(area under curve)0.74と良好な結果であった.回帰分析では年齢,パーキンソニズム,失調は有意な相関を示さなかった.

自転車に乗るという行為はバランス,協調運動,下肢のリズミカルな運動などが相互作用し可能になるが,非定型的パーキンソニズムでは黒質以外にも変性が生じる結果,バランスや協調運動にも障害を来すため,自転車が乗れなくなるのではないかと推測される.

昨年のNew Eng J Med にも,すくみ足症状が強くても自転車に乗ることができるパーキンソン病患者さんのレポートがあったが(過去ブログ参照),今回は同様の現象を診断に応用したものといえる.「自転車に乗れますか?」は,今後,問診の際にチェックすべき質問といえよう.

Lancet. 2011;377:125-126.

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