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Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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ALSにおける声門狭窄

2011年05月15日 | 運動ニューロン疾患
声門レベルでの狭窄は,嗄声や小声,声が長く続かない,喘鳴,呼吸困難といった症状を来しうる.神経疾患で声門狭窄を伴うものとして有名なのは多系統萎縮症であるが,ALSにおいても起こりうることが知られている.最新の論文ではないが,紹介したい.

Arch Neurol. 2009 Nov;66(11):1329-33.
Vocal cord dysfunction in amyotrophic lateral sclerosis: four cases and a review of the literature.
van der Graaff MM, et al.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19901163

この論文の中では声門レベルでの狭窄をきたした4例ALS症例を報告している.

1例目. 家族性ALS(FLAS)で,症状としては夜間の突然の呼吸困難(所見としては上位運動ニューロン徴候のみ)
2例目. 夜間の突然の呼吸困難・喘鳴(所見は下位のみ)
3例目. 突然の喉の狭窄感(所見は上位+下位)
4例目. 突然の喉の狭窄感(所見は上位+下位)
突然の息のつまり感じは「喉頭痙攣」により生じ,吸気性喘鳴は「声帯外転麻痺」により生じると報告している.剖検例はない.

可能性として2つの病態を推定している.
① 核性・核下性→後輪状披裂筋麻痺→麻痺性声門狭窄(声帯外転麻痺)
② 核上性→内転筋の活動亢進→非麻痺性声門狭窄(喉頭痙攣)

治療としては,中等~重症では気管切開を推奨しているが,軽症~中等症において多系統萎縮症のように非侵襲的陽圧換気療法(CPAP)で改善するのかまったく不明.

頻度の高い病態ではないものと思われるが,著者らはALSにおける突然死に関与している可能性も指摘していため,ALSにおいてもこのようなことが生じうることを認識しておいたほうが良いものと思われる.

Arch Neurol 66:1329-1233, 2009
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