日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

残したい!本牧に建つレイモンドの「旧スタンダード石油社宅」

2005-07-21 13:00:45 | 建築・風景

横浜、三渓園の近く本牧八聖殿の手前に、終戦直後の1949年から1950年にかけて建てられたレイモンドの設計した「旧スタンダード石油会社社宅」が建っている。広大な敷地の中に打ち放しコンクリート造で、外壁には縦板張りがなされて温かみを持つ2階建てが一棟、平屋が3棟建てられた。Standard Oil Company New Yorkの頭文字をとって通称「ソコニーハウス」と呼ばれている。 1953年には横浜市建築コンクールで表彰(市長賞、知事賞)され、特に外国のエリートが住んだ住宅の典型として当時の日本人を驚かせるなど、戦後の住宅史を考える上で欠かせない建築となった。その誇らしげな記念のプレートは土留めの石垣に設置され、いつでも見ることができる。 1956年に平屋の2棟が解体されてマンションが建てられたが、残る2棟は残っているとはいえ空き家となり、今では樹木に覆われていて全容はうかがえない。現在の所有者は「神鋼商事」だが、霊園の計画をする企業に売却の計画が起こり、その存続が懸念される。 

7月15日「本牧スタンダード石油社宅とその景観を救う会」のメンバーに案内され、JIA神奈川のメンバーやJIA保存問題委員などと共に現地を訪れた。 フェンスがしてあり敷地内に入ることはできないが、樹々の間から縦張り板の外壁が見え、敷地の高低を利用して配置された有様もうかがうことができ、資料にある竣工時の写真の姿を重ね合わせていると、その建築の姿が眼前に起ち表れるような気がしてくる。 そしてこういうモダニズム建築を見るときにいつも感じる妙な懐かしさと、嘗て建築にのめりこんでいった若き日、つまり僕の青春と一体となった甘酸っぱさのようなものがこみ上げてきた。
何とか残したい!  <写真・竣工時「レイモンドの建築」三沢浩著より>


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2 コメント

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アントニレーモンド (佐藤 裕)
2006-05-11 23:52:13
この土地・建物の所有者となったリクルートコスモスによる分譲住宅の建設計画が四月中旬に表面化。邸宅の解体工事を八日から始めると伝えていた。

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時代を確認する存在 (penkou)
2006-05-13 11:48:47
佐藤祐さま

コメント有難うございます。

レーモンドは日本に400件にあまる建築を創りましたが、この「旧スタンダード石油社宅」(通称ソコニーハウス)の位置づけは興味深いものがあります。

終戦直後アメリカの中級クラス(ハイレベルといったほうがいいでしょうか)の、日本人にとっては憧れの住宅のイメージが形として残っているからです。単に横浜の、本牧の象徴というだけでなく、この住宅はアメリカそのものだったのではないでしょうか。住宅ですかなかなか見ることはできないものの・・・・

それはとりもなおさず、この建築を通して横浜という地域を、さらに時代という観念を再確認してくれることにもなります。

何とか残したいものですね。
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