ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

喝采

2012年09月05日 | レッスンメモ
昨日レッスンに来た大人の生徒の方が、「もう来年は出るのやめようかなと思いながら、発表会まで練習をしていました。」と言います。「まあ!苦痛だったかしら?」と心配するのもつかの間、「でも、終わってしまったらなぜかまた発表会にでたいと思うようになってしまいました。今年もよろしく。」と言われました。

あの独特の空間。自分の前に(ピアノの場合横ですけど)たくさん人がいるのに、「みんな対自分」という感じで対峙していて、ものすごく孤独を感じる空間。そこで、コケないだろうかという不安と闘いながら、おそらく気持ちよくというのとは違う感覚でピアノを弾く。出番を待っているときからの極度の緊張感。

でも、それが演奏終了後、安堵に変わり、達成感も得られ、何より孤独感から解放されます。その喜びは、それまでの苦労を吹き飛ばすのに充分過ぎるくらい大きなもので、演奏を終えた仲間たちと一緒に喜びを分かち合うと、さらに倍増していきます。

私も時々本番前になると「ああ、こんな苦しいことをどうしてやっているんだろう?」とか「ステージが怖い」と逃げ腰になることがあります。孤独感や不安や緊張感のかたまりがお腹の中からこみ上げてきて、吐きそうになったりします。

でも私も生徒と同じで、終わってしまったら、「また次も弾きたい」と思ってしまうのです。「今泣いたカラスがもう笑った」と言うのと一緒の状態です。

こうやって結局また、機会さえあれば何度でもやってみたいと思って、ひたすら苦しい練習に取り組むのです。これは、なんといいましょうか。ステージに取りつかれたというか、それを経験した人だけがわかる、なんだかわけのわからない幸福感や高揚感。その一瞬の幸せをつかむためにまたピアノに向かうのです。「これ、一度経験したら、病みつきになる」と生徒からの嬉しい声。私も生徒に刺激をもらってピアノに向かいます。

注:このエントリーのタイトルをみて、ちあきなおみさんの歌を想い出した方はまちがいなく昭和の方!想いだす方どれくらいいるかしら?

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