Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):中国から学び,眼前の危機に立ち向かう時

2020年02月29日 | 医学と医療
今回のキーワードはトリアージ,胸部CT,PCRの再陽性化,無症状感染者,死亡の危険因子,医療者の精神衛生である.良いニュースは,診断用ELISA kitの目処がたったこと,多数の臨床試験が開始され,ワクチンもすでに第1相に入ったこと,悪いニュースとしては日本の患者発生予測数が,上海並みの厳しい対策を行ったとしても,15~45万人(!)に達すると報告されたことでである.大半が中国からの報告であり,日本は中国の経験や科学から真摯に学び,厳しい眼前の危機に立ち向かう必要がある.

◆ 中国CDCが72,314名の患者の臨床情報をJAMA誌に報告した.80歳以上の罹患は3%で,10歳未満および10歳代はともに1%とやはり子供の罹患は少ない.呼吸不全,ショック,多臓器不全を認める最重症例は5%,呼吸困難,低酸素血症(SpO2≦93%)等を認める重症例は14%,また無症状のキャリアは1%であった.死亡率は全体で2.3%,80歳以上で14.8%,70歳代で8.0%,最重症例では49.0%であった.医療従事者は全患者の3.8%で,うち重症・最重症は14.8%,5名が死亡.(JAMA. 2020 Feb 24)

◆中国人1014名の検討で,咽頭ぬぐい液RT-PCRより胸部CTが,より感度が高いことが報告された(それぞれ59%,88%).胸部CTに異常を認める割合はPCR陽性患者の97%,陰性患者の75%だった.ちなみにRT-PCR検査が陰転するのに平均6.9日を要している.(Radiology 2020 Feb 26:200642)

◆同じ号のRadiology誌にCOVID-19の胸部CT所見の要約が掲載された.①風邪様症状の初発から0~2日では胸部CTでは異常を認めない.②RT-PCRの感度は60~70%であり,上記の通り,陰性であっても胸部CT異常は出現しうる.③初期は局所ないし多発性のすりガラス様陰影(GGO)を,50~75%の症例で両側性に認める.④進行期はメロンの皮様所見(crazy paving),コンソリデーションを呈し,9~13日にピークに達して,1ヵ月以上かけて徐々に消退する.

◆華中科技大学病院からトリアージの方法が報告された.悪寒,咽頭痛,咳嗽で来院した患者にまずSpO2と血算,白血球分画,CRPを検査する.SpO2<93あるいは呼吸困難があれば,疑い例として隔離病棟に入院させ,キノロンまたはザイボックスの点滴と抗インフルエンザ薬(アルビドル)を投与しつつ,RT-PCRを行い,感染症指定病院への移送を検討する.37.3℃の発熱またはリンパ球<1100である場合,胸部CTでウィルス性肺炎の所見であれば上記と同じ対応をする.図1のように5つの対応に分けられる.外来での混乱を避けるために有用.またPCR検査の是非が盛んに議論されているが,ただ検査数が増えればよいというものではない.このように症例を選定した上で行えば当然その意義は高まり,陽性適中率も上昇する.(Lancet Respir Med. 2020 Feb 13)


◆NEJM誌は医学的緊急事態における医学雑誌のあり方をEditorialで表明.迅速査読の実施,許可を得た上でのWHOとの情報共有,さらにプレプリントサーバー(査読つき学術誌に投稿前の論文を,完成した時点で一足早く公開する際に使用されるサーバ)への積極的投稿の呼びかけを挙げている.査読されていないため注意深く読む必要があるが,有用な情報をいち早く入手できる.

◆そのプレプリントサーバーmed Rxivを覗くと,タイトルにJapanと書かれた論文にまず気がついた.残念ながら中国からの報告で,武漢のデータをもとに将来の患者発生件数を予測する数理モデルについての報告だった.中国各地域の患者件数に当てはめ,モデルの有用性を示した後,日本の今後の患者発生を予測している.初期の患者発症状況は武漢と似ており(図2),このまま有効な手段を講じないと深刻な大流行が生じると強い危惧を示している.上海並みの厳しい対策が2月22日から開始されれば15万人,遅れて29日からであれば45万人に達すると予測している(絶句!!).まさに日本が危機的状況にあることを政府が本気で正しく伝えなければ,小中高休校のような有効な対策も批判され,その意義が伝わらない.(medRxiv 2020.02.21.20026070)


◆予後としての死亡の危険因子についての検討も報告されている.以下,オッズ比とともに示すと60歳以上18.8,併存症では心疾患12.8,慢性呼吸器疾患7.7のリスクが高い.また男性のほうがリスクは高く1.9であった.(medRxiv 2020.02.24.20027268)

◆中国人の無症状感染者24名の検討.うち5名(20.8%)が経過観察の入院中に発症した.17名(70.8%)で胸部CT異常あり.症状も画像異常も認めなかった7名(29.2%)は平均14歳の若年者であった.感染者との濃厚接触のある場合,無症状であっても臨床像と胸部CTを追跡し,PCR検査を行うべきと強調し,クルーズ船での無症状感染者に対する厳重な経過観察の必要性を指摘している.また1度PCR陰性になった患者が再び陽性になった症例が6名記載されている.(medRxiv 2020.02.20.20025619)

◆ 日本でも話題になっているRT-PCR陰性化後の再陽性化についてはJAMA誌にもレターが報告された. 4名の医療者である患者(3名が軽症~中等症,1名が無症状)は,発症後12~32日後に症状が改善した.経過観察に加え,念入りにPCR検査を繰り返して行い,2回連続して陰性を確認したものの,全例でその次の検査で陽性となっている!この間,他の患者との接触はなかった.2回続けて検体処理の問題等による偽陰性は考えにくく,1部の患者ではウィルスキャリアとなる可能性が示唆される.RT-PCR陽性が即,感染性を持つかは不明であるが,感染した医療者の職場復帰時期については悩ましい問題となるだろう.(JAMA Feb 27)

◆診療にあたる中国人医療者の精神状態に関する2論文.一方は5393人が回答し,不安,うつ,不眠がそれぞれ5.9%,28%,34.3%.もう一方はストレス29.8%,うつ13.5%,不安24.1%.危険因子は精神疾患の既往,慢性疾患の既往,患者との接触,第一線での勤務,女性など.(medRxiv 2020.02.20.20025338; medRxiv 2020.02.23.20026872)

◆基礎研究・治療について.まずクライオ電顕を用いたCOVID-19のウィルスの構造解析が報告された(図3).すでに報告されているようにウィルスの受容体結合ドメイン(RBD)は,主に気道に存在するACE2に,SARSウィルスと比べても強い親和性を持って結合する.SARSウィルスに対する複数のモノクローナル抗体はCOVID-19のRBDには結合が乏しい.すなわち2つのウィルスのRBDへの抗体の交差反応性は乏しいことになる.(Science Feb 19)


◆中国のAbMax Bitechnology社等が,COVID-19ウィルス核タンパクの複数の合成ペプチドを用いてマウスおよびウサギを免疫し,モノクローナルおよびポリクローナル抗体を作成した.免疫ブロット,組織染色で疾患特異性を確認し,COVID-19の診断に使用できることを確認した(図4).現在,ポイントオブケア検査(POCT;臨床現場即時検査)としてのウィルス核タンパク濃度を定量するサンドイッチELISAキットの作成が急ピッチで進められている.完成すれば診察室での診断が可能になる.(medRxiv 2020.02.20.20025999)


◆一方,シンガポールDuke-NUS Medical Schoolの研究者はすでに患者血清中の抗体を測定し診断することに成功している.この検査により感染源の分からなかった2つのクラスターの特定に成功している(図5).このリンクは必見で,感染源追跡に並々ならぬ努力をしたことが窺われる.早々に感染源不明ケースが続出した日本とは対照的である.NUSとはシンガポール国立大学のことで,昨年のアジア大学ランキング一位である(東大は11位).残念ながら,長年に渡り医療・科学分野に投資した国とそうでない国の差が如実に現れたと思う.


◆臨床試験も進行している.ClinicalTrials.govを確認すると2月29日の時点で,検査や臨床的特徴の確認を含む56の研究が登録されている.中国で非常に多くの臨床試験が進行中で,かつ第3相に進んでいるものが少なからずあり非常に驚く(表1).また米国ではModerna社が驚くべきスピードで,ワクチンmRNA-1273の第1相をすでに開始,さらにクルーズ船からの帰国者を対象とした抗ウィルス薬Remdesivir(Gilead Sciences)の第2相試験が始まっている.



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患者さんがおばけを見たときのチェックポイント

2020年02月28日 | 医学と医療
回診で「おばけが見える」という患者さんがいらして,私は「はっきり見えますか?」「足は見えますか?」「いつ出ました?寝たときですか?」と質問し,周囲のドクターを驚かせてしまった.実は日本に伝承されるおばけ話のうち3分の2は神経疾患に伴うもの(121/183話)という報告がある(Dreaming 19;232-8, 2009).高知大学脳神経内科の古谷博和教授による論文だ.おばけ話は表のように4タイプに分かれ,①ナルコレプシーに伴う入眠時幻覚,②てんかん,③レム睡眠行動障害,④レビー小体型認知症(DLB)に伴う明瞭な幻覚に分類される.睡眠との関連の有無(①と③が関連あり),見え方が明瞭かどうか,話をするかどうか,が決め手である.代表的なおばけとして,お岩さんは足がなくて不明瞭なため②,座敷わらしは④と考えられる.お化けを見た患者さんの診療に役立つ情報だと思う.







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クライオ電顕による神経変性疾患の新展開 -One polymorph, One disease 仮説-

2020年02月27日 | その他の変性疾患
2017年にノーベル化学賞を受賞したクライオ電顕(低温電子顕微鏡法)を用いた,神経変性疾患に大きな進展をもたらす2つの研究がNature誌に報告された.

【大脳皮質基底核変性症(CBD)のタウの構造は,アルツハイマー病,Pickとは異なる】
1つ目はCBDの患者脳から分離されたタウ線維の構造(polymorph, conformation)に関する論文である.これまでクライオ電顕を用いた検討で,3リピートタウオパチーであるPick病と,3+4リピートタウオパチーであるアルツハイマー病・慢性外傷性脳症(CTE)では,タウ線維の構造が異なることが報告されていた(strain,つまり株が異なるとも表現される).そして4リピートタウオパチーであるCBDおよび進行性核上性麻痺(PSP)での報告が待ち望まれていた.図1は4つのタウオパチーのタウ線維のコア部分を示すが,CBDは既報のいずれとも異なり,11個のβシートから構成される4層構造をしていた.疾患ごとのタウの構造の違いは,その後の重合や病理変化,疾患の表現型の違いに直結するものと予想される.次の課題は「何がタウにこれらの構造の違いをもたらしているのか?」に移る.
Nature. 2020 Feb 12. doi: 10.1038/s41586-020-2043-0.


【パーキンソン病と多系統萎縮症のαシヌクレインの構造は異なる】
2つ目はパーキンソン病(PD)と多系統萎縮症(MSA)の病因蛋白αシヌクレインの構造に関する論文である.Protein misfolding cyclic amplification(PMCA)増幅法は,2001年に報告されたもので,異常プリオンタンパク(PrPsc)に正常プリオンタンパク(PrPc)を混ぜて超音波処理を行ったのち,撹拌・培養すると,PrPsc を鋳型として,PrPc がPrPscに変化し増幅されるという技術である.この技術を用いて,健常者を含む200名もの髄液中のαシヌクレインを検討したところ,両疾患の髄液に異常αシヌクレインが存在し,PMCA法によって増幅され,さらにそれぞれの疾患のαシヌクレインでは構造が異なっていることが複数の方法で明らかにされたのだ.

具体的にはタンパク分解酵素で分解しにくい分子領域が異なること,タンパクの二次構造解析法である円偏光二色性(CD)の検討で,βシートの割合がMSAでより多いこと,クリオ電顕の観察による線維(protofilament)のねじれの間隔が異なることが示されている(図).そして髄液を検体とするPMCA法により,感度95.4%で,2つの疾患を鑑別できるというのだ!(ただし病初期でも鑑別が可能か,内服薬剤の影響はないかはまだ不明である).そしてもうひとつ重要なことは,αシヌクレインの構造の違いが両疾患の病態に関わっている可能性があるということだ.事実,iPS由来の神経細胞にこれらを添加すると,MSA由来の繊維の方が,細胞毒性が強いことも示されている.つまり両疾患のαシヌクレインは構造のみならず機能的にも異なり,2つの疾患を単にαシヌクレイノパチーと一括りにしてはいけないことを示唆する.
Nature. 2020 Feb;578(7794):273-277


下図はこの論文に関するcommentaryから引用した概念図である.


【One polymorph, One disease 仮説とは?】
2つの論文は,1つの構造(もしくはタンパクのstrain)が,それに対応する1つの疾患を引き起こすというOne polymorph, One disease 仮説を支持するものである.神経変性疾患において構造(polymorph, conformation)がとくに注目された疾患が少なくとも2つある.ひとつはプリオン病で,もう一つがポリグルタミン病である.前者は,正常プリオンタンパクはαヘリックス,異常プリオンタンパクはβシート構造を取る.後者はも正常ポリグルタミン鎖はαヘリックス,伸長ポリグルタミン鎖はミスフォールディングを起こしβシート構造を取る.私は大学院生の頃,ポリグルタミン病研究を行っていたが,当時,conformational diseaseという概念が盛んに議論された.そして今後,あらためてconformational diseaseが議論されていくことになる.「なぜ単一の病因蛋白でありながら,さまざまな臨床・病理像をきたすのか?」という難問になかなか回答を示すことができなかったが,いよいよ次のステージに突入するものと考えられる.

【今後の課題は2つある】
解明すべき課題は2つあり,ひとつは「何がタウやαシヌクレインのconformationを変えるか?」である.ひとつは遺伝子変異であるが,孤発例ではどうか?まずPDとMSAにおいては,神経細胞,グリア細胞といった主に局在する細胞環境の違いが影響している可能性が高い.昨年12月にNature Neuroscience誌に報告された下記論文で,遺伝子変異を有するαシヌクレインを合成し,100 mMの食塩の存在下ないし非存在下に沈殿させると,長さや性質の異なる線維構造(それぞれS線維,NS線維と命名)が形成されることが報告された.そして両者をマウス脳に注射すると,いずれも神経症状を示すが,S線維は鋳型としての能力が高く,結果として,症状の進行が早いこと,神経細胞にのみ蓄積すること,海馬や中脳に限局して蓄積すること,そしてMSA患者脳のαシヌクレイン線維に似た線維ができることが示された(一方のNS線維はパーキンソン病,レビー小体認知症脳のαシヌクレイン線維に似ていた).つまり,αシヌクレインの性質は,単にバッファーの塩濃度によって変わってしまうということは非常に大きな驚きであった.今後さらに研究が進むだろう.
Nat Neurosci 23, 21–31 (2020).

もう一つの課題は「構造の違いが,なぜ固有の病理所見や表現型の違いをもたらすのか?」である.例えば同じ4リピートタウであっても,PSPとCBDではグリア細胞におけるタウ沈着パターンが異なる(tufted astrocyteとastrocytic plaque).このメカニズムまで分かると,疾患の理解は格段に進み,より効果的な治療へ展開するものと思われる.抗タウ抗体もstrainによってより適切なものがあるのかもしれない.いよいよ本当にこれらの神経変性疾患の病態に迫るステージに突入した実感がある.

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新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):1ヶ月間のまとめ

2020年02月26日 | 医学と医療
新型コロナウィルス肺炎(COVID-19)に関して,1月26日から数回に渡って,フェースブックに論文情報を記載してきた.この1ヶ月間の情報をまとめて記載しておきたい.

(1)新型コロナウィルス(2019-nCoV)関連肺炎に関する論文の情報(1月26日)
昨晩,講演をした岐阜市内のホテルで,中国からの大勢の団体旅行者とすれ違った際,「新型肺炎への準備が必要だ」と思いました.中国の研究者チームは極めて速やかに2019-nCoVと名付けられたウィルスを単離し,全配列を解読して,そのデータを国際的に共有しました.SARSでの経験が生きたと言われています.NEJM誌とLancet誌は関連論文を無料公開しており,医療関係者は正しい情報を確認しておくべきと思われます.以下,情報の共有です.
◆人から人への感染は確定的である.
◆潜伏期は3~6日(追記参照:最新情報は1~14日),発熱,乾性咳,筋肉痛にて発症,下痢や咽頭痛は少ない.白血球減少,両側性すりガラス様陰影.高齢者やcompromised hostで,重症化リスクが高まる.41症例の経過は下図(Lancet Jan24, 2020).
◆ウィルスのゲノム配列の75~80%がSARSウィルスと相同だが,むしろコウモリ・コロナウィルスに近い.よってSARSのようにコウモリから感染したか,MERSのラクダのような中間宿主を介して感染したものと推測される.
◆ICUに入室した重症例では,Th1細胞主体のサイトカインストーム(IL1β,IFNγ,IP10,MCP1)が生じ,肺の障害をきたしている(SARS/MERSの重症化因子として,IFN反応遅延,ウィルス複製や炎症性細胞浸潤の程度などが指摘されている).
◆よって治療として,コルチコステロイドの全身投与が考えられるが,無効,かつウィルスのクリアランスを抑制する可能性もある.Lancet論文のICUに入室した患者の半数にステロイドが投与されたため,今後,効果の検証が必要である.
◆抗ウィルス薬の効果についても不明だが,SARSにおいてロピナビルとリトナビル併用が有効であった可能性がある.MERSでもIFNβ1bとロピナビル,リトナビルが使用された.ロピナビル/リトナビルの併用投与は現在可能であり,ランダム化比較試験による速やかな評価が必要である.
◆(重要)エアロゾル感染の可能性があり,医療従事者はN95マスク着用やその他,感染予防が強く勧められる.SARSのときのような医療施設における感染拡大を防ぐ目的で,医療従事者自身の発熱や呼吸器症状には十分な注意が必要である.



(2)2019-nCoVへの抗ウィルス薬治療(1月28日)
気になるこの話題です.前回の投稿でも少し触れましたが,新型コロナウィルス(2019-nCoV)関連肺炎に対して,やはりHIV/AIDSに対して使用される抗ウィルス薬ロピナビル/リトナビル(商品名Aluvia)とαインターフェロン吸入薬によるオフラベル(適応外)治療が開始されているようです.このロピナビル/リトナビルは,過去に41名という小規模の臨床試験ですが,SARS-CoVに対し有効であったと報告されています(Thorax 2004).下記のロイターの記事や関連サイトを読むと,AbbVie社は中国政府に対して,Aluviaを150万ドル相当寄付したと書かれています.このドラッグ・リポジショニングが有効であってほしいですが,いずれにしても2019-nCoVに対する重要な臨床試験が進行中であり,中国はスピード感を持ってそれを実行できる国であるということは確かだと思います.
China repurposes AbbVie HIV drug as Big Pharma rallies to combat deadly coronavirus(FiercePharma)
https://www.reuters.com/article/uk-china-health-abbvie-hiv/china-testing-hiv-drug-as-treatment-for-new-coronavirus-abbvie-says-idUSKBN1ZP0Q8?fbclid=IwAR0ZFuMMOJOFY1JGA9zlQYgZRVAJyr3iKkfVG2jEfiX9AzXAErvsumBcD-8

(3)新型コロナウィルス関連肺炎(NCIP)の流行様式:基本再生産数は2.2人(1月30日)
今朝のNEJM誌の論文で,NCIPの流行様式に関する最新情報が掲載されています.考えたくはないですが,武漢以外の地域においてアウトブレイクした場合に有益なデータになります.対象は425名のNCIPで,定義は4項目(発熱,X線所見,白血球正常・減少ないしリンパ球減少,最低3日間の抗菌薬治療で改善なし)を満たすか,3項目で疫学的要件(武漢海鮮市場,感染者との濃厚接触)を満たす者です.1月22日までのデータで,要旨は以下の通りです.
◆発症年齢平均59歳,56%が男性.2020年1月1日より以前は,海鮮市場に関連した感染が55%,1月1日以後は8.6%に減少(ヒト・ヒト感染に移行).
◆潜伏期は平均5.2日(95%信頼区間,4.1-7.0日) (図A).範囲(95パーセンタイル)は12.5日.患者数の倍加時間は7.4 日.
◆最初の患者とそれによって発生した二次的患者の症状発現時間のずれ=患者発生間隔(serial interval)は平均7.5 日(5.3-19日) (図B).
◆患者発生間隔を患者数倍加時間で割って1を足したものが基本再生産数(basic reproductive number;R0)だが,この時点で2.2 (1.4-3.9).この値は「1人の感染者が未感染集団に入ってきたときに,伝染性をもつ期間において平均何人に感染を引き起こすか」を示す.よって22日の時点で,2.2人に感染を引き起こしうることを示す(R0が1より大きい場合,感染症は広がり,1未満であれば収束する).
◆論文では若年者の肺炎が少ないことや,医療従事者の肺炎患者における頻度が1月に入ってから3%から7%に増加していることも記載されている.対象の定義から分かるように肺炎を示さない患者・未発症者は考慮していない.
Med QLM et al. Early Transmission Dynamics in Wuhan, China, of Novel Coronavirus–Infected Pneumonia. NEJM 2020 Jan 29. DOI: 10.1056/NEJMoa2001316



(4)新型コロナウィルス関連肺炎の潜伏期感染,画像所見,系統樹解析(2月3日)
この週末もいろいろ論文が発表されました.医療者として正確な情報を知っておきたいと思います.
◆NEJM誌からはドイツの報告で,潜伏期の患者との接触で,2名の感染者が生じたというケースレポートである(図1).中国人(index patient)と接触し感染したビジネスマン(patient 1)の潜伏期において,接触した2名のビジネスマン(patient 3/4)が発症した.潜伏期における感染は感染予防対策の難しさを意味する.
→ この論文は,その後,著者から不十分な問診で発表してしまったが,実はすでにIndex caseは症状があったとする訂正があった.

◆Radiology誌からは,典型的な胸部CT像が報告された.図2は33歳女性のもので,ABの3日間で増悪.両側性すりガラス様陰影,subpleural sparingの欠如が特徴である.

◆またもや中国からLancet誌への投稿で,2019-nCoVのゲノム配列を系統樹解析した論文.2018年に東中国で分離されたbat-SL-CoVというコウモリ・コロナウィルスに近いものの相同性は88%のみ.つまりコウモリ由来であるものの両者は異なる.恐らく海鮮市場で売られた動物=中間宿主にコウモリから感染し,配列が変化した(実際,この時期コウモリは冬眠中).9人の患者から分離した10のゲノム配列の相同性は99.98%と高く,2019-nCoVが生じてからの時間経過は短いことが示唆される.ウィルスが感染に使う受容体は,bat-SL-CoVと異なり,SARS-CoVと同じangiotensin enzyme 2 (ACE2)receptorであった(図3Cの下半分).

◆インドから,その受容体には4つの挿入配列があり,いずれもHIVウィルスの一部(HIV1 gp120かHIV-1 Gag)と同一ないし相同性が高く,奇妙な一致を見るとの論文が報告された(表1).一部のtwitterやメディアはこの論文を根拠に,2019-nCoVが人為的に作成された生物兵器である可能性を議論している.しかし論文はそんな議論はしていないし,プレプリントサーバbioRxivに一足早く公開された論文であり,査読も受けていない.デマゴギーには要注意.
NEJM Jan 30, 2020; Radiology p200236; Lancet Jan 29, 2020; bioRxiv Jan 31, 2020


(5)新型コロナウィルス関連肺炎(NCIP):深刻な医療従事者への感染,心的ストレス対策の必要性
新たな問題として,院内感染や心的ストレスが注目されています.(2月9日)
◆JAMA誌に,武漢大学中南医院から,最多の連続138名の入院患者のケースシリーズが報告された.症状は発熱,疲労感,乾性咳嗽の順に多く,呼吸器外症状としては筋肉痛,下痢,めまい,頭痛,嘔吐,腹痛を認める.検査異常はリンパ球減少(70.3%),プロトロンビン時間延長(58%),LDH上昇(39.9%)の順に多い.重症例でトロポニン高値,D-ダイマー高値が目立つ.治療として抗菌薬のほか,抗ウィルス薬=タミフル®(89.9%),グルココルチコイド療法(44.9%)が行われた.ICU管理は36名(26.1%)で,原因はARDS(61.1%),不整脈(44.4%),ショック(30.6%)で,年齢者や併存疾患を有する者に多い.47名(34.1%)が退院し,6人が死亡した(死亡率4.3%).
◆この論文の,一番のポイントは院内感染,とくに医療従事者への感染が深刻であることである!なんと40名(29%)が医療従事者,17名(12.3%)が入院患者の感染である(表).
◆Lancet誌のcorrespondenceでは,2019-nCoV特異的な薬剤を開発するには時間がかかるとし,死亡率を下げることを目的とした,既存薬のrepurposingについて議論されている.他の論文でも目にしたlopinavir–ritonavir,interferon β1b,ribavirin,remdesivirのほか,cyclosporine,tocilizumab(抗IL6R抗体),2019-nCoV に対するモノ/ポリクローナル抗体,間葉系幹細胞を用いたARDSに対する細胞療法などについても言及している.
◆さらに北京大学の医師らは,NCIPが社会に及ぼす心的ストレスについて言及し,その対策の重要性を指摘している.彼らはメンタルヘルスをサポートするHPを開設して対応を開始している(下記リンク).また医療者の精神的ストレスについても強調し,不安,うつ,PTSDのリスクについて指摘している.日本でも心的ストレスに対する適切な対応の開始が求められる.
JAMA. Feb 7, 2020;Lancet. Feb 5, 2020;Lancet. Feb 7, 2020.
https://mp.weixin.qq.com/s/xpxzPTD3VIMQEzBAaZW4KQ(中国語ですが)


(6)新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):院内感染への対策を急ぐべき.(2月14日)
懸念された日本国内での院内感染が現実のものになろうとしています.多くの論文が報告されていますが,診療の立場から重要なものを紹介します.
◆国際ウィルス分類委員会からウィルスの正式名称としてSARS-CoV-2が,WHOから同ウィルスによる感染症の正式名称としてCOVID-19が発表された.
◆Nature Med誌は国際間のコミュニケーションと協力が不可欠とするEditorialを発表した.国際協力により解明すべき課題のひとつとして,SARSのときに認められたsuperspreaderの存在の有無を指摘している.感染の広がりを予測するには,正確なデータと数理モデルが必要だが,多量のウィルス排出により多数の感染を引き起こすsuperspreaderが存在すると予測は困難になる(Feb 3).
◆治療に関して,Lancet誌Comment欄にWHOのメンバーが投稿し,SARS,MERSの経験から,ステロイドは治療として使用すべきではないと明言.理由は気道,血中からのウィルスRNAのクリアランスの遅延を招き,副作用(精神症状,糖尿病)を来すため(Feb 6).
◆同号のLancet誌Correspondence欄では,①SARS-CoV-2が肺炎を来す前に結膜炎を来した症例が紹介され,目の防御の重要性を指摘,②過去のコロナウィルス感染の経験から,妊娠は重症化因子であり,胎児への影響も大きいことを指摘した.高齢者,既往症に加え,妊婦も要注意.
◆Nature誌はエボラ出血熱等に対応した医師の手記を掲載し「病院に未知の感染症の患者が多数,押し寄せた時どうするか」という重大な問題について言及(図).ポイントは3つで,①いかに早く感染者を同定するか,②いかに隔離し治療するか,③いかに医療従事者の安全を守るかと述べている.③に関連して,個人防護具(PPE)は正しく着用しないと感染を防御できないため,病院はトレーニングを徹底すべきと強調している.また医療従事者にインフル様症候が見られた場合,速やかに現場から離脱させること,また病院は人手不足への対応を事前に検討しておくことを求めている(Feb 11).
https://www.nature.com/magazine-assets/d41586-020-00354-4/d41586-020-00354-4.pdf?fbclid=IwAR1vhzBpBGGxLqsMwqAbgos-FAT4NgKIJHXbNLBPNKLIDrKvd5C9ioGis0g
◆医療機関における感染対策は,日本環境感染学会による「医療機関における新型コロナウィルス感染症への対応ガイド」に詳しい.標準予防策の徹底,感染経路別予防策,外来患者への対応,トリアージ,入院患者への対応,環境消毒,換気,職員の健康管理については必読である.N95 マスクのフィットテスト,シールチェックも重要(Feb 13).
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=332
◆各国からのレポートが相次ぐNEJM誌では,今回はタイと台湾の症例報告が掲載された(Feb 12).しかしまだ日本からのレポートは見当たらない.海外ニュースメディアではクルーズ船での患者増加に関連して,日本のquarantine,すなわち検疫のありかたについて批判しているものが少なくない.患者の感染様式,臨床,治療(とくにremdesivirなどのエビデンスのない薬剤の使用がなされたか)について,早急な科学論文データの発表・共有は不可欠である.


(7)新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):集中治療や麻酔時における空気感染の可能性の指摘(2月19日)
関心を持ってCOVID-19に関する論文をフォローしてきました.医療者にとって信用できるものはやはり論文だからです.次から次に論文を発表する中国からは,医学レベルの高さと同時に透明性を感じました.一方,世界が注目するなか,学術的発信がなかなかなされない日本からは,その逆の状態が窺われました.公開された神戸大学岩田健太郎教授のYouTube動画(下記リンク)を拝見し,医療者が純粋に科学的な医療を取り戻す必要性を強く感じました.以下,プレプリントサーバmedRxivに投稿された未査読論文を含め,気になる情報を共有します.
◆武漢から飛行機で帰国した565名の日本人において,RT-PCR陽性12名中5名が無症状.つまり無症状率は5/12=41.6%と高いとする報告,短報だが,数少ない日本からの論文(medRxiv 2020.02.03.20020248).
◆中国における気温や湿度の異なる各地域での伝染性の指標=再生産数(R)の検討から,新型コロナウィルスの感染は気温や湿度の上昇で必ずしも収束しないとするハーバード大学の予測.春になれば収束すると楽観できない(medRxiv 2020.02.12.20022467).
◆453枚の胸部CT画像を用いたディープラーニングで,新型肺炎を診断するという中国からの論文.正解率82.9%(特異度80.5%,感度84%)まで精度が向上している(medRxiv 2020.02.14.20023028).
◆感染した妊婦9名における垂直感染の検討で,新生児6人の羊水,臍帯血,のどの検体検査は全て陰性で,子宮内での児への感染は認めなかったという朗報(JAMA. 2020 Feb 14).
◆中国からの報告で,インフルエンザ診断でも使用するウィルス表面蛋白を用いた抗体検出キット(イムノクロマト法)の開発が急ピッチで進められている.ほぼ完成し,2月14日時点で,次週には患者検体を用いたバージョン1の評価,その後,大量生産に数週間かかる(Science. 2020 Feb 14;367(6479):727).
◆カナダからの総説で,感染防御についての必読論文.基本的に飛沫感染だが,集中治療や麻酔を行う際,具体的にはバッグバルブマスク換気,NPPV換気,挿管の際には空気感染しうると考えるべき.重症患者のウィルス排出量は多く,かつsuperspreaderである可能性もある.N95マスクの使用法から個人防護具(PPE;図)の装着注意点,着替え室の重要性,電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)の利点,感染コントロール,呼吸管理と麻酔の注意点が記載されている.


(8)新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):発症後2週間はウィルス排出は持続する(2月21日)
重要な情報が続々と報告されています.同僚から「SARS-CoV-2は生物兵器って本当ですか?」と質問されましたが,これに関連した科学者による声明も発表されています.
◆まずBMJ誌に報告された中国東部浙江省から62名の入院患者の後方視的な症例集積研究.武漢と比べて,若干,重症度が軽減している.原因として,診療経験が増したことに加え,もしかしたら89%もの症例で使用された抗ウィルス薬が有効であった可能性もある.感染源への暴露から発症まで中央値4日,発症から入院までは2日.(Feb 13)
◆江漢大学病院にて院内感染した30名の医療者(医師22名,看護師8名)の報告.うち重傷者は4名であった.医療スタッフは高い感染リスクに曝されること,感染率は患者への接触時間に相関することを示した.また厳密な感染防止の開始後,重症感染や両側肺炎が減少したことから,感染防御は有効と結論している.Zhonghua Jie He He Hu Xi Za Zhi. 2020;43(0):E016.(Feb 17)
◆Lancet誌に,世界のCOVID-19研究者27名による声明が掲載された.原因ウィルスはコウモリ由来であることが報告されたにもかかわらず,生物兵器であるというコンスピラシー,つまり意図的な噂や謀略,もしくは誤解が蔓延している.我々は真の科学を侵すこれらコンスピラシーを糾弾し,最前線で奮闘する中国の科学者,公衆衛生・医療のプロフェッショナルを強く支持するという内容.(Feb 18)
★NEJM誌に,広東省の感染者18名の上気道検体(鼻腔と咽頭のぬぐい液)の検討が報告された.うち無症状の濃厚接触者1名でPCRが陽性で,そのウィルス排出量は発症患者17人と変わらず,11日めまで持続した.つまり無症状でも感染を広めてしまうことが証明された.また①ウィルス排出量は咽頭より鼻腔で多いこと,②排出量は発症時より徐々に低下するが,陰性化には何と2週を要することも示された(図1).大事なことは「感染者は鼻腔を触った手で周囲に触れず,手洗いをすること」「発症後,2週間はウィルス排出があるので人との接触を避けること」である.(Feb 19)

◆同じNEJM誌に,武漢からドイツ(フランクフルト)に飛行機で帰国した126名に対して行われた検討が掲載されている.2名のPCR陽性者はいずれも無症状者のなかに存在した.症状に基づくスクリーニングは,感染者の予測に役に立たないとする教訓的な報告.(Feb 18)
◆国立感染症研究所はクルーズ船患者のデータをホームページに掲載.検疫が開始された2月6日以降15日までの発症日別の確定症例(151名)をグラフ(図2)で示し,検疫の有効性を示している.しかしPCR陽性でも無症状感染者の頻度が高いという本疾患の特徴を考えると,評価にはPCR陽性患者のグラフが必要である.実はAFP通信がその542名のグラフを掲載している(図3).2月18日に至るまで陽性者は増加している.データの見せ方によって印象はかなり変わる.(Feb 19)

◆WHOによると,抗HIV薬lopinavir/ritonavirと抗ウィルス薬remdesivirの有効性に関する予備試験結果が,あと3週間で出るそうだ.日本が試験に加わっているかどうか分からない.どうか有効であってほしい.(Feb 20)


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人工知能で新型コロナウイルス関連肺炎(NCIP)治療薬を見出す!

2020年02月05日 | 脳血管障害
私はフェースブック(FB)上で,新型コロナウイルス関連肺炎(NCIP)の論文を熱心に紹介している.その理由を知人に尋ねられた.理由は2つで,1つ目は日本でのアウトブレイクに備え,その臨床を知っておきたいこと,2つ目は世界中のアカデミア・製薬企業が,ワクチンが開発されるまでの間,どのように創薬を進めるか,その過程をリアルタイムで学びたいためである.

これまでFBでも投稿したように,2019-nCoVのゲノム配列,そして感染受容体の同定が,中国の研究者の努力で極めてスピーディに進んだ.SARS/MERSの経験をもとに,抗HIV薬ロピナビル/リトナビル併用の臨床試験も開始された模様だ.現在の関心は,より有効な薬剤の発見である.2019-nCoV専用の新たに化合物を作る時間の余裕はないため,当然,既存薬剤のrepositioningになるはずである.

BenevolentAIという創薬の分野で注目された英国のスタートアップ企業がある.創薬に関わる医学論文を機械学習したナレッジグラフ(知識ベース)を有する.昨日,Lancet誌にこの企業による短いレターが投稿された.彼らは日本で難治性関節リウマチに使用されるヤヌスキナーゼ阻害剤バリシチニブ(オルミエント®)がウィルスの感染能力を減弱させると予測したのだ!

FBでも記載したように,2019-nCoVは2型肺胞上皮細胞の膜表面蛋白ACE2に結合し,エンドサイトーシスによって侵入・増殖する.エンドサイトーシスとはウイルスが膜ごと貫入してできる小胞によって細胞質内へと運ばれる感染様式である.つまりこのエンドサイトーシスを抑制する薬剤をAIで予測しようと考えたのである.

治療標的はエンドサイトーシスを促進するAAK1(AP2-associated protein kinase 1)というリン酸化酵素であった.知識ベースにある378種類のAAK1阻害剤のうち,47種類が医療上認可されており,うち6種類がとくにAAK1に高い親和性を持つことを見出す.この中にはがん治療薬スニチニブやエルロチニブが含まれるが,副作用があり,既往症と肺炎を認める患者では安全に使用できないと判断された.しかしヤヌスキナーゼ阻害剤バリシチニブは,通常量の 2~4 mgで効果と安全性の面から最適と予測している.

WEBで調べた限りこれ以上の情報は見当たらないが,当然,臨床試験が計画されているはずである.AI創薬は成功するか?研究は急ピッチに進んでいる. 



Lancet Feb 3, 2020

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