Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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新型コロナウイルス感染症COVID-19:最新エビデンスの紹介(1月29日)  

2024年01月29日 | COVID-19
今回のキーワードは,ワクチン未接種のLong COVID患者の症状改善にワクチン接種は有効で,sIL-6Rが上昇した人で効果を認める,ワクチン接種をした非入院者に対しパキロビッドはLong COVIDの発症を抑制しない,シンバイオティクスはLong COVIDの症状の改善に有効である,腸管粘膜組織は感染後数ヵ月間,SARS-CoV-2ウイルスを保持する,Long COVIDではアンチトロンビンIIIは低下し,トロンボスポンジン1とvWF因子は増加する,労作後倦怠感の原因として骨格筋の構造・機能異常があり,激しい運動で増悪する,中脳ドパミンニューロンにおけるSARS-CoV-2ウイルス感染後の炎症と細胞老化による消失です.

Long COVIDの治療に関する論文を3つ,病態に関する論文を3つ,そしてパーキンソン病の原因となる中脳ドパミンニューロンの消失がSARS-CoV-2ウイルス感染による生じうるという論文の紹介です.治療に関して,Long COVID患者でワクチン未接種であった人は今からでも接種したほうが良さそうです.Long COVIDに対する抗ウイルス薬の効果(PaxLC試験)は今後発表される予定ですが,急性期に内服してもLong COVIDの予防効果はなさそうです.Long COVIDの機序にひとつに腸脳連関による脳障害がありますが,シンバイオティクスは腸内細菌叢障害を改善する薬で有望かもしれません.アルツハイマー病の危険因子としてのCOVID-19はほぼ確立していますが,同様のことがパーキンソン病でもいえそうな雰囲気になってきました.第10波中ですが,脳を守るために感染予防とワクチン接種を心がける必要があります.

◆ワクチン未接種のLong COVID患者の症状改善にワクチン接種は有効で,sIL-6Rが上昇した人で効果を認める.
米国Yale大学を含む複数施設が,COVID-19ワクチン未接種のLong COVID患者16人を対象に,ワクチン接種後の症状および免疫応答を検討した前方視的研究が報告された.結果は,ワクチン接種後12週目の自己報告では,16人中10人が健康状態の改善,3人が変化なし,1人が悪化,2人がわずかな変化を認めた(図1).ワクチン接種6週後および12週後に,SARS-CoV-2スパイク蛋白質特異的IgGおよびT細胞の増加がほとんどの患者で認められた.ヘルペスウイルスや自己抗原に対する反応性に変化は認めなかった.また症状の改善と関連するのはベースラインのsIL-6Rが高いことで,改善なしと関連するのはIFN-βとCNTFが高いことであった.以上よりワクチン未接種のLong COVOD患者に対するワクチン接種の有効性が示唆されるが,少人数の検討であることからさらなる検証が必要である.
medRxiv 2024.01.11.24300929(doi.org/10.1101/2024.01.11.24300929)



◆ワクチン接種をした非入院者に対しパキロビッドはLong COVIDの発症を抑制しない.
急性期経口治療薬ニルマトルビル/リトナビル(パキロビッド)がLong COVIDの発症リスクを低下させるかを検討した観察コホート研究が米国から報告された.ワクチン接種済みで,COVID-19に初めて感染した非入院患者にうち,パキロビッドを使用した353人と非使用の1258人におけるLong COVID発症率は,感染後5.4±1.3ヵ月の時点で16%と14%で,パキロビッド使用とLong COVIDとの関連は認められなかった(OR 1.15;95%CI 0.80-1.64;p=0.45).
J Med Virol. 2024 Jan;96(1):e29333.(doi.org/10.1002/jmv.29333)

◆シンバイオティクスはLong COVIDの症状の改善に有効である.
Long COVIDの病態機序の一つとしてdysbiosis(腸内細菌叢のバランスが乱れた状態)がある.シンバイオティクスとは生きた有用菌とその栄養源を同時に摂取することで腸内環境を整える.香港からシンバイオティクス製剤(SIM01)の6ヵ月間経口内服がLong COVIDの14種類の症状緩和に有効か検討した無作為化二重盲検試験が報告された.SIM01投与群232名と偽薬群231名に無作為に割り付けた.6ヵ月後,SIM01投与群では疲労(OR 2.273,p=0.0001),記憶障害(1.967,p=0.0024),集中力低下(2.644,p<0.0001),胃腸の不調(1.995,p=0.0014),全身倦怠感(2.360,p=0.0008)は偽薬群と比較して改善した.有害事象の発生率は同程度であった.症状改善の予測因子は,SIM01による治療,オミクロン変異株の感染,ワクチン接種,軽症感染であった.
Lancet Infect Dis. 2023 Dec 7:S1473-3099(23)00685-0. doi: 10.1016/S1473-3099(23)00685-0.

◆腸管粘膜組織は感染後数ヵ月間,SARS-CoV-2ウイルスを保持する.
エジプトからCOVID-19の既往のある患者における持続性腸内感染の陽性率を検討した研究が報告された.対象は上部消化管内視鏡による生検を受けた166例と下部消化管内視鏡による生検を受けた83例.ヌクレオカプシド蛋白に対する免疫染色陽性の頻度は,上部で37.34%,下部で16.87%(図2),有意に上部で高かった(P = 0.002).喫煙者および糖尿病患者は,持続的なウイルス腸内感染のリスクが高い可能性がある.以上より,腸管粘膜組織はSARS-CoV-2ウイルスのリザーバーであることが示された.
Endosc Int Open. 2024 Jan 5;12(1):E11-E22.(doi.org/10.1055/a-2180-9872)



◆Long COVIDではアンチトロンビンIIIは低下し,トロンボスポンジン1とvWF因子は増加する.
COVID-19罹患者113人を初回感染後1年間追跡調査し,Long COVIDに関連するバイオマーカーを同定したスイスからの研究である.6ヵ月後の追跡調査では,40人の患者がLong COVIDの状態であった.プロテオミクスにより血清中の6500以上のタンパク質を測定した.この結果,Long COVID患者は急性期に補体の活性が亢進し,6ヵ月後の追跡調査でも持続していたが,回復したlong COVID患者で補体レベルは正常化していた(補体系は感染に対抗したり,感染し傷害した細胞を除去する作用がある).補体系の活性化の結果,補体C5b-C9からなる終末補体複合体(TCC)が形成され細胞膜に結合し,細胞溶解を引き起こす.これを反映し,C5bC6複合体は増加,C7を含むTCCは細胞膜に取り込まれて減少,TCCにより細胞膜が損傷する(このため血管内皮障害マーカーvWF↑,赤血球溶解マーカーHeme↑)(図3).またC5活性化のためのトロンビン↑となるため,これを抑制するアンチトロンビンIIIが消費され↓.また血小板が刺激されるため血小板活性化マーカー:トロンボスポンジン1と血小板・単球凝集体↑.さらに抗CMVおよび抗EBV IgG抗体レベルの上昇と関連していた.以上よりLong COVIDは,補体活性化,血管内皮障害,血小板活性化,ウイルス再活性化といった特徴を示す.
Science. 2024 Jan 19;383(6680):eadg7942.(doi.org/10.1126/science.adg7942)



◆労作後倦怠感の原因として骨格筋の構造・機能異常があり,激しい運動で増悪する.
オランダからLong COVIDにおける労作後倦怠感の病態機序を検討するために,患者25名を対象とした縦断的症例対照研究が報告された.これらの患者では広範な骨格筋の傷害を認め,患者の運動能力の低下と関連していた.さらに骨格筋のミトコンドリア機能異常と代謝障害を認め,労作後倦怠感の誘発後に悪化した(→よって,Long COVID患者にとって激しい運動は良くない).またアミロイドを含む沈着物を筋線維のあいだに患者でより多く認め,この所見は激しい運動を行うと増加した(図4).ウイルスの持続感染が関与している可能性を考え,ヌクレオカプシドタンパクを免疫染色で評価したところ,long COVID患者と感染後に回復した人は同程度であった.労作後倦怠感を軽減するためには,現時点では激しい運動を避けることを勧めるしかない.
Nat Commun. 2024 Jan 4;15(1):17.(doi.org/10.1038/s41467-023-44432-3)



◆中脳ドパミンニューロンにおけるSARS-CoV-2ウイルス感染後の炎症と細胞老化による消失.
米国からヒト多能性幹細胞(hPSC)由来の中脳ドパミン(DA)ニューロンが,SARS-CoV-2ウイルス感染に対して選択的に感受性を持つことが報告された.まず上記DAニューロンへのSARS-CoV-2感染は,炎症と細胞老化(cellular senescence)を引き起こした.この細胞を用いてハイスループットスクリーニングを行い,感染による細胞老化反応を抑制できる薬剤として,イマチニブ,リルゾール,メトホルミンを同定した(図5).さらにCOVID-19感染剖検患者の黒質において,炎症と細胞老化のシグネチャーと低レベルのSARS-CoV-2転写産物を同定した.加えて重症例では,ニューロメラニン陽性,かつチロシンヒドロキシラーゼ陽性DAニューロンと神経線維の数が減少していることが分かった.以上より,COVID-19罹患者における将来のパーキンソン病発症に関して,注意深い長期的観察が必要である.
Cell Stem Cell. Jan 17, 2024(doi.org/10.1016/j.stem.2023.12.012)



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プライマリ・ケア医/かかりつけ医のためのレカネマブ・ドナネマブ治療の意思決定支援ツール

2024年01月25日 | 認知症
Ann Intern Med誌にプライマリ・ケア医が,患者さん・家族にアルツハイマー病の抗体療法の有益性と有害性を伝えるための指針と意思決定支援ツール(図)が掲載されています.米国LCLAの総合診療医の先生らによるものです.日本でもプライマリ・ケア医の先生方への情報の提供が,今後,きわめて重要になると思いました.以下,患者さんからの質問に解する回答例です.

「抗体療法は有効化か?」という質問への回答:
認知症を治すものではありませんが,脳からアミロイドを除去し,一部の患者さんでは認知機能の低下をわずかに遅らせます.図のようにCDR-SBというテストで82%の認知機能であった人は18ヵ月後,無治療であれば73%まで低下するのに対し,36回レカネマブ治療を行えば76%まで抑制できます.統計学的に有意な差ではありますが,通常臨床的に意味があるとされる効果よりかなり小さいです.しかしドナネマブの臨床試験では,治療により,軽度認知障害(MCI)と呼ばれる認知機能障害があまり進行していない状態に,偽薬群より2.5〜5.4ヵ月長くとどまることができました.後述する副作用や金銭的・時間的コスト,治療効果の不確実性もありますが,患者さんによってはこの延長効果は治療を選択するのに十分意味のあると言えます.

「副作用はありますか?」という質問への回答:
脳の浮腫や出血を引き起こします.レカネマブの臨床試験では治療された患者1000人あたり,偽薬群と比べて,平均して109人多く脳浮腫が起こり,83人多く脳出血が起きました(図).ドナネマブの臨床試験では,これらを意味するMRI画像異常(ARIA)が治療した患者の24%に認められ,6%に頭痛などの症状がみられました.いずれの臨床試験でも3人の死亡例があり,これらは抗体薬が原因である可能性があります.これらの副作用のリスクは,ApoE4遺伝子の保有の有無によって異なり,ApoE4ホモ接合体でも最もリスクが高くなります.



そのほか,プライマリ・ケア医は以下の説明をするべきと述べています.
◆PET検査,認知機能検査,おそらくApoE4遺伝子検査が必要となること.
◆レカネマブの場合2週ごと,ドナネマブの場合4週ごとの点滴が必要となること.
◆約18ヵ月の治療期間中の集中的な監視(MRI検査)が必要となること.
◆経済的な自己負担を要すること.
◆臨床試験の結果はほとんどが非ラテン系白人患者のものであること.
◆抗凝固薬内服中の患者では出血リスクが増加しうること.
◆18ヵ月後に観察された治療効果がその後も持続するか分からないこと.

最後に患者の個人的価値観に照らして十分に話し合う時間をとってくれるプライマリ・ケア医の重要性について強調しています.病気の進行を遅らせたいと切望し,大きく持続的な効果がなくてもアミロイドを除去することに高い価値を置く患者さんにとっては副作用のリスクは容認できるかもしれないとも述べています.
Sarkisian CA, et al. Talking With Patients About the New Anti-amyloid Alzheimer Disease Medications. Ann Intern Med. 2024 Jan 23.(doi.org/10.7326/M23-3377

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進行性核上性麻痺および特発性正常圧水頭症の合併例の臨床的特徴とシャント術の効果

2024年01月23日 | 運動異常症
進行性核上性麻痺(PSP)と特発性正常圧水頭症(iNPH)の両方の診断基準を満たす症例が少なからず存在します.シャント術が有効であった症例の報告もありますが,その病態は不明で,シャント術が有効である症例の頻度や,どのような症例で有効なのかも不明です.このような日常診療の疑問を見逃さず,答えを見出す取り組みが大切ですが,この問題に専攻医の山原直紀先生がトライしてくださいました.

両者の合併例13例を後方視的に検討した単一施設の研究です.PSPのうちiNPHにも該当したのは15.7%(13/83例:結構多い!)で,病型は全例PSP-RSでした(図).シャント術は5/11例(45.5%)で有効,つまり有効例が少なくないことが分かりました.



つぎにシャント術が有効であった5例とその他6例の2群に分け,臨床・画像所見の比較を行ったところ,脳血流SPECTの前頭葉血流低下に有意差を認めました(P = 0.018:下図).3年以上,効果の持続している症例も2例認めました.

以上より,PSPとiNPHの合併例はPSP-RSが多く,シャント術の効果予測において脳血流SPECTが有効性である可能性が示唆されました.少数例を対象とした後方視的解析なのでエビデンスとしては弱いですが,シンプルな臨床研究でもアイデア次第で患者さんの治療に繋がっていきます.山原先生にはさらに頑張っていただきたいと思います.

山原直紀, 吉倉延亮, 下畑享良.進行性核上性麻痺および特発性正常圧水頭症の合併例の臨床的特徴とシャント術の効果.臨床神経2024(advance publication)(ダウンロードフリーです)


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機能性神経障害の病名告知や診断に関して気になった2つの論文

2024年01月17日 | 医学と医療
機能性神経障害(functional neurological disorder;FND)はパンデミック後,もしくはワクチン接種後,明らかに私の外来で増えた疾患です.複数の病院を受診後,診断がつかず紹介されますが,陽性徴候から適切に診断し,病名を説明するだけで改善する方も半数近くおり,その診断はきわめて重要です.

この疾患はこれまでヒステリー,心因性疾患,転換性障害,解離性障害,身体化障害,身体表現性障害,心気症,Munchausen症候群,詐病など,さまざまな病名で呼ばれてきました.しかしこれらの病名は証明されていない病因を意味し,患者さんに不快感・害を与えるため,近年,FNDの使用頻度が増えています.FNDは心と身体のいずれが原因かに言及しないため患者さんと共有しやすく,症状の回復にプラスに作用すると言われています.今年にはいって,FNDの病名告知や診断に関して気になった論文(commentary)が2つ続きましたのでご紹介します.

論文1.Kapur N, et al. Words Matter. “Functional Neurologic Disorder” or “Functional Symptom Disorder”? Neurol Clin Pract. April 2024 issue 14 (2) https://doi.org/10.1212/CPJ.0000000000200238

主旨:患者さんに対する診断名として,FNDではなく,Functional symptom disorder(機能性+症状名)を使用すべき.

最新のNeurol Clin Pract誌に発表されたもので,ロンドンのKapur先生ら(心理学)によるものです.FNDという用語は転換性障害や解離性障害よりも病因論的に中立な用語であるものの,一部の患者や家族は「neurological disorder(神経障害)」の部分から器質的・構造的な神経疾患と混同してしまうため,時に害をもたらす病名であると主張しています.そして教育や研究,専門機関やウェブサイトでは「機能性神経障害」という用語を使用し続けてよいが,臨床の場ではその用語を避けて,「機能性運動障害」「機能性感覚障害」「機能性認知障害」「機能性視覚障害」「機能性言語障害」など,「機能性」のあとに症状を続けることを提案しています.少なくともFNDは臨床現場においては慎重に使ったほうが良いという提案です.→ 個人的には納得できる主張で,例えば診断書を書くときに「機能性神経障害」で先生や雇用主が理解できるかなと思っていました.

ちなみにDSM-5では当初,「conversion disorder(functional neurological symptom disorder)」という用語を使用することにしていましたが,最近ではこの順序が逆になって,「functional neurological symptom disorder(conversion disorder)」となっています.つまり「機能性神経症状症(変換症)」ということになります.混乱しやすいですが,これはFNDと同じものを指しています.



論文2.Stone J. Incongruence in FND: time for retirement. Pract Neurol. 2024 Jan 11:pn-2023-003897.(doi.org/10.1136/pn-2023-003897

主旨:診断においてIncongruencyはもう使用しないほうが良い.

FND領域のリーダーであるJon Stone先生がPract Neurol誌に書かれたもので,FNDの診断にIncongruencyを使用することをそろそろやめるべきではないかと言っています.FNDの診断の2本柱はInconsistencyとIncongruencyです.そもそも単語の意味の違いが理解しにくいのですが,Inconsistency(不一致?)とは,所見の一貫性を欠くことで,例えば,振戦の振幅,分布,重症度に一貫性がないとか(例:tremor entrainment),意図して力をいれる場合と自然に力が入る場合で異なるとか(例:Hoover徴候,Sonoo外転試験)を指します.一方,Incongruency(不調和?)は患者さんの所見を解剖学的・生物学的・生理学的に説明できないことになります.よくあるのは診察室と日常生活など場面によって所見が異なったり,教科書的な神経所見と異なる「奇妙な(bizarre)」所見などになります.Stone先生は,Incongruencyを使用すべきでないという理由として,除外診断に等しいこと,臨床神経学や解剖を熟知する必要があること,そしてbizarreな所見も将来に渡ってずっとbizarreである保証はないことを挙げています.
→ 最後の理由は私も常々感じていたのですが,自己免疫性脳炎では従来の神経症候学からはみ出すような所見を呈します.例えばLGI1抗体→facio-brachial dystonic seizure,mGluR1抗体→激しいhead titubation,Caspr2抗体→ベリーダンサー症候群,分節性脊髄性ミオクローヌス,IgLON5抗体→激しい舞踏運動,舌ミオリズミア,筋痙攣+筋強剛などで,変性疾患等で経験する所見とは異なり,これらの疾患の存在を認識できていない時点では奇妙に感じてしまいます.私はFNDと思われる患者さんの診察時,InconsistencyとIncongruency,どちらかな?など考えていましたが,あまり用語にこだわらずFNDの陽性徴候をしっかり捉えていけばよいのかもしれません.



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脳神経内科施設紹介をご活用ください!@日本神経学会 residentホームページ

2024年01月15日 | 医学と医療
昨年6月にオープンした日本神経学会 residentホームページでは,医学生・研修医に役立つコンテンツを定期的に発信しております.図は最近の更新をサムネイルで示したTopicsになりますが,たとえば面白い読み物として広報委員がリレー形式で執筆する「未来の脳神経内科って」や,医学生・研修医向けイベントを告知する「イベントに参加してみませんか?」があります.

そしてもうひとつオススメのコンテンツは「LEADING EDGE - 脳神経内科施設紹介」です.これまで17施設の紹介をしてまいりました.医学生・研修医のみなさまにはぜひご覧いただきたいと思いますし,また多くの施設をご紹介してまいりたいと思います.申込み方法は下記リンクよりご覧いただければと思います.

◆申込み方法


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COVID-19感染後認知症は20歳の加齢に相当し,感染から1年経過しても脳損傷が持続する!

2024年01月15日 | COVID-19
英国からCOVID-19染後の認知障害と血清バイオマーカー,神経画像所見との関係を検討した前向き縦断研究が報告されました(査読前論文ですが,インパクトの大きな研究です).長期観察研究なので,対象はパンデミック初期の,かつ入院を要した中等症~重症感染者になりますが,衝撃的なのは「認知機能障害の程度は20歳の加齢に相当する」ということと,「1年を経過してもなお神経細胞・アストロサイトの障害マーカー(Nfl-L・GFAP)が高値である」ということです.既報と考え合わせると,中枢神経への直接的(=ウイルス感染)ないし間接的(=サイトカイン)原因に伴う神経炎症が持続しているのだと考えられます.また急性期にステロイドを使用すると認知機能障害は抑制されるという重要な知見も明らかにされました.

以上の結果は,軽症例や最近のCOVID-19罹患において一般化できるものではありませんが,中等症から重症のCOVID-19後の認知機能障害は長期間持続すること,かつ免疫介在性に生じることを認識する必要があります.最近増加している,免疫回避能力の高いJN.1株も神経炎症を引き起こす可能性が高く,認知症予防には感染予防とワクチン接種を心がける必要があると思われます.以下,論文の結果のサマリーです.

【研究の対象】
入院を必要とした351人のCOVID-19患者(ワクチン接種率19%)で,2927人の対照群と比較している.患者の54%が神経・精神症状を呈し,neuro-COVID群に分類される.

【認知機能障害は全般的に生じ,その程度は20歳の加齢に相当する】
認知機能障害(Global Deviation from Expected(GDfE)スコアで評価)は特定の領域に障害を認めるものではなく,すべての領域にわたるグローバルな障害で,その程度は20歳の加齢に相当する.neuro-COVID群では脳症,ついで脳血管障害で認知機能障害の低下が目立つ(図1).



急性期後の評価から3ヶ月後に改善を認めたが,6 ヶ月後では有意な変化はなく回復は頭打ちになった(図2).またCOVID群の多変量モデルでは,認知機能障害はうつ病,パンデミック初期(とくに第1波)の感染,COVID-19の重症度と関連していた.また副腎皮質ステロイドによる治療には保護効果が認められた(p=0.0048).



【COVID-19の1年後も脳損傷が持続して生じている】
1年後の血清Nfl-L(軸索損傷のマーカー)およびGFAP(アストロサイト損傷のマーカー)の中央値は,COVID-19患者で有意に上昇し,さらにneuro-COVID患者で上昇を認めた(図3).タウはneuro-COVID患者でのみ上昇していた.バイオマーカーの半減期を考えると,急性期から1年が経過しても,神経学的合併症のない患者においてさえ,神経細胞・アストロサイトの障害が持続していることが分かる.



【認知機能障害は前帯状皮質体積の減少と相関する】
認知,注意,感情を結びつける機能的役割を持つ前帯状皮質の両側体積はコホート全体(R=0.299), COVID群(R=0.307),Neuro-COVID群(R=0.307)において認知機能障害と有意な相関を認めた.



Research 05 Jan, 2024 (preprint) https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-3818580/v1

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レカネマブ治療におけるAPOE遺伝子検査の重要性と段階的ワークフロー@アルツハイマー病

2024年01月11日 | 認知症
米国神経学会によるNeurol Clin Practice誌の最新号において,カリフォルニア大学アーバイン校Marina Ritchie先生らは,アルツハイマー病(AD)患者におけるAPOE遺伝子検査について重要な提案を行っています.

【APOE遺伝子検査をめぐる大きな変化】
まず著者らは,これまではAPOE遺伝子ε4/ε4ホモ接合のすべての人が若年でADを発症するわけではないため,AD診療において遺伝子検査は推奨されていなかったことを紹介しています.しかしレカネマブが臨床応用された今日,患者のリスク・ベネフィットを考えると,遺伝子検査は安全性に関する情報を提供するという重要な役割がある,つまりレカネマブ治療を希望する早期AD患者には,遺伝子検査の必要性について話し合う必要があると述べています(レカネマブはADにおけるAPOE遺伝子検査に,従来のガイドラインとはまったく異なる大きな変化をもたらしたわけです).逆にレカネマブ治療を希望しない患者やバイオマーカー検査が治療を支持しない患者では,遺伝子検査は臨床的価値がないとも述べています.

【APOE遺伝子検査の2つの大きな問題】
①遺伝カウンセリングの問題
◆患者・家族への心理的影響:ε4の保因者であることが判明した場合,(レカネマブ治療を断念するだけでなく)今後の不安につながる可能性があること,また患者がε4/ε4ホモ接合である場合,その子孫が保因者であることを明らかにしてしまうことを紹介しています.
◆医療への影響:脳神経内科医や遺伝専門医による患者教育やカウンセリングが必要となるものの,認知症患者数の増加にともなう需要に追いつくのにすでに苦労しているこの領域にさらなる負担をもたらすこと,また遺伝カウンセラーも同様に不足しているため,遺伝子検査がこの不足をさらに悪化させる可能性があることを紹介しています.

②費用負担の問題
検査費用を誰が負担するかについても議論がなされています.患者や家族が負担することになれば,患者が遺伝子検査を受けることを思いとどまる可能性があると述べ,臨床医は患者の経済的負担を最小限にすることによって,患者を支援すべきであると述べています.一方で,米国では,消費者による直接検査が広く普及しているため,脳神経科医は,すでに自分のAPOE遺伝子について知っている患者自身からその情報を提示されることが多いとも述べています(代表例としてQuest diagnostics社のアミロイド・バイオマーカー検査).
→ APOE遺伝子検査は保険収載されていないためその費用をどこから出すかが大きな問題です.可能性としては研究費,病院の持ち出し,自費検査,企業負担などになるでしょうか?

【臨床評価のための段階的ワークフロー】
著者らは下図のワークフローを提案しています.臨床評価→バイオマーカー検査(アミロイドPET,脳脊髄液検査)→APOE遺伝子検査の順に行うこと,そして患者に十分な情報に基づいた意思決定を行う機会を提供することが重要と述べています.上述の通り,遺伝子検査はレカネマブ治療を希望する患者にのみ実施することを強調しています.
→ 納得できる提案だと思います.ただしどこまでをかかりつけ医が行い,どこから専門医が関わるかという問題があります.うまく対応しないと次に述べる深刻な問題が生じます.



【今後の懸念】
最後に著者らはレカネマブが医療にもたらす影響を議論しています.具体的には①診断や治療に要する時間を劇的に増加させること,②認知症に関わる医師の不足をさらに深刻化させ,診断や治療の開始を遅らせ,患者が治療を受けられなくなる可能性さえあること,③地域によっては認知症ケアにおける現在の医療格差をさらに悪化させる可能性もあることを挙げています.解決策として,臨床チームを支援し,今後,若い医師がこの領域を選べるようなインセンティブが必要で,診療報酬の改訂は不可欠であろうと述べています.日本では医師の働き方改革が始まりますので①は悩ましい問題です.

Ritchie M et al. Apolipoprotein E Genetic Testing in a New Age of Alzheimer Disease Clinical Practice. Neurol Clin Pract. April 2024 issue 14 (2) https://doi.org/10.1212/CPJ.0000000000200230


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料理研究家のくせに「味の素」を使うのですか? (河出新書)

2024年01月10日 | 医学と医療
料理研究家でYouTuberであるリュウジさんが書いた本です.とても勉強になりました!リュウジさんのレシピにはよく「味の素」が出てきます.自分も料理するのが好きですが,なんとなく使わないほうが良いと思っていました.しかしこの本をきっかけに考えが変わり,かつ料理について考え方が深まりました.以下,勉強したメモです.

◆代表的なうまみ成分は,グルタミン酸(昆布,チーズ,トマト),イノシン酸(鰹節,肉,煮干し:核酸系),グアニル酸(干しシイタケ)の3つである.

◆うま味を強くするためには,量を増やすのではなく,グルタミン酸にイノシン酸を組み合わせるなど,「うま味の相乗効果」を使う.

◆食品にグルタミン酸ナトリウムと書かずに「調味料(アミノ酸)」と記載してよい.同様にイノシン酸ナトリウムなど核酸系を使用する場合,「調味料(核酸)」,グルタミン酸ナトリウムに核酸系なども含まれる場合,「調味料(アミノ酸等)」として記載できる. → 調べてみると非常に多くの食べ物にグルタミン酸ナトリウムが添加されていて驚いた!

◆1908年,池田菊苗博士が昆布だしの正体がグルタミン酸塩であることを発見し,その味をうま味と名付けた.しかしこの業績が世界的評価を得たのは1990年代に入ってからである.2000年代になって,舌の味蕾にうま味の受容体が存在することが判明し,うま味が第5の基本味であることは誰もが認める事実になった.

◆うま味の受容体は,味覚受容体T1Rファミリーの2つのタンパク質による二量体,すなわちT1R1/T1R3で(図),面白いことにグルタミン酸に対する活性がリボヌクレオチド(核酸)によって増強される特性を持つ.



◆米国で1968年,中華料理店で食事をした人が健康被害(原著の主徴は後頸部のしびれで,次第に両肩から背中へ広がり,全身の脱力感と動悸が伴う)を訴えるChinese restaurant syndrome(CRS)がNEJM誌に報告され(1),さらに翌年,マウスにグルタミン酸ナトリウム(monosodium glutamate;MSG)を大量皮下注すると視床下部に損傷がみられたという研究が発表された(2).しかしCRSになったことがある被験者にMSGを大量に含む食事を与えても症状が再現されず,その後の追試でも,通常の料理に使う量では人間に対する毒性が確認されず,現在では学術的には否定された(3).

◆脳神経内科で有名な懸念は,MSGが血管収縮作用を介して片頭痛の引き金となるという説であるが,最近の総説を読むとMSGが頭痛の発生率を増加させるか否かは相反する結果が報告されており,かつ多くの研究では平均消費量よりも高用量を使用していたり,食品中のMSG量の評価が不正確であったり,まだ証明されたとは言えないらしい(4).

ということで,早速,「味の素」「あじしお(食塩+MSG)」「ハイミー(MSG+イノシン酸+グアニル酸)」を買い揃えました.たしかに美味しく感じます.ちなみに私のお気に入りのレシピ本は,ひと口で人間をダメにするウマさ!の「悪魔のレシピ」と,材料,手間が最低限で美味しいものが作れる「虚無レシピ」です.

1) Kwok RH. Chinese-restaurant syndrome. N Engl J Med, 278:796, 1968
2) Schaumburg HH, et al. Monosodium L-glutamate: its pharmacology and role in the Chinese restaurant syndrome. Science, 163:826-828, 1969
3) Walker R & Lupien JR. The safety evaluation of monosodium glutamate. J Nutr, 130:1049S-1052S, 2000
4) Ahdoot E, et al. Unraveling the MSG-Headache Controversy: an Updated Literature Review. Curr Pain Headache Rep. 2023 Dec 11.


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ハーレクイン症候群の解剖学的診断 ―自撮り写真の落とし穴―

2024年01月05日 | 医学と医療
ハーレクイン症候群(Harlequin syndrome)は,入浴や運動などの温熱負荷などにより健側顔面や頸部が発作性に紅潮・発汗過多を呈する稀な症候群です.神経線維腫症1型で,右腕神経叢の神経線維腫に対する切除歴のある18歳女性が,右頸部~肩の鈍痛と労作後の間欠的な片側顔面潮紅を訴え,「自撮り写真(図1)」を持って来院しました.腕神経叢神経線維腫はホルネル症候群やハーレクイン徴候を併発することがあります.この患者でもホルネル症候群を示唆する右縮瞳を認めました.では顔面の紅潮について解剖学的に説明がつきますでしょうか?

落とし穴①.紅潮側を患側と思いがちですが,患側は非紅潮側です.顔面を支配する交感神経障害による発汗障害と皮膚血管拡張反応の消失のために,正常に血管拡張し紅潮した健側が目立ち,赤く見えます.しかしそうだとすると蒼白の左が患側になってしまい,病歴や右縮瞳と合いません.

落とし穴②.「自撮り写真は端末によって左右が変わる」ことを知っておく必要があります.アンドロイド端末やソーシャル・メディア・アプリでは,自撮り写真はミラーリング形式で表示され保存されるそうです(左が左).一方,iPhoneなどのアップル端末では,自撮り画像はミラーリング形式で表示されるものの(左が左),従来の形式(左が右)で保存されるそうです.自分のiPhone(15ProMax)でも試しましたが,たしかにその通りで,「カメラ」で撮ったものと「LINE」のアプリで撮って保存された写真は左右が逆転していました.つまりこの写真はアンドロイド端末で撮ったのだと思います.このような混乱を防ぐための1つの方法として,著者は自撮り写真を撮る際,患者に右手を挙げてもらうことを提案しています.最後に原因ですが,MRIで右側胸郭出口腫瘍の増大が確認されました(図2).

ちなみにハーレクイン症候群の鑑別診断として,新たに挿入した中心静脈カテーテルを取り囲む血栓による静脈流出障害があり,この場合は紅潮側が患側です(図3).



Castro LF, et al. Selfie-Induced Diagnostic Challenge in Horner Syndrome. JAMA Neurol. 2023 Dec 1;80(12):1373-1374.(doi.org/10.1001/jamaneurol.2023.3884)

Keogh P, et al. Hemifacial flushing. N Engl J Med. 2013 Jan 24;368(4):374.

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認知症の診断を伝えるための7つの新しい最善の方法(Best practice)

2024年01月04日 | 認知症
明けましておめでとうございます.本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます.
さてお正月に読んだ論文です.最新のNeurol Clin Pract 誌に,認知症の診断を伝える際のコミュニケーションをいかに改善すべきかを検討した研究が報告されていました.著者は大脳皮質基底核変性症の臨床診断基準(Armstrong基準)で有名なMelissa J. Armstrong先生らです.

まず研究の背景です.多くの認知症患者さんとその家族は「認知症の診断を受けていない」と報告しています.また,ほとんどの臨床医も認知症患者さんに診断を伝えていないと報告しており,正式に診断を伝えるよりも婉曲的な表現を使っていることも知られています(私もご本人の心理的動揺や根本治療がないことを考え,明確な診断名の告知を避けてきた傾向があります).

米国で以前に発表された認知症診断のための基準は10年以上前のものであり,かつ患者さんや介護者の意見なしに開発されたものでした.このためArmstrong先生らは,認知症の診断を伝えるためのBest practiceを作成することを目的として,既存の文献を,多様なステークホルダー(患者さん,介護者,アルツハイマー病協会スタッフ)が参加して検討し,合意形成を目指しました.そして最大3回の投票による修正デルファイ法(注:参加者の一人による不当な影響を最小限に抑えつつ,複数回にわたる匿名の投票を可能にする方法)の結果,以下の7つのBest practiceがコンセンサスを得ました.

1 臨床医は,患者さんや家族の希望に沿うよう,診断の告知に関する希望を尋ねるべきである(レベルB).
2 認知症の診断を伝えるとき,臨床医は思いやりと共感を示さなければならない(レベルA).
3 認知症の診断を伝えるとき,臨床医は現実的な希望を与えるべきである(レベルB).
4 臨床医は,運動,食生活の改善,支援グループとのつながり,自己教育,ACPなど,認知症の人とその家族が使える実践的な戦略を提供すべきである.これらを文書で提供し,明確な用語を用いて話し合うことが望ましい(レベルB).
5 診断を受けることを選択した患者さんと家族・介護者に対して,臨床医は認知症患者とその介護者に疾患に関する教育を提供し,利用可能な質の高い印刷物やオンライン情報源につなぐべきである(レベル B).
6 臨床医は,介護者に地域や国の支援団体とのつながりを提供すべきである (レベル B).
7 臨床医は,認知症の診断,計画,および情報開示の際に話し合われた関連リソースの要約を文書で提供すべきである(レベル B).

まとめると患者さんや介護者の希望を明確に尋ねること,これらの希望に基づいてコミュニケーションを個別化すること,そして患者や介護者に実践的な戦略・資源・支援組織について教育することと思われます.

そして著者らは,認知症診断に関するコミュニケーションをさらに改善するためには,医療システムの変更(例えば,十分な時間の確保を目指す),専門的な認知症ケアへのアクセスの改善,困難な診断を伝えるための臨床医のトレーニングが必要であると述べています.また「思いやりと共感」と言っても簡単ではないですが,著者らは,SPIKES,SPIKES-D,SPwICESなど有効性が確認され,広く使用されているコミュニケーションツールも紹介しています.

認知症に対するこれらのBest practiceができるようになれば,ほかの多くの疾患にも対応できるようになるものと思われます.私も診療や教育の現場で心がけていきたいと思いました.
Armstrong MJ, et al. Best Practices for Communicating a Diagnosis of Dementia: Results of a Multi-Stakeholder Modified Delphi Consensus Process. Neurol Clin Pract. 2024 Feb;14(1):e200223. doi.org/10.1212/CPJ.0000000000200223.



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