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Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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肥厚性硬膜炎の原因としての顕微鏡的多発血管炎

2004年11月18日 | その他
肥厚性硬膜炎は慢性頭痛の鑑別診断として重要である.自己免疫疾患(SjS, RA)や感染症,悪性腫瘍,Wegener肉芽腫症に随伴することもあるが,原因が特定できず「特発性」と診断されることも多い.一方,Microscopic polyangitis(MPA; 顕微鏡的多発血管炎)は,①急速進行性糸球体腎炎,②肺出血または間質性肺炎,③肺・腎以外の臓器症状(紫斑、皮下出血、消化管出血、多発性単神経炎など)を主徴とし,検査上,細動脈,毛細血管の壊死,血管周囲の炎症性細胞浸潤,MPO-ANCA陽性,CRP陽性などを呈する疾患である.今回,金沢大学より肥厚性硬膜炎を主徴としたMPAの1例が報告された.症例は68歳男性で,主訴は頭痛.MRIにて肥厚性硬膜炎と診断された.炎症反応(CRP, SAA上昇)と軽度のMPO-ANCA陽性を認めた.腎機能は軽度のタンパク尿と尿細管機能障害を認めるもののほぼ正常.硬膜生検(形質細胞とeosinophilの浸潤),腎生検(半月体形成性腎炎),腓腹神経生検(毛細血管炎)の結果,病理学的にMPAと診断した.肥厚性硬膜炎を主徴とするMPAとしては最初の報告である.
 実際に肥厚性硬膜炎の原因を特定できないことを時々経験するが,このような症例の原因としてMPAを積極的に考えていく必要がある.今後,どの程度の頻度でMPAを背景に有する肥厚性硬膜炎が存在するのか明らかにする必要がある.

Neurology 63; 1722-1724, 2004
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