日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

愛しきもの(10) もうすぐキングセイコーが蘇る

2009-09-06 15:06:38 | 愛しいもの

松山のtakahiroさんから、僕のキングセイコーを修繕する部品が「時計工房・勇進堂」の7段ほどのパーツBOXに整然と並んでいたとコメントが寄せられた。自分の時計の修繕を頼みにお店に行った時に見てくれたそうだ。
後は組み立てるだけ、もう少しですね!という心温まるコトバが添えられている。
ブログに40年前に買ったキングセイコーが動かなくなってメーカーに修繕を頼んだら、部品がないので直せないと送り返されたと書いたのが丁度2年前の9月。突然松山市の勇進堂で直せますよとtakahiroさんというかたからコメントが来た。

えっ!と思って紹介されたHPのアドレスをクリックして電話した。HPは5代目の息子さんがつくったようだが、出たのは声のトーンの高い4代目川口宏さん。話が弾んだ。シリアルナンバーを聞かれて時計を引っ張り出した。400から始まる数字だ。初期らしい。直ると言う。宅急便で送った。日土小学校のことなどを書いたブログと名刺を同封した。

FAXがきた。それがなんとも味わいが深い。傷んだガラスや部品などについてのこまごまとした様子と、セイコーに聞いたら当時販売された金額は15,000円から17,000円くらいだったようですと書かれている。
妻君がいう。そんなに高くなかったのね。あの頃の給料は7,8万円くらいだったんじゃあないの。
そうか、買えない金額でもなかったのか。ためらいながらもエイっと、でも買ったんだからね、今と変わらないなあと顔を見合わせて苦笑した。

2度目のFAXが来た。
一生けん命、おれってねじぬきと分解掃除をやってみます。`おれってねじ`というのがあるのだ。もしねじ抜きがうまくできなくてもきちんと動くようになりますからご安心下さい。ねじが折れて食い込んでしまったのだ。
「今日の愛媛新聞に日土小学校出ていたのでFAXおくります。しらなかったのですがすごい小学校なのですね」とある。新聞に書いたのは神戸芸工大の花田教授だ。
FAXには、昨日の深夜NHKで棟方志功さんの「あの人に聞く」を見たとある。そして棟方板画を使った時計を修繕したときのエピソードが綴られている。僕の名刺に棟方板画館評議員と書いてあるのを見たからだろう。

まだこの時計ならうちでなくても修理できるところはいくらでもあります。そのなかで勇進堂をえらんでいただいてうれしいです、とある。松山に飛んで行きたくなった。
見も知らぬtakahiroさんにも会って川口さんとの時計談義、職人世界談義だ!

<写真 送られたFAX、使っているRiki時計とシチズンのLAMER>