ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ショパンの「舟歌」について その2

2010年05月06日 | クラシック豆知識
さて、今回はショパンの舟歌を自分流の解釈で、語ってみようと思います。

ショパンの舟歌は、最初に、「これから私の物語をお話します。どうぞ聞いてみてください」と言っているような前口上のフレーズがあって、その後、ゴンドラがゆっくりとスタートする2小節があります。この2小節は、ゴンドラがゆったりと水の中を揺られながら進んでいく様子を、おだやかに表現しています。


この2小節のあとから、物語が始まるのです。水の揺れに身をまかせて進むゴンドラ、それに合わせて、その物語は歌われます。幻想的な感じのするメロディで音楽が紡がれていきます。陽気なゴンドリエーレ(ゴンドラを漕ぐ人)の歌う他の舟歌とは、違う雰囲気です。「僕の人生には、こんなこと、あんなことがあったのです」と語るように歌っていく、少し控えめに上品に、そして心を込めて静かに歌い始めるのです。

ショパンがこれまでの人生を振り返りながら、いろいろなことがあったけど、もう全てを受け入れようと達観したような、私にはそんな歌に聞こえます。長調なのに、なにか物悲しく聞こえます。ショパンの生涯は、彼自身納得のいくものではなかったものかもしれないけれど、人生とはそういうもので、受け入れて行くものなんだということを悟ったような、そんな歌のように感じます。

ゴンドラの揺れが曲のベースにずっとあって、それは、まるで、どうしようもない自分をとりまく運命の揺れ、その上で人間は生きていくものだと歌っているような気がするのです。そして最後は、自分の力を振り絞って、優美で情熱的なクライマックスが朗々と歌い上げられ、私たちに勇気を与えてくれます。

深い味わいのあるショパン晩年の最後の大曲「舟歌」、内容的にもとても難しい曲ですが、現在の自分の気持ちと合わせて挑戦してみたいと思っています。

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