Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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お勧めの統計学の本

2007年07月01日 | 医学と医療
 後輩のレジデントに統計学のお勧めの本について質問された.正直に言うと統計学は得意ではなく,今でも四苦八苦している.昔から苦手な科目や分野だと,どんどん参考書ばかり買いこむ癖があるため,統計学に関するたくさんの本を持っているが(苦笑),そのなかで個人的に気に入っているものを列挙したいと思う.

日常診療にすぐに使える臨床統計学
2005年に出版された本で,統計学からEBMをどのように実践するかまで,幅広い範囲をカバーする本.とてもわかりやすく,まず1冊読むならお勧めの本.

学会・論文発表のための統計学―統計パッケージを誤用しないために
統計学に焦点を当てた本だが,面白い実例をあげて解説しているので,物語感覚で読めてとっつきやすい.

論文が読める!早わかり統計学―臨床研究データを理解するためのエッセンス
PDQ Statisticsの翻訳本.PDQとはpretty darned quickのことで,とても速く理解できるという意味だが,アメリカ人の友人ではこれで勉強している人が多かったようだ.「学会・論文発表のための統計学」同様,統計学に焦点を当てた本だが,そちらより若干レベルが高い.

本当はやさしい臨床統計(中山書店.EBMライブラリー)
上記の本とは違って,ランダム化比較試験やコホート研究などの論文を読むときにとても役に立つ本.一流雑誌に掲載されるような論文は案外,同じ統計手法を用いていることがわかる.
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2 Comments

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「私の推薦図書」 (Vanguard)
2007-07-04 21:11:42
いつも拝見しております。

神経変性疾患者として、私もEBMについては関心が高いのですが、最近「患者は何でも知っている」(中山書店:EBMライブラリー)という本を購入し勉強しています。
患者自身がEBMによる知識を吟味することの重要性を説いています。

特に興味を引いたのは、

「臨床家と患者は同じ情報源を使うべきである」
「一般人の少なくとも5%は医師と同じ教育レベルがある」
「人々の多くは、非常に詳細な生物学的な情報を理解できる」
「希少な疾患を持つ患者は、医師よりもその疾患ついて多くの知識を持っている場合があり、すでにそうなっている人もいる」

などの点です。

先生は、すでにお読みになっているかもしれないです
が、患者にとっても分かりやすい一冊だと思います。
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統計学的医学データ解析における一つの論点? (Vanguard)
2007-09-30 17:20:34
いつも拝見しております。

先週、書店で興味を引いたので購入した本が、たまたま、先生のお勧めの「日常診療にすぐに使える臨床統計学」でした。

私は、ご存知のように、一患者であって、臨床医ではありませんので、用語の理解はなかなか進みませんが、本の中で著者が強調している「データや数値は、臨床的枠組みのなかで初めて意味を持つ」という点については、私自身が以前より感じていたことなので、全体としては理解が困難ではないと思いました。

ただ、一つだけ疑問点があります。
それは、「有意水準」についてです。
本の説明を読む限り、「有意水準」の演算過程に、「時間の経過」という概念が無いように思います。

神経変性疾患の臨床試験は、その有効性の効果測定にかなりの時間を要します。それはおそらく5年、10年以上という単位でしょう。

また、神経変性疾患の多くは希少難病のため、患者の母集団は小規模であり、従って、試験参加が現実に可能な、患者数は少なく、さらにRCTの条件に厳密に合致するような患者の数は、「有意」な結果出すことを不可能にするほど少なくなるでしょう。

一方、私たちは、ある事象が長期間にわたり、発現し続けることは、その発現が、「偶然な出来事ではない」ことを経験的に知っています。

つまり、仮に、臨床試験により、「ある有効性」が5年、さらに10年間以上継続して測定されているとします。ところが、受験患者が少ないという理由で、「有意」な結果を算出できないとしたら、悲劇的な状況になりかねません。
臨床試験を続ける先生方のご苦労も大変ですが、それに参加し続ける患者は、ついにはいなくなるでしょう。

そこで、「有意水準」の演算過程に、「時間の経過」という概念が必要だと思いますが、先生のお考えはいかがでしょうか?
(なお、私は、「有意水準」の演算関数に、「時間」に関する定数tが入っているかどうかは確認できませんでした。)

【いつも長くなって申し訳ございません。本当にすいません。】

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